「しかし……毎度の事とは言えだ。どうしてあんなに毎回
ヤラれやすそうな格好なのだ?
どう思う?マリア。」
「どうってそりゃ……確かに妙なオーラは出てる様な気がしますが 。
ってナギ、あなたまた変な漫画から悪い言葉を覚えて……
ヤラれやすそうって一体何なんですか!」
「何って、ハヤテのあの様子だ。見ろ。
大きな目をして顔を赤くしたままスカートのすそを持ち上げて
なんかもじもじしてるぞ?
あの親指と人差し指を使ったスカートの摘まみ上げ方とか
猫耳もどきのリボン付きヘアピースのまま顔を赤らめる様子とか
あれぜんぜん尋常じゃないんじゃないか?」
「尋常でないって……まあ、あれですね
最初にメイド服を着たときって何となく恥ずかしい物なんですよ。
ふわふわの服の肌触りとか、ふりふりのスカートの裾の気持ち良さとか
その辺りの感触が女の子っぽくてそれが恥ずかしいんじゃないでしょうか。
大きな目で顔を赤く染めている様子は確かにアレですけど……
かくいう私も最初の頃は……」
「そんな大昔のことはいい。ではアレは何だ。
どうして立つとき前屈み気味の姿勢で肘を前に真っ直ぐ伸ばした腕で
そんな様子でメイド服のスカートを抑えるのだ?おまけにその上握った片手を
口元に持っていく仕草、あれは一体どういう事なのだ?」
「多分……あの姿勢だと前に逸らした形のメイド服の胸元とウエストが強調されて
後ろから見たときエプロンのフリルがクロスしてる背中のラインと
ウエストのリボンが女の子らしく強調されて見えるからじゃないでしょうか……
一応下に黒ストッキングを穿いてますから、もう少しスカートが短かったら
ハヤテ君なら絶対領域とかを使いこなせそうな気もしますし……
確かにあの格好、あの仕草で正面から見つめる顔が赤くて涙目で困り顔だったり
するのは反則だとは思いますが……」
「だろう?私が心配しているのはそれだ。
さっき帰った伊澄の話だと今回ハヤテはあの格好で街に出ないといかんのだぞ?
下界の街の男どもなどあのハヤテのヤラれやすさ具合の前ではひとたまりもない。
しかも呪いのせいで今は力も出ないときている。
……ハヤテはヤラレてしまっても大丈夫だろうか?」
「それは…………
女の子の場合だとその…ヤラれやすい女の子というのはそれなりにそういう心構えって
ものがありますからね。何とか対処できそうな気もしますが……
ハヤテ君はあれで一応男の子ですから……
もしその…ヤラれてしまったら相当ショックなんじゃないでしょうか。
そのままここには帰ってこなかったりして……」
「それは困る。
要はヤラレた時のヤラれやすい女の子としての心構えを
ハヤテに前もって念入りに習得させておけば良いんだな?
それなら…」
「そうですね。
私もハヤテ君にはそういう女の子としての心構えが必要だと
前から思ってました。良い機会かもしれませんね。
とりあえずタマを呼んでおきましょうか?」
「うむ。クラウスはやめておけ。
取り返しがつかないような気がする。
タマなら…あれは猫だからハヤテも男にヤラれたことにはならないだろう。」
「じゃあ準備しておきますね。」
「ああ……何となく楽しみだな……
あくまでハヤテの為、仕方なくだが……」