世の中は理不尽なことで溢れている。  
 政治家の娘に生まれたこともあり、嫌というほどそれは理解していたつもりだった。  
 それなのに、実際にわが身にソレが降りかかってみると、納得することも達観するこ  
ともなかった。  
 そう、私は絶対に認めないだろう。  
 「ヒナが、あんな借金執事に誑かされるなんて」  
 どうにかしなければいけない。そう、どんな手を使ってでも。  
 
 
 私は誰より早く生徒会室に来る。  
 それは、とある日課のせいだった。  
「今日もよく撮れてるわね」  
 生徒会室に仕掛けていた隠しカメラからテープを取り出し、鑑賞する。  
 デジタルカメラを使い、ネットを介して自宅にデータを転送してもいいが、第三者に  
データを閲覧される危険性が増大する。  
 他にも、探知に引っかかる可能性もある。  
 よって、少々面倒な思いをしながらもアナログカメラを使用しているのだ。  
「……これは」  
 そこに映っているものを見て、私は久しぶりに心のそこから笑顔を浮かべた。  
 ついに見つけたのだ。借金執事から、私の王子様を守るための武器を。  
 
  さかのぼること一日  
 
 最近溜まっている。もうそれは精神に異常をきたすほどに。  
 その原因は、先輩メイドだったり、無敵生徒会長だったりするわけだが。  
「今日もありがとうハヤテ君」  
「いえいえ、お気遣いなく」  
 今日も生徒会室に来ていた。最近、よく生徒会の手伝いに来ている。基本的にお嬢  
様は学校行事の参加には寛容で、多少帰宅が遅れるのは許してくれるし、ヒナギクさ  
んと一緒に入れるのは、嬉しい。年頃の男の子的な意味で。  
「会長、大変です。風紀委員会で暴動が!!」  
 扉からもの凄い音がしたと思うと、一人の女子生徒が血相を変えて飛び込んできた。  
 一瞬、何かの聞き間違いかと思ったがここが白皇学園だと思い出し、今度は事の深  
刻さに頭を抱えた。  
「確か、鈴木さんだったわね。保険委員に連絡をお願い」  
「生徒会長は、どうなさるんですか?」  
「今から現場に急行して暴動を止めるわ」  
「危険です。怪我人もたくさん出てます。会長が一人で行ったところで」  
「私を誰だと思ってるの?」  
「しっ、失礼しましたっ」  
 鈴木と呼ばれた生徒は一礼すると、この部屋に現れたときと同じぐらいの速さで、出  
て行った。  
「流石ですねヒナギクさん。生徒会長の威厳という奴ですか」  
「ハヤテくん、それ褒めてるつもり?」  
「ええ、もちろん」  
「私、そういう目で見られてたんだ」  
 ヒナギクさんは、目を伏せボク以外なら、聞き取れないぐらいの声でつぶやいた。  
「それじゃ、留守番お願いね」  
「僕も一緒に行きますよ」  
「私一人で充分よ。あの子は、ああ言っていたけど、たぶん実力行使にはならないし、もしそうなった  
ときになんの権限もないハヤテくんが手を出したら問題になっちゃうの」  
「わかりました。でも、本当に大丈夫ですね?」  
「ええ、もちろん。安心して」  
 ヒナギクさんは、そう言って笑顔を浮かべた。  
 このときの僕は知らなかったのだ。  
 これが僕が最後に見るヒナギクさんの笑顔になることを……  
 
 
 ヒナギクさんが部屋を出てから、僕は黙々と頼まれた仕事をこなしていた。  
「ふぅ、これで終わりと」  
 仕事が終わりすることがなくなった。  
 暇だ。周りを見渡してみる。ヒナギクさんがいつも座っている椅子が目に付いた。  
「流石、白皇。いいものを使ってるな」  
 使われている材料も、技術も超一流。しかし、そんなことよりも気になるのが、  
”ヒナギクさんがいつも座っている”ということだ。  
 僕は、その椅子の前にしゃがみこんで匂いを嗅いだ。不思議と気分が高揚する。  
 ダメだとはわかっているが、顔が椅子から離れない。それどころか、耳障りなほどに、穴息が荒くなっ  
てきた。  
 
『Power of Flower いまは小さくても♪』  
 携帯から着歌が流れて、現実に引き戻される。  
 メールが来たようだ。発信者は、桂ヒナギク。  
 心臓が一際大きくなった。  
 
桂 ヒナギク  
[件名]  
ハヤテくん、ごめんなさい  
[本文]  
問題は無事解決したんだけど、後始末に時間がかかりそうなの。  
合鍵はこの前預けておいたわよね?  
私は、これが終わったらそのまま帰るから、戸締りを頼むわね。  
手伝いを頼んでおいてごめん。  
今度、埋め合わせをするから。  
 
 当然だが、僕の行為については何も触れていない。僕はそっと胸を撫でおろす。  
 そして、僕は、こう考えてしまっていた。今日はもうヒナギクさんは帰ってこない。思う存分この部屋  
を探索できる。  
 いけないことはわかっていても、僕は内側から鍵を閉め、痕跡を残さないように細心の注意を払い  
ながら、部屋を漁り続けた。  
 そして、僕は見つけてしまったのだ。クローゼットの中にあったヒナギクさんの着替え一式を。  
 制服や、下着にも目をひかれたが、一番僕の興味をひいたのは、スパッツだった。  
 右手でスパッツを鷲掴みにし、ちょうどヒナギクさんの股間があたる部分を顔に押し付ける。  
「ふんっ、ふん」  
 さっきの椅子なんかとは比較にならないほど、激しく匂いをかぐ。ヒナギクさんの匂いがした。  
 息子が痛いぐらいに張り詰めている。酷く窮屈だ。ズボンには立派なテントが出来ていた。  
「邪魔だっ!」  
 ズボンを脱ぎ捨てる。パンツからち〇こがはみ出ていた。それを空いている左手で握り締め、  
高速で、手を上下に振り、擦る。  
「ヒナギクさん、ヒナギクさん!!」  
 匂いをかぐだけじゃ足りない。僕はいつの間にかスパッツを舐めていた。ち〇こがさらに一  
回り大きくなる。  
「美味しいよ。最高だよ。流石は生徒会長」  
 何を口走ってるのか自分でもわからなくなってきた。  
 そろそろ限界が近い。先走り液で、左手はべとべとだ。  
「うわぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁあ」  
 叫びながら射精したのは生まれて初めてだ。  
 やばい、意識がとびそうだ。オナニーの必須アイテム、ティッシュペーパーを用意する  
余裕などなく、手で精液を受け止めようとするが、受け止めきれずに、床にぶちまける。  
「もう、いいや」  
 笑いながら、受け止めていた分も床にぶちまけた。とてつもない爽快感。   
 こびりついた精液を振り落とす。いくら手を振っても取れない。  
「いいことを思いついた」  
 精液のこびりついた手をスパッツの内側に突っ込み、塗りたくる。  
 このスパッツを穿いたヒナギクさんを思い浮かべる。  
 一度は、萎んで、地にひれ伏したち〇こは、再び、雄雄しく立ち上がり、天を仰いだ。  
 さぁ、二回戦の始まりだ。  
 
 
 その後、僕の持ちうる全ての能力を限界まで引き出し、後始末をして部屋を出る。  
 洗濯機や乾燥機が学校の中にあって本当良かった。  
 
   
   
                                              そして、最初に戻る  
 
「ふふふ、恋は盲目と言っても、これを見て、冷めない恋はないわ。私のヒナにこんな  
 ふざけた真似をしたことは許せないけど、これで、ヒナが目を覚ますと思うと最高に  
 嬉しいわ。憎くて、嬉しい。こんな気持ちは初めてよハヤ太」  
「一応、聞くけど、これ本物よね?」  
「当然よ。アナログだから、合成することなんて出来ないもの」  
 あれ、私は誰と話しているんだろう。まるで、ブリキ人形のような音を立てて、後ろを振り  
向く。  
 王子様、もとい、ヒナが居た。  
 やばい。匿名で、ビデオを送りつけるつもりだったのに、これじゃ、私の盗撮もばれる。  
 あまりの憎しみと喜びで注意力が散漫になっていたようだ。なんたる失態。  
「ああ、もしもし、ハヤテくん、今から生徒会室に来て」  
 私がフリーズしている間に、ヒナは借金執事……改め変態執事を呼び出していたようだ。  
 もしかして、気が動転して、私の盗撮にまで、気が回っていない?  
「美希、カメラのことは後で、たっぷり話を聞かせてもらうから」  
 世の中はそんなに甘くないようだ。  
 
「ヒナギクさん、おはようございます」  
「おはよう。ハヤテくん」  
 思ったより早くハヤ太が、生徒会室に到着した。会話だけ聞くと、普通だが、私にはわかる。  
ヒナは怒っている。それもすごく。  
「ハヤテくんにプレゼントがあるの。もう私、それ使えないからあげるわ」  
 ヒナは、おそらく、ハヤ太が使用したと思われるスパッツを投げつける。  
「嬉しいでしょ? あんなに匂いかいだり、舐めたりしてたものね」  
「……ひっ、ヒナギクさん」  
「それと、ハヤテくん、二度と私の視界に入らないで。元友達のよしみで、  
 通報とかはしないから」  
「ヒナギクさん、ごめんなさい。悪気はなかったんです」  
「聞こえなかった、視界に入らないでってわたしは言ったの」  
「えっと、その」  
「わかりやすく言うわ、ここから出て行って二度と私の前に現れないで」  
「……はい」  
「さよなら、ハヤテくん」  
 どうしてだろう、望み通りの展開のはずなのに、私の胸にぽっかり花が開いた気がした。  
   
 
 

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