4月。入学シーズン。桜は咲き花を散らしていた。
今日は白皇学園入学・始業式の日であった。
「あ。ありましたよ、お嬢様!今年も同じクラスですね。」
「ああ、そうだな。まったく、一時期はどうなるかと」
ハヤテはナギやマリアの家庭教師のおかげで無事2年生へ進級できていた。
クラス表を見上げ
「今年はすごいクラスですねぇ。
ヒナギクさんに花菱さん、朝風さんと瀬川さん。それに担任には…」
見上げる先の2年(ピー)組の担任の名前は
「桂先生か。」
「そうですねぇ。厄介者を集めた感じですね。」
「私たちは厄介者なのか!?」
「いえっ!そうでなくて!あの〜なんていうか」
「ム〜。まぁ、いい。じゃ、私は屋敷に戻る」
踵を返しナギは校門へと向かう。
「お嬢様!?学校はどうするんですかっ?」
「あとで、伊澄にでも聞く。プリントはお前が持って来い」
といい校門のほうに消えていきました。
始業式も無事に終わり午後の入学式を待つだけでした。
ハヤテは暇を持て余せ
「ヒナギクさんの所(生徒会室)にでもいって暇を潰すか」
と時計台へと向かった
「あ、ここは。ここでヒナギクさんと始めて会ったんだっけ」
感傷に浸っていると誰かに声をかけられた
「ねぇ。ちょっとそこのあなた」
「はい?」
振り向いたと同時に…ズシャ☆
なにかが降ってきた。
ヒナギクさんでないなにかが降ってきた。
こんなこと前にもあったっけ、何回目かな?
「ふう。あぶなかった」
僕をクッションにした何かは人だった。
「ほら、いつまで寝ているの。とっとと起きなさい」
「あたた。」
痛みでぼやける視界を振り払い降った。
「あら?あなたは…」
「君は…」
懐かしい顔だった。昔から全然変わらない縦巻きの髪。
前よりずいぶんと大人びた顔。
「ハヤテ?…かしら」
「もしかして…アーたん?」
約10年ぶりくらいの再会
「久しぶりね、ハヤテ」
「え?え?な、何で?そっちこそど、どうしたの?こんなとこに」
ハヤテは驚き口が回ってない
「なんでって、この制服を見て理解できないかしら?」
制服の端を持ち優雅に見せ付ける。
ハヤテは再会した女性の服装を見る。
「も、もしかして」
「ええ。恐らくあなたの思っていることだと思うわ」
今日は白皇学園入学・始業式。
ここにいるってことは…
「もしかして…アーたん今年から白皇生!?」
「その通りよ。ハヤテ、生徒会室へ案内なさい」
昔から変わんないなぁと思い
「生徒会室へ何か用があるんですか?」
「入学生首席代表として挨拶があるのよ。その打ち合わせにね」
「へ〜。主席代表ですか〜…って主席ですか」
「簡単じゃない。あんなテスト」
ハヤテは自分の入学試験を思い出す。
桂先生にイジられて、最悪のコンディションで受けて、
受かったと思い込んで盛大なパーティーをしたけど本当は落ちてて
マリアさんが推薦してくれて。あのテストを満点ですか。
「…テ。…ヤテ。ハヤテっ。」
「ハイっ」
彼女はずっと話してたらしく
「聞いていたの?まったく」
「あ。ス、スミマセン。」
「いいから早く生徒会室へ案内なさい」
「ハイ。じゃ、いきましょうか」
「すいませーん。ヒナギクさんいますかー」
返事がない。変わりに
「ハヤ太くん、今はヒナはいないぞ。その子はハヤ太君の新しい愛人か?」
と花菱さん
「違います。そうですか。(入れ違いでしたね)」
「(そうらしいわね)」
「冗談だ。まぁ、すぐ帰ってくると思うが…ハヤ太君とその愛人」
「違います。なんですか?花菱さん」
「これから生徒会の面々はお客さんとの打ち合わせがあるんだ。
用が済んだら席を空けてくれないか」
アーたんの事か
「ただいまー、首席代表の子来たー?」
とちょうどよくヒナギクさんが帰ってきた
「(ハヤテ)」
アーたんが裾を引っ張り聞く
「(なんですか?)」
「(あの人が生徒会長か)」
「(ええ。そうですよ)」
「お帰りヒナ。お待ちの子はまだよ」
「お帰りなさいヒナギクさん。」
「ただいま。あらハヤテ君いらっしゃい。その子は?」
ハヤテの隣にいる女性についてたずねる
「花菱さんが言っていた生徒会のお客様ですよ」
「え!?本当?ハヤテ君」
「ええ」
買い物袋を僕に押し付け
「すみません。お待ちになりましたか?白皇学園生徒会長2年桂ヒナギクです。
待たして申し訳ありませんでした。紅茶を切らしていまして」
ヒナギクさんとアーたんで何か打ち合わせみたいのをはじめたので
「花菱さん。」
「何だ?ハヤ太君?」
「こうゆうのは、花菱さんたちが行くものではないんですか」
「ああ、紅茶のことか?それなら理沙も泉もサボってるし、私は花粉症だ」
それでヒナギクさんが…ヒナギクさんらしい
「で、瀬川さんが留守番ですか」
「ああ。首席代表の対応とかな。大体なぜハヤ太君が首席代表と一緒にいる」
「彼女は前に言った昔の彼女ですよ。さきほど偶然会って」
「へぇ」
素っ気無い返答
「あれ?もう少し驚くかと思ってたのに」
「いや、偶ぜ「ハヤテ、帰りますわよ」
と声が重なってしまい最後まで聞き取れなかったが
腕を引っ張られエレベーターに乗り込み降りる
「打ち合わせはどうでしたか?」
「大丈夫よ」
余裕の笑みを見せ答える
「本番噛まないよう気をつけてくださいね」
「だから大丈夫だっていってるじゃない」
昔から変わってない彼女を見て
「ハハ」
笑みが零れた
「フフ」
と彼女も笑ってくれた
エレベーターも下に到着し
「ハヤテ。私は他にも行く所があるのでここで失礼するわ」
「そうですか。一人で大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。ありがとうハヤテ。目をつぶっていなさい」
「え?はい」
目をつぶり待っているとほっぺに何かやわらかくてあったかいものがあたった
「今日のお礼よ。また会いに行くわ」
言い残し彼女は去っていった