「彼女が正しいと思う道を進めば…自ずと答えは出ると思いますよ。  
もう彼女の中では答えが出ているのかもしれませんけど………」  
「………」  
 
アウターストーリーin第115話  
「姉妹のごとく」  
 
「やはりヒナギクさんを好きになった気持ちに正直になることこそが……  
そのヒナギクさんのお友達にとっては最善だと……」  
「…いやいやいやマリアさん。今の話からなぜそんな設定を展開するんですか。」  
 下田行きの踊り子号が次の停車駅の熱海に向かって走っている。車内はわりと  
空いていて、他の乗客の席は少し離れていた。なのでヒナギクたちの座席の周りには  
代わりにマリアに突っ込んでくれる人がおらず、生徒会長は自ら彼女につっこむしか  
なかった。  
 
 マリアは人差し指を立てて得意そうに答えた。  
「ヒナギクさんが友達と仰るのは、マイワイフという意味だと…」  
「どこの言語ですか。」  
 ヒナギクはジト目で疑問を挟んだ。マリアは構わず話し続ける。  
「ですからこれは、自分のことを友人の話として相談するという、年頃の女の子に  
よくある話だと推測したんですよ。」  
「いやいやマリアさん、登場人物の当てはめがおかしいですよ。」  
「そうですか?」  
 ヒナギクの言葉にマリアは首を傾げる。  
「そのヒナギクさんのお嫁さん…」  
「『友達』です。」  
「お友達、は、ヒナギクさんのことが好きなんでしょう?」  
「…いや一口に『好き』と言ってもですね、友人としての『好き』とかあるじゃあ  
ないですか。」  
 ヒナギクはやや言い訳っぽい口調で直接の返答を避けた。  
「その『好き』なんですか?」  
「……内緒です。相談しておいてなんですが、友人の仁義がありますので…」  
「ああ、すいません。差し障りのない範囲でいいですよ。」  
 お辞儀するヒナギクにマリアは手を振って答える。  
「それで、そのお友達のお友達が、ヒナギクさんを好きだけど、ヒナギクさんに  
まだ手をつけてもらってないと…」  
「いやいやマリアさん、私をどんな目で…」  
「その人の意中の人がヒナギクさんなのでしょう?」  
「………友達は、その人は私みたいなのがタイプなんだって言ってましたけど、  
どうだか…なんだか嫌われている気もするし……」  
 ヒナギクは俯いて落ち込んだ声で話す。  
「そんなことはないと思いますけど。今流行のツンデレって奴じゃないですかね?」  
「そ、そうでしょうか……」  
 ヒナギクはマリアのフォローに励まされ、少し気を持ち直して顔を上げた。  
「ということはいずれその人もヒナギクさんに手篭めにされるのは明らかなので、  
お友達はぶっちゃけその人との約束とか気にしてもしょうがないと…」  
「マーリーアーさーんー……」  
 ヒナギクはガクッとうな垂れる。  
「あら?」  
 得意そうに話していたマリアは人差し指を立てたまま首を傾げた。  
「えーと、何か私もつられておかしい設定を訂正せずに話をしてしまいましたけど、  
そうではなくて…」  
「なくて?」  
「なくて…えっと…」  
 ヒナギクはそこで言葉に詰まる。  
「……ないんですが。自爆しそうなのでもういいです。」  
 ヒナギクは溜息をついて座席を倒し、深くもたれた。  
 
 がしゅがしゅがしゅがしゅ!!  
「……」  
「……」  
 ヒナギクの手足が機械式アームで拘束される。  
「マリアさん。これはなんのどっきりカメラですか?」  
「いえ、残念ながらプラカードは用意していませんわ…」  
 マリアは体を乗り出してアームを観察すると、自分の上っ張りを脱いでそれを  
ヒナギクの膝掛けにした。そうしてヒナギクの手を捕まえているアームを  
隠してから、携帯電話のアドレス帳を手繰る。  
「犯人の目星はついたので、ちょっと交渉します。」  
「ナ、ナギを狙う殺し屋とか…!?」  
「いえ、危険はないはずです…」  
 マリアは携帯電話を耳に当てながら、緊張し始めたヒナギクに答える。  
 すぐに相手が電話に出た。  
『はーいマリアさん、どっきりカメラや〜〜』  
「……。」  
『あ〜やっぱすぐわかってもうた?まあわからへんで大騒ぎになっても困るさかい、  
アームはそのままの外装にしといたんやけどな』  
「もう、困ります…」  
 車両内なのでマリアは小声で話す。  
『まあちょっとしたお茶目なギャグや。そうやってシートに縛り付けといたら、  
ナギも迷子にはならんやろっちゅう…』  
「いえ、ナギはすでに迷子になってまして…」  
『……え゛。』  
「今別の人が座っていたんですが…」  
『アホ執事か?』  
「いえ、ハヤテ君はナギを追って…」  
『ほならマリアさん?そらすまん…』  
「いえ、ナギの学校のお友達がたまたま同じ電車に乗ってらしてですね、  
空いた席にお招きして私とお話をしていただいてたんです。」  
『あーカタギの人に迷惑かけてもうたか。そら申し訳ない、大変失礼しましたと  
お伝えください…』  
「カタギかどうかはともかく、承りました。それより解除の方法は…」  
『下田で解けるで。』  
「…他は?」  
『『マリア、おしっこ!』と一定以上の大きさの声で叫ぶとやな…』  
「悪趣味ですね…」  
『マリアさんほどやあらへんで〜』  
 それから少し犯人と情報交換して、マリアは通話を終えた。  
「マ、マリアさん、一体誰がこんなことを…?」  
「ここまでこのシリーズ出番がなく、暇を持て余した者の短絡的な犯行です。」  
 
「ナギへのいたずらの、とばっちりですか…」  
「申し訳ないです…。どうなさいますか?熱海で私は降りることになりそうですが、  
席は下田まで取ってありますし、ここに御家族に来ていただいてもいいですよ。」  
「えーと…」  
 マリアはすまなそうにヒナギクの意向を尋ねる。ヒナギクは腕時計を見たり、  
きょろきょろと回りを見渡したり、落ち着きのない仕草をしながら、不安げに  
マリアに尋ね返した。  
「熱海に先にナギ達が着いたら…」  
「ちょっと無理そうですけどね…仮に間に合えば、戻ってくるかもしれませんが、  
席は安全上この四つを取っていますから、一人増えても大丈夫ですよ。」  
 マリアは安心させるつもりでそう答えたが、ヒナギクは余計に不安な表情を  
浮かべ、その顔を俯かせる。  
「なにか問題が?」  
「…本当にお手洗いに行きたくなったらどうしましょう…?」  
「…あ」  
 ヒナギクの小さな声の指摘に、マリアは口元に手をやった。悩んでいる様子の  
ヒナギクを前に、マリアは時計の示す現時刻と、記憶にある下田への到着時刻を  
もう一度比べてみた。  
「…やはり今解除しておいた方が安全ではありますが…」  
 マリアはそんな見解をヒナギクに提供した。  
「そ、そうですね…」  
 それに乗って、ヒナギクはなんとか決心を付けた。  
「…じゃあ、席を外していますね。」  
「あ!!」  
 立ち上がりかけたマリアを、ヒナギクが焦った叫びを上げて制止する。  
「…ひ、一人であんなこと叫んだら変な人じゃないですか…」  
 ヒナギクはすがるような目でマリアに訴えた。  
「いいんですか?」  
「た、旅は道連れ、世は情けです…」  
 
「わかりました。なら…」  
 マリアは立ち上がり、周囲を確認する。そして少し身を屈めてヒナギクの手に  
自分の手のひらを乗せ、うなずきの合図を送った。  
「マ、マリアさん、おしっこ…」  
 ブー  
 ヒナギクが羞恥を堪えて発した合言葉は、無情にも小さなブザー音によって  
却下された。  
「凝ってますね…」  
「も、もう!!」  
 ヒナギクは焦りと憤慨の混じった声を立てる。マリアはヒナギクの手をとって  
彼女の気を宥めた。ヒナギクはもう一度意を決して、今度はしっかりと発声する。  
「マリア、おしっこっ」  
 ブー  
 だが少しだけ声が小さかったようだ。  
「ううっ…」  
「ふぁ、ふぁいとですよ…」  
 涙目のヒナギクが三度目の正直とばかりに声を張り上げる。  
「マリアっ、おしっこ!」  
 ピンポン♪  
 チャイム音が鳴り、ヒナギクの手足を拘束していたロボットアームは外れ、  
シュルシュルと座席の下に引っ込んでいった。  
「はぁ……」  
「あー長旅は子供にはしんどいけんねー。」  
「そうさねー。」  
「!!」  
 少し離れた席の年配の御婦人達がヒナギクの声に反応した。  
「あうううううっ。」  
「はい、お嬢さま。」  
「あううううう……」  
 動揺したヒナギクを、マリアはそっとデッキに連れ出した。  
 
「ううう…」  
「だ、だいじょうぶですよ…旅の恥は掻き捨てといいますし…」  
 ぐずり泣くヒナギクを、マリアが肩に手をやって宥めている。  
「でも…」  
 ヒナギクは泣き止まない。またじわりと涙を浮かべる。  
「もう、やだ…きっと嫌われちゃうよ…」  
 そしてそんなことを口走って、顔を伏せて首を振った。  
「だいじょうぶですよ、これくらいで嫌われたりしません。」  
 マリアはそっとヒナギクを抱き締め、彼女の頭を撫でる。  
「それに……友達でも、恋人でも、ヒナギクさんがこの人と思う人になら…  
そんなに弱気にならなくていいと思いますよ。」  
「でも…」  
「だって…」  
 マリアは体を引いてヒナギクの顔を見据えた。  
「あ、マリ…」  
「ん…」  
 ヒナギクの唇を奪い、愛しそうにその体を抱き締める。目を閉じて優しく口付ける  
マリアに、ヒナギクは立ち尽くしたままそっと瞼を伏せて応えた。  
「あ…」  
「…こんなに、素敵な人の素敵さが、その人達に分からないはず、ないでしょう?」  
 マリアはヒナギクの目を見詰め、微笑みながら告げた。ヒナギクは目を指で  
拭きながら、ばつが悪そうに横を向く。  
「マ、マリアさんの方がずっと素敵ですよ。私なんか…」  
「あら、嬉しいですね。じゃあ、これはお礼…」  
「あ…」  
「ん……」  
 再びマリアがヒナギクの唇を塞ぐ。今度はヒナギクもおずおずとマリアの背を  
抱き締め、唇を自ら絡ませあった。  
「あ…」  
「ん…」  
 マリアは背伸びしてヒナギクの目尻の涙の跡を舐めた。それを終えると、三たび  
ヒナギクに口付ける。ヒナギクはもっと応えようと、マリアを抱いていた腕で  
その体を悦ばせようとする。  
「ん、だめ…」  
「あ…ごめんなさい…」  
「ここでは、だ、め…」  
 マリアはそう言って、デッキ内の扉の一つに視線をやった。  
 
「ふあっ、んぁんっ……」  
「んっ、んんっ、ふぅうんんっ…」  
 マリアが壁にもたれて喘ぎ声をこぼす。はだけた胸にはヒナギクの口が熱心に  
吸い付き、片手と舌が柔肌を揉みしだいていた。胸を悪戯するヒナギクの背に  
回した手で、マリアはきゅっと服の布地を掴んでいる。尖った乳首を指や歯先で  
摘まれるたび、びくびくと身を震わせ、服を掴む手に力を込めた。  
「んぁ!! んんっ!!」  
「む…ちゅ…んん…」  
「ぅっんんんっ!!」  
 マリアの股間で蠢くヒナギクの指が、秘裂の中をくすぐった。しっかり濡らした  
花弁をほぐし、ヒナギクは大胆かつ繊細にマリアの大事なところを擦り上げる。  
愛液を浴びた手先を、熱いマリアの粘膜に溶けよとばかり、秘所で捏ね回した。  
「ぅんんっっ!!」  
「はんっ!!マリアさんっ、ああんっ!!」  
 ヒナギクも喉を逸らして嬌声を上げた。下を脱いでマリアの膝に押し当てていた  
ヒナギクの陰唇が、肌の触れ合いに目覚め切って、快感とさらなる刺激への欲求を  
燃え上がらせる。  
「ああん、んぐ、んんんっ…!!」  
「ぁんんっ、はぁんっ、ぁぁあ!!」  
 ヒナギクはマリアの胸に再びかじり付き、指で相手の秘裂も責め立てながら、  
火の付いた自分をマリアの膝で擦り上げた。マリアは快感の渦に腰が砕けそうに  
なりながら、なんとか声を抑え、ヒナギクの乗った脚が崩れないように努力する。  
それでも震える喉と体が、ヒナギクに焦燥と興奮を呼び起こし、一層激しくマリアを  
むさぼって行った。  
「んぁっ、あっあっ、はっ、あ!!」  
「んんんっ、むんんっ、むん、むん、むんん……!!」  
 与え尽くすマリアと奪い尽くすヒナギクが、淫らな姿で絡み合う。マリアの内腿に  
雫が垂れ落ち、膝はヒナギクの雫で濡れ光った。ヒナギクの腰が小刻みに動き、  
艶やかな尻の悩ましいダンスを披露する。マリアの乳房は蹂躙されてヒナギクの  
手のままに形を変え、乳首を頬張るヒナギクと白い喉を見せて仰け反るマリアは、  
情欲に頬をあざやかに紅潮させた。  
「はぁ!!ああ!!んぁ!!ヒナギっ…さんっ…!!」  
「んっ、あ、んんぅんん…んんっ!!」  
 マリアがヒナギクの指に追い詰められ、胸を責める頭部を掻き抱いて、それを  
伝えようとする。ヒナギクは乳房を握っていた手を離し、その腕をマリアの胴に  
巻き体を抱き上げ、背を伸ばし間合いを詰めた自分の体で壁にぎゅっと押し付けた。  
そして股間をまさぐる指の動きを再開するとともに、マリアの口にむしゃぶり付く。  
「んあ、んんっ、んっんっ…!!」  
「ふんっ、んんんっ、んー……!!」  
 舌を絡め合いながら、ヒナギクは片手をマリアの膝裏に回し、太腿を自分の股間に  
引き寄せた。そして敏感な突起をそこにかすらせ、同時に指でマリアの股間の  
同じものにも触れる。  
「あんんんっっ!!」  
「ああぁ!!」  
「あああ!!」  
「あっはぅぅぅっっ!!」  
 マリアの胸を押しつぶしながら、ヒナギクはどんどん二人の急所への攻撃を  
エスカレートさせていく。マリアはヒナギクにしがみ付いて、歓喜に震えながら  
どこかへ運ばれていく感覚のままに身を任せる。ヒナギクも、もう強く乱暴な  
刺激からでも、言いようのない快感がこみあげてくるほど心と体が感じ切っていた。  
「あ、いきます、いっちゃいます、あ、あ…!!」  
「わたしもっ、ああ!!マリアさんっ、ダメっ…」  
「ヒナギクさんっ…!!」  
 互いのその時を知った二人は、体を寄せ合って最後の瞬間へと突き進む。  
「あ、ダメ、いっちゃうぅ!!」  
「あん!!ん!!ん!!んん!!」  
「あ、ああ、あ……」  
「んん……」  
「「……ああああぁあああああああ……!!」」  
 
「すみませんでした……色々…」  
 ヒナギクは身を整えながらマリアに謝った。  
「いえいえ、そもそもこちらがヒナギクさんを巻き込んでしまったのが発端ですし。  
それに突然の成り行きでも、さすがにヒナギクさんは上手でしたし…」  
「そこのところはマリアさんの誘導が多分にあったと思うんですけど…」  
「そんなことはありませんよー?」  
 マリアは笑って答える。  
「ていうか今思うと、かんしゃく起こしたナギと同レベルの扱いをされたんじゃ…」  
「いえいえ、ヒナギクさんはナギよりずっと大人ですから、そんな失礼なことは…」  
 ヒナギクの疑いの視線から、マリアは目を逸らした。  
「……まあいいですけど。私も大人げなかったし…」  
 ヒナギクは溜息をついて、身なりを確認する。  
「ほんとに、ヒナギクさんは素敵ですよ。」  
 そう言ってマリアはヒナギクに歩み寄る。  
「だから、大事に思える人がいるのでしたら、嫌われるとか思い込んでいては  
もったいないですよ。良い悪い以前に、進める道も見えなくなってしまいます。」  
 マリアはヒナギクの頭を撫でて言った。ヒナギクは黙って頷く。  
「自分を信じて…ね?」  
「ありがとう…ございます。ほんとに…」  
「大丈夫。ヒナギクさんなら……きっと上手に手篭めにして、そのお友達のお友達も  
生徒会長の新たなプティ・スールに」  
「だ・か・ら・そんな設定を展開しないでくださいって……」  
 
〜Fin〜  
 

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