すべての原因はあの一言から始まった。  
 「あの・・・マリアさんの誕生日はいつなんですか?」  
 仕事の先輩であり、いつも自分を影から日向から支えてくれる彼女に少しでも恩返しがしたい。そんなささやかな好意から生じたハヤテの言葉が、マリアの心の傷を抉った。  
 その言葉を聞いたマリアは一瞬我を忘れ立ち尽くしてしまう。その間に彼が何かを話かてくるが、耳に届かない。マリアはすぐさま踵を返し、仕事を彼に申しつけて足早にそこを立ち去った。  
 その後、ハヤテはマリアから申しつけられた皿洗いの仕事をしながら考える。  
(もしかしたらマリアさんには僕と似たような事情があるのではないのか?  
そうだ!あんな歳でここで働いているには訳が有って、それが誕生日と関係があるんだろう・・・・・・あぁ、こんなのだからいつもお嬢様やヒナギクさんを怒らせてしまうのだろうか?)  
 そんな考えがハヤテの頭の中を駆け巡り、すさまじい自己嫌悪に陥る。  
 そんな様子を見かねた(?)幽霊神父がアドバイスを送り、ハヤテは謝るために屋敷内を駆けまわる。  
 しかし、屋敷内が思ったより広くなかなか会えなく、焦りが募る。  
傷つけてしまった彼女に一刻も謝りたい。きっとそれは彼女にとって一番つらい質問だったろうから。  
 「きゃぁぁぁぁぁ!!」   
近くの部屋からマリアさんの悲鳴があがった。  
 瞬間、目の前のドアが開き、マリアがハヤテに抱きつく。マリアの甘い香りが鼻腔をくすぐり、ゆたかな胸がハヤテの胸板に押し付けられる。そんな状況にトギマギしながらも、ハヤテは部屋の中を見渡す。  
部屋の中に居たのはゴ○ブリを口に銜えたシラヌイ。ハヤテは瞬時に状況を理解し、すぐさまゴ○ブリを始末する。  
「マ、マリアさん?もう大丈夫ですよ?そろそろ離してもらわないと・・・」  
 これ以上は我慢できる自信がなかった。女顔とは言え健全な16歳。そんな自分にはいろいろと刺激が強すぎる。特に胸板に押し付けられている物の感触とかが・・・・。  
その言葉に我を取り戻したマリアはそそくさと離れ、エプロンドレスを叩く。そして、一言。  
「あ、ありがとうございます。シラヌイは私が躾ておきますね」  
  一応大人の体裁を保とうとしているマリア。そんなマリアにハヤテは愛おしさを感じた。  
自分と1歳しか変わらない彼女がする大人のふり。本来ならふりだけで済むのだろうが、彼女は違っていた。優秀すぎる彼女は自然と、大人としての振る舞いをに身につけてしまった。  
 
まだ未成熟な自分の心を残して。  
一見真っ直ぐに育った彼女は、その実、誰よりも歪んで育っていた。大人な態度に子供の心。たまに見せる純真無垢な、眩しすぎる笑顔とそれを隠すための仮面の笑顔。  
そのすべてが自分と同じだった。歪みながら育ってしまった同類。  
そんな同類の自分だから気づけた彼女の歪み。  
今まで誰にも悟られる事のなかった歪みに自分だけが気づけた。  
そう自分だけが・・・・・自分だけが彼女を、マリアさんを・・・・  
 そんな事がハヤテの頭を駆け巡る。が、ココに来た理由を思い出したハヤテが本題を切り出す。  
「すみません。マリアさんの・・・・その・・・誕生日、聞いちゃいけませんでしたよね」  
「ははは、そんなことはないですよ・・・・私の誕生日は一応12月24日ってことになっていますし」  
 優しい微笑み。でもどこか悲しげな声であった。  
「・・・・一応・・・ですか?」  
「ええ。私、自分の誕生日知らないんですよ。親の名前も、顔も。そして、自分の本当の名前も」  
 話し終えたマリアの顔は伏せられていて、表情は読み取れない。でも声が教えてくれる。  
 涙を流していると・・・。  
 反射的にハヤテはマリアを抱きしめた。今度は、自分から。いつか、悲しみの中にいた自分に彼女がしてくれたように。  
「ハ、ハ、ハ、ハヤテ君???こ、こんなこと。しかも廊下で・・・・」  
 涙声のなかに焦りと驚きが混じっていた。それでも止めない。もうハヤテは自分を止められなかった。  
腕に力を込める。さっきよりも近くに彼女が感じられた。  
もっと、もっと近くで彼女を感じたい。その思いがハヤテを突き動かす。気付いた時にはもう唇を重ねていた。  
「ん、んん?んんん〜〜」  
驚きにマリアが目を見開き、ハヤテの胸を叩く。  
ぷはっ、と唇を離す。みるみるうちにマリアの顔が赤く染まっていく。  
「ちょ、ハ、ハヤテ君!?い、いきなりな・・・ん」  
紡ぎだす言葉を唇で塞ぐ。  
「ん、ん、んん、んんん」  
最初は抵抗していたマリアがだんだんと大人しくなる。顔も最初よりも赤くなり、吐息にも色がつき始めた。  
 
「マリアさん。部屋、行きません?」  
ハヤテが優しく切り出す。その言葉に、真っ赤にした顔を伏せながらマリアは答える。  
「はい」  
頷き、ハヤテの部屋に向かう。その間に何回も唇を求め合い、重ねあった。部屋に着くまえに飽きてしまうのでは、と思うほどに。だがそれは杞憂だった。  
部屋に場所を変え、二人はベッドに体を預ける。  
ハヤテはベッドに寝かしたマリアのエプロンドレスに手をかける。  
「いいですよね?」  
こくん、と横になったままマリアは、これから起こるだろう事に期待と不安を混ぜて頷く。  
 了承を得たハヤテは早速服を脱がし始める。エプロンドレスのボタンを外し、白のブラが顔を出す。  
 「白・・ですか。マリアさんらしいですね」  
 「そ、そういうことは言わなくていいんです!」  
 優しく笑うハヤテは表情とは裏腹に着々とマリアの服を脱がしてゆく。  
 既に身につけているのは上下セットの白の下着だけ。恥ずかしさのあまり顔を手で隠すマリア。  
 「手で隠してちゃ綺麗な顔が見えませんよ」  
 そう言ってマリアと体を重ね、唇を重ねる。  
既に何十としてきたキス。しかし今回は少し違った。ハヤテの舌がマリアの口を犯し始める。絶妙に動くハヤテの舌がマリアの舌を捕まえ、突く。  
マリアは初めての刺激に戸惑いつつも応戦を始める。ハヤテの舌を甘く噛み、吸い上げる。  
互いが互いに性感を刺激し快感を与えていく。  
はぁ、と息継ぎのために口を離し、また重ね合う。ねちっこく、いやらしく互いの唇を貪り尽くす。  
 不意にハヤテの手がマリアの白い下着にかかる。  
「ちょっと、ハヤテ君?そ、そこは・・・」  
「何言ってるんですか、こんなに濡らして」  
「そ、それはハヤテ君が・・・」  
 マリアの恥ずかしさは既に頂点に達していた。白い下着がマリアの秘所から出た愛液によって色を変えていた。  
 ハヤテはキスをしながらも下着の上から秘所を弄る。  
「あっ。ん、んん、んんん。ハ、ハヤテ君。そ、そんなっ」  
ハヤテの指の動きに応えるようにマリアの腰が動き、秘所からは愛液がにじみ出る。  
「ははっ、ほんと綺麗で可愛いですよ、マリアさん」  
 
互いにまた唇を重ねる。ハヤテはマリアの秘所に指を当てながら、マリアは執事服の上から膨らみ始めた男根を擦りながら。  
 その微妙な心地がハヤテにはよかった。軽く触れられているだけなのに腰が砕け、全身の力が抜けるような快感に晒される。  
「ん、マリアさん。それいいですよ」  
思わず漏れた言葉にマリアが反応した。  
今までのお返しの意味も含め、ジッパーを下し執事服からハヤテの男根を取り出し本格的にしごき始める。  
「そ、そんな強く。あっあっ、マリアさんてば、そんな・・・・あっ」  
マリアの細く白い指が自分のを弄っている。ハヤテはその事実だけで射精しそうな気持になる。  
 快感によって止まっていたハヤテの指が動きだす。下着の上から穴に指を差し込み、より強い刺激をマリアに与えていく。  
「ひゃっ、ハヤテ君そこは・・・そこはダメ、ダメだってば」  
 下着の手に中に手をいれ、直に触り始める。  
 電流がマリアに流れた。あまりの快感に意識が飛びかける。  
「へぇ・・マリアさんここがいいんですか」  
そう言ってハヤテは上の方にある豆を集中的に責め始める。  
「ひっ、ヤ、ヤダ。ヤダだってば。お、おかしくなっちゃうって、あっあっあっあああぁぁ!!」  
今までとは違う高い声を上げながら、ぐったりとベッドに沈み込む。  
「あ、あれ?マリアさん、手・・・しょうがないか」  
マリアはあまりの快感にしごいていた男根から手を離し、ビクビクとベッドの上で痙攣する。ハヤテは痙攣するマリアの下着に手をかけ脱がし始めた。  
愛液によってぐっしょりと濡れた秘所が現れる。そこにハヤテの男根あてがい、そのまま貫く。なにかに引っ掛かるような感触。それを無視して深く突き入れる。  
その刺激にマリアが意識を取り戻す。  
「えっ・・ハ、ハヤテ君!?それって・・・あっ」  
事前にイッたからか、ぐっしょりと濡れた秘所からは破瓜特有の痛みが襲ってこなかった。代わりにハヤテのものからの大きすぎる快感が襲ってきた。  
「んっマリアさん。大丈夫ですか?」  
「はっはっ、はひ。だ、ん、大丈夫で、ん、す」  
襲いくる快感に頭を焼かれながらもハヤテの言葉に返す。  
「そうですか、じゃもっと強くいきますよ?」  
「えっ、ちょっ・・・ああぁぁ!!あっあっあっ」  
ハヤテの腰の動きが早まる。ぐちゃ、ぐちゃといやらしい音を立てながら突く。  
何度も何度も。ただ愛しい彼女に気持ち良くなってもらいたくて、ただその一心で腰を振り続ける。  
「はぁはぁ、マリアさん。マリアさん」  
愛しい彼女の名前を呼び続ける。繰り返し繰り返し。この気持ちが伝わるように。  
その呼びかけにマリアが答える。  
「ん、ハヤ、テ君。いいよ、いい!!もっと・・もっとぉぉ!!」  
ズンズンとマリアの膣内を犯し続ける。暖かい膣内で男根が動き、責め、また、内壁によってしごかれる。  
多量の快感が二人の脳を焼き、理性を吹き飛ばす。  
「マ、マリアさん。ぼ、僕・・も、もう・・・」  
「ん、きて、きて!ハヤテ君!!ん、んんん、あ、あ、ああああぁぁぁ!!」  
 先よりも高い声。それを聞きながらハヤテはマリアの中で果てた。  
 
事を終えベッドで二人が横になる。同じ布団に包りながら、ハヤテは改めてマリアの顔を眺める。  
その顔は年相応の可愛い寝顔だった。すうすう、と寝息をたてながら眠る彼女。自分の前だけで見せてくれるありのままの姿。  
その事にたまらなくなり、寝ているマリアを自分に抱き寄せ額にキスをした。  
 腕により一層力を込めた。この気持ちを直接心に伝えるために。  
「ん、ハヤテ君?・・・痛いですよ」  
「ふ、ふぇ!?マ、マリアさん??い、いつの間に起きたんですが?」  
うろたえるハヤテにマリアは笑いながら答える。  
「え〜っと私を抱き寄せたくらいからですかね?寝ている女の子を襲うのは反則ですよ」  
そう言ってマリアはハヤテの唇を奪う。  
「ん、んん。もう、マリアさんてば!」  
今度はハヤテの顔が真っ赤になる。  
「そ、それで話したいことがあるんですが・・・よろしいでしょうか?」  
 「はい。いいですよ」  
その答えに顔を明るくするハヤテは、でも、少し悩んだ後切り出した。  
「その・・・もし、もし借金が返し終わったらマリアさんの家族を捜しにいきませんか?このまま自分の名前も知らないなんて・・・悲しすぎます」  
自分には『ハヤテ』という親からの名前があったが、彼女にはそれがなかった。そこだけが自分とは決定的に違っていた。名前という親からのプレゼントが・・・  
「・・・・ハヤテ君・・・」  
マリアが呟く。どこか、涙の混じった声であった。  
「あっ・・すいません。もちろんお嬢様も連れて行きましょう。咲夜さんを誘わなかったら怒りますよね。それに伊澄さんやヒナギクさんがいたら心強いですし、桂先生は・・・・まぁどうでもいいですけど。みんなで探しに行きませんか?マリアさんの親と名前を・・・」  
ハヤテは精一杯の笑顔を向ける。いつかの営業スマイルではなく心の奥底からの笑顔を。  
その問いにマリアは  
「はい!ありがとうございます」  
そう答えた。彼女にできるであろう最高の笑顔と共に。  
 
 

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