ヒナギクフラグ発生後…  
 
 
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜………」  
大きなため息、彼女は悩んでいた、どうやって彼との関係より親密にしていくか。  
 
「(応援するって歩にも言っちゃったし…はぁ……)」  
応援すると言った以上もう後戻りはできない。  
しかし、自分の気持ちも変えられない、  
「(歩が私がハヤテ君の事好きって正直に言ったら怒るかな…)」  
などと自問自答してみる、答えは結局でないのだが。  
 
ふとテラスの方を見てみる、あの夜二人で見た景色だ。  
 
少しずつ近寄るがやっぱり怖い、もう少しで端までいけるのだが  
それ以上行こうとすると足が竦んでしまう。  
 
「(今のハヤテ君との関係もこんな感じなのかな…)」  
考えれば考えるほどマイナス思考になってしまう。  
 
「(…そういえばあの時の子猫…どうしてるかな…  
ナギの所に見に行っても…それぐらいいいよね…会いに行くぐらいなら…)」  
 
思ったらすぐ実行、ということで…  
 
三千院家の玄関に到着。  
 
キィ  
 
扉を開け中に入る。  
 
ポン  
 
誰かに背中を叩かれた。  
パッと振り向くヒナギクそこに居たのは、  
「お嬢さん…不審者ですね」  
三千院家SPだった。  
 
「あ、あの…白皇学院生徒会長のヒナギクですけど、ハヤ…ナギはいらっしゃいますか?」  
少し焦ったが以前も出入りしているので、事情を説明する。  
 
そして、屋敷の方まで案内され向かい入れられる。  
「あ、ヒナギクさんようこそおこしくださいました、何の御用で?」  
目当ての人物にたどり着く事ができた。  
 
「ま、前に私の家に泊まった事あったでしょ?その時に私が拾った猫どうしてるかなぁって…」  
「あ、シラヌイならお嬢様の部屋にいますよ、どうぞこちらへ」  
 
ハヤテに案内され長い廊下を歩いていく。  
 
「ハヤテ君、ナギは何してるの?」  
「ナギお嬢様なら、ゲーム部屋で閉じこもってます、多分3日は出てこないかと…」  
だから学校に来てないんだと、悩みが一つ解消された。  
そんなことより、どうせナギがいるから無理はできないと  
思っていたヒナギクには思ってもみないチャンスだった。  
 
ニャーー  
 
少し成長したシラヌイがヒナギクの元へ寄ってきた。  
「ちょっと大きくなってない?」  
「子猫ですからね、ちゃんと成長はしてますよ?  
じゃあ、僕は紅茶でも入れてきますのでこの部屋で待っておいてください」  
そう言うとハヤテは部屋を出て行った。  
 
 
少しシラヌイと戯れる、あの家にハヤテが居た時の事が脳裏に蘇る。  
「ハヤテ君がいなかったら…この子死んでたのかなぁ…」  
あの時ハヤテを泊めて良かったと実感した。  
 
「(あの時…歩も居たのよね…)」  
また頭によぎる親友との約束、ここにいる事それだけ悪い事をしてる気分になる。  
 
ガチャ  
 
そんな事を考えてる内にハヤテが戻ってきた。  
 
「ヒナギクさんは砂糖何個ですか?」  
いつものハヤテの笑顔、自分が改めてこの人が好きなんだなと感じる。  
 
「ねぇ…ハヤテ君は私と歩、両方から告白された時…どっちを選ぶ?」  
この質問は自分が逃げるためにハヤテ全てを押し付けてるも同然、  
ヒナギク自身わかってはいたが聞かずにはいられなかった。  
 
「…あ、えっと………その…」  
ハヤテは困惑している、それは当たり前だろう。  
 
「私は歩の恋を応援するって言ったの、…でもその約束…守れそうにないの…」  
ハヤテの眼を見て問いかける。  
「だから…ここではっきりさせて欲しいの!…どっちが…好きかって…  
無理いってるのはわかるけど…」  
ヒナギクの眼にはうっすら涙がたまっていた。  
 
「西沢さんか…ヒナギクさん……」  
いままで告白はされてきたが気付かないもしくは返答しない状態だった、  
しかし今ここで答えを出さないといけない状態にある。  
 
「(ヒナギクさんは好き…だけど違う…でも…)」  
今目の前で涙を浮かべている少女をどうにかしないといけない。  
例えこの感情がはっきりしてなくともいずれ気付くだろう、彼女が好きと。  
 
 
 
「僕はヒナギクさんを選びます」  
 
 
 
無意識しかしハヤテの本心が選び出した答え。  
 
「…えっ…ほんとにっ…!?私でいいの…?」  
抑え切れなくなった涙が眼から零れ落ちた。  
 
ハヤテはいつもの笑顔で頷く、ヒナギクは思わずハヤテの胸に飛び込んだ。  
 
そしてヒナギクをハヤテを見つめ眼を閉じる。  
「ヒナギクさん…」  
 
チュ  
 
触れるだけの軽いキス、しかし二人の約束の証。  
二人の腕に力がこもる。  
 
そのまま舌を入れようとした瞬間。  
 
「ハヤテ君、スプーンを………」  
忘れ物を届けに来たメイドさんだった。  
 
慌てて唇を離す、しかし時すでに遅し熱烈なキスシーンは目撃されてしまった。  
「あ、あの…失礼しましたっ!!!!!」  
ヒナギクは顔を真っ赤にこの場から立ち去っていった。  
 
一方放心状態のハヤテ、こちらも放心状態のマリア。  
 
「ええっと、ハヤテ君…状況を説明してくれませんか?」  
「…はい」  
 
 
――――――――――――――…  
 
「なるほど、ヒナギクさんを選んだと…」  
「…はい、ここでちゃんと言っておかないとと思いまして…」  
嫌な沈黙が流れる、数秒が数時間に感じる。  
 
 
「ハヤテ君が選んだんなら、私は何もいいませんわ…ただ…いえ、なんでもありません」  
そう言うとマリアは部屋から出て行った。  
 
「(僕はヒナギクさんを選んだ…西沢さんに……誤らないといけないな…僕があの時返答できなかったから)」  
一番の問題がナギという事には気付かず、明日からの事を考えるハヤテであった。  
 
 
ハァ  ハァ  
 
 
三千院家から自分の家まで猛ダッシュで走ってきたヒナギク。  
「(あぁ…なんで逃げちゃったんだろう…ハヤテ君困ってるだろうなぁ…明日ちゃんと誤ろう…)」  
自分の不甲斐なさを責めるヒナギク、  
そして家に入り呼吸が落ち着いてくるとあの時の感触が蘇ってくる。  
 
「柔らかかったなぁ…ハヤテ君の…」  
ベッドの上で自分の唇に触れるヒナギク。  
「………それよりも…歩になんて言おう…」  
一番の問題が頭に浮かんでくる、でも気持ちはさきほどより楽だ。  
「(ハヤテ君となら…歩なら…許してくれるかな…)」  
さきほど緊張もあってかヒナギクはそのまま眠っていった。  
 
 
そんなハヤテを取り巻く環境が動いた一日、その中で眠れぬ夜を過ごしていたのが。  
「…もっと……いや…こうですかね…いや、もうちょっと乱暴な感じ……」  
ぬいぐるみ相手にキスの練習をしているメイドさん、  
それをドアの向こうからナギに見つめられていることは気付いていない…   =END=  
 
 

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