ざわ…ざわ…  
 
ここ三千院家の大ホール、何が行われているのかと言うと。  
「ハヤ太く〜ん」  
三千院・瀬川家合同社交界である  
 
まぁその社交界にハヤテ・ナギ・泉もいるわけで泉もいつもと違うフリフリのドレスを着ているのだ。  
 
「あ、瀬川さんかわいいドレスですね」  
ハヤテがいつもの感じで相手の長所を褒める  
 
「ふふん、私の新たな一面を見たかねハヤ太君」  
泉は自慢げに一回くるっと回って見せた。  
 
一方ナギは三千院家の専属サポーターと一緒に瀬川家代表  まぁイコール泉パパに挨拶に行っている  
 
(お嬢様も13歳なのにこんなことしてるんだから僕とは違うよなぁ)  
などと考えていたがハヤテも人とは違う意味で16歳にして壮絶な人生を送っている  
 
まぁそんなことはほっといてナギは挨拶の後、三千院家の第一営業部部長と一緒に泉パパと業務提携で会談があるようだ。  
 
タタタッ  
 
ナギがハヤテに走ってきた  
「ハヤテ、私はこれから3時間ほど抜けるその間はお前が私の代わりとなって話を持ちかけてくる人間をシャットアウトだ」  
ナギはいつもと違う真剣な表情でハヤテに告げる。  
「わかりました、つまり全て営業スマイルでスルーですね?」  
「そうだ」  
そういうのを聞いてナギは会談室へ走っていった。  
 
「ナギちゃん大変だねぇ〜私なんか経済のことなんか一個もわかんないから感心するよ〜」  
泉が笑いながらも驚いている  
 
 
「…では、瀬川さん僕は声をかけられるのが面倒なので外の方へ…」  
「ほえっ?ハヤ太君!?ちょっと待ってよ〜、私も一緒に行くよ〜」  
泉は走りにくいドレスを上げてハヤテに着いて行った。  
 
「はぁはぁ…ハヤ太…泉を…置いていくなんて…酷い…なぁ…」  
泉が不機嫌な顔をする  
「瀬川さん!!!!!」  
ハヤテが泉を抱きしめて何かを避けた。  
 
バババッ  
 シュッ  
     ガキッ  
 
縦横無尽に飛び交う刃物のような物をハヤテは泉を抱きしめながら避けている。  
トッ  
 
無傷で避けきったハヤテ、その腕の中では泉が放心状態だ  
 
「そこにいるのは誰ですか?」  
 
ガサッ  
 
出てきたのは軍隊服に身を包んだ衛兵5人だった  
「三千院家執事綾崎ハヤテ&瀬川グループの娘ですね、デハ、執事は殺害and娘は生け捕り」  
 
ザッ  
 
衛兵5人がフォーメーションのようなものをとる  
 
「瀬川さん…僕が離したらしゃがんでください…」  
小声でハヤテが言った。  
 
「ほえっ!?」  
質問する前に離された  「わわっ…」  
 
泉はとっさにハヤテに言われたとおりしゃがんだ  
 
ザンッ  
 
ハヤテが何か一振りした  
 
ドサッ ドサッ ドサッ   
 
衛兵が4人倒れた  隊長の男はハヤテが故意に生かしたようだ  
 
「ハハハ、そこの人僕を倒したければ全方位囲まないと、平面上なら到底近づくことも許しませんよ」  
そう言うハヤテが握っているのは[長刀・正○]何処にあったかは不明だが180cmの刀をハヤテはセフィ○ス並みに扱っていた。  
 
「………………………」隊長っぽい人は黙っている  
数秒してから事態を把握し全速力で逃げていった。  
 
ハヤテの足元には泉が震えている  
 
 
「瀬川さん?大丈夫ですか?」  
ハヤテが優しく声を掛ける、しかしハヤテの手に握られている刀を見てまたうつむいてしまった。  
 
(仕方ないかな)  
ハヤテはそう思って刀をどこかへ投げ  
 
ギュ  
 
泉を後ろから抱きしめた  
「ハ…ハヤ太…くん?」  
泉は少し動揺している  
 
「さぁ、立ってみてください」  
そう言うとハヤテは泉を軽く支え立ち上げた  
 
泉は少し震えている 周りは暗い だが人が倒れているのはわかる  
《はい、よろしくお願いします》  
ハヤテが無線機のようなもので喋っている  
 
ハヤテと屋敷に戻る途中入れ替わりのように警備員のような人が倒れている人に向かって行った。  
「屋敷に部屋があります、瀬川さんのお父様が会談を終えるまでそこで休んでいてください」  
ハヤテは微笑んで泉にそう言った  
 
人がたくさんいる真ん中を避け階段を上がって行ったのはハヤテの部屋  
今朝マリアが食べた昼食に何か毒物が入っていた、おそらく先ほどの誘拐・殺人犯が事前に仕込んだものだろう  
なのでベッドがあるとハヤテが知っているのは自分の部屋しかないのだ  
 
ドサッ  
 
泉をベッドに寝かせた  
「ハヤ太君…ここ…ハヤ太君のベッド?」  
ずっと無言だった泉が口を開いた  
 
「えっ?よくわかりましたね、やっぱり嫌ですか?」  
ハヤテが心配そうに聞く  
 
「ううん、大丈夫むしろ嬉しい」  
ピクッ  
泉はその言葉に赤くなるハヤテに気付いて  
「ハヤ太君照れてる」泉が言う  
 
(そりゃ照れますよさっきまで…ずっと抱きしめられて…そ…そんなこと言われたら)  
そう言いたかったが泉は今精神的に病んでいるここはノルべきだ。と考えた  
 
「瀬川さんに言われたからですかね…」  
(あ…ちょっと気取りすぎたかな…)  
その通りである泉はいつもの半天然笑顔がハヤテの方を見てなにか言いたげにトロンとしている  
 
「ハヤ太君は私をそんな風に思ってくれてたんだ…」  
さっきの出来事もあってか話が強引に曲がっていく  
 
「あ…あの瀬川さん…」  
弁解はもう遅い  
 
「ハヤ太君…いつもお父さん会談は4時間ぐらい続くんだ…だから」  
泉が顔を赤くして目線を上げてハヤテに問いかける  
 
社交界に戻ろうとドアにかけていた手を離す  
(どうしよう…このまま事が進めば…!?)  
 
ハヤテに後ろから抱きついた泉  
「ハヤ太君いまはどこにも行かないで…」  
少し涙をためて懇願する  
 
「大丈夫ですよ…一人にはしません」  
(どう…話を変えよう…やめた…なるようになれ)  
今は傷ついた泉にどう接するか考えようと考えた。  
 
ギュ  
 
ハヤテは泉を包むように抱きしめた  
「ハヤ太君…」  
 
そのままベッドに座った  
泉はハヤテにもたれかかっている  
 
「ハヤ太君…ナギちゃんの執事だけど…ナギちゃんと結婚しちゃうの?」  
泉が聞く  
 
「…わかりません、ただ命の恩人でもある人ですから…大切な人ではあります」  
ハヤテが真面目に答える  
 
「そうなんだ…じゃあ私にもチャンスはあるんだ…」  
そう言うと泉は眠りについてしまった もう深夜1時を回っている 眠くなるのは当然だ  
ハヤテは泉のもとを離れるわけにも行かず というか膝枕状態なので離れられない  
 
(お嬢様早く部屋に来てくれないかなぁ、ええと…会談始まったのが11時30分だから…後2時間半か…)  
少し悲しくなったが今の状態も悪くないとプラス思考で考えた。  
 
翌朝、なんと会談が終わったのは朝4時だった  だが終わったのが4時というのが問題だった   
瀬川家は全員三千院家に泊まったのだ そして泉はハヤテが介抱しているのを聞いて泉パパはそれなら大丈夫と泉パパらしいお気楽な考えで放置プレイ  
 
 
そして結局翌朝8時まで一睡もできなかったハヤテがいた  
 
ムニャ  
泉がようやく起きた  
「あれ?ハヤ太君…寝なかったの?」  
ハヤテがこくりと頷く  
 
「私は…ハヤ太君なら…」  
と言いかけたときドアが開いた 開いたのはナギだった  
 
「瀬川氏がお呼びだぞ泉」  
ナギも寝むそうに言う  
「あ、わかったすぐ行く…でもその前に…」  
 
ハヤテの元に近づき小声で「今度私の家で社交界するとき続きを言うねハヤ太君」  
そう言って部屋を出て行った  
 
ここでいつもならナギが間髪を入れず疑うのだが   そんな気力はないフラフラと自分の部屋の方向へ戻って行った。  
 
「お…や…すみ…なさ…い…お嬢…様」  
ハヤテも夢の世界へ  
 
そして場所は変わってここはポルシェの車のなか  泉がいる  
 
(ハヤ太君は私を襲わなかったなぁ…私…魅力ないのかな…じゃあ次の社交界では私が襲ってあげるよハヤ太君)  
 
こうしてハヤテに好意を抱くものがまた一人増えてしまった。    =End=  
 

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