結局、女装の呪いが解けなかったハヤテ。  
 深く彼自身落胆したが、それでもなんとか、お屋敷に残る事だけは許され、  
 そしてその日から一週間、ようやく、ハヤテのこの姿が馴染んできた頃だった。  
 ある一室の、窓を鼻歌交じりに拭いていた時、いきなり後ろから手を掴まれた。  
 そしてそのまま――シーツをかけなおしたばかりのベッドに転がされる。  
 何事、と思い自分を投げた相手を確認した。……一瞬、声が止まった。  
「マ、マリアさん……」  
 彼女が立っている。それだけなら、ハヤテはここまで脅えない。  
 ただこの彼女の沈んだ無表情から普段とは違う何か黒い雰囲気を敏感に感じ取り、  
 ……まるで縛られたみたいに、ハヤテは動けなくなった。  
「い……いったいなんなんですか、なんでこんな悪ふざけを」  
「女装趣味の変態」  
「!?」  
 ……そう、少年はもう、この格好でないと一秒も落ち着けない。  
 女性の格好をしなければ、安らぎがない。……その癖、着ている時はほのかに興奮している。  
 言われなくても解っている事だ。だが、それが言葉という形をもつ、突きつけられると、  
「……ひ……ひどい事……言わないで」  
 目に涙がぽろぽろ浮かび上がる、感情の抑制がきかなくなっている。  
 ベッドの上で泣き始めたハヤテの姿をみて、マリアは、静かに微笑んだ。  
「やっぱり。これだったら、大丈夫ですね」  
「……え?……きゃあ!?」  
 ハヤテから漏れた声は、すっかり女の子らしかった。  
 無理矢理ベッドに組み伏されて、出た声は。  
 
「この一週間観察した結果、ハヤテ君はもう、心まで女の子みたいになっている  
 ……ほら、私の細腕にすら組み伏されるくらいに、抵抗も出来なくなっている」  
「マ、マリアさん、何を、何するんですか……!」  
「何って」  
 マリアはそれがさも当たり前のように言った。  
「ハヤテ君を性奴隷にする為に教育するんですよ」  
「せ――」  
 暴れていた手足が、止まる。……二の句が告げない。  
 マリアは相変わらず微笑んだまま語りかける。  
「執事としてでなく、メイドとして三千院家に仕えるとなれば、それ相応の教育をしなければ  
 それに……私達としても確実な債権の回収をしたい所なのです  
 大丈夫ですよ、ハヤテ君はもう若くなく、初物としての相場は少ないですが  
 これだけの可愛さ……。みっちり奉仕の方法を覚えれば、五年とかからず一億五千万円は返済できます  
 そうなったらハヤテ君は、はれて、借金メイドでなく……ただのメイドです♪」  
 ナギと結ばれる必要もありません、と、言葉を結んだ。  
 全てを聞き終えて、硬直していたハヤテは、……おこりが起こったかのようにがたがた奮え、  
 うわぁ!と声を出しながら、再び暴れだし、そしてマリアを跳ね除けて、一番近い窓へ、  
 ……開かない。何度も何度も鍵を弄るが、開こうとしない。  
 それならば入ってきたドアからと駆け寄る。しかし、同じように開かない。  
「ムダですよ、もう逃げられません」  
「ひぃ!?」  
 近寄ってくるマリア。……ドアの前で、ぺたりと腰を落とす。  
 
 下から見上げる彼女の姿は、まるで鬼神のようにみえた。優しさの欠片も無かった。  
 絶望という言葉が頭に浮かんだ。  
「さぁ、これから身も心も、女の子に染め上げてあげますから」  
「た……助けて……、……!?」  
 しゃがみこんだマリアによって、ハヤテの唇が塞がれた。  
 舌が口内に割って入り、むさぼるように舌で舌を絡ませる。  
 魂ごともっていきそうな強引なキスに、苦しげに喘ぐメイド姿の少年の、首筋の裏を撫でる。  
 ……キスは長く、二分は続いた。もうその頃にはすっかり、ハヤテは抵抗する力をなくした。  
 唇が離れた時、ハヤテの目はすっかり潤んでいた。最早、出来上がった状態である。  
 その様子をおかしそうに見た後、マリアはハヤテのスカートの下に手をのばす。  
 ハヤテの物は、まだ勃起はしていない。しかし、徐々に膨らみ始めかけている。  
 そこを嬲られる。そう思うとハヤテは自然に、目をぎゅっと閉じた。  
「……あ、……ひゃあ!?」  
 目が再び開かれたのは、そこを弄られたからじゃない。一物ではなくマリアは、  
 その下のアナルを、パンティ越しに指でぐりぐりと弄り始めた。  
「あぁ!?やめ、やめてください!?ひ……ひぃ……!?」  
「やめてください?こんな良い声で鳴く癖に。最初に言ったでしょう?  
 執事ではなくメイドとして、ハヤテ君には、女の子として性奴隷になってもらうと」  
「む、無理……僕は男……」  
「もうすっかり、心は女の子じゃないですか。大丈夫ですよ?」  
 突然、マリアは手を離し、その場で立ち上がり、……スカートをまくりあげる。  
 ……何度、言葉を失ったか解らない、しかし、  
「ハヤテ君でしたらきっと、夢中になります」  
 今までで一番の笑みをうかべるマリアのそれを見たハヤテは、  
「……久しぶりに、私も興奮しています」  
 マリアから生えてるはずのない、男性器をみて、ハヤテは完全に沈黙した。  
 
 悪い夢だと思った。他に考えられなかった。  
 しかし、夢だろうと現実だろうと、ハヤテの目の前にあるものは、男性のそれだった。  
 美しい女性であるマリアには、絶対存在しないはずのものが揺れている。  
 男性独特の匂いをはなつものに、ハヤテは暫く言葉を失っていたが、  
 ようやく、一言だけ、  
「……そ、それは」  
 とだけ言った。マリアはにやりと微笑んだ。  
「私みたいなただの女性が、三千院家に雇われるには、それなりの理由があるんですよ」  
 そういってマリアは、興奮した様子でハヤテの青い髪を掴み、それを顔に近づける。  
 首をふって逃げようとするハヤテをしっかりおさえ、……そして、顔にふれるかふれないかまで、  
 すでに蜜が先にしたたっている一物を近づける。涙を浮かべる少年に、マリアは喋る。  
「お金持ちは狂った趣味の人がおおくて、そういう人たちには玩具が必要なんです  
 私もほんの少し前までは現役でしたけど、今は玩具をしこむ係りです  
 ……さもなければ、貴方みたいな少年を、一億五千万円で買う訳じゃないじゃないですか  
 よかったですね、ハヤテ君。貴方の親は最低ですが、貴方を綺麗に産んでくれて」  
 そこまでいってマリアは、自分の固くなったものを、ハヤテの口の中にいれこんだ。  
 
「☆※◎♂Χ!!!???」  
 悲鳴をあげようとするが、口は完全に、マリアのもので防がれている。  
 まるでハヤテの口を、大人の玩具みたいのように扱う、マリアの腰の動き。  
「ハヤテ君、貴方がいくら泣こうが喚こうが、これは貴方の運命なんですよ  
 貴方みたいなかわいい男の子が、この世に生きていくというなら、アイドルかホストしかありませんが  
 それに女装が趣味になってしまっては、もう、性奴隷しか生きる道はありませんから」  
「んーーーー! んぐーーーー!」  
「くす……こんな事されても、私のものを噛み切ろうとはしないんですね。優しいですねハヤテ君は  
 それとも、……美味しいと思い始めたんじゃないですか?」  
「!」  
「女の格好で、女みたいに責められる事が、嬉しいんじゃないですか?  
 いいですよ、ハヤテ君は変態なのですから。認めてしまえば楽になれますよ」  
 首をふって否定しようとするが、マリアがしっかり頭を掴んでいて、首は動かせない。  
 自分の口の中に、突いて引かれるそそりたつものは、ハヤテの口の中で硬度をまして、  
 絶頂が近いことを知らせるように、ぶるぶると震えだしていた。  
 ハヤテにとってそれは、悪魔の宣告のようなものだ。自分の口の中に、精液が放たれる。  
 何もかもが終わってしまう気がした。だが、体に力が入らない。  
 女装する前の自分だったら、こんな状況から、すぐ逃げられたはずなのに、  
「ん……ん!」  
「そんな顔しても、私は許しませんよ? ハヤテ君はもう雌豚です  
 精液という汚物を喜んで飲み込むようになるまで、しっかり仕込んであげます……ンうっ」  
 口の中で、マリアのものがふくらむ感触がして、ハヤテは心の中で悲鳴をあげる。  
 しかしその叫びもむなしく、ドクドク!とハヤテの口の中に、熱い精は放たれた。  
 
「……ハヤテ君に……射精しちゃいました」  
 目から涙を流して悲しんでいるハヤテとは対照的に、心から幸せそうな顔をするマリア。  
 口から一物を引き抜くと、ハヤテはすぐに地面に精液を吐き出した。  
 だが、粘着質のたかい汁は、頬や喉の裏側にしっかり張り付いて、口の中に生臭い味を残している。  
 嫌悪感につつまれながら、ハヤテは上をむいた。  
 そそりたつものごしに、マリアの黒い笑顔をみた。  
「……ぼ……僕を」  
 小刻みに震えながら、マリアに聞いた。  
「僕をどうする気なんですか……?」  
「……これからの一ヶ月、ナギには秘密でハヤテ君を、完全な性奴隷として調教します」  
 マリアは、それが当然といったような風に言う。  
「そしてまずは、一時間十万円の超高級娼婦として働いてもらいます  
 老若男女問わず、その手の趣味があるかた全てに、ハヤテ君を楽しんでもらいましょう  
 ある程度ハヤテ君の人気がひろまったら、百人くらい集めてパーティーも行います  
 ハヤテ君はそこで卑猥な衣装でストリップショーをおこなって、そして、奉仕もしてもらいます」  
 マリアの言葉をきいて、ハヤテの脳裏にその光景が映し出されてしまう。  
 自分がそんな目にあう事に対する絶望感が深まっていく。もう、泣く気力もなくなっている。  
「そこまできたら、ハヤテ君を買いたいと申し出る人達もでてくるでしょうね  
 そしたらオークションを行います。……ハヤテ君は、えっちな部分が丸出しのメイド服をきて  
 首に性奴隷というプラカードをぶらさげた状態で壇上にあがってもらい  
 皆様に品定めをしてもらったあと、オークションを行います  
 大丈夫です。一年後には、私がハヤテ君を絶対、一億円五千万円の価値があるように仕上げますから」  
「……や、やだ、……助けて、誰か、助けて」  
「助けてあげようとしているじゃないですか。……ハヤテ君を、借金地獄から」  
 マリアはハヤテの襟首をつかみひっぱり、そのままベッドに押し倒した。  
 

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