「んにゃ…はぁ……んっ」  
 声。  
「はっ…ぁあん…ハ、ハヤ太…くぅん…ひ」  
 やけに甘美なその声と、秘部からきこえる、液体と指の戯れる音。  
 くちゅくちゅ、くちゅくちゅといやらしい擬音と共にますます量を増していく  
私の愛汁は、やがてその場に留まるだけでなく、頭の中で私と淫らに交じり合っ  
ている男の子の机の上に垂れ落ちた。  
 それを指で掬い、口に含む。何とも形容しがたい甘い味。脳をつつく妙な味が  
した。  
 クリトリスや表面をただただ撫で刺激するだけでは物足りなさを感じてきて、  
爪がのびて尖ってないかを確認したあと、右手の人差し指をゆっくりと膣の中に  
挿入れた。  
 熱いほどの膣壁に指が圧迫される。第二関節まで進めるが、少し進む毎にまた  
声が漏れる。脳内では、指の代わりに彼は必死に私のあそこを弄り回していた。  
「綺麗ですよ、瀬川さん」……彼ならそんなことを言って、いつもの私への対処  
がそうであるように、優しく優しく愛撫してくれるだろう。そう考えるだけで愛  
汁は尚も増量し続け、とうとう小さな水溜りができてしまった。足を蔦って片膝  
まで下げていたパンティを濡らしたが、しかし止めることができなかった。気持  
ちよくて、でもその裏で「委員長のくせにこんなことをしていていいのか」とい  
う自責の念があって、さまざまな思惑が胸を掻き毟っていた。  
「ハヤ太くん…はぁっはっ、ハ、ハヤ太くぅ…ん」  
 犬のように舌を出して愛しの名前を唱えたそのとき、妄想の代わりに今日の昼  
休みヒナちゃんが呼んでいると聞いて嬉しそうに教室をでていくハヤ太くんの横  
顔が脳裏に浮かんだ。それと同時に、溢れ出す愛液とは対照的に少量な涙がでて  
しまったのがわかった。  
 
「あはぁ…う…ぅ…」  
 人差し指を軽く折り曲げると、今までにない快感が体を襲った。尚も擦り続け  
る。一回のそれで意識が飛びそうなくらい、悦びの波が打ち付けられる。肌蹴た  
制服の胸部からは桃色の乳首が痛いくらいぴんと立っていて、片方の手をそれに  
伸ばし、またも弄った。何度も繰り返した。何度も何度も。彼の嬉しそうな顔が  
頭の中から離れてくれるように。そして、こみあげてきた。  
「あ…あはぁああああっ」  
 びくんと体が仰け反り、脳天から爪先まで電流が通ったかのように痺れ、そし  
て胸が熱くなる。  
 しばらく異常なまでの快感により身を痙攣させたあと、一気に脱力した。  
「あ…あぁう…ふぅ」  
 糸を引きながら指が離れていき、両腕が自由になると裾を目の方へと近づける。  
力の抜けた体と一緒に涙腺も緩くなったようで、その後私は声を押し殺しつつ泣  
いた。  
 おそらく彼は、私なんかには地球温暖化ほどの興味も向けてないだろう。ヒナ  
ちゃんとの仲が促進していくのに比例して、最近は全く話していないし、話して  
も二人っきりでなんてことはまずない上に、大体がその場にヒナちゃんもいた。  
 この涙の原材料は、彼が私を見てくれない悲しさと、そしてたぶん――  
 親友への、ヒナちゃんへの嫉妬。  
 そんなことを感じる自分に嫌悪感を覚えつつ、顔をあげて濡れた腕の裾と太も  
もと下着を一瞥した。ぐすっと鼻水をひいて、ハヤ太くんの机から降りる。涙が  
止まってれたわけではなかったが、まず先にこっちをどうにかしなきゃ。  
 ハンカチを取り出して、べとべとになった机を拭く。毎度のように「汚してご  
めんね」と話しかけ、少しも跡が残らないように丁重に。この木でできた学校用  
品を彼に見立てながら、それはそれは優しく撫でるかのように。  
 

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