というわけでバレンタインネタに感化されましたので、またも咲夜で小ネタを。非エロで。  
本編のバレンタインイベントの裏イベントと思っていただければ。  
漫喫での突貫作業なもので、不備があってもご容赦を。  
(>>256さん、連投になってすいません。できるだけ避けたかったのですが、  
 ネタがネタだけに…)  
 
 2月14日。バレンタイン。  
 
「ほーれ、朝斗ー。お姉ちゃんからプレゼントや」  
「わー!」  
 咲夜から青くつやつやした包装紙につつまれたチョコの箱を受け取った弟、朝斗は  
やったやったと嬉しそうに飛び跳ねている。  
「こら朝斗! ちゃんとお姉ちゃんにありがとうて言いや!」  
「まあまあ日向。ほら、日向らにもあるで」  
そう言って咲夜は、妹たちにもチョコを――こちらはピンクの包装だ――を手渡した。  
「え、ええの?」  
「こういうのは渡す気持ちが大切なんやで。男からとか女からとか関係あらへん」  
 咲夜に頭を撫でられると、困惑していた妹、日向は顔をほころばせて包みを嬉し  
そうに眺めた。  
「食べてええ? ご飯のあとやし……」  
「ああもう、そんなん気にせんでええ。せっかくの手作りなんや、食べたいときに  
食べてもらわな」  
 向こうでは、朝斗が包装紙をびりびりと破り、待ちきれないとばかりにゴルフボール  
大のチョコにむさぼりついている。  
 そんな朝斗の頭をはたいて嗜める日向だが、自分も慌てているのか包み紙がうまく  
解けないようだ。  
「みんな嬉しそうだね」  
「ほんま、毎年作りがいがあるわ」  
 いつの間にか後ろに立っていた父と一緒に、温かい目で4人を見守る咲夜。  
 その笑顔を見ていると、大変なこともあるけれど、お姉ちゃんでよかった、と思える。  
 
 
「……」  
「……で?」  
「で、って何? お父ちゃん」  
「……いや、なんでもないさ。今夜はよく枕が湿りそうだなあ……」  
「ウソや、ウソウソ! ちゃんとお父ちゃんにも用意してるがな、はい!」  
 背中に隠していた赤い包みを受け取った咲夜父は、言葉にならないとばかりに  
涙を流しながらその場でくるくると踊りだした。  
「ありがとおおおお! ありがとう咲夜あああぁっ!!」  
「お父ちゃんうざいー」  
「ざいー」  
「やれやれ……。んじゃ、お姉ちゃんは出かけてくるで」  
「お姉ちゃん、どこ行くん? こんな遅い時間に」  
「ちょっとナギんところにな。って言うても、用があるんは借金執事のほうやけど」  
 そのセリフを聞いた妹、日向は興味津々とばかりに顔を近づけてきた。その背後で、  
朝斗もおもしろくなさそうな顔で耳を傾けている。  
「え、なになに。本命チョコ渡すんー?」  
「なんであんな冴えんヤツに……」  
「あー、ちゃうちゃう。あいつに渡すんはこれや」  
「これは?」  
「ふふ、名づけて『3つに1つはハズレだよチョコ改め実は3つに2つがハズレ  
 だよチョコ』や! まずハズレを引いて「もー昨夜さんひどいですよー」とか言うて、  
 油断したところに襲ってくる第2波を食らったときのヤツのリアクション……。  
 これは期待できるで……」  
「さ、さすが、鬼やなお姉ちゃん」  
「あとは味のほうやけど……、あ、もちろんハズレのほうな、ちょっと温ぅしてもうた  
 かな……」  
「あ、あれええええ? 咲夜、咲夜ぁ!? お父さんのお口の中が、お口の中が、お口の  
 中がまさに口内の南大○焼失やあああああああああああああっっっ!!!?」  
「お父ちゃんがヘッドスピンかましとるー」  
「お父ちゃん、そのネタは冗談でも本気でヤバイでー」  
「……大丈夫みたいやで」  
「よし、ほな行ってくるわ☆」  
 
 ところ変わって三千院家。  
「よーし、まだみんな起きとるな。神出鬼没のライセンサー、愛沢咲夜としてはこっそり  
 と……。お、おったおった」  
 リビングのドアを少し開けて覗いた先には、ハヤテとマリアが何やら話し込んでいた。  
ナギはいないようだ。二人ともこちらには気づいていない。  
 しめしめとこっそり部屋に入ろうとした矢先、ふと聞こえた二人の会話に咲夜は  
足を止めた。  
「あれ、おいしいじゃないですかマリアさんの1作目のチョコ。……の破片」  
「ええ、もちろん普通に自信作でしたから。……こちらもある意味自信作なんですが」  
 ため息を漏らすマリアの傍らには、もはや誰が見てもお菓子とは思わないような、  
立派な鳥の彫刻同然のチョコオブジェが鎮座していた。  
「はは……。けど、こういうすごく立派なものや、奇を衒(てら)ったようなプレ  
 ゼントも楽しいですけど、やっぱり僕は、送った人の気持ちが素直に伝わるような、  
 シンプルなプレゼントが好きですね」  
「…………」  
「じゃあこれを作り上げた私の努力は全くの空回りと……」  
「い、いやそんなこと言ってないじゃないですかマリアさん!」  
 
 咲夜は、手の中のバレンタインチョコをじっと見つめる。  
 立方体の箱が3つ詰まった、網掛けの小袋。  
「……そっかー。……お、ちょうどいいところに通りがかったな、1人と1匹」  
 
「ハーヤテ!」  
 後ろから急に声をかけられ、ハヤテは驚いて振り返る。  
「おわ、咲夜さんどうしたんですかこんな時間に。ていうかいつの間に」  
「ご挨拶やなー。今日は何の日や思うてるん? ほれ!」  
「わ、チョコですか。ありがとうございます!」  
「なんやちょっと小さいなー、とか思わへんかった?」  
「何言ってるんですか、咲夜さんからもらえたってことだけでもう嬉しさ満点ですよ」  
「そ、そうか。それならええねんけど」  
「こういうことをサラリと言ってのけるから天然ジゴロは恐ろしいですわ……」  
 
 ハヤテは大事そうに箱を開け、取り出したチョコをゆっくりとかみ締めるように味わう。  
「……うん、おいしいです。外はしっかりビターですけど、中のカスタードが程よく  
 甘くていい感じですね」  
「ふふーん、まさにウチみたいなチョコやろ」  
「は、はは……」  
「なーんやその苦笑いは、うりゃ!」  
「ひゃ、ひゃめてくらさいよしゃくやさーん」  
 ほっぺたをつねりつねられ、しかし笑いの絶えない二人。  
 てんやわんやの2月14日は、こうして平和に過ぎていった。  
 
「お嬢様ー! お嬢様あああああ!! クラウスのお口の中が大炎上、祭りだワッショイ  
 でええすぞおおおおぉぉぉっっっ!!!」  
「Sharpens you up! Sharpens you up! ニャーーーーーッッッ!!!!」  
「なんか、部屋の向こうからものすごい阿鼻叫喚が聞こえるんですけど……」  
「気にしたら負けやで☆」  
 
 

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