時計塔の西側、かつてチャー坊を助けた森の方から、オレンジ色の光が射し込んでいる。
あの永遠にも感じられた冬が終わり、1年前とは劇的に違う春が訪れたとはいえ、
午後4時というこの時間では、さすがに太陽もその光を鈍くし始めていた。
竣工から100年を越した白皇学院生徒会室。全てが夕陽に染められた部屋の中で、
ハヤテはヒナギクを抱いていた。
「あっ……いいんっ……」
会長専用に用意された、黒壇の机の角をぎゅっと握り締め、背中からのしかかるハヤテのさらなる責めを待ち望む嬌声。
視線は宙をさまよい、発情しているのがひと目でわかる。彼女の活発さ、凛々しさの象徴とも言えた小さめのスパッツは、
股布の部分に恥ずかしい染みをたっぷりと残したまま、引き締まった脚首にだらしなく引っかかっていた。
3月17日、「あの」ホワイトデーから3日後に、はじめて愛しあってから1週間。
二人きりになるたびに、ヒナギクはこうしてハヤテを求めるようになった。
普段の勝気で少々やんちゃな彼女の姿からは想像もつかないほどのメスぶりの中に、
ある種の怯えのようなものを見出すには、
綾崎ハヤテという少年は少々若く、鈍く、そして女の体を愛でる技巧に長けすぎていた。
「ああんっ……ハヤテ君っ……」
細い腰を震わせ、ヒナギクは歓喜の牝声をあげた。女奥深く突き刺さったペニスを、
二枚のビラが招き入れるように吸い付いている。
「いいんっ……もっと……もっと下さい……」
好きな男のペニスを膣に入れられることがこんなにも気持ちいいなんて。
ハヤテの熱い肉体をもっと感じたくて、ついいやらしく激しい突きをせがんでしまう。
「ヒナギクさん、ヒナギクさんっ!」
自分自身を狂おしいまでに求めるヒナギクの心と肉体の欲望。それをダイレクトにぶつけられるハヤテは、
ただ交わる牝の名前を、少女のような声で叫ぶことしかできない。そんな頭の中とは裏腹に、腰はぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅという粘着音
とともに、ヒナギクの子宮めがけて激しい突きを与え続ける。
その責めに、娼婦のように、いや獣のように、ヒナギクはただ自分の女性自身を犯しているもののことしか考えられなくなってくる。
ハヤテ君のペニス、すごく大きい……私を使って射精しようとしてる……びゅる、びゅるってたくさん精子出そうとしてる……
背後からの激しい責め。動物と同じように、性器だけをくっつけて性交している。ハヤテも自分も、所詮はオスとメスなのだと思い知らされる。
瞬間、ハヤテの指がヒナギクの女腰をぐい、と引き寄せた。射精が近くなり、ヒナギクの膣に精液を注ぎ込もうとしているのだ。
それに応えるように、ヒナギクもヒップを突き出し、より濃い精子をおねだりする。
ふたりの表情が、申し合わせたように切羽詰ったものになってゆく。
「あくんっ……いい……来ちゃう、来ちゃうっ!」
「ああっ、ヒナギク……さ……っ」
無意識の膣圧上昇に、ハヤテがたまらず声をあげた。ヒナギクの子宮の直前で、ペニスが一段と膨張する。
「いいっ……あうっ……ハヤテ君っ、そのまま……」
「イキま……くぅぅぅっ!」
限界まで膨れ上がった若いペニスの先端から、濃い精液が勢いよく子宮の中へ注入されていく。かっきり30秒かかった、
今日3回目のヒナギクへの膣内射精。
愛する人の精子をたっぷり注ぎ込まれたヒナギクの女性器は、恥ずかしそうに、しかしちょっぴりうれしそうに、ひくひくと収縮を繰り返していた。
「……何してるんですか?」
ハヤテの体重を感じながら、先ほどまでハヤテが侵入していた部分に指を差し込み、
白く濁った粘液をすくい出し、その指を丁寧に舐め取る。
あまつさえ意外と小さい肩といわず見たとおり小さい乳房といわず、ところかまわず塗りたくるヒナギクを見て、息を切らしながらハヤテが尋ねる。
「こうしてると、全身がハヤテ君の色に染まっていくみたいで、凄く気持ちいい」
「……早くシャワー浴びたほうがいいですよ」
「だからハヤテ君は女心がわからないっていうの。そんなことだから、あゆ……」
「?」
「何でもない。それより、気が変わったわ。今日は返さないから、覚悟しなさい」
「えぇ?だって僕、これから帰ってお嬢様の夕食の支度が……んむ」
子供っぽいのか執事っぽいのかわからないハヤテの懇願を一蹴するかのように、
ハヤテの体の下で器用に腰をくねらせ、ハヤテの唇を唇でふさぐ。
温かい生き物のようなヒナギクの舌の感触に、元気を取り戻していくハヤテ自身。
「これでいいの、これで……」
ハヤテの耳にそんな声が聞こえた気がした。
本当、女の人の考えることって分からない。ハヤテはそう思った。