「突然ですけれどハヤテ君、ちょっとアルバイトをしてみませんか?」  
「へ?」  
 ギルバートによるナギ誘拐および殺人未遂騒動(表向きそういうことになった)の後。  
 数日ぶりにナギの屋敷でハタキがけをしていたハヤテを、一枚の書類を手にしたマリアが呼び止めた。  
 
 
  「ハヤテのごとく!」が急展開……すぎる第32話After days  
  当然の事ですが、『甘い話には罠がいっぱい』あるんです。  
 
 
「一月ほどの短期でまとまったお金が入るアルバイトなんですけれど。  
 臨時収入を返済に充てれば、少しは早く借金も返せるんじゃありませんか?」  
「それはありがたいですけど、何のバイトなんですか?」  
「はい、三千院家所有の研究所で、新薬の臨床試験のサンプルを探してるそうなんですよ」  
 マリアはそう言いながら、手にした書類をハヤテに差し出した。  
 
 未認可新薬の人体実験。  
 しばしば「死体洗い」と共に人々の噂にのぼる、都市伝説のような『高額アルバイト』の代名詞である……が。  
「いやー、久しぶりですねー。  
 小さい頃、『甘いものを飲ませてやる』って連れて行かれたのが製薬会社のラボだった事はありましたけど」  
「そ、それはそれは……」  
 書類を受け取るながらさらっと言うハヤテ。  
 サファリパークの件といい、ろくなところに連れて行ってもらえない少年である。  
「日常生活を送りながら気づいた事をレポートすればいいそうなので、執事の仕事もしながらできると思いますけれど…  
 引き受けるんでしたら、その書類の一番下に名前を書いてくださいね。  
 あ、三千院家の施設ですから、ハヤテ君なら履歴書は要りませんよ」  
「へー。それは楽ですね」  
 ハヤテは慣れた手つきで書類にサインし、マリアに返却する。  
「こんな事までしてもらって、本当にすいません」  
「いえいえ、これくらいはたいして手間でもありませんし」  
(なるべく早く借金の事だけでも処理してしまわないと、私が先に参ってしまいそうですしね……)  
 心中でほっと溜息をついて、マリアは書類を送るべくきびすを返した。  
 
 翌日、ハヤテはマリアに付き添われて、早くも研究所を訪ねていた。  
 厳重にセキュリティを施された一室でバスローブのような検査着に着替えさせられ、両方の腕と脚に注射を打たれる。  
 その後、水と共に錠剤を手渡され、飲むように言われた。  
「それでは、今夜はこちらで過ごしていただく事になります。向こうのベッドが使えるようになっていますので」  
「はい。ところで、これって何の薬でしょう?」  
 ハヤテの質問に対し、所員は事務的な口調で一言、  
「便宜上、『Y染色体転向薬』と呼んでいます」  
「わいせんしょくたいてんこうやく…ですか?」  
「はい。効能を端的に言いますと…服用者の体を男性から女性のものに変える薬、です」  
「…何でそんなもの作ったんですかっ!」  
「いや、上の方の要望がありまして」  
「三千院家の上って、まさかあのおじいさんとか…」  
「いえ、このスレの少し上のほうに」  
「……そんなオチっ!?」  
 
 きゃいきゃいと騒ぐハヤテの声に、いつしか欠伸が混ざり始める。  
「ふああ…あれ、何だか……これ、本当に大丈夫なんで…すよね……」  
「睡眠薬の成分も含まれていますから、正常な反応ですよ。興奮した分だけ薬が巡るのが早かったんでしょうね。  
 安心して休んでください。次に目が覚めた時は女の子の体です」  
 カルテになにやら書き込み始めた所員の声を聞きながら、ハヤテはゆっくりと意識を手放した………  
 
 目を覚ました時、ハヤテは人一人が横になれるくらいの台に横たえられていた。  
 その周りを数人の女医と看護婦が囲み、上から覗き込んだり、ハヤテの体を触ったり測ったりしながらなにやらメモを取っている。  
「先生、被験者が目覚めたようです」  
 ハヤテと目の合った一人の看護婦がそう告げると、女医は台の横に椅子を牽き、ハヤテの顔の横に腰を降ろす。  
「おはよう。どこかおかしな感じがするところはある?」  
「ええと…胸…とか…」  
 気がついたときから、ハヤテはかすかな息苦しさを感じていた。肺を上から圧迫されるような感じがある。  
「ふむ、それは仕方ないわね。まあ自分で見て御覧なさい」  
 言われてハヤテがわずかにあごを引くと、視界の下半分を透き通った肌色の丘が遮った。  
「こ、これっ…」  
「急にこんな重石が出来たんだもの、慣れるまではどうしても息苦しくなるわ。  
 でも、結構大きくなったわね。Cカップの立派なバストよ」  
「ほ……本当に本物…なんですか…」  
「ちょっと失礼」  
 ハヤテの言葉に対して、女医は無造作に手を伸ばすと近いほうの丘に指を埋めた。  
「んふぅっ……」  
「ほら、掴まれた感覚がちゃんとあるでしょう? 結構敏感のようだし」  
「んっ…はっ…」  
 女性ならではの絶妙な力加減で、作られたばかりの乳房をぐにぐにと揉み出す女医。  
 指の動きに合わせてじわじわと体に染み込む怪しい感覚と、そして何よりこの異様な状況に飲まれたハヤテは、  
 明らかに性的な意図を持った女医の手を払う事も思いつかず、台の上でその裸体をくねらせる。  
 そして肌に赤味が差した頃、女医の指は丘の先端についた柔らかなピンク色の肉へとその矛先を変えた。  
「ひっ…や…そこ……」  
 周囲の乳房ですらこんなに敏感なのに、女性の性感帯として最も有名な場所の一つを直接触られたらどうなってしまうのか…  
 ハヤテの想像と不安は、一瞬後に現実となる。  
 
…プチュ。  
 
「っきゃあぁぁっ!」  
 小さいながら張り詰めていた先端を挟み潰された瞬間、全身を電撃が走り、  
 ハヤテは背中を弓なりにそらせて、女性として初めての絶頂に胸への刺激だけで到達した。  
 
 検査を終えた女医たちと入れ替わりにマリアが部屋を訪れ、けだるげに体を起こしたハヤテに持参した洋服を差し出した。  
「はぁ…マリアさぁん…」  
 気づいたハヤテが半ば放心状態のまま、かすかに濡れた瞳でマリアを見上げる。  
 
こくん。  
 
 この年頃の少女に特有の爽やかな色香を醸し出すハヤテの姿に、マリアは小さく喉を鳴らした。  
(ひょっとしてとは思いましたけど、ここまで「本物」らしくなるなんて…)  
 同じ女性として、ほんの少し嫉妬を覚える。  
 マリアは着替えをハヤテに押し付けて、  
「着替えが終わったら、廊下に出て右側3番目の部屋に来て欲しいそうです。  
 私はハヤテ君の検査が終わるまで別室で待っていますから」  
 そう早口で告げると、足早に部屋を出て行った。  
 
 用意された服の上着はいつもと同じ執事服だが、下は長ズボンから浅くスリットの入った膝丈のタイトスカートに替えられている。  
 ハヤテは一つ一つの服を確認しながらゆっくり身につけていく。  
 いつかのようにリボンやプリーツで女の子らしさを強調したややこしい服ではないのだが、  
 今日はなぜか体が重く感じて機敏に動けない。  
(女の子って、みんなこんな感じなのかな?)  
 腕や腰や首を曲げたり伸ばしたりひねったりして自分の体を眺めまわす。  
 そのたびに擦れる服のくすぐったいような、それでいて吸い付くような肌触りが、  
 不思議な心地良さを与えてくれる事にハヤテは気がついた。  
(……女の子の服って……柔らかいんだ……)  
 新しい服をおろしたばかりの少女のように自分の姿をあちこち見回しながら着替えを終え、  
 わざと大きく手足を動かして布地の感触を楽しみながら、ハヤテは部屋を後にした。  
 
 指示された部屋にハヤテが入ると、そこにはすでに先客がいた。  
 本日二人目の、マリアとはデザインの違うメイドが何もない部屋の隅に座り込んでいる。  
「あれ、サキさんじゃないですか。どうしてこんな所に?」  
 ピクッと肩を震わせて顔を上げたサキの目からは、ぽろぽろと涙がこぼれていた。  
 よく見ると目はすでに赤く、頬の濡れ方にも長時間泣きはらした様子が見てとれる。  
「サ、サキさん!?」  
「ハヤテさん? ……ぐすっ……ハヤテ…さんっ……」  
 おずおずと歩み寄るハヤテに、立ち上がったサキは倒れこむようにして自分から飛び込んだ。  
「うわ、サキさん!? ちょっと待って、何がどうなってるんですか!」  
「ハヤテさん……ハヤテさん…ぐす……ごめんなさい……!」  
 意外に強い力でハヤテにしがみついたサキは、そのまま体重をかけてハヤテに尻餅をつかせる。  
(サキさん……あれ、なんだか感触が、こう……硬い?)  
 以前サキを抱えて警備ロボットから逃げた時とは、どこか感触が違う気がする。  
 飛びつかれた瞬間はドキドキしていてわからなかったが、  
 今の彼女には妙に安定感があると言うか…でこぼこが少ないというか。  
「ハヤテさん……女の子になっても違和感無いんですね……服のせいでしょうか……」  
「へ?」  
 何か引っかかる言い方だった。  
 性別が変わっているのは抱きついた感触でわかるとしても、それをあっさり受け入れすぎている。  
「まさかサキさん…僕と同じで」  
「その……誘拐の件で責任を取れと…ここに連れて来られて……」  
 サキはハヤテの上から一度身体をどけ、メイド服の裾に手をかけて、  
「ハヤテさんはよろしいですね、ちゃんと女の子の服を用意してもらえて。  
 私にはそんな事をしてくれませんでしたから………」  
 スカートの前をたくし上げると、その奥には、  
「来た時の服しかなくて、ほら……こんな格好になってしまったんですよ……」  
 女物の小さなショーツを歪ませ、その上端から先端を突き出した男のシンボルがどくどくと脈打っていた。  
 
「あ…あ…サキさん…」  
 男性になったサキは少し顔の凛々しさが増したものの、体形が劇的に変わったわけではなく、  
 いつものメイド服の中でペニスが存在を主張しているというのは、倒錯的で非常にエロティックな情景であった。  
 目が離せず硬直するハヤテに、サキは複雑な視線を投げかける。  
「それで…なんで私がここにいると思います?  
 ひどいんですよ……後からここに女の子が来るから、その子を犯せって言われたんです……」  
「それって……サキさん、ちょっと落ち着いて……」  
「無理です……少し前に、赤い液体とか苦い薬とかを飲まされて……それから、ずっと辛くて……」  
 背筋を悪寒が走ったハヤテが座り込んだまま後ずさりし、それにあわせてサキが一歩前に出る。  
 息を荒げるサキの顔が紅潮して、壮絶なまでの色気と情欲を振りまく。  
「ごめんなさい……ハヤテさん…本当にごめんなさい……っ!!」  
「きゃぁ―――――っ!」  
 
「んんっ……んぐぅっ……」  
 呼吸を封じられた苦しげな声が、何もない部屋にこもって聞こえる。  
 ハヤテはサキのスカートの中で、できたばかりの男性器をその口に突き込まれていた。  
「ふうぅんっ…サキは……まっ…苦…しっ……」  
「はあぁっ!……ハヤテさん……それ…ビリビリしますっ……!」  
 抗議の声が舌と唇を震わせ、サキの性器に快感をもたらす。  
 吐き出そうとハヤテがあごを引くと、その分サキが腰を押し込むか、またはハヤテの頭を抱え込んでしまい、  
 傍目からはまるでハヤテが口でサキの性器をしごいているように見える。  
 喉に近い奥まったところを刺激されたハヤテの身体は、涙をこぼすと同時に大量の唾液を溢れさせ、  
 じゅぷじゅぷと湿った音をたてて出し入れされるサキを受け入れたかのような反応を示した。  
 その変化は口内を蹂躙するサキの性器により強く新鮮な快感をもたらし、ほどなく……  
「はっ…あ…出る……出ますぅ! あああああぁっ!!」  
 
ビュビュ! ビュっビュビュビュッドプッ!  
 
 …形成されたばかりの弱く敏感な肉の塊は、ハヤテから受けた快感の返礼に粘りの強い精液を口一杯に注ぎ込んだ。  
 
「んぶっ! ごふっ……けほっ! ……うああ……うそ……」  
「はぁっ…はぁっ……凄い……これが…男の人の……快感……」  
 射精の一瞬に凝縮された開放感に呆然となり、尿道に残った精液を少しずつ噴きこぼしながら座り込んでいるサキと、  
 喉に絡みついた塩辛い粘液を吐き出そうと咳を繰り返す精液まみれのハヤテ。  
 二人とも、しばらくの間他に何も出来なかった。  
 その後数分の沈黙を挟んで、サキがポツリと呟く。  
「エッチなビデオを借りる男の人の気持ち…少しわかってしまいました……」  
 その視線を受けて、ハヤテが身をすくめて小さくなる。  
「だって…仕方ないですよね……あんなに辛くては……我慢できるわけありませんね……」  
「あ、あの〜……サキさん……?」  
 これから起こりそうな不幸の気配を感じ取ってハヤテがおずおずと声をかけるが、サキは独り言のような調子で、  
「辛くて…辛くて…身体から出してしまいたくてたまらないんです……あの瞬間の気持ちよさには勝てないんです…」  
 熱に浮かされたように、蕩けた表情をハヤテに向けて口元だけで笑う。  
「待って、待ってくださいよ……怖いですよ…サキさぁん……」  
 サキのスカートの前が不自然に持ち上がっているのを見てしまい、ハヤテは自分の体を強く抱きしめた。  
 と、わずかに頭の隅に残されたサキのなけなしの理性がその様子に気づき、  
 もう一度ハヤテを押し倒そうとした自分の本能をギリギリのところで押しとどめる。  
 しかし、射精の快楽と女性の身体の温かさを知ってしまった今、あまり長くは我慢できそうになかった。  
「……ハヤテさん……ごめんなさい……お願いです……」  
 ハヤテを見つめるサキの目にも、再び涙の粒。  
「最低な事をしてるってわかっています……逆の立場だったら一生許せないだろうと思います……  
 でも、もう嫌! こんな体も、こんな事をしなきゃいけないのも、それが辛いどころか気持ちよくて仕方ないのも……もうたくさんなんです!  
 助けてください……ハヤテさんを犯させて……はやく検査を終わらさせて……私を……若のところに帰らせてください……」  
 搾り出すようなサキの独白を聞いて、ハヤテの心の奥で疼くものがあった。  
 目の前で辛そうに泣くこの人を助けたい……おそらくそれは、ハヤテの中の『男』の部分。  
 
「わかりました、サキさん」  
「……え?」  
 涙をぬぐってぼやけた視界を戻したサキの目の前では、ハヤテが優しく微笑んでいた。  
「サキさんにお任せします。女の子の体はよくわからないので……なるべく、痛くないようにしてくれると嬉しいんですけど」  
「……はいっ。出来る限り……!」  
 今度は意識して優しく、サキがハヤテを抱きしめる。  
 ハヤテの耳元で、小さく鼻をすする音がした。  
 
「体の力を抜いて、怖がらず素直に感じてください。  
 大丈夫です、男の人の…あれを入れる時以外は、未経験の女の子でもちゃんと気持ち良くなれるんですから」  
 寝そべったハヤテにサキが微笑みかける。  
 相変わらず息は荒く強いが、今度の笑いにはハヤテを怯えさせるような壮絶さはなかった。  
「特に、こことか……その周り……」  
「やっ…きゃうっ」  
 つけ慣れないせいでカップのずれたブラジャーを押し上げられ、膨らんだ胸の先、乳首の周りをそっと指先で撫でられると、  
 ハヤテの体はそれだけで何かが変わってしまう。  
「すごい……ハヤテさん……そんなに敏感なんですか……」  
 予想以上に激しいハヤテの反応に、サキは半ば感心し、半ば面白がるように何度も指を走らせる。  
「ああっ! サキさっ…遊ばないでぇ!」  
「遊んでなんか……なるべく気持ち良くなったほうがリラックスできるし、痛くもないと聞きましたから…」  
 そう反論しつつも、サキは要請にしたがって胸から手をはずし、体の位置を変えた。  
「では、こちらの方を……胸でそんなに敏感なら、こちらを触ったらハヤテさん、一体どうなってしまうんでしょう」  
 軽く指を舐めて滑りを良くした手を両足の間に差し入れたサキは、慎ましやかな割れ目の上にある突起を同じように撫でる。  
「ひゃんんっ! あ、や、なんですかぁこれぇっ! やだ、ああ、わかんな、こんなのしらな……」  
 初めてのクリトリスへの愛撫は、ある意味では馴染んだ刺激に近い、受け入れやすい快感をもたらしてハヤテを追い詰める。  
 そして、気分をよくしたサキが、二本の指を突起の左右に触れさせて……  
 
きゅきゅっ  
 
「………っ!!」  
 
 別室。  
 二人の様子をチェックしている所員の横で、マリアは顔を真っ赤に染めつつもモニターから目を離せずにいた。  
 画面の中では、クリトリスへの責めで絶頂してぐったりとしたハヤテの秘所をサキが指で開いて、  
 あてがった男性器を腰をくねらせて強引に押し込んでいる。  
『つああぁぁ…! 痛、サキさ……あああ無理ぃぃっ!!』  
『ああ……入って……ハヤテさんに私が入ってる……ハヤテさんを犯してるぅ!』  
「あの…サキさんの性格が変わっちゃってますけど、まさか他にも変な薬を使ったりは……」  
 ジト目で見られた隣の所員は、まさかと首を振り、  
「すっぽんの生き血とか、ありきたりのものです。被験者の体内で変な反応がおきても困りますので」  
「はぁ、なるほど」  
「ただ、ハヤテさんの薬は麻酔効果がいくらか残るように量を調整しましたので、体の反応が少し鈍くなってるはずですけれど」  
「……へ?」  
 モニターに視線を戻すと、ハヤテはいつもの困ったような笑みを浮かべ、  
 のしかかって必死に腰を打ちつけるサキを受け止めているところだった。  
   
「……ハヤテさん……はぁっ…ああっ…ごめんなさ……止まらない……」  
「ああ……サキさん……気にしない……まだ…なんとか……ですからぁ……」  
「……やぁっ……きつい……ハヤテさんが……きつくて…熱いぃ……」  
 サキのものを受け入れた瞬間は確かに鋭い痛みに襲われたハヤテだったが、  
 一度痛みのピークが引いた後は体の中を押し広げられる違和感以外はほとんど残らず、耐えられないほどの辛さではなかった。  
 クリトリスへの刺激でわずかに濡れただけの秘所を強く擦られるので、まだ快感を得ることはできないが、  
 その原因のはずの、辛そうに眉を八の字に歪めて必死に突き進んでくるサキが不思議と愛しい。  
 
「……ハヤテさん……もう少し…もう少しで……終わりますから……」  
 サキの必死な声を聞き、耐えていたハヤテは開放の時が近いことを知る。  
 ならばそれまでを耐え抜くために、何か自分にできる事はないか…  
 ハヤテは頭の片隅で素早く考えをめぐらせ、サキと繋がった秘所のすぐ上に、自らの手を伸ばした。  
「ひいぃぃんっ!」  
 数分前サキに責められた突起に手が触れると同時、ぞくぞくと背筋を駆け上る別の感覚が生まれる。  
「……ああぁ……ここ……すごくっ……ひぃん……」  
「うそっ……ハヤテさん……それ、やだ、中が締め付け……」  
 苦痛と不快感を誤魔化そうと、サキにされた責めを真似てハヤテが自分を慰めると、  
 それを受けてハヤテの膣内が脈動し、思いも寄らなかった刺激をサキに与えた。  
 液の量も増えて柔軟になったハヤテの処女肉にきゅうきゅうと絡みつかれて、あっけなく頂上まで追い上げられる。  
「ああ、また……またぁ! ハ、ハヤテさんっ!」  
 欲望の噴出が近いことを悟ったサキはハヤテの首筋に腕を絡め、最後に一度だけ強く腰を突き入れた。  
「…っくう、サキさ…ぁっ…」  
「あんっ、ああはああぁぁぁ…!!」  
 射精の開放感に呑み込まれ、感電したように硬直して喘ぎを漏らすサキ。  
 首に回した腕とときおりビクンと跳ねる腰がハヤテの体を捕らえて離さず、  
 作られたばかりの少年の精液は、作られたばかりの少女の体奥に一滴も余すことなく注がれた。  
 
 シャワーを浴びて身支度を整えたハヤテが研究所に来て最初に通された部屋に戻ると、  
 そこでは所員とマリアだけが待っていた。  
 聞けば、サキはすでにモノスゴイ勢いで帰ってしまったらしい。  
「う〜ん。大丈夫でしょうか、サキさん…」  
 心配しつつも、苦笑いするしかないハヤテ。  
「それにしても、こんな薬なら先に教えておいて下さいよ。心の準備もなしじゃあちょっと怖いです」  
「すみません、薬効は秘密厳守が通例だそうで、私も昨日聞かされるまで何の薬か知らなかったものですから」  
 だいぶ精神疲労が激しい様子のハヤテに、マリアも額にちょっぴり汗をにじませて謝罪する。  
 そして、秘密にする理由を聞かれた所員はごく当然の事を述べる調子で、  
「事前に効果を教えてしまうと、ブラシーボ効果で似た結果が出てしまう場合がありますので」  
「いやいやいや、思い込みで性転換は無理だから!」  
 
 
 
 そして、二人は研究所を後にする。  
「一月たったら、今度はサキさんが使われた薬で女の子の体から男の子に戻すそうです。  
 それまでは気づいた事や生活の様子を毎週レポートにして送るだけでいいそうですよ」  
「はい。それにしてもすごい薬ですね。クラウスさんに今の僕を見られたら、大変な騒ぎになるかも…」  
「あ〜…それなんですが、クラウスさん……明日、屋敷の方に帰ってきてしまうんですけど」  
「……………どうしましょう、マリアさん」  
「……………どうしましょう、ハヤテ君」  
 
 
 
 ………とりあえず、帰りがけにサラシを買う二人であった。  
 
―――――FIN.  
 

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