「ちょ!! なによバカハムスターって!! ねぇ!! 待ちなさいって!!」
「うっさい!! ついてくんなバーカ!!」
アウターストーリーin第114話
「占有離脱物横領許可証」
「なんでこんなとこに一人でいるのよ?」
「べつになんでもいいだろ!!」
「迷子とかじゃないのかな?」
「バーカ。街に出る道ぐらい…」
「そっちは山だよ。」
「う゛。」
山道に入りかけたナギが足を止める。自転車を押してナギの後についてきた歩も、
そこで立ち止まって話しかけた。
「熱海の方へ行くんだけど、少しなら乗せてってあげてもいいけど…」
「…けっこう。」
ナギはぷいとそっぽを向く。
「とっとと巣に帰れ。」
「迷子を放って帰るのも寝覚めが悪いんだけど…」
「だから迷子なんかじゃないのだ!!」
「うーん……」
取り付く島のないナギの態度に、しばし歩は考え込む。そして小さく頷いて、
ナギをびしっと指差した。
「じゃあちょうど一対一のこの機会に……勝負を申し込むわ!!」
「あー?」
ナギが不審そうな顔を歩に向ける。
「いつでも来いって言ったでしょ?私がもし負けたら罰ゲームをやってもいいよ!!」
ナギを指差し見詰めたまま、歩は軽く自転車のサドルを叩いた。
「………そこまでいうなら受けて立とうじゃないか。」
それを見やったナギは、くるりと背を向けて答えた。
「罰ゲーム上等。で、勝負はなんだ?またカラオケか?少しは上手くなったのか?」
「ふ、私は気付いたのよ……恋の勝負で……歌合戦をするのは何か間違ってるんじゃ
ないかな、って!!」
そう言いつつ歩は自転車のスタンドを立てる。そして再びナギを指差して言った。
「だから想いとか!!絆とか!!女性の魅力とか!!そういうもので勝負よ!!」
「ふん……」
ナギは歩に向き直って腕を組んだ。
「どうやって勝負を付けるかわからんが、ハムスターになど負けはしないから、
先手でやってみろ。」
「想いなら誰にも負けないわ!!お弁当を作って食べてもらったり…」
「私が作った失敗作を全部食べてくれたぞ。」
「自転車で事故りそうになったのを運命的に助けてくれたり…」
「二度三度と悪党から命を救ってくれた。」
「ま、街で仲良くゲームセンターに立ち寄ったり…」
「デートなら遊園地とかクルーズとか行ったっけ。」
「……えーとえーと…………」
「かなり差が付いてるようだが…」
じと目でナギが歩を見る。伸ばした人差し指を震わせていた歩は、やけ気味の声と
ともにナギにその指を突き付けた。
「女性の魅力で一発逆転よ!!」
「…はっ。」
ナギは嘲笑う。
「あなたは綺麗なメイドさんが付いているから基準が高すぎるのよ!!普通の男の子は
同い年の普通の女の子に魅力を感じるものなの!!ふざけて抱き付かれたりとかすると
ドキドキするの!!週刊少年まんがとか読んでないのかな!?」
「否定はしないが、何度もハヤテに抱き締められてる私の魅力の方が上だな。」
「……え゛!?」
歩が凝固した。ナギは自慢げに言葉を続ける。
「ボートに乗った時など、ここぞとばかりに密着してきて、私の胸に手を…」
「くわーーっ!!」
背景にハムスターを背負って歩が吼えた。
「それなんてエロゲかなっ!?」がしっ
歩はナギの両肩を掴んで揺する。
「週刊少年まんがのはずだが。これくらいで驚いていては深夜アニメは見れないぞ。
大体胸が当たるとかは初級。私はちゅーだってして…」
「なんですって!?」
歩はナギの肩を揺するのを止め、顔を寄せて問い質す。口を滑らせたナギは、
慌てて言い訳を探した。
「あ、いや何でもない。ちゅ、中級の宙返りからの昼夜逆転呪文がだな…」
「この口かなっっ!?」
「わなんd」
ナギの頬を手で挟み、歩は自分の唇をナギの唇に押し当てた。
「んっ…んっ…んんっ……」
「んー!!んんー!!んーーーー!!」
「……………ぷは。」
ようやく唇を離し、歩は上着の袖で口元を拭う。
「んぁ、な、な……」
「むうううっ。三千院ちゃん、このちいちゃなぴちぴちの唇で、あーんなことや
こーんなことを…」
「…お、おい。」
怒りの声を上げようとしたナギは、目の色の変わった歩を前にして思わず引いて
しまった。
「だけど私もバレンタイン前の私じゃないのよ…」
「なにがあった!?」
「どちらが女性の魅力に優れているか、ラストの勝負をしましょう!!」がしぃ。
逃げ腰のナギを歩はしっかりと捕まえた。
「なにをする気だ!!ていうか趣旨が変わってないかっ!?」
「先に相手をいかせた方が一億点を」
「今までの勝負はなんだったんだよ――!!」
「むー!!むー!!」
「んんっ……」
歩はナギの顔を上向きにさせ、再びその唇に自分の唇を被せた。片手でナギの体を
引っ張り上げるように抱き寄せ、暴れるナギを拘束する。
「ん、は…」
「むっむーーー!!」
もう片手でナギの頭を抱える。歩の一方的なキスから逃れようと動くナギの頭を、
何度も引き戻し、押さえ込んだ。
「ぐ…」
「ん…」
閉じたナギの口に、歩は優しく、積極的に吸い付いていく。口先と舌先でナギの
唇をくすぐり、その感触を存分に味わっていった。
「んふっ…」
歩は満足げな声を漏らして、さらに大胆にナギの唇をねぶっていく。
「(怒)」
「んんっ!?」
その歩の態度に気分を害したナギは、突然反撃に転じた。避け続けていた歩の唇に
自分のもので挑みかかり、混戦の隙を突いて小さな舌を差し入れる。戸惑う歩の
口の中を、巧みに赤い触手が這いくすぐった。
「んぁ、んんっっ、んーんーんーっ……!!」
「ふ、ん、ん、ん……」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「ん、ぷはっ…」
「っ、はっ、はぁっ、あぁ…」
ようやくナギが口を離した。あごの疲れたナギも、散々口内をなぶられた歩も、
深呼吸して息を整える。
「……舌入れたぁ……」
「…被害者みたいに、言うなっ…」
歩の顔は火照り、かすかに涙ぐんでいた。ナギもうんざりした様子ながら、
呼び覚まされつつある興奮が、その息や目や肌に見て取れる。
「懲りたら離せ、エロハムスターっ。」
「ま、まだまだよ!!」
「うお!!」
歩はナギの体を半回転させて、背中から抱きかかえる。ナギの上着に手を伸ばし、
服をはだけにかかった。
「こら止めろーーっ!!」
「次は胸で勝負よ胸で。」
「だから根本的に趣旨が違うだろーがぁ!!」
「う、こら、卑怯だぞっ……」
「私が先手で、ん、いいって言ったの、三千院ちゃんじゃないかなっ…」
歩がナギの胸を背中から手を回して愛撫する。ナギの胸は歩の手で裸にされて
しまっていた。自分の上着の前もブラジャーもはだけて、歩はさらけ出した膨らみを
ナギのうなじに押し当てる。
「それにしても三千院ちゃん、体もおっぱいもほんとちっちゃいんじゃないかな。」
「大きなお世話だ!!」
ナギはぶんぶん腕を回して抗議した。
「そのわりには、おっぱいがけっこう…」
「んっ、やっ!!」
歩は乳首に指を添えて擦り上げた。ナギは鼻にかかった声を上げる。
「……感度っていうのかな?いい反応するのよね。」
「やっ、しらないっ…!!」
「胸がちいさい人は敏感なのかな…」
「あっっ……!!」
歩に薄い胸をそわそわと撫でられ、ナギは意思に反してこみ上げてくる快感に
懸命にあがらった。そんなナギを歩も悩ましい息をこぼしながら責め立てる。
「はぁ……ん……」
「あっ…や……んんっ!!……」
乳首と平らな膨らみを弄びながら、歩は熱っぽく囁く。
「かわいいよ、三千院ちゃん…」
「この……っ!!」
「きゃぁっ!!」
ナギは後ろに回した手で歩のズボンを掴み、ずるりと引き下げた。
「このこのこの」
「ああっ、よしてよっ」
涙目でズボンを剥ごうとするナギと、泡を食った歩とが、立ったまま絡み合って
大騒ぎになる。
「このーーー!!」
「きゃん!!」
ずるり。
「……」
「……」
そして、一気にしゃがみ込んだナギにつられて、歩のズボンは足元まで引きずり
降ろされた。
一瞬の間が空く。
「うりゃ!!」
がし。
「きゃっ!!」
「ふふふ…」
ナギは片足を軸にして回転し、歩の脚に横から張り付いた。
「ええと三千院ちゃん?」
歩は恐る恐る問いかけた。ナギはにやりと笑って反撃の開始を宣言する。
「第114回ドキドキ対決後手オレ。華麗に危機を脱し勝利に微笑むお嬢さま。」
「わーいどっきどきだねー……」
「ふぁああ!!」
「んふ、ん…」
ナギの指が歩のショーツの上をなぞる。その下の花弁は、繰り返される愛撫の
刺激を受けて潤み始めていた。しゃがんで歩の脚を抱えたナギは、歩の股間に手を
差し入れているだけでなく、舌や口でも歩の内股や尻を責め立てている。
「ん…ちょっとしょっぱい……」
「やぁ……んんあっっ!!」
歩はナギの責めに敏感に反応して、こぼれる声を止めようがなくなっていた。
「もういいかな…」
ナギは指をショーツの上から脇に滑らせ、そっとまた近づけていく。
「んぁ、あ、だ、だめっ、さん、」
「にゅ…と…」
「はぁぅ!!」
ショーツの中に潜り込んだナギの指が、濡れた秘唇に直接触れた。ナギは指に
愛液を絡めながら、優しく花弁を愛撫していく。
「あう、ん、あぁんっ!!」
「ほら、ぬるぬるの所を直に弄られるの、気持ちいいんだろ?」
「ちが、だめっ、あんんっ、あんっ!!」
「ここも、ぬるっと……」
「ひぁ!!ああんん!!」
ナギが愛液をそっとクリトリスのあたりに塗りつける。体を走る刺激に、歩は
喉の奥から高い声を上げた。
「すっかり濡れてきたから、脱がしちゃえ…」
「あ、んぁ、そんなっ……」
一旦指を引き抜いたナギは、ショーツを片手で器用に歩の膝上まで降ろした。
「さすがはエロハムスターだな…ちょっといじっただけでびしょびしょだぞ。」
露になった秘裂をまた指で責めながら、ナギは立ち上がって歩の耳の下で囁いた。
「ああぁんっ!!さ、三千院ちゃんが、んぁ、えっちだからだよっ…」
「いやいや…自分のことを棚に上げてはいかんなぁ…ほら…」
「はんっっ!!」
ナギは歩の背に胸を合わせ、空き手を前に回して歩の乳房をきゅっと捕らえた。
そしてすでに尖ってしまっていた乳首をこすり上げる。
「あぁあんんっ!!」
「たいして触ってないのに、乳首がびんびんで、おっぱいがめろめろじゃないか?」
からかうようにナギが言う。歩はふるふると首を振った。
「やぁ…」
「先にいかせた方が勝ちだったか?容赦するつもりなどないので、逆転勝ちを
したければ、まあせいぜい…」
ナギの指が歩の割れ目をなぞる。
「ひぁあんんっ!!」
「…我慢すればいい。」
「あんんっ!!んあ、んあんっ、ふうんんっ!!」
「……ちょっとは我慢しろよ。」
「ああ、んあ、だってぇぇ……うんんっっ…!!」
すぐに快楽に溺れてしまった歩に、ナギは呆れた声で呟く。ナギの手が歩の胸を
こね回し、乳首をつまむ。要領良く歩の性感を引き出し、揉み応えを楽しんでいく。
「んんんんぁ……!!」
ナギの指先で膣口をぐりぐりといじくられ、歩は悩ましい声を上げた。
「こんなに、やらしい、体してっ、えっちな、やつめ…」
「あふ、ふんんっ、ああ、あ!!」
乱れまくる歩にナギはさらに強い愛撫を加えていく。珍しく主導権を奪えたことに
ナギは無意識に興奮して、思う存分責め抜きたいという欲望に突き動かされていた。
「ふぁ、あ、あんぁあんんっっ……!!」
「ほら、女の子の、えっちな、ところが、気持ち、いいんだろっ!?」
「ふ、い、いい、きもちいいよぅ…っ!!」
歩はナギの淫らな問いかけを素直に肯定した。胸も股間もすっかりナギの手に
委ねて、与えられる快楽を貪る。ナギの意外に堅実な手つきと着実にもたらされた
快感が、歩に少しずつ次なる快楽への期待を抱かせ、今やこのような陶酔を示す程に
なった。
「ああぅ、きもちいいよ、あん、ああんんっ、あんっ!!」
段々と歩の乱れ方が大きくなる。潤みきった花芯から、張り詰めた膨らみから、
肉体と思考を揺さぶる信号が溢れ出す。腰が震え体液が垂れ、嬌声が口をつく。
「なら、さらに、いくのだ…!!」
「っはんっ!!」
「ほら、もっと気持ちよくなって、いっちゃえ…!!」
「あんん!!ああ!!ああぁ!!」
ナギの強烈な愛撫に、歩の声が弾ける。興奮した掛け声を出しながら、ナギは
愛液まみれの淫花と勃起した乳首を指でしごきまくった。一段と激しいリズムの
責めを受けて、歩は快楽の波に翻弄される。
「あああ、ひあ、あふぅんんっ!!」
「ほらっ、ほらっ!!」
「はああんんっ……!!」
歩はどんどん終末の高みへ向けて追い詰められていく。目を塞いで首を反らし、
小刻みに体を震わせる。ナギの指の一往復ごとに、歩の残り時間が削られていく。
「んくぁぅ、うあ!! あ、わた、あ、へん、もっ…!!」
「いきそうかっ!?いきそうなのか!?」
歩の声色が変わり、ナギの言葉に何度も頷いた。
「あ、うんっ、かもぉっ……!!」
「いっちゃえ、いっちゃえ…!!」
「あああ!!あんんん!!」
止めとばかり、ナギは歩の胸と股間を激しく責め立てる。
「ああんっ、ああ、あああ!!んああ!!はあっあああんっ!!」
「ほら、いっちゃえ!!」
「ああああ、ああああ……ああぁああああ!!!!」
歩はついに甲高い声を上げて自ら敗北の鐘を鳴らした。
「うう…大逆転のチャンスが……」
「いやだから趣旨を外れてるだろそもそも…」
ナギは溜息をついた。歩は横に倒れ込んだまま、もそもそとショーツを引き戻す。
「お嬢さまっていうのはこんなことまで身に付けているのか……」
「いやそんなカリキュラムはめったにないはずなのだが…なぜか私の回りには、
そういうのとは別にそれに詳しくなった奴が多くてだな…」
ナギは遠い目をしてぼやいた。
「類は友を…」
「断じて違う!!」
歩は身を起こしてショーツを履く。
「でも勝負は勝負…うう、罰ゲームなんて言うんじゃなかったかな…負けた私は、
三千院ちゃんのお屋敷で夜の奴隷メイドとかにされちゃうのかな…」
「さらりと人聞きの悪いことをいうなバカハムスター!!」
「え?違うの?」
歩は意外そうに尋ねた。
「大体そんなの犯罪だろーが!!」
「でも世のえっちなお嬢さまはみんなライセンスを取得しているという噂が…」
「してなぁい!!」
「ああよかった。ここで三千院ちゃんの物になるわけにはいかないからね……
気持ちは良かったけど…」
「ああ疲れる…」
ナギは肩を落す。
「それじゃあ罰ゲームはどんなえっちなことを」
「だからそこから離れろ!!」
「それくらいのライセンスなら」
「持ってない!! ええい、本来罰ゲームなどどうでもいいんだが、バカハムスターの
せいでやけに疲れたから、私をその自転車に乗せて連れて行け!! それでもって
お前の罰ゲームとする!!」
ナギは歩の自転車を指差して命じた。歩は首を傾げ、心底意外そうに尋ねる。
「え?そんなんでいいのかな?」
「だ・か・ら・趣旨を全部思い出せ趣旨をーー!!」
〜Fin〜