「ヒナギクさん、三千院のお屋敷でメイドをやりませんか?」
「…………は?」
ハヤテ君がそんなことを言い出したのは、放課後、生徒会室での情事を終えた後、お互いに衣服の乱れを整えている時のことだった。
「えーっと……何? 今度はそういうプレイがいいの?」
「まあ、それもあるんですが……わりと真面目な話なんですよ。実は――」
ハヤテ君の話によると、マリアさんがインフルエンザにかかって倒れてしまったのだという。4月にインフルエンザって、と思わなくもないけど……要するに人手が足りないということらしい。
「それで、もしヒナギクさんが良ければ、今度の土日だけでもいいので助っ人に来てくれないかなぁ、と」
「事情は分かったけど……なんで私なの?」
「まあ、本宅の方から応援に来てもらうという手もあるんですが……ご存知の通り、お嬢さまは人見知りが激しいので。それに、マリアさんほどの仕事が出来る人となると、そうそういませんし……」
ナギとある程度親しくて、マリアさん並に仕事が出来て……そういう条件を満たしていたのが私だった、ということだろうか。前者はともかく、後者は自信が無いけど。
「それで、どうでしょう。もちろん、無理にとは言いませんけど……」
「そうねぇ。土曜日はともかく、日曜はちょっと……丸一日バイトが入ってるし」
「ああ、確か西沢さんもでしたよね。なるほど、それは外せませんよね〜」
何もかも見透かしているかのような笑顔が、なんとなく気に入らない。まあ、ハヤテ君が考えているであろうことは全部事実だから、あまり文句も言えないんだけど……。
「じゃあ、土曜だけでもいいです。駄目ですか?」
「……仕方ないわね」
こうして、私の一日メイド体験が決まった。
土曜日の早朝。
当然と言えば当然なんだけど、メイドさんの朝は早いらしい。だから、来るように指定された時間も早い。こんなに早いなら、いっそ昨日から泊り込みにしておけば良かったとも思うけど……まあ、それはいい。
問題なのは――。
「はっ、あぁん! やぁ、ん、んんっ! はやて、くぅん……!」
「まったく、ヒナギクさんは。こんな朝早くから、そんなえっちな声出しちゃって……」
「あ、ああっ! それを、あん、言うなら、は、あぁ、はやてくんが、あ、んぁあああっ!」
そう、問題なのは、こんな朝早くから早速手を出してくるハヤテ君の方だ。
仕事着であるメイド服を渡されて、着替えるように言われて、それで――私は下着姿のまま、ハヤテ君のいいように弄ばれていた。
「やん、は、あぁん! はやて、く、ふぁ、ひぃん! や、だめ、あん、ナギが、あ、ああ!」
「安心してください。お嬢さまなら、お昼過ぎまで起きてこないでしょうから」
「は、あ、あ、ふああっ、あぁああんっ!」
ハヤテ君の指が、私のナカで暴れまわる。同時に、固く勃起しているクリトリスや乳首を責められて、耳や首筋も舌で舐め回されて――歩に開発された身体中の性感帯は、もうハヤテ君にも知り尽くされていた。
絶え間なく続く快楽の波に、理性の抵抗も次第に弱まっていく。
歩もハヤテ君も、いつもこうだ。快楽に溺れていく私を眺めながら、私が“負け”を認めるのを待っている。
「ひっ、いぃん! あぁ、あん、はぁん! ふああっ! はやて、く、あん、はやてくぅん! おちんちん、おちんちんがほしいの! あ、ああっ、あぁっん! はやてくんのおちんちん、ひなのおまんこにいれてぇ! ひ、あああっ!」
私の敗北宣言を受けて、ハヤテ君はニヤリと、ゾクゾクするような笑みを浮かべた。きっと今日も、激しく、いっぱい、犯してくれる――そんな私の期待を、ハヤテ君は、
「……残念ですが、それはまだお預けですよ♪」
見事に裏切った。
「そん、なぁ……」
「はは。まあ、代わりと言ってはなんですが……」
「ひっ、い、あああんっ!?」
「おマンコと一緒に、コッチも弄ってあげますから」
ハヤテ君の指が新たに向かった先は……お尻の穴、だった。
「や、あ、そっちはだめ、だめぇ! ひぃん! はん、あ、あ、ひゃあぁああぁん!?」
「ダメと言うわりには、すごい反応ですけど?」
指の先を少しだけ入れられて、ぐりぐりと回すように……たったそれだけで、私の口から漏れる喘ぎ声はさっきまでよりずっと大きくなっていた。
ハヤテ君がソコを弄るようになったのは、彼と身体を重ねるようになってすぐのことだった。
その時、ハヤテ君はこう言っていた。
「確かに、ヒナギクさんの身体は最高です。いくら貪っても、飽きることなんてない……ですが、やはり物足りないんですよ。誰かの手で出来上がっているモノに手を出しているだけではね」
そうしてハヤテ君が目を付けたのが――。
「ちょ、やだ、そんなとこ! ひっ、あ!」
「でも、ここは……西沢さんもまだ、手を出していないでしょう?」
「そ、そうだけどっ……あ、ん!」
歩が手を出していない場所というなら、上と下の処女は両方ハヤテ君に捧げたんだから、それでいいはずなのに。
「ここまで来たら、お尻の処女も僕が貰ってしまうのが道理でしょう?」
「どんな道理よ、それはっ! い、あ、はぁんっ」
ハヤテ君は、意外と欲張りだったみたいで。
大抵のえっちな要求は受け入れていた私だけど、お尻の穴を弄ることにだけは抵抗していた。そこは元々、こういうことをするためのものではないし……その、汚いし。
まあ、いくら言ってもハヤテ君は聞かないだろうから、身体を洗う時は、今まで以上に入念に綺麗にするよう努めていたけど……。
「では、もう少し奥まで入れますよ」
「ひぃん! やっ、やぁあああっ!」
ずぶっ、とハヤテ君の指が、お尻の穴を突き進んでくる。
最初の頃は、固く閉じていて指なんてとても入らなかった私のお尻の穴は、もう指一本ぐらいなら簡単に呑み込んでしまうほどに躾けられていた。
そう遠くない内に、ハヤテ君の太くて固いおちんちんも、全部入るようになってしまうかもしれない。
「ふふ……最初の頃に比べると、お尻の穴だけでも随分と感じるようになりましたね。ヒナギクさん、気付いてます? 今、おマンコからは指を抜いてるんですよ」
「へ、あん、はあっ、はぁああっん! そんなっ、そんなのっ……ひぁああっ!?」
そのことに気付けなかったのは、私がそれだけお尻の穴を弄られることで齎される快楽に翻弄されていたから……お尻の穴でするなんて嫌だと思っていたはずなのに、私はもう、お尻の穴だけで十分感じてしまう身体にされてしまった――。
「これでおマンコの方も一緒に弄ったら、どれほど気持ちいいんでしょうね……?」
「はっ、あ、あぁぁぁんっ! やぁ、だめ、だめぇ!」
抜かれていた指が再び私のナカに戻って来て、お尻の方の指と一緒になって暴れ始める。
くちゅくちゅと、淫靡な水音と一緒に、前後の穴から同時に齎される快感――今までお尻を弄られても、ここまで感じることはなかった。あまりの気持ちよさに、確かにあったはずの、お尻ですることへの抵抗感が薄れていく。
指一本でこんなに気持ちいいんだから……おちんちんだったら、どれだけ気持ちいいんだろう――。
「あん、やぁん! もっ、と……もっとぉ! もっとはげしくしてぇっ!」
「おやおや。ヒナギクさん、後ろの穴でするのは嫌がってませんでしたっけ?」
「だって、んぁああっ! きもち、いいからぁ!! あん、あぁん! あぁあああっ!!」
「気持ちいいなら何でもいいんですか。まったく、とんでもない変態さんですね、ヒナギクさんは」
ハヤテ君が、“あの”冷たい目で――初めてハヤテ君とした時と同じ、あの冷たい目で、視線で――ひたすらに乱れる私の姿を射抜く。
「本当に、もう……ヒナギクさんみたいな変態を放っておいたら、学院の健全な男子生徒が、ああ、女子生徒もですかね、とにかく、生徒の身が危険ですよ。だから……」
「ひっ、あ、いひぃいいっ! あん、ひぁあっ、だめ、だめぇ! わた、あぁん、おか、おかしくなっちゃうぅぅっ!!」
指の動きが、前後の穴の中でより速く、より激しくなって……あの感覚が、歩やハヤテ君に何度も何度も覚えさせられてきたあの感覚が、私の身体を支配していく。
そして――。
「……だから! これからも僕が責任を持って飼ってあげますよ、淫乱で変態なドMの生徒会長、桂ヒナギクさん!」
「いっ、あ、あ、イク、イッちゃう! ひ、っあぁああぁあぁあああああっ!!」
私は、お尻の穴での初めての絶頂に達した――。
「とうとうお尻でもイケるようになりましたねー。まあ、今回はおマンコも一緒でしたが」
「……バカ」
一仕事やり遂げたとでも言いたげな笑顔を浮かべるハヤテ君に、私は悪態をついた。
大体、今日はメイドの仕事をやりに来たはずなのに。
「はは、すいません。ヒナギクさんの下着姿を見ていたら、こう、ムラムラと……」
「本っ当にバカ。まったくもう……」
ショーツ穿いたままだったから、凄い濡れちゃってるし……どうせこんなことになるんだろうと思って多めに替えを用意してきたのは、正解だったみたいだ。
「そんなにムラムラするっていうなら、部屋の外で待ってなさいよ」
替えのショーツに穿き替えながら、当然の要求を言いつける。まあ、最初からそういう風に言わなかった私にも責任はあるんだけど……。
「あ、ちょっと待ってください。着替える前に……」
ハヤテ君はポケットから何かを取り出すと、私を抱き寄せて……そのまま、ブラを外してしまった。
「ちょ、ちょっと。さっきしたばかりなのに……」
「いえ、違いますよ。メイド服を着る前に、これを付けてもらいませんと」
「それは……」
ハヤテ君が手に持っていたのは――ピンク色をした、多分プラスチック製の球がいくつかコードで繋がっている、そんなモノだった。
私には、それが何なのか分からなかった。少なくとも、私の知識の中にはない。
「……それ、何?」
「まあ、説明するより実際に使ってみた方が早いでしょう。ちょっと失礼しますね」
「え? あっ」
よく見ると、球は全部で四つ。それぞれ、大きさが違っている。小さいのが二つに、大きいのが一つ。中間ぐらいのが一つ。ハヤテ君は穿き替えたばかりのショーツをずらすと、その中で一番大きな球を、秘裂に押し当てた。
「はっ、ん! ちょ、な、何を……さっきは違うって……ひぃん!?」
「まあ待ってくださいよ。……まだ少し濡れてますね。これならそのままでも大丈夫そうです」
ハヤテ君はそのまま、ピンクの球体を、私のナカに押し込んでしまった。
「は、あぁん!」
「さて、お尻の方にも入れちゃいますよ」
「やっ、ちょ、ちょっと! ぃ、ああぁあっ!」
お尻の穴に、指を入れられた時とは違う挿入感を覚えて、私は身体を震わせた。指やおちんちんとは違う、ひんやりとした感覚がおマンコとお尻の穴の中にあって、どうにも妙な気分だ。
「な、何を、入れたの……」
「すぐに分かりますよ。さて、後は……流石にこっちは、テープで固定するしかないですね」
ハヤテ君はずらしたショーツを元に戻すと、今度は残った小さな球二つを、さっきはだけさせた私の胸、正確には乳首に当てて、落ちないようにテープで貼り付けた。
「んっ……」
「これでよし。ではヒナギクさん、そのままメイド服を着てください。そしたら説明してあげますよ」
「は、はい……」
もう、なんとなく分かってはいた。あのピンクの球は、私を辱めるための道具なのだろう。
それを思うと、口からつい、敬語での返事が漏れた。
さっきハヤテ君は、私のことを……「これからも飼ってあげますよ」と、そう言っていた。やっぱりそういう風にしか思われていないんだと、少し悲しくもあったけど……心のどこかで、喜んでもいた。
飼う、なんてペットみたいに言われて。でも無意識に、普段ハヤテ君には使わない敬語が出てきて……そう、まるで、ご主人様に従順なペットみたいに。
私は、ハヤテ君の雌犬になってしまいたいのかもしれない。もう、恋は叶わなくても。カラダだけの関係でも。ハヤテ君との繋がりが途切れなければ、それでいい。そう思っているのかもしれない。
「……着替え、終わりました」
今度は、意識して敬語を使ってみる。少し変な感じだけど……これから先、今まで以上にえっちなことをされて、私も、今まで以上にハヤテ君に従順になっていって、そうして、慣れていくのだろうか。
「へぇ……なかなか様になってるじゃないですか」
「そ、そう?」
無理して敬語を使うこともないし、私はいつも通りに、ハヤテ君に応じた。
私が着ているのは、いつもマリアさんが着ているのと同じメイド服。マリアさんにはよく似合っていたけど、私はどうなんだろう。こういう可愛い服って、あまり着たことないし……ハヤテ君は褒めてくれているみたいだけど。後で鏡でも見よう。
「よく似合っていますよ。ヘッドドレスが四文字熟語で喋りだしたり、狐っぽいお面を被ってリボンを武器に戦ったり、そんな感じです」
「何をワケの分からないこと言ってるのよ。それより、さっきのは……」
「ああ、そうでしたね」
ハヤテ君は、新たに細長い……リモコンのような物を取り出すと、それのスイッチを、押した。
「ひっ!? あ、ああっ、ひぁ、は、んぁあっ! なに、なにこれぇ! あ、あ、んぁああぁあっ!!」
突然の刺激が、私の身体を襲う。耐えられずに膝をついても、それは止まることがない。
その刺激は、胸と、お尻と、おマンコから、同時にきているらしくて……さっきイカされてから、落ち着きを取り戻していた私の身体に、再び火をつける。
「どうですか? これはローターという物で、振動で快感を得られる……いわゆる大人のオモチャってやつですよ」
「ひぁああっ、あん、あっ、あぁん! やぁ、とめて、はっあぁああ!」
「これはリモコン操作できるタイプでして。強弱の調節もできるんですよ。こんな風に」
「っあぁあああぁああん!!」
ハヤテ君の言葉通りに、私の身体の敏感な部分でそれぞれに振動しているローターからの刺激が、一斉に強くなる。
それだけでは終わらなかった。お尻の振動が弱くなったと思ったら、入れ替わりにおマンコの振動が強くなって……そんな風に、四つのローターでそれぞれに緩急をつけて、私のえっちな身体を責め立てる。
「じゃあ、とりあえず一回、イッてしまいましょうか」
ハヤテ君はそう言うと、一旦ローターの振動を止めた。そのすぐ後に、ローターはまた、今度は小さく震え始める。でも、その振動は少しずつ強くなっていって――。
「あ、あ、ああっ……くる、くる、きちゃうぅ……はあぁん!」
振動が強くなっていくにつれて、私の性感も高まっていく。
そして、多分、その振動が最大になった時――。
「あん、あ、あぁん……イク、はやてくん、わたし、イッちゃうよぉ……!」
「いいですよ、ちゃんと見ててあげますから。存分にイッてください!」
「あん、あぅ、いはぁ……イク、イクから、イッちゃうからね!? はやてくん、はやてくぅん……! ひゃっ、ああああっ、あぁぁぁん! んあああっあぁぁあ!!」
この調子じゃ、今日これからどれだけイカされることになるのだろうと、頭の片隅で思いつつ……私は、この日二回目の絶頂を迎えた。
「はぁっ……はぁっ……」
「どうでしたか、ヒナギクさん。こういうのも、なかなかいいでしょう?」
「そ、それは……まあ、その……そ、そうじゃなくて! どうして、こんなこと……」
マリアさんがインフルエンザで倒れたなんて嘘で、こうやって辱めるためだけに私を呼んだんじゃないか、そう疑って、私はハヤテ君に尋ねた。本当にそうだったとしたら……えっと……よく考えてみたら、それでもいい気がしてきた。
「理由ですか? そうですねぇ……このお屋敷って、すごく広いじゃないですか」
まあ、一応、ハヤテ君の言う“理由”は聞いてあげるけど。
「で、僕がヒナギクさんに用がある時は、こうやって」
「ひっぃん!?」
「リモコンのスイッチを入れる、と」
一瞬ローターが振動して、すぐ止まった。イッたばかりで敏感になっている私の身体は、しっかりと反応する。
「こ、これだけじゃ、ハヤテ君が呼んでるのは分かっても……場所が分からないでしょ。それはどうするのよ」
「そこはまあ、ヒナギクさんに僕を探してもらうということで。僕を見つけるまで、ローターは動きっぱなしなので、そのつもりで♪ あ、安心してください。屋敷の中なら、とりあえず電波は届くはずですから」
悪びれた風もなく言うハヤテ君の笑顔は、小さな子供のように輝いていた。
その顔が、今日私がどうなるかを物語っていた。
さっきは、今日どれだけイカされるのだろうと思ったけど……どれだけ、で済みそうではなかった。
もしかしたら、一日中、イキっぱなしにされてしまうかもしれない――。
「ではヒナギクさん、まずは仕事をお教えしますから。こっちに」
「……うん」
「大丈夫ですよ。ヒナギクさんなら、三千院家のメイドとして立派に仕事をこなせます。だから……」
笑顔の中で、その瞳だけが、ゾクゾクするぐらいに冷たくて、私は――。
「今日一日、よろしくお願いしますね?」
「……はい」
心の中で、その後に――ご主人様、と、そう続けていた。
To be continued…?