白皇編入試験に失敗し、激しく落胆するハヤテ。  
そんな傷心の少年をかき抱き、優しく諭すマリアさんですが、  
もしこのときマリアさんの好感度MAXかつ黒マリアさん化フラグが立っていたら・・・  
 
 
序.  
 
月に照らされた池の端に座した少年の背中は酷く小さく、  
普段の彼らしい、逆境にあってなお前に進み続ける不屈の心意気は、  
彼自身の影に埋もれてしまっていた。  
 
だが、彼はベストを尽したし、それは報われるに値する成果を残したはずなのだ。  
そこに降って湧いた災難が彼の不幸体質の故ならば、  
今回の事件も彼が自ら招いたこと、と言えるかもしれない。  
しかしそれならば、そんな彼に救いの手を延べる者がいるということも彼の人徳の故であり、  
やはり彼自ら引き寄せた結果なのだ。  
だから、彼にはこの学生証を胸を張って受け取って貰いたいと思っていた。  
そう、あくまで彼の“良きおねーさん”役として、  
真面目に、優しく、彼に救いの手を差し延べてあげるだけのつもりだったのだ。  
 
だったのだが。  
 
いざ、打ちひしがれた彼の小さな背中を前にしたとき。  
愛らしい少年に棄てられた子犬のような弱々しい眼差しを向けられたとき。  
彼女の胸に湧いた感情は―――――――  
 
「食べちゃいたい」  
 
だった。  
 
 
1.  
 
 
「・・・へ?」  
「いえ、何でもありませんわ?」  
 
今こうして背後から抱いているだけでも、  
彼がドギマギしているのはよくわかる。  
そんな初心な少年に、ご褒美をあげようと思ったのだ。  
・・・ついでに、彼のために行った少しばかりの骨折の対価を貰おうか、とも。  
 
 
「・・・ここへ行って、しっかり学んできて下さいね?」  
「え・・・ま、マリアさ・・・ん?」  
 
彼―――綾崎ハヤテは、大いに混乱していた。  
背後に密着した柔らかく温かな感触。  
それは間違いなく、彼が密かに憧れを抱いていた年上の美しい彼女のものだ。  
そしてその顔は今、彼のほんの耳元にある。  
そうでもなければ彼女が声を発する度に吐息が耳をくすぐるなんてことが起こる筈がない。  
突然の事態に一瞬、自分が何に嘆き何に絶望していたのかを忘れ、  
ただただ柔らかく温かく、くすぐったい彼女の感触に高鳴ってしまう鼓動を抑えるのに精一杯だった。  
だから、目の前にあるものの意味がしばらく理解できず、三呼吸ほどおいてやっと、  
 
「え、こ、これ、白皇の・・・!」  
「そうですよ、合格おめでとう、ハヤテくん♪」  
「あ、あ・・・ありがとうございます!」  
 
一度は決定した結果が覆ったこと。  
それがマリアの尽力によるものだとは、混乱の渦中にあるハヤテも理解していた。  
彼としては今の状況もある意味かなり嬉しかったが、それ以上に彼女の心遣いが身に染みて有り難かった。  
そうして、彼の心は彼女に惹かれ・・・囚われてゆく。  
―――彼女の、思惑通りに。  
 
「それでは頑張ったハヤテくんに、私から合格のお祝いのプレゼントです♪」  
「え!? いや、そんな! そこまでして頂いては悪―――」  
 
そこで、声は止まる。  
いや、止められる。  
彼女の・・・マリアの唇が、彼の口を塞いだから。  
 
「―――――――――!」  
 
マリアの提案を遠慮でなく本心から申し訳ないと思い、  
彼女に顔を向けようと振り向いたところに出会い頭で唇と唇が触れ合った。  
だから、最初は偶然・・・いや、事故だと思った。  
思って、慌てて顔を離そうと思ったが、出来なかった。  
彼女の腕はいつの間にか彼の頭を抱いて、逃げられないようにしていたから。  
・・・つまり、彼女は意図的に彼の唇を奪ったのだ。  
そこまで理解して、彼の頭は一時的に機能の大半を停止する。  
 
―――え、ええ? ええええええええ!?  
―――な、な、なんで何故どうして!?  
―――ま、ま、マリアさんが僕に、き、き、きききキスを?  
 
そして真っ白になりかけた頭で、ふと違和感に気付く。  
何かが蠢いている。  
 
背筋がゾクゾクと震えるくらい心地よくて、  
下半身が思わずきゅっと締まるくらい蠱惑的で、  
身体の奥底から欲望が勃ち上がるのを抑えられないくらいに官能的に蠢くそれが、  
口腔内を蹂躙する彼女の舌だと気付いたのはどれくらい経ってからだったろうか。  
 
「―――――――――っぷぁ! ま、ま、ままままマリアさん!?」  
 
自分の中で何かが弾けそうな危機感に襲われて、慌てて力づくで彼女を押し退ける。  
だが、彼女は大して気にとめた風もなく、  
 
「あら・・・ハヤテくん、イヤだったかしら?  
 そうね、プレゼントなんて言いながら唇を差し上げるなんて、好意があることが前提ですものね。  
 ちょっと独り善がりだったかしら・・・ごめんなさいね・・・」  
「え、い、いえ! そんな、こと、な、ない、ないですっ!」  
 
彼女の表情からして、そんな自省の言葉には欠片ほどの心も篭っていないのは明らかなのだが、  
動転しきっているハヤテには、それに気付くことが出来ない。  
 
「ちょ、ちょっと急すぎて、刺激が強すぎでしたけど、ええと、その、あの・・・う、嬉しかったというか・・・」  
「あら本当? それは嬉しいですわ〜♪」  
 
ハヤテの言葉に返す笑顔は、相変わらず美しく・・・そして、怖いくらいに淫蕩。  
薄く開かれた、潤んだ目。  
月明かりでも分かるくらいに上気して朱に染まった頬。  
唇の端から僅かに垂れた涎の跡は果たしてどちらのものか。  
 
「ではハヤテくん、続きをしましょう・・・」  
「え・・・つ、づ・・・?」  
 
既に昂ぶっている鼓動が、更に跳ねる。  
こんな、夢みたいなことを期待してしまっていいのだろうか。  
たった今、自分が幸せになれる筈がないと否定したばかりなのに。  
未来に期待なんか初めからしない方が良いと思ったばかりなのに。  
 
だが、一旦距離をおいて改めて向き合った彼女は決して幻などではなく、  
少しずつ迫りくる艶やかに濡れた唇の存在感は、幻で済ますには生々しすぎて・・・  
 
「マリアさん、あの、本当、に―――」  
 
良いのか、と問おうとして、またも言葉を紡ぎきる前に唇は塞がれてしまう。  
その行為が、そのまま問いへの答となった。  
 
「ん・・・んぷ・・・っ、む・・・ちゅ・・・っぷ・・・」  
 
一度目と同じく、彼女の舌はハヤテの口の中へ何の躊躇いも無く入り込み、舌を絡めてくる。  
生温かく濡れた柔肉同士の絡み合いは、キスですら初めての彼にとって鮮烈過ぎる感触で、  
痺れるような感覚が脳天と下半身に走る。  
気を抜くとそのまま魂を持っていかれるのではないかと思わされるほどの快い刺激に、彼はただ翻弄される。  
相手は年上で、こちらから一方的に憧れていた存在で、しかもこの行為に積極的で、  
主導権はどちらが握っているかは既に明白。  
それでも男として、されるがままではいけない、とも思ってしまう。  
だから今度は逃げることなくディープ・キスを受け入れて、拙いながらも舌を絡め返す。  
だが、彼が男としてのプライドで必死になっているということは、マリアには手にとるように分かっている。  
そんなところが本当に可愛くて、思わず身体の奥深くに、きゅんっ、と甘い痺れが走り・・・  
 
―――うーん・・・どうしましょう。  
―――つまみ食いまでにしておくつもりだったのですが・・・  
―――これはちょっと、予想以上に・・・  
 
期待していた以上に心をくすぐる彼の反応に、彼女の“欲”は予想を越えて膨張する。  
だが別に、焦ることはない。  
気になるのであれば、もう少し味見をしてみれば良いだけのこと。  
・・・では、もうひとくち。  
 
「―――っ、ちゅぷ、む・・・っ、ぷ・・・」  
 
貪る様に求めあう唇。  
ねっとりと絡み合う舌。  
もう、彼女の唾液をどれだけ嚥下したかもわからない。  
とにかく、甘い。  
舌に感じる砂糖のような甘さではなく、  
脳髄を蕩けさせる、麻薬のごとき甘さ。  
麻薬を嗜む習慣など無いが、きっとこういうものなのだろう、と彼は思う。  
極上に甘美で、破滅的に退廃的。  
身を滅ぼす予感があるのに、手放せない。  
だから、マリアがキスを交しながらハヤテの服を脱がせ始めても、  
彼は抗おうとしなかった・・・否、抗えなかった。  
・・・もっとも、それまでと変わらぬ執拗さで彼の唇を貪りながら、  
ジャケットの前を開き、ネクタイを解き、ワイシャツのボタンを外す彼女の手際は余りにスムーズで、  
彼に抗うスキなどもともと有りはしなかったが。  
 
露になった彼の素肌を、白い指先が滑る。  
触れるか触れないか・・・  
焦らすような余韻を残しながら肌の上で踊る指の感触にハヤテの背筋がぞくりと震え、  
彼が“感じて”いることは寄せ合う唇を介してマリアにも伝わる。  
期待通りの反応を嬉しく思いながら、彼女はハヤテの唇を解放する。  
 
「―――っ、ぷぁ・・・ぁ・・・っ! ま、マリ・・・あ、さん・・・っ! っく・・・うぁ・・・」  
「うふふ・・・ハヤテくんったら、可愛い声・・・」  
「っ・・・! そ、んな、マリアさ・・・だって、その・・・え・・・? ちょ、マリアさ・・・っひ!?」  
 
肌蹴たシャツの間に覗いた彼の胸にマリアの舌が触れ、思わずハヤテの背が大きく、びくん、と仰け反る。  
 
「ちょ、ちょっと、マリアさ・・・んっ! んく、そ、んな、とこっ! 舐めちゃ・・・あう!」  
「んちゅ・・・ふふ、ハヤテくんったら、乳首を舐められて感じちゃうなんて・・・本当に女の子みたい」  
「っく! か、感じて、なんて・・・ぅぁあ!? ちょ、マリアさんっ! やめ、わ、うぁあ!」  
 
マリアの舌にチロチロと乳首を愛撫されて、声を上げて身悶えする様は彼女の言うとおり、少女のよう。  
だが、彼はあくまで“彼”であり、性的な刺激に反応するのは声や身体の震えだけではない。  
唇を交えたときから既に反応していたソコはマリアの愛撫でますます固さを増し、  
服の下から窮屈そうに自己を主張している。  
これだけのことをされれば当然の反応ではあるのだが、それを素直に認められない・・・  
というより、バレてしまうのが恥ずかしすぎて悟られまいと必死に腰を引く。  
だが、既に彼はマリアの手のひらの上、まな板の鯉。  
ハヤテの身体ばかりか、そう思っている心の底までもとっくに見通されている訳で・・・  
 
「っあう!? マリアっ、さっ・・・そ、そこ、は、ちょ! だ、ダメですっ! マリアさん!?」  
 
彼の思いも虚しく、ソコはあっけなく彼女の手に落ちる。  
服の上からとは言え滑らかな指でそこを摩られる快感は抑えられるものではなく、ハヤテの下半身はがくがくと揺れる。  
 
「ふっあ、うく・・・! マリ・・・あっ、さっ・・・! やめ・・・う、っはぁ!」  
「あらあら、ハヤテくんったら、ここはこんなに膨らんでるのに、本当に女の子みたいな声出しちゃって・・・」  
「だ、だって・・・そ、そこ・・・っ、はぁ・・・! あ、ほんと、やめ・・・!」  
「それにしても、こんなに大きくなるなんて・・・服の上からでも、びくびくしてるのがわかるし・・・  
 では、中身を拝見させていただきましょうか、ね♪」  
「え、ちょ、ま・・・! ま、まま、マリアさん!?」  
 
例え服の上からであろうとも、“ソコ”を異性に―――しかもとびきり美人の同年代の女性に撫でられる感触に、  
ハヤテはただもう暴発してしまわないように下半身に力を込めて耐えるのに必死で、  
これから更に大変なことになると分かっていても、マリアの指を、手を止めることが出来ない。  
そんなハヤテの様子が手にとるように分かっているからか、  
先程の手際の良さはどこへやら、マリアの手はゆっくりとベルトを外しファスナーを下げ、スラックスを下ろす。  
胸を肌蹴させたときのような迅速さを見せないのは、彼を焦らす為でもあるのだろうか。  
 
「ま・・・マリアさ・・・ん・・・ダメ、です・・・よ・・・」  
 
ハヤテは少女のようにか細い声で懇願するが、それはマリアの嗜虐心をくすぐるだけ。  
暗い喜びに浸りながらマリアは腰を下ろし、天幕を張った彼のトランクスを正面から見据えると、  
 
「ハヤテくんのこれ・・・下着の下でびくびく震えてて、なんだか苦しそうですわね・・・  
 これは早く、外に出してあげないといけませんわね・・・ふふふ」  
「ま、マリアさんっ! や、め・・・ちょ、ホントに・・・ま、ま・・・」  
「では、ご開帳ですわ♪」  
「ま、マリ―――――――――!」  
 
ハヤテの懇願も虚しく最後の砦もずるりとずり下げられて、いきり立った肉の凶器はマリアの目に晒される。  
彼女はそれを息を呑んで無言で見つめ、その様子にハヤテの羞恥心はますます膨らむばかり。  
なのに何を期待してかハヤテのモノは全く治まる気配も無く、それが更に恥ずかしく、情けない。  
 
「・・・・・・マリアさぁん・・・」  
 
そんな凶器とは余りにも似つかわしくない泣きそうな声で、自分のものを凝視しつづける彼女に声をかける。  
しばらく間をおいてから、マリアは感嘆したように大きくため息を吐いて、  
 
「すごいですね・・・男の人って、ここがこうなるとは知っていましたけど・・・初めて見ました・・・  
 ハヤテくんみたいな可愛い子でも、こんな大きくて、こう・・・すごい・・・こんな風になるんですね・・・」  
「は、初めて・・・なんですか?」  
 
意外な言葉に、恥ずかしさで破裂しそうだったハヤテの頭が少しだけ醒める。  
そんな彼にわざとらしく拗ねたような顔を向けて、  
 
「あら、ハヤテくんは私がそんな男性経験豊富に見えていたんですか? 失礼しちゃいますねぇ」  
「え! あ、いや! そんな! す、スミマセン!  
 で、でも、マリアさん、キレイだし、もてそうだし!  
 それに、その、なんか・・・手馴れていましたし・・・脱がすのとか・・・」  
 
慌てて弁解するハヤテにクスリと笑みをこぼすと、  
 
「うふふ、誉めてくれるのは嬉しいのですけど・・・  
 学校にいた頃は飛び級のし過ぎで周りの人とは歳が離れすぎていましたからね、  
 男性経験どころか、恋愛経験もないんですよ〜?」  
 
そう言ってハヤテの顔を見上げて・・・  
 
「ですから、このまま行くとハヤテくんが私の初体験のお相手ってことになりますね♪」  
「―――――――――っ!」  
 
初体験―――その一言で醒めかけていたハヤテの頭はさっき以上に混乱し、  
野外で人の目に自分のモノを晒しているという状況すら忘れ、その言葉だけが脳内を飛び交う。  
混乱した頭でも言葉の意味だけは把握できたのか、晒しているモノはしっかりと反応を示し・・・  
 
「あらまあ・・・・・・ハヤテくんのこれ、また大きくなったみたい・・・では、失礼しまして・・・」  
 
初めてこれを見たというのに嘘は無く、  
目の前で、まるで独立した生き物のように脈動する物体に恐れが無い訳ではない。  
だが、主導権を握りつづける為には怖気づいてなどいられないし、  
何より・・・彼を“食べちゃいたい”のだから。  
 
「っひぅ!? ま、マリアさん!?」  
 
大混乱に陥っていたハヤテであったが、膨れ上がった自分のモノに何かが触れれば自然と意識はそちらに向かう。  
それが、夜気より冷たく艶かしい、自分以外の指先であるなら尚のこと。  
そしてその指先は、触れるだけでは収まらない。  
十の指先は緩急をつけながらそれぞれが独立してモノの表面を這い回り、撫で、さする。  
それはさながら十本の触手の様で、敏感なところも比較的そうでないところも、  
余すところ無く絡め取って媚毒のような甘い刺激を擦り込んでゆく。  
 
「ふぁ・・・! ま、マリアさっ・・・だ、めですっ! あ、ふ・・・! っく、うぁあ・・・!」  
 
恥らう少女のごときハヤテの嬌声に身体の奥がゾクゾクと震えるのを感じながら、  
マリアは執拗にハヤテのモノに愛撫を続ける。  
続けながら、彼の細かな反応を見逃すことなく、彼女はソレを把握する。  
―――どこが敏感で、どう触れば気持ちよくて、どれだけの強さまで痛がられないか。  
このまま指で愛撫するだけでも、いずれ彼を達させることはできるとみて間違いないのだが、  
それは彼女の好むところではない。  
彼がどれだけ感じ、どこでどのように達するか・・・その全てを、彼女は掌の上に置きたいと思う。  
そんなマリアの思惑など気付けるはずも無いハヤテは、彼女の繊細な指使いに敏感に反応し、  
自身の弱点を次々と彼女の前で露呈してゆく。  
 
「ん・・・っく! っぁああ! ま、マリ・・・やめ、うぁあ! ホント、やめ、ひっ! ・・・あく・・・!」  
「うふふ・・・ハヤテくんってば・・・そんな艶っぽい声出して・・・聞いてるだけでぞくぞくしちゃいます・・・」  
 
冗談でなく、彼の嬌声と痴態に自分の秘所が潤ってきているのを自覚しつつ、  
受身に回りたい情欲を抑えてハヤテを責めつづける。  
彼に身体を開くのはまだ先のこと。  
じっくりたっぷりコトコト煮込んで、すっかり煮詰まったところでのお楽しみ。  
今はあくまで下ごしらえ、ここで手際を誤ったら、料理は全部台無しだから・・・  
 
「ね、ハヤテくん・・・辛そうですね」  
「ふ・・・っ、あ・・・! あ、ま・・・マリア、さん・・・?」  
 
ハヤテのモノを弄んでいた指を止めて、上目遣いに彼を見上げて声をかける。  
不意に危険すぎる刺激から解放された彼は、  
それでも緊張を解いたらいつ暴発してしまうか分からない己の凶器を懸命に制御しながら、  
彼女の意図を量りかねながらも視線を交わす。  
 
「ハヤテくんのここ・・・パンパンに膨れて、びくびく震えて・・・  
 足もガクガク揺れてるし、声も顔も、なんだか苦しそう・・・」  
「そ、それは、だって、マリアさんが・・・!」  
「あら、私のせいですか?」  
「だ・・・だって、マリアさんがここ、こんなに、触って・・・」  
「ふふふ、そうでしたわね・・・ではどうしましょうか?」  
「どうって・・・す、すぐにこんなこと、止めてください! そうしないと、僕・・・っ、もう・・・!」  
 
例え弄る指が止まろうとも、過剰な快楽を擦り込まれたそこは決して萎えてはくれない。  
暴発するのは時間の問題だと、誰よりハヤテ自身がよく分かっている。  
だからこそ、少しでも早くこの状況から抜け出さないと、  
彼は・・・例えその元凶であるとしても、憧れの人の前でとんでもない醜態を晒してしまうことになる。  
だが・・・  
 
「止めちゃって、いいんですか?」  
「え・・・?」  
「だって、ハヤテくんのこれ・・・今更、収まらないんじゃないかしら?」  
「そ、それは、でも、このままじゃ・・・」  
「・・・楽にして差し上げましょうか?」  
 
にこ、と上目遣いに見上げる美貌が、柔らかく微笑む。  
見る者を虜にするその笑顔に、彼の心は取り込まれ・・・  
 
「らく・・・に・・・?」  
「ええ、こうなってしまったのも私のせいですから・・・責任もって、最後までご奉仕して差し上げますよ?」  
「ご、ほう・・・!」  
 
蕩けるような笑みを浮かべながら、何気ない言葉で彼の自制心を刈り取って行く。  
だが、ここでいきなり果てられては少々趣に欠けてしまう。  
うっかり暴発されたりしないように、軽い警告の意味を込めて、  
目の前で相変わらずはちきれんばかりになっているハヤテのモノに―――  
 
「―――っふぁあ!? あ、ま、マリアさっ・・・!」  
 
ふっ、と甘い吐息を吹きかけると、  
それだけの刺激でも、ハヤテは全身をびくびくと震わせて身悶えする。  
 
―――もう、頃合かしら・・・?  
 
ハヤテは目に見えて限界間近であるし、自分自身も堪らないほどに疼いている。  
先のこともあるし、今はひとまず仕上げに入ろうと決めて・・・  
 
「では、楽にして差し上げますからね・・・力を抜いて・・・」  
「え、ま・・・マリア、さん・・・?」  
 
緩められていた彼女の指がハヤテのモノの付け根あたりに絡みつき、  
先端にはまたしても暖かい吐息、と、それに続いて、ぴちゃり、と―――  
 
「――――――っうぅうううっ!?」  
「ちゅ・・・っぷ・・・あん・・・ハヤテくんの先っぽ・・・苦いのが、漏れてますよ・・・んちゅ・・・」  
「ま、ま、まままま・・・!」  
 
マリアの舌が、唇が、自分のモノの先端を愛撫している光景、そして感触に、ハヤテは言葉を満足に紡げない。  
憧れの人にこんなことをされている、いや、してもらっているという事実が信じられない。  
だが、彼女の生温かくねっとりとした舌は先走りを舐め取り、柔らかな唇はキスをするようにソコに触れている。  
そしてその甘美過ぎる感触は、懸命に抑えているハヤテの衝動―――射精感を、どうしようもなく刺激する。  
 
「ふっ! うぅ・・・っ! ま、り・・・っあぁ! っぐ、ふ・・・うっ!」  
 
ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ・・・  
卑猥な水音と、身体で最も敏感なところを艶かしく愛撫する潤った柔肉の感触は、  
容赦なくハヤテの意識を蕩けさせてゆく。  
足腰はいよいよガクガクと震え、今にも倒れ込んでしまいそうだが、  
彼女の前でそんな醜態を晒すことも出来ず、とにかく必死に耐える。  
 
「う、う―――っ! あく・・・ぐっ・・・! んく・・・っ、くぁ・・・・・・ぅ!」  
 
もはや弾けるのは時間の問題でしかない、ギチギチに張り詰めたソレを、ハヤテは必死で押さえ込む。  
決まりきった避けようの無い運命をただただ先延ばしにするだけの行為と分かっていても、  
彼には他に出来ることはない。  
今はただ、意味をなさない情けない呻き声を上げながら、目尻に涙を浮かべながら、  
生まれて初めて味わう“気持ちよすぎる”辛さに、ギリギリのところで抗っていた。  
 
んちゅ・・・ちゅぷ・・・んぷ・・・む・・・くぷ・・・  
 
そんなハヤテの悶え様にゾクゾクするような快感を覚えながら、  
マリアは少しずつ、少しずつ、彼を追い詰めて行く。  
ちょっと力を加えれば、すぐにでも彼が達してしまうと分かっていて、  
そのギリギリのところを責め立てているのだ。  
はじめは舐めるだけだった行為も、その口いっぱいに彼のモノを頬張って全体を使っての口淫に変わり、  
添えた指と唇で竿を優しくしごきながら舌先を裏筋に沿ってゆっくりと滑らせる。  
彼の呻きが一層高くなり、腰の震えがいよいよ限界を見せたかと思うと、  
舌の動きを止めて敢えて踏みとどまらせる。  
 
「うぅぅ・・・っ! ぅあ・・・っ、うぐ・・・っ、まりあ・・・さぁん・・・もう、うぁ・・・っうぅ・・・」  
 
ほとんど泣き声と化しているハヤテの喘ぎ声が、  
マリアの身体を火照らせ秘所と下着をじっとりと濡らす。  
 
この少年にこのまま組み敷かれたい―――  
口一杯に頬張った彼の凶器で、まだ未通のソコを貫かれてしまいたい―――  
そんな欲求も無い訳ではなかったし、疼く身体はそれを求めつつある。  
だが、折角の素材なのだから、まだまだ仕込まねばならない。  
・・・彼が自分を組み敷いて、荒々しく犯す・・・そんな結末も、良いかもしれない。  
まだ知らぬ破瓜の痛みに泣かされて、それでも容赦なく貫かれ、何度も注ぎ込まれるのも一興かもしれない。  
場合によっては屈服させられ、服従させられて、彼の虜になってしまうのも悪くない。  
・・・でも、今はまだ、彼を操り、弄ぶことに徹しよう。  
 
―――今夜は他にもやって頂かなくてはならないこともありますし、ね♪  
 
「ふぁあっ! マリアさ・・・まりあさぁんっ! もう、ぼ・・・っく、うぐ・・・あ・・・うぅ!」  
 
無駄と分かっていても最後まで抵抗を続けるハヤテだったが、もはや自分の限界を悟っていた。  
だからせめて、彼女の口の中で弾けてしまうという無礼だけは避けねばならないと思い、  
マリアから離れようとぐらつく足を奮い立たせようと最後の力を込めるのだが・・・  
 
じゅぷ・・・ぢゅくっ、ぢゅぽ・・・っ、じゅ、ずちゅ・・・ちゅぶ・・・っ  
 
「――――――――――――っ!」  
 
見透かされたかのように激しくなる舌使いに、彼の最後の抵抗も欠片ほどの効果を発揮することはなく、  
とどめ、とばかりに彼女の舌先がハヤテの先端・・・鈴口に捻じ込むように触れたところで・・・  
彼は、決壊する。  
 
「っぁああああ! も、ま、マリアさ・・・っ! あ、出るっ!」  
 
これ以上抑えることのできない衝動はハヤテの背筋を駆け上り、  
脳髄が痺れるような至上の開放感と共に―――  
 
びゅく! びゅる! びゅぷ! びゅるるっ! びゅっ! びゅく・・・!  
 
マリアの口内でハヤテの凶器はついに弾け、  
その口に、喉の奥に、どくどくと熱い粘液を注ぎこむ。  
肉の竿が脈動するたびに打ち出されるそれは飲み込もうとする前に喉の奥に流し込まれ、  
むせ返るマリアの口腔を容赦なく粘液と性臭で満たす。  
 
「ん! んんん! んむ――――――っ! ん、っぷ! ぷぁ、あふ・・・! けほ、ごほっ! かは・・・!」  
 
咳き込んだ拍子にモノが口から外れた後もハヤテの肉茎の脈動と射精はすぐには止まらず、  
マリアの顔を、髪を、白く染め、汚していった。  
 
 
「は・・・は・・・ぁ・・・っ、はぁ・・・」  
 
自分でも信じられないくらいの激しい射精の余韻に浸りながら、  
ハヤテは自分が汚してしまった彼女に見入っていた。  
全ては彼女が導いた行為の結果であるにも関わらず、彼は彼女に謝らなくては、と思っていた。  
美しい彼女を汚してしまったことは、罪だと思った。  
・・・だが、罪だと思いながらも・・・白濁にまみれ穢れた彼女の顔はどうしようもなく淫靡で、魅力的で・・・  
ハヤテは魅入られたように、マリアから目を逸らすことが出来なかった。  
そしてマリアはハヤテの視線を感じつつ、敢えて目の前でその穢れを・・・彼が吐き出した白濁を―――  
 
「ん・・・んく・・・にがぁ・・・っ、ぅん・・・こきゅ・・・・・・ハヤテくんの・・・せいえき・・・  
 濃くて・・・ぇ、すご・・・ぉ、く・・・ねばねばして、喉に、ひっかかります・・・ん、んく・・・」  
 
口内に吐き出されたハヤテの精液を、敢えてハヤテにわかるように音を立てて飲み下し、  
手に垂れたものまで啜って見せる。  
その表情は、初めこそ苦さと臭いに顔をしかめはしたが、すぐに淫らに蕩けたものに変わり、  
艶かしい笑みを浮かべながら上気した頬を赤く染めて、白濁のこびり付いた指を舐めしゃぶる。  
そして最後に・・・  
 
「え・・・あ、マリアさん!?」  
 
んちゅ・・・と、すっかり萎えたハヤテのモノに再び口を寄せると、  
その中に残った分まで全て吸い取って、飲み下してみせた。  
 
「んぷ・・・これで、キレイになりましたね・・・あら、うふふ・・・また元気になっちゃって・・・」  
 
あれだけの量を射精したにも関わらず、マリアの舌と唇で愛撫されたソレは、  
呆気なく先ほどの勢いを取り戻しかける。  
だが、マリアの痴態を目の当たりにしたハヤテからは、恥じらいは消えつつあった。  
彼のものを奮い立たせたのも彼女なら、口で愛撫をしたのも彼女で、射精に導いたのも彼女。  
そして、溢れ出たモノを舐め、飲み込んでくれたのも彼女。  
 
全てがはじめての体験ばかりだったが、それでも彼女の行為が一線を超えたものだということはわかる。  
出したモノを飲み込んでくれる・・・それは、普通じゃない・・・冗談では出来ないことだと思う。  
ならば、もう・・・遠慮することも、抑えることも、ないのではないか。  
彼女が自分を貪ったように、自分も彼女を貪って良いのではないか。  
今度は口ではなく・・・もっと、彼女の奥深いところに、自分の欲望を・・・滾るモノを埋め込んでも、  
許してくれるのではないか・・・・・・・・・  
 
「でも、今はここまで、ですよ♪」  
「え・・・?」  
 
だが、彼女はまたしても、彼の期待通りには動いてくれなかった。  
硬さを取り戻しつつあったハヤテのモノをトランクスに仕舞い込むと、  
スラックスを上げてベルトを締め、肌蹴たシャツも解いたネクタイも全て元通りにしてしまう。  
ハヤテはただ呆然と、いつもの執事姿に着せ付けられてゆく状況を受け入れていたが・・・  
 
「あ、あの・・・その、マリアさん・・・僕・・・その・・・」  
 
さっきまでの喘ぎ声とはまた違う、だがやはりか細く、すがりつくような声。  
そして情けを請うような目には、ただ弱々しいだけではなく、隠し切れない欲情の色。  
期待を裏切られて落胆したような表情は、少し焚き付けてやれば怒りに変わり、  
力づくで目の前の彼女を押し倒そうとさえするかもしれない。  
 
「ごめんなさいね・・・ハヤテくんがまだまだなのは分かってるの・・・でもね、  
 今夜は大事なお客様がいらしているんですよ」  
「お客、様・・・?」  
 
「ええ・・・それで、今のところはあの子がおもてなしをしていると思うのですが、  
 あの子のことだから、きっと満足させられてないと思うのですよ・・・」  
「は・・・あ・・・」  
「なので、ハヤテくんにも応対のお手伝いをして頂きたいんですよね」  
 
そんなことより、今はこの疼きを、何とかして欲しい・・・  
執事としての仕事と、男としての情欲とが、ハヤテの中でぐるぐると巡っている。  
お客様は大切だ、だけど・・・今の僕は・・・このままじゃ、ちゃんと応対なんてできるんだろうか・・・  
 
「でも、その・・・応対って、いや、そもそも、お客様って・・・」  
「ふふ・・・」  
 
ハヤテの問いに明確に答えず、ただ意味ありげに微笑むマリアの顔は、  
ぞくりとするような淫蕩さと暗さを併せ持っていた。  
 
「お客様は、ハヤテくんもご存知の方で、これからもお世話になる方ですよ・・・」  
「は、はぁ・・・」  
「それでですね、応対というのは・・・」  
 
意味ありげに言葉を切り、間を置いて―――  
 
「あなたが今、私にしたいと思っていること・・・それをして下されば結構です」  
「・・・え」  
 
絶句する。  
何故なら、彼女だって今のハヤテの状態は分かっているはずで、  
敢えてそう言っているのだとしたら・・・余計に信じられなかったから。  
彼は、彼女を―――押し倒して、犯してしまいたいと思っているのに。  
 
「ではハヤテくん、参りましょうか」  
「え、あ・・・そ、その・・・」  
「今頃、あの子が自分なりにおもてなしをしていると思うのですが、  
 毎晩毎晩、もう何年も仕込んでいるのに全然上達してくれないんですよね・・・  
 そのくせ、やっぱり負けず嫌いなものですから、こういうことに不慣れな相手なのをいいことに、  
 腕試しだなんて息巻いてると思うのですよ」  
「は・・・はぁ」  
 
あの子、というのは分かる。  
だが、仕込むというのが何なのか・・・  
今晩、こんなことになっていなければ、見当もつかなかっただろう。  
自分でもにわかには信じがたいが、彼は実際に彼女の手際を体験した。  
それに、彼女は彼の問いかけに答えて、  
“男性経験”は無いと言ったが、“性体験”とは言わなかった。  
そして、なぜ手馴れていたかには、答えなかった。  
ならば・・・  
 
「でも、それではきっとお客様は半端に燻るだけで辛いことになってしまっていると思いまして・・・」  
「それで・・・僕に・・・」  
「ええ、その通りですよ♪ ちゃーんと、満足させてあげてください、ね?」  
「で、でも僕、まだそんな、したこと・・・」  
「あらあら、さっき一流の執事になるって、言ったばかりじゃないですか?」  
「え・・・で、でも・・・」  
「一流の執事たるもの、お客様を満足させられなくてどうするんですか?」  
「う・・・」  
「ふふ・・・大丈夫ですよ、ハヤテくんならきっと出来ますから。  
 どうせこんなこと、話に聞いて理解できるものでは無いのですから、実践あるのみ、ですよ♪  
 それにお相手も、きっとハヤテくんのお気に召すと思いますし」  
 
お相手・・・お客様・・・そういえば、今日はたくさんのお客様がいらしていたけど・・・  
自分が知っていたのは、そう、二人だけ・・・  
では、もしあの人がその“お客様”だったら、  
僕は、あの人を・・・  
 
想像して、ごくん、と喉がなってしまう。  
気を抜いたらいつ目の前の彼女に襲い掛かってしまうかもしれなかった欲情が、  
想像の中の彼女へと向かうべき対象を変えてゆく。  
それは・・・決して、悪くない。  
 
そんなハヤテの内心を見抜いたかのように・・・いや、そうなると分かっていたかのように、  
彼の微妙な目の色の変化を見て、マリアは密かにほくそ笑む。  
自分に注がれていた彼の欲情の目が別の少女に移ってしまったのは多少惜しいし、  
嫉妬を感じないことも無い。  
だが、まあいいとする。  
彼には経験を積んでもらって、じっくりと味が染み込んで美味しくなったところで、  
最後に頂こうと決めたのだから。  
その為にも、彼女と・・・そう、あの子にも一役買って貰うとしよう。  
 
「ではハヤテくん、参りましょう?」  
「はい・・・マリアさん・・・」  
 
 
―――うふふ・・・ハヤテくんもすっかり腹が決まったみたいですね。  
さ、夜はこれから・・・お楽しみもこれからですよ・・・ね、ハヤテくん♪  
 
 

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