マリアさんのほっそりした身体を後ろから抱き締めただけで、「ん…」と切ないため息が漏れた。  
待ち望んでいたものがやっと訪れた、そんな反応だった。  
「ハヤテ君、駄目です、こんなところで……」  
ごとん、と音がして、花に水をやっていたジョウロが地面に落ちる。  
こぼれた水が春の午後の陽射しを反射させながら、見る見るうちに地面に吸い込まれていった。  
僕の鼓動が早くなっていくのに合わせて、マリアさんの鼓動もその間隔を短くしていくのがはっきりとわかる。  
裸にならなくても、向き合っていなくても、すでに不思議な一体感がマリアさんと僕を包んでいた。  
 
「ハヤテ君、こんな、お庭でなんて……いつもみたいに、ベッドで、ね?」  
形だけの懇願であることは言うまでもない。ここで止めたら、後でもっと恐ろしい目に遭うに違いないし、  
第一僕としても、ここまで来て止まれようはずがなかったのだ。  
迷わず両手をマリアさんの腰からバストに回す。エプロンドレスの脇から手を入れて、  
日本人には珍しい、釣鐘型のふくらみに触れる。  
「あっ…くんっ」  
抑えた喘ぎ声。はやる気持ちを必死に抑えながら、これ以上ないほどゆっくりと、弧を描くように蹂躙する。  
握る力を強めるたびに、マリアさんの息遣いは荒くなっていく。  
僕の手にちょうど収まる大きさのマリアさんのふくらみ。  
むにっ、という掌を押し返してきそうな弾力を感じながら、耳元に荒くなった息を吹きかける。  
刹那、びくん、と反応するマリアさんの呼吸はもはや途切れ途切れで、  
背後からでも発情しているのが一目でわかった。  
 
すでにもう僕ははっきりした意識を失っていて、次に何をするかを考える間もなく手と指だけが動いていた。  
ドレスのスカートに手を伸ばす、同時に脇のホックが外れる。  
ばさ、と長いスカートが滑り落ちて、  
マリアさんお気に入りの、リトラッティの白いショーツとガーターベルトがあらわになる。  
今度こそ恥ずかしそうに、おしりを振って身を捩じらせる。  
「ああ…あんまり…見ないでください……」  
朱に染まったマリアさんの顔を眺めながらショーツを引き摺り下ろす。  
「ひぁっ……ん」  
 甘え鳴きが漏れた。僕の指がマリアさんの膣口をそろりと撫で上げたのだ。  
子宮の奥から、女蜜がとろとろとあふれ出てくるのがわかる。そのまま陰部を撫でこする  
僕の右手と、乳房をやわやわと揉みしだく左手に呼応するように、蜜の堤防が  
臨界点を超えて決壊し、とめどなく女液がこぼれ出す。  
「ふうっ!あふっ……ハヤ、テ、くふん………」  
僕以外の男を知らない女体は、僕の呼吸や鼓動にまで敏感な反応を見せる。  
見る間にマリアさんの股間は蜜にまみれ、全身は汗にまみれて、その空気の中に異様な  
フェロモン濃度の空気が漂っていた。  
僕の顔はマリアさんの陶器のような美脚の間に陣取り、卑猥な水音を立てている。  
「やっ!…そんな、ぴちゃぴちゃって音たてちゃダメ……です……恥ずかしい……」  
 三千院家のメイドでいる時の、どこに出ても恥ずかしくない女性像とは裏腹に、  
僕を求めるときは、初めて抱かれたときと変わらぬ反応を見せる。  
それが僕にはたまらなくいとおしかった。  
「あっ、あン、いやっ……」  
 マリアさんの女体を知り尽くしている僕の手と舌は、数分でマリアさんを軽い高みへ導く。  
そして、それだけでマリアさんが満足するはずも無いことすら承知の上である。  
 
「お願い、私、もう……」  
 僕の指の間に自分の指を絡ませてくる。それがいつもの合図だった。  
そばの大きなケヤキの木に寄りかかり、すでにいきり立つ僕のペニスを、  
熱いぬかるみへとあてがう。  
瞳が涙に潤み、とろんとした視線がその部分に向けられる。  
軽い抵抗とともに、僕のペニスがぬかるみの奥へ侵入する。  
僕を見つめるマリアさんの美貌が、見る間に甘く歪んでいく。  
「あ……う……んん……ハヤテく……」  
「ううっ………マリアさん……」  
僕の顔も同様に歪む。  
 両手をマリアさんの背中にまわし、  
乳房に吸い付きながら腰をゆっくり突き上げる。  
「あ……動いてる……私のなかで」  
マリアさんの細い腕が僕の首に絡みつく。  
胸の谷間に顔をふさがれ、一瞬僕は窒息しそうになる。  
さらに腰を動かし、膣内をかき混ぜるように動くと、  
膣肉が僕のペニスを優しく撫でてくる。  
お互いの存在を確かめ合うようにゆっくりと、しかしいやらしい腰つきで交わりあう。  
僕の途切れ途切れの呼吸が耳の後ろにかかるたびに、マリアさんは僕を強く抱き寄せる。  
「はぁっ……大好き。ハヤテ君、大好き……」  
マリアさんも煩悶するように眉根を寄せながら、自ら腰をくいくいと動かしてくる。  
きゅっと締まったウエストのラインが淫らにくねる。  
「僕も……大好きです……」  
「嬉しい……ううっ………あんっ」  
ぬちょぴちゃという淫猥な音が下半身の方から聞こえてくる。  
いやらしい部位でつながりあった感覚が、互いの性感をあおっていた。  
それを合図にしたように、僕の腰の動きが性急に、そして激しさを増す。  
焼けた鉄のようになった僕のペニスが、  
ぐちょぐちゃとマリアさんをいたぶり、子宮口を突き上げる。頂点に達する瞬間が近づいていた。  
「ああ、いきそう……ねえ、このまま……なかがいいですっ」  
 もはや理性というものはどこかへ消し飛んでいるのか、マリアさんがメスの欲望を口にした。  
絡ませたお互いの指先が、強く握り締められた。  
「ううっ……マリアさんっ!」  
 全身が炎に包まれたように熱くなる。マリアさんの膣が引き締まり、睾丸がせり上がる。  
「ああああああっ、!!!」  
 僕のペニスの先端から、溶けたバターのような精液が、マリアさんの子宮めがけて放出された。  
僕の尻が跳ね上がると同時に、マリアさんの腰が沈む。膣内に射精されたのだ。  
 お互いの鼓動を心地よく耳にしながら、お互いを抱く手に、力を込めた。  
 
 
満足そうな顔で眠っているマリアさんを部屋のベッドに横たえる。  
お嬢様にとって、また僕にとって、この屋敷の中で唯一畏怖する存在である彼女を、  
心の底から「可愛い」と思う瞬間だった。  
ただ眠っているだけの、あどけない少女のような寝顔を、僕は飽きることなく見つめ続けていた。  
 
 

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