「は、ハヤテくんっ! やめ・・・やめなさいっ! いい加減に、しないとっ! ほ、本気で、怒るわよ!?」  
 
ハヤテに抱きかかえられて三千院の廊下を歩む間、ヒナギクは彼女なりに抵抗を試みていた。  
このまま部屋に連れ込まれてしまったらどんな目に遭うか・・・もはや疑いようもない確信がある。  
辿り着いてしまう前に逃げられなければ、自分は彼の為すがままに、この身体を―――  
そんな取り返しのつかない事態を想像しかけて、慌てて頭をぶんぶんと振ってそのイメージを追い出す。  
とにかく、今は抵抗しなくては・・・!  
 
「は、ハヤテくんっ! こんなの、ダメよっ! 女の子にこんなことしようなんて、最低なことなのよ!?」  
 
精一杯の大声でヒナギクは自分を抱える少年に罵声を浴びせる。  
本当は剣道で鍛えた腕力にモノを言わせて両腕で実力行使の一つもしてやりたかったのだが、  
ナギとマリアに責め弄られた身体は不自然に脱力して使い物にならず、不本意ながら口先だけが彼女の武器だった。  
 
「ねぇちょっと!? 止まって! 下ろして! ね? 今なら、まだ怒らないから・・・!」  
 
だが、ハヤテはまるで聞こえていないかのように黙々と前だけを見て歩を進める。  
 
「ちょ、ちょっと!? 聞いてる!? ねぇ! ハヤテくん!?」  
 
・・・当然、ハヤテにも彼女の必死な声は聞こえている。  
傍から見ればどう考えても彼の絶対的な優位な状況だが、そこに密かな重圧を感じてもいた。  
ナギとの行為、そしてマリアの愛撫の余韻で未だに身体が弛緩したままのヒナギクを部屋まで運んで、  
抵抗できない彼女を思うままに蹂躙するのは容易い。  
この年の少女としてはやや細身ではあるが、ヒナギクの瑞々しく締まった健康的な肢体ならば、  
間違いなく先程から熱くたぎりっぱなしのハヤテの欲求を満たしてくれることだろう。  
 
だがそれでは、彼のお嬢様が彼女にしたこと―――自分の欲望だけを優先した、一人よがりな行為と何ら変わらない。  
それは“お客様を満足させる”という三千院家の使用人のアイデンティティーに背く行いであり、  
故に彼はヒナギクの肢体を楽しみながら、同時に彼女の身体と心を楽しませなくてはならない。  
 
お互いに大した経験も無い者同士、簡単に快楽を与えることが困難だとは重々承知している。  
だが、幸いなことに“やり方”のヒントはマリアが彼の身体に直に教えてくれている。  
ならば後は、腕に抱いた彼女の肢体で実践して、文字通り身体で覚えるしかない。  
ただし、そこはあくまで慎重に。  
何せヒナギクは彼とお嬢様にとって―――  
 
「そういえばヒナギクさん」  
 
それまでいくら騒ごうが叫ぼうがほとんど顔すら向けてくれなかったハヤテが、不意に話しかけてくる。  
その口調が余りに何気無かったものだから、貞操の危機も無視された怒りも忘れて思わず、  
 
「な、何よ・・・」  
「言い忘れていましたが、白皇の編入試験の結果が覆りまして、無事に合格ってことにして頂けたんですよ〜♪」  
 
ハヤテはさも嬉しそうに、にぱーっと無邪気な笑顔を浮かべる。  
 
「あ、あら、そう? よ、よかったわね――――――じゃなくて!」  
 
彼ののあまりに邪気の無い笑顔に一瞬だけ現状を忘れてしまったが、今はそれどころではなく―――  
 
「そういう訳で、これからもお世話になると思いますが、宜しく―――」  
「そう思うなら今すぐ下ろしなさいっ!」  
 
やっと会話が成り立ちかけ、ヒナギクはこれが最初で最後の機会とはかりにまくしたてる。  
 
「いえいえ、逆ですよ〜♪」  
「・・・は?」  
「これからお世話になるからこそ、おもてなしには手を抜けませんからね!」  
 
無邪気な笑顔で言う“おもてなし”という言葉から無邪気な行為が全く想像できないのだが、僅かな期待を込めて・・・  
 
「おもてなし・・・って・・・何を・・・」  
「はい、それは勿論」  
 
彼は満面の笑みを浮かべたまま―――  
 
「ヒナギクさんに気持ちよくなって頂くことです♪」  
「結構よ!」  
 
期待外れだが予想通りの回答に、間髪入れず断りを入れる。  
いくら広い三千院家と言えど、既に歩き出してから結構な時間が経過している以上、  
いつハヤテの部屋に辿り着いてしまってもおかしくない。  
そう考えれば、会話の成り立っている今こそがこの状況を脱する最大であり、最後のチャンスなのだ。  
 
「・・・そうね、おもてなししてくれるのなら、紅茶の一杯でも頂ければ十分よ。  
 それで落ち着いたら今夜は休ませて頂けると助かるわね。  
 何せ生徒会長として、ちょっと悩ましい出来事があって疲れちゃったのよね〜?」  
 
先程までの叫び声が嘘のように、ヒナギクは冷静な口調でハヤテに話しかける。  
ろくに身体が動かない以上、あとは彼の良心・・・には期待できないので、その立場に訴えかけるしかない。  
 
「あの子もあなたも、白皇の生徒としてちょっと素行に問題がある気がするんだけど、  
 もし今夜このままゆっくり眠って、何事もなく明日の朝に気持ちよく目覚めることができれば、  
 悪い夢だったなぁ、ってすぐに忘れることもできそうなんだけど・・・ねぇ?  
 あ、そうそう、白皇編入試験、合格おめでとう、綾崎ハヤテ君?」  
 
にっこりと優雅に微笑んでハヤテを見上げるが、当然の如くその目は欠片ほども笑っていない。  
ともかく、折角の編入が決まったところでこの脅し、効果の無い筈が無いし、何よりハヤテは執事。  
主たるナギの立場という手札を切れば、彼に対する効果は絶大の筈、だが・・・  
 
「んー・・・確かに高校生として、少々目に余る行いだったとは思いますが・・・  
 それを言ってしまうと、生徒会長としてのヒナギクさんの方が立場は厳しいのでは?  
 ほら、お嬢様とご一緒にお楽しみだった―――」  
「楽しんでなんかいないわよっ!」  
 
いくら冷静を装おうとも、ヒナギクは既に背水。  
精神的に余裕の無い彼女が圧倒的優位にあるハヤテに心理戦を挑んだ時点で、失敗だったと言わざるを得ない。  
 
「では・・・」  
 
簡単に叫んでしまったヒナギクは、どこまでも笑みを浮かべたままのハヤテに見つめられて、  
“しまった―――”と言いたげな表情を浮かべるが・・・時既に遅し。  
 
「ヒナギクさんにも楽しんで頂いたら、その時点で共犯成立、ということですね♪」  
「え―――い、いや、ちょっとまって! 今のなし!」  
「ふふふ・・・お客様を楽しませることで、お嬢様の立場も守ることが出来るなんて・・・  
 執事としてこれ以上無いってくらいの見せ場です・・・期待していて下さいね、ヒナギクさん♪」  
「あ・・・う・・・」  
 
駆け引きは惨敗に終わったが、それでも・・・何か抵抗できないか・・・  
負けず嫌いというより、ほぼ確定してしまった望まぬ未来から逃れたい一心で考えようとした、が・・・  
 
「お待たせしました、ヒナギクさん」  
 
ハヤテの脚が、扉の前でぴたりと止まる―――それは、ヒナギクが恐れていたタイムリミット到来の合図。  
 
「ここが僕の部屋です。 何も無い殺風景な部屋ではありますが・・・とりあえずベッドはありますので♪」  
 
その言葉は、ヒナギクにとって死刑宣告にも等しく響いた。  
 
殺風景、とハヤテは言ったが、この部屋もやはり三千院家、  
最低限の家具も装飾こそ控え目だが、品のある小奇麗なものが揃っている。。  
正面に据えられたベッドも飾り気の無いシンプルなもので、  
彼の主の部屋にあったそれよりは遥かに小さかったが、それでも細身の男女一組が横になるには十分に広く、  
しかし二人で横たわるにはぴったりと寄り添わねばならない程度に狭かった。  
横たえられてみるとナギの部屋のようなふかふかとした柔らかさは無かったが、  
適度な弾力を感じさせるこのベッドの方がヒナギクの好みに近いとは言えた。  
・・・もっとも、この状況は好みとは遥かにかけ離れていたが。  
 
「ハヤテくん・・・」  
 
抵抗するだけの気力を失いつつあるヒナギクは、今はもう叫んだりはしない。  
ただ怯え切った目でハヤテを見上げ、情けを請うように弱々しくその名を口にする。  
 
「ヒナギクさん・・・」  
 
先日、学園で出会った彼女は、いきなり弱みを晒してしまうような無防備なところはあったにせよ、  
凛々しく強気で、自身に溢れ・・・そして、美しかった。  
その彼女が自分の部屋のベッドの上で肌蹴たパジャマから覗く素肌を気にしながら、  
怯えた目で自分を見上げている。  
その姿はハヤテの嗜虐欲を刺激するには十分・・・いや、過剰な程で、  
いまにも襲いかかってしまいそうな自分を抑えるために、彼女の名を呼び返す。  
 
「ね、ハヤテくん・・・お願いだから・・・こんなこと・・・」  
 
根っこのところで善人であるハヤテにとって、その訴えは心に響かない訳ではない。  
だからこそ・・・良心の呵責が自分の中で幅を利かせないうちに・・・  
 
「大丈夫ですよ、ヒナギクさん」  
「え・・・あ!?」  
 
ベッドに横たえたヒナギクに覆い被さるように身体を寄せて、首筋に触れる。  
 
「すぐに、気持ち良いとしか思えなくしてあげますから♪」  
 
それが、彼女の身体を隈なく解き明かす為の “触診”の始まりだった。  
 
「や・・・だ、だめ・・・やめ・・・て!」  
 
首筋から裏に回ってうなじへ、表へ戻って鎖骨へと、ハヤテの指が白い肌を滑る。  
そのまま下方目指して進む指を引き剥がそうとヒナギクも手を動かすのだが、  
力の入らない妨害など障害として機能するはずもなく、抵抗空しく彼女の胸はハヤテの手に落ちる。  
 
「ひ・・・ぅ、やめ・・・てぇ! だ、め・・・」  
 
薄い膨らみにハヤテの指が触れると、  
ヒナギクはびくんと震えきゅっと身体を縮めるようにして硬直する。  
本来の彼女らしからぬ弱々しい反応にぞくぞくするような興奮を覚えつつ、  
ハヤテの指は乳房全体をまんべんなく触り、撫でる。  
決して揉んだりつねったりはせず、たださわさわと肌の擦れあう感触だけを残す愛撫は、  
ヒナギクに薄れかけていた心身の昂りを思い出させる。  
 
「ん・・・あ、・・・っ、ふ、ぁ・・・は・・・ぅ」  
 
じりじりと焦らすような熱が下腹部の奥の方で再び燻り出すと、  
本人の意図に反してその声は微かに震え、艶を帯びてくる。  
 
「ふふ、ヒナギクさんの声、いきなり色っぽくなりましたね・・・」  
「っく・・・、や、そんな・・・ちが・・・う、わよ・・・っあ! あ、ぅ・・・っ、ん・・・」  
 
ハヤテの愛撫はヒナギクの官能のスイッチを簡単にオンにしてしまうが、  
それ以上に彼女を強く責めようとはしない。  
あくまでもさわさわと、触るだけの軽い愛撫だけが続けられて、  
ヒナギクは初め肩透かしをされたように感じ、すぐに慣れてきて、しかし徐々にじれったさを覚え、  
やがてそれがあの時と同じ状況だと気付き始めた頃・・・  
 
「どうですかヒナギクさん、気持ちよくなってきましたか?」  
「ぜ、全然よ! そんな・・・さ、三千院家の、執事がどうって・・・ぅん・・・  
 ぜんぜん、たいしたこと・・・っく、ない、じゃない・・・っ」  
「それは先程のお嬢様とやってることが変わらないから、ですか?」  
「――――――っ!」  
 
にっこりと笑うその顔を見て、彼が意図してその状況を再現していたことを理解する。  
それはつまり、今のヒナギクが感じていること・・・  
物足りない、という感覚すら、見抜かれているということ。  
 
「ごめんなさいヒナギクさん、でもご安心くださいね」  
 
その通りですよ、と言わんばかりに顔を寄せて、熱さを感じるくらいに紅潮した顔を、目を見つめられると、  
心の中の全てが覗かれているような錯覚を覚え、ヒナギクは思わず目を閉じて顔を逸らしてしまう。  
ハヤテの方ではそんな彼女の態度が気に入ったように、唇の端を僅かに歪めていつもと違う笑みを浮かべて・・・  
 
「―――これからが本番ですから」  
「・・・っぁあっ!?」  
 
ふっ、と。  
耳元に生温かい吐息を吹きかけられて、びくんっとヒナギクの身体が跳ねる。  
それが始まりの合図であったかのように、ハヤテの舌と唇が彼女の肌を侵し始める。  
ぴちゃ、ちゅぱ―――と、卑猥な音を立てながら耳の穴を舌で塞ぎ、耳たぶを甘く噛み、その裏側にキスをする。  
 
「ひぁ! や、やめ・・・そんな、とこ・・・あ、ふぁあ!? や、ひんっ! い、ひゃ、あん・・・!」  
 
柔らかく、生温かく、湿った感触は優しくヒナギクの耳を這いまわり、  
少しでも彼女が過敏な反応を示すと、そこを念入りに調べるかのように舌使いが強くなる。  
反対側の耳には胸から離れた手があてがわれ、やはり丹念に彼女の肌を“触診”している。  
 
「あ、ふ・・・や、んぁ!? ひぁ・・・っ、ふ・・・ん・・・は、やて、く・・・んんっ!? あ、ぅぁあ!?」  
 
肌の上で蠢く彼の舌と指は、耳から首筋、喉へと少しずつ移動しながら、  
ヒナギクに予想外の快楽を刷り込み、彼女を激しく混乱させる。  
 
「ひ・・・ぁあ!? や、んぁ! な、んで、そ・・・ふ、や、そこ・・・ひぁ、あ、く、だめぇ!」  
「んぷ・・・ふふ、右の耳の下、すごく敏感なんですね・・・ヒナギクさんの性感帯、一箇所発見です♪」  
「せいか・・・や、ちが! そんな、ちが、あ・・・っく、ふわぁ! やめ、だめ、あ、っふぁあ!」  
 
ヒナギク自身も知らなかった彼女の性感帯を探り当てられ、そこを丹念に舐めしゃぶられて、  
ゾクゾクと震える身体を、上擦った声で喘ぐことを、抑えることが出来ない。  
ただ胸を撫でられるだけの愛撫より、今の方がよっぽど“感じて”しまっているのだ。  
そんなところを他にも見つけられてしまって、弄られてしまったら、自分はどうなってしまうのか・・・  
15年間自分のものであったハズの身体が、いきなり自分のものでなくなってしまったかのような感覚が、  
乱れよろめいているヒナギクの心を更なる不安に追い込む。  
 
「ひ、ゃあ・・・なん、で、っふぁ! どうして、ハヤテくん・・・そんな、とこ・・・わかって、あ、ぅく!」  
 
惑い乱れる姿に満足したのか、再び移動を始めた舌と指に恐れ慄き、そして甘い感触にびくびくと震えながら、  
ヒナギクは疑問を口にせずにはいられない。  
このままでは本当に・・・身体中の弱点をさらけ出してしまうことになりかねないのだから。  
 
「どうして、って・・・ヒナギクさんが教えてくれるんじゃないですか」  
「な・・・そんな、私だって、あん! しらな・・・っはぅ・・・し、知らないのにっ!」  
 
ちゅぅう、と鎖骨の窪みを吸っていた唇を離すと、何でもないように答える。  
目を瞑っている方が不安で堪らなくなったヒナギクは、  
今は自分以上に自分の身体を知っているかもしれない彼を不安と恐れで澱んだ目で見上げる。  
声だけは強気を装おうとしていたが、既にその顔からは抵抗するだけの気力は感じられない。  
そんなヒナギクの表情を楽しそうに眺めながら、  
 
「ヒナギクさんが自覚していなくても、ほら、こうして触れれば・・・」  
「え・・・あんっ! あ、やめ・・・え・・・?」  
「わかりますか? ヒナギクさんの敏感な身体と、えっちな声がちゃーんと教えてくれるんですよ♪」  
「な・・・!」  
「だから僕はただ、ヒナギクさんの全身をくまなく舐めたりキスしたり、触ってあげるだけでいいんです」  
 
あとはヒナギクさんが自己申告してくれる訳ですからね、と楽しそうに告げると、  
ぴちゃぴちゃと音を立てて触診を再開する。  
それは、マリアによってハヤテ自身が体験させられたこと。  
使用人としての感性を最大限に発揮して、奉仕する相手のどんな微弱な反応をも見逃さず、聞き漏らさず、  
その弱点を剥き出しにしてしまう、三千院に伝わっているかどうかは不明だが、ともかく高等技術なのだ。  
 
そして今のヒナギクは、ナギに、マリアに、ハヤテによって昂ぶらされて、感じやすい身体になってしまっている。  
それ故に不慣れなハヤテにも簡単に察知できる程に彼女は敏感に、激しく反応してしまい、  
その身体はまさにハヤテの掌の上、まな板の鯉の如く、思うままに調理されるだけの身でしかなかった。  
 
「あふ・・・ぅ、や、ひゃあ!? や、だめ・・・あ、んぁあ! そこ、だめぇ! あぅ、ふ、んぁあああ!」  
 
ろくに抵抗することも出来ずパジャマを脱がされて、露わになった素肌は全てハヤテの為すがまま。  
背すじ、脇腹、へそ、二の腕、肘の裏、内腿、土踏まず・・・と、  
ハヤテの舌と指はヒナギクの全身をほぼ隈なく這いまわり、彼女の知らなかった弱点を次々と露呈させて行く。  
弱いところを探り当てられる度にそこを弄り倒され、あられもなく喘ぎびくびくと震えさせられて―――  
全身がハヤテの涎まみれになった頃には、何もせずともヒナギクの呼吸は乱れ、全身はすっかり弛緩していた。  
 
ヒナギクの“触診”を終えたところで、ハヤテは一旦彼女から身体を離す。  
流石に舌が疲れたというのもあるが、既に次の手は打っているので、あとは彼女からのアクションを待つ。  
しばらくはただ荒く息をついていたヒナギクであったが、やがて口を開くと、小さく震える声で・・・  
 
「ね・・・・・・ハヤテ、くん・・・」  
「なんでしょう、ヒナギクさん?」  
「どうして・・・」  
 
そこでヒナギクの言葉が止まるのは、ハヤテの予想通り。  
その先を言葉にするのに彼女が抵抗を感じるのは、言うなれば当たり前のこと。  
言葉を促したりはしないのも、元から決めていたこと。  
 
「その・・・どうして・・・っ」  
 
仰向けに横たわる彼女の隣に座り、ただ顔を覗き込むだけ。  
決してハヤテの方から先を促そうとしないことで、ヒナギクはこれも彼の意図したことなのだと理解する。  
だが、わかっていても・・・  
 
「どうして・・・さわってくれな・・・っ、触らなかった、の・・・」  
 
肝心のところを隠したまま、それでも恥ずかしくて堪らない言葉を口にする。  
ハヤテが自分の顔を見ているのがわかって、紅潮しきったはずの顔が更に熱く火照るのを感じる。  
 
「・・・ええと、どこのこと、でしょうか?」  
 
主語が無いからわかりかねますよ、と当然のような顔で言うハヤテの言葉に、  
欠片ほどの誠意も込められていないことはヒナギクには充分過ぎるくらいわかっているし、  
彼がそれを隠すつもりも無いことも同様にわかっている。  
この執事は客の身体を悦ばせはするが、その気持ちは徹底的に弄ぶつもりなのか、とすら思うが、  
そう思っていても尚、そこは・・・触られもしなかったそこは熱く疼いて・・・ヒナギクの心を焦がすのだ。  
 
「だ、だから・・・っ、その・・・っ、その・・・」  
 
その身体の内から湧く火照りは、時間を置けばやがて冷めるのかもしれないが、  
今の状態で時間を置くということが既に選択肢としてありえないくらいに・・・ヒナギクは疼いていた。  
身体中の性感帯を責め苛まれ擦り込まれた快楽の刺激は、  
ヒナギクの中の一番奥で燻っていたところに新しい酸素となって送り込まれ、  
一気に燃え上がったそこはどうしようもなく熱く疼いて収まらないのだ。  
収まらないのに・・・期待すらしてしまっていたというのに、彼はそこ“だけ”は触れてすらくれなかった。  
 
「その、あの・・・っ、だから・・・・・・!」  
 
懇願するような瞳、今にも泣きそうな声。  
このまま焦らし続ければ、彼女はいずれ“その言葉”を口にしてしまうだろう。  
それはそれで自分の嗜虐欲を満たしてくれるのは間違いないのだが、  
同時に開き直られてしまうかもしれない可能性があり、それは面白くない、とも思う。  
要するに彼の嗜好の問題なのだが、ハヤテとしてはヒナギクには完全に恥じらいを捨てて欲しくはなく・・・  
 
「ではヒナギクさん」  
「・・・え?」  
 
ついに言葉を発したハヤテの顔が妙に優しそうな笑顔だったからなのか、  
思わず期待を込めた眼差しで自分を見上げるヒナギクの様子にハヤテは心の中でほくそ笑みながら・・・  
 
「足を、開いてもらえますか?」  
「え・・・」  
「これ以上ヒナギクさんを辱めては、三千院家の執事として失格ですから、ね♪」  
「あ・・・・・・う、うん・・・!」  
 
ぬけぬけと言うハヤテだが、心が限界に近かったヒナギクにそんなことを思う余裕は無い。  
ただ彼の言うとおり・・・自分の意図を汲んでくれた、としか思えない彼女は、  
それがどんなに恥ずかしいことか充分に分かっていながらも、  
恥じらいの陰に期待を隠し切れない表情で、摺り寄せるようにぴったりと閉じていた両足を少しだけ広げる。  
 
「こ、これで、いい・・・?」  
「もうちょっと、いいですか?」  
「あ、う、うん・・・」  
 
本来なら、死んでしまいたいとすら思うほどの恥ずかしい行為。  
男性の前で足を開き、言葉にすることすら憚られる場所を晒すという行為を、  
頬を羞恥で真っ赤に染めながらも、ヒナギクは甘んじて実行する。  
 
「ヒナギクさんのここ、すごい・・・濡れてますよ」  
「や・・・! そんな、見ないでよ・・・っ」  
「でも、見ないとちゃんと触れませんよ?」  
「・・・・・・っ」  
 
ナギとマリアの愛撫を受けて微かに解れていたそこは、シーツに小さな染みを作るほどに蜜を滴らせている。  
物欲しげに涎を垂らした“そこ”はいつでも彼を受け入れてくれそうに見えて、  
ハヤテのなかの欲求がむくり、と立ち上がるのを感じる。  
だが、あと少し・・・彼女が、指ではなくハヤテ自身を求めるようになるまで、  
あと少しだけ、我慢しよう。  
 
「じゃあ・・・触りますね」  
「い、いちいち、言わなくていいわよっ!」  
 
欲しくて堪らないハズなのに、それでも素直にそう言えない彼女は、それはそれで魅力的だとハヤテは思う。  
 
―――だからこそ、そんな彼女を屈服させて、自ら求めるようにさせる楽しみがあるというものですし♪  
 
等と思いながら、ハヤテの指はヒナギクの太腿に触れ、腰に向かって這い登り、  
 
「・・・ぁ・・・っふ、あ・・・んく、あ、あ、ああ・・・っ、ふぁあ・・・」  
 
ヒナギクをゾクゾクと焦らしながら太腿を登り尽くした指が、彼女の蜜にまみれた秘裂に達し、  
ちゅくり、とその指先を軽く沈め込むと―――  
 
「ぁ・・・あ、あ・・・! ひ、あ――――――んぁああああっ!」  
 
びくんっ! と、彼女の背中が大きく仰け反って浮き上がり―――  
ブリッジをするように反り返った身体は数瞬の後、くたり、と弛緩してベッドに沈む。  
息も荒くふるふると震える様子は明らかに・・・  
 
「あれ、もしかしてヒナギクさん・・・触られただけで軽くイっちゃいました?」  
「は・・・ぁっ、は・・・あ、は・・・っ、イ・・・!? ち、ちが・・・違う・・・わよっ!」  
 
絶え絶えの呼吸の合間に、それでも健気に語勢を強めて反論するヒナギクに、  
そんな態度が余計にハヤテの嗜虐心をくすぐることなど気付ける余裕は無い。  
他ならぬハヤテ自身に支えられた最後の自尊心で、そうと気付かず強がろうとする彼女は、  
ハヤテからすればもはや格好の玩具でしかなかった。  
 
「あら、そうでしたか・・・では続きを・・・」  
「え、ちょ、ちょっと待って! まだ、その・・・あぁあ!? や、やだ、待って! あ、ふぁ、ひゃあああ!」  
 
イったばかりの敏感になっている秘所に指を浅く沈め、  
秘裂に沿って軽く動かすだけでヒナギクはびくびくと震え、嬌声を撒き散らし乱れ悶える。  
彼女のそんなあられもない痴態にハヤテは自分の中の欲求が着々と膨れていくのを感じながら、  
ヒナギクの身体と心を更に蕩けさせるべくその指を蠢かせる。  
軽く綻んだ秘裂に沈めた指を裂け目に沿って上下に動かすと、  
 
「んぁ、あぅう・・・っく、はや、て・・・っくん・・・やぁあ! ゆび、そんなっ・・・ぁはあ・・・」  
 
ヒナギクは身悶えしながら髪を振り乱して嬌声を上げる。  
その指をもう少し深く沈めようと抉り込めば、  
 
「きゃ・・・あぁあ! ひぐ・・・っ、あ、だめ、ぁく・・・! おく、ひっ・・・だ・・・めえっ!」  
 
思い切り背を仰け反らせくわえ込んだ指をきゅうっ、と締め付ける。  
膨らんだ陰核を押したり摘んだりすると―――  
 
「――――――っ!? あ、だめ、そこ、や! つまんじゃ、や・・・っぁああああぁあっ!」  
 
甲高い叫び声を上げながら、ガクガクと身体を揺らす。  
ヒナギクの身体はもはや彼女の意思で動かすこともままならず、  
ハヤテの指の動き一つで震え、跳ね、仰け反り、恥ずかしい声を上げてしまう。  
力なく首を振りたくり、嬌声を垂れ流す口の端は涎にまみれ・・・  
そんなヒナギクの姿からは以前ハヤテが学園で見た凛々しい面影は消え失せて、  
劣情に屈し被虐的な悦びに溺れつつあるかのような、蕩けた表情が浮かんでいた。  
だが・・・それでも彼女の美しさが損なわれることは無く、蕩け乱れた姿はハヤテを昂ぶらせる。  
 
「ね・・・ヒナギクさん、こうすると気持ちいいですか・・・?」  
「あふ・・・! んく、ひゃんっ! し、しらない・・・ひぁ、や・・・んぁあっ!  
 ふ、ぅあ! あく・・・っ! は、ハヤテくんのっ・・・ばかっ! へんた、あ、ひゃ、ぃあぁあっ!」  
 
くちゅ、ぬちゅ、と音を立てながら、ヒナギクの秘裂はハヤテの手によって少しずつ解され、  
溢れる蜜は止まることを知らず、指を伝ってハヤテの手をべとべとに濡らすほどになっていた。  
指の動きに合わせて紡ぎ出されるヒナギクの嬌声もまた、決して止まる事はない。  
だが、延々と続く指戯によって昂ぶり甲高く響いていたヒナギクの嬌声は時が経つにつれ―――  
 
「は・・・・・・んっ・・・・・・あぁぁ、や・・・・・・ぅあぁ・・・・・・ん・・・っ」  
「あれ・・・少し静かになったと思ったら・・・どうしたんですかヒナギクさん? 僕のこと、じーっと見て」  
「ひぅ・・・・・・ぁ・・・え・・・? や、ちが・・・み、見てないっ!  
 ハヤテくんのこと、なんて・・・っ、べ、別に・・・・・・ん・・・くっ、見て、ない、わよ・・・っ」  
「あら、僕の勘違いでしたか?」  
「ぅん・・・・・・そ、そう、よ・・・・・・ぁ・・・ん、別に、何も・・・ない・・・ぁ!? ぅあぁああっ!」  
 
ヒナギクが喋り終えるのを待たずに指をぐりっと彼女の中に抉り込ませると、  
のぼせたような、力の篭らない虚ろに響く彼女自身の声をかき消すような甲高い嬌声が上がる。  
 
「お、またさっきみたいな声に戻りましたね・・・ここをこうされるのがイイんでしょうか?」  
「や・・・ひっ! あ、くぁあ! んぁ、だめ、やぁ! そん、な・・・っ、そこはっ! や、っぁあ!」  
 
ハヤテの指が抉るのは、ヒナギクの秘唇の奥―――彼女の、純潔の証。  
その狭い隙間に指をあてがってみたり、周囲の膣壁のごく浅いところに指を這わせながら・・・  
 
「ふふ・・・こんなにびくびく震えて、はしたない声で喘いでるのに・・・我慢は身体によくないですよ?」  
「ひぁうっ! ちが、あぁあ・・・っ! がまん、なんか・・・っ、して、なっ、や・・・っぁあ!」  
「さっきはあんなに物欲しそうに僕のことを見ていたのに?」  
「ち、ちがっ! 物欲しそうなんてっ! 別に、ひゃうっ! ひ、んぁあ! そんな、つもりじゃ、な、ぃあぁっ!」  
 
ハヤテの指使いはこれまでに無く強く、狭い隙間を無理矢理こじ開けんばかりにヒナギクの膣を抉る。  
ふとした拍子に突き破られてしまうのではないかと危惧する程の強引な愛撫だが、彼女は・・・  
 
「顔だけじゃありません、今だって、ヒナギクさんのアソコを指でぐりぐりしてあげると、  
 えっちな蜜がもの凄い勢いで溢れてるんですよ?」  
「う、うそっ! しらない・・・っ、そんなの、ひゃ、んぁぁあっ! ひぁ、しらないぃっ!」  
「それに、気付いてますか・・・?  
 ヒナギクさん、さっきから腰を浮かせて・・・自分から指にココを擦り付けてるって」  
「え・・・う、んぁあっ!? ひゃ、う・・・そ・・・」  
 
ヒナギクの声が止まる。  
そして、腰から尻にかけて感じるハズのシーツの感触が無いことを理解して・・・  
 
「ね、おわかりでしょう?  
 ヒナギクさん、本当は・・・この先・・・もっと奥まで、弄って欲しいんじゃないんですか?」  
「う・・・う、うそよっ! そんな・・・!」  
「こんな入り口だけ弄られても、もう物足りなくて我慢出来ないんじゃないんですか?」  
「うそ・・・こんな、ちがう、わた、わたしぃぁああっ!? ひぁ、やっ! やめ、ひぁ、や、いゃあああっ!」  
 
ぐちゅ、にゅちゃ、と卑猥な水音を立てて踊る指に対して、ヒナギクは余りにも無力だった。  
ハヤテに指摘されて、それを死ぬほど恥ずかしいと思っても尚、  
彼女の腰は指の動きに合わせてはしたなく蠢いてしまう。  
 
「やだ、ひぁあっ! ちが、ちがうのっ! こんな、わた・・・しっ! んぁあっ! やめ、ふぁ、んぁあ!」  
「恥ずかしがらなくてもいいのに・・・今のヒナギクさん、もの凄くえっちだけど、  
 本当にキレイで、艶があって・・・魅力的なんですよ?」  
 
「え・・・っ、ひゃ、い、いいっ! そんな、そんな魅力、いらないっ!  
 ちがうのっ、わたし、こんなんじゃ、な、っく、ぅあぁあ! ちが、やめ、も、あ! ひぁ! やめてぇ!」  
「ほら、こんなに腰を動かして・・・こういうヒナギクさんも可愛いですが、  
 ちゃんと素直になってくれないと、これ以上はしてあげませんよ〜?」  
「ひ・・・ん、っくぁ、ぅぁあ! い、いい、いらな、いっ! もう、あふ・・・! しなくて、い、あ、ふぁあ!」  
 
ほとんど泣きそうな声で、それでも頑なにヒナギクは拒絶を繰り返す。  
身体中がその先を欲しているのに、彼女のプライドが彼女自身の屈服を許さない。  
だがそれこそがヒナギクらしさでもあり、最後まで完全に屈服させずにおくのも、一興かもしれないな―――と、  
ハヤテはあくまで状況を楽しんでいる。  
・・・とはいえ、彼だって全くの余裕、という訳ではない。  
自分の手で乱れ喘ぐヒナギクの痴態を目の当たりにして、彼のモノは先程から激しく自己主張して止まず、  
狭いスラックスの中で膨張して解放されたがっている。  
―――そろそろ準備しないと、僕が先に・・・なんてことになっては三千院の執事の名折れ、ですよね・・・  
そう思って、彼は不意にヒナギクから手を離す。  
 
「いひ・・・あ、ぅ・・・ぁ・・・? え、あ・・・」  
 
不意に刺激を失ったヒナギクは、息も絶え絶えながら “何故?”と言いたげな表情で、  
その場から立ち上がるハヤテを見上げる。  
彼女の表情には言葉とは裏腹の物足りなさと、ここで終わってしまうことへの不安が満ちていて、  
ハヤテはそんな彼女の顔を楽しげに見下ろしながら、その肩に手をかけて・・・  
 
「ではちょっと体勢を変えましょう・・・起こしますよ?」  
「え・・・変える、って、え・・・?」  
 
何が起きるかさっぱり分からないといった風なヒナギクの上体を起こすと、ハヤテはその背後に腰を下ろす。  
ヒナギクは、背後に密着するように座るハヤテに自然と身体を預ける形になり・・・  
 
「・・・え・・・ええと、は、ハヤテ、くん・・・?」  
「どうしましたヒナギクさん? あ、早くさっきの続きを、ですか?」  
「ち、違うわよっ! そ、それより、あの・・・お尻というか、腰のところに、その・・・何か・・・」  
 
そこに当たる不自然な突起が、ヒナギクは気になって仕方無い。  
勿論それは、ハヤテのいきり立ったモノに他ならず、ヒナギクだってそれに気づいていない訳ではない。  
訳ではないが・・・  
 
「ああ、そんなに気になりますか?」  
「そ、それは、その! ええと、その・・・・・・」  
「ふふ、ご安心下さいヒナギクさん」  
 
背後から彼女の耳元に顔を寄せ、吐息を敏感な首筋に吐きかけるように囁きかける。  
 
「これでちゃーんと、ヒナギクさんのこと、犯してさしあげますからね♪」  
「・・・・・・な、な・・・」  
 
ハヤテの余りに露骨な物言いに、ヒナギクは思わず身体を硬直させる。  
だが、その身体を解すかの様に背後から手が伸びて・・・  
 
「っあ、ひ、や! や、め・・・あ、んあ、ぁ・・・は、う・・・んふ・・・っく、ひ、やぁあ!」  
「だってコレがこんなに大きくなってしまったのはヒナギクさんのえっちな声のせいなんですから、  
 当然ヒナギクさんを悦ばせる為に使ってあげなくちゃいけませんからね〜♪」  
「そんな、ひ、やぁ! しらないっ! あ、んぁあ! ハヤテくんが、あ、うく・・・ん、勝手に・・・っあぁ!?」  
 
右手が蜜の滴る秘裂を、左手が固く膨ち上がった乳首を弄り、さらには舌が首筋の敏感な場所を舐め這いずる。  
腰にハヤテの凶器の存在を感じながらも、再び始まった彼の愛撫の前にヒナギクは為す術も無く、  
注ぎ込まれる悦楽に身も心もぐずぐずに蕩けてゆく・・・  
 
「ひぅ・・・あ、んぁあ・・・っ、あひ・・・ぅ・・・んく・・・!」  
「ちゅ・・・ぷ・・・ん、ふふ、そう、そんな声でヒナギクさんが喘ぐから・・・  
 分かりますか? 僕のモノ・・・ヒナギクさんの身体みたいに、びくびく震えているんですよ?  
 早くヒナギクさんの中に入りたいって・・・・」  
「ぃあ・・・そんな・・・しらない・・・しらないわよ・・・っ」  
「そうですか、じゃあもう少し、分かりやすくして差し上げますね」  
 
そう言うと、一旦両手を彼女から離し、投げ出されるままになっていたヒナギクの両膝を抱えるように持ち上げる。  
自然と体育座りのような格好になった彼女の両足を背後から抱え込み、少しだけ背後から押してやると、  
ぐらぐらと不安定ながらもヒナギクはベッドの上でしゃがみこむような体勢になる。  
 
「な、なに・・・? 今度は・・・」  
「ええ、今度はこうです♪」  
「・・・!? きゃっ!」  
 
いきなり背後からの支えが消え、変わりにトン、と軽く背中を突かれたヒナギクは当然ながら前方に倒れ込む。  
 
「ぁうっ! ちょ、ちょっと、ハヤテくん!? なに、を・・・って・・・」  
 
顔からシーツに突っ込んだヒナギクはハヤテの悪戯じみた行為にむっとして声をあげようと彼を振り返り・・・  
自分がどんな格好をしているか、認識する。  
ハヤテの目の前で前方に倒れ込んだヒナギクはシーツの上で四つん這いになり、  
彼の前に腰を突き出すような、余りに無防備で恥ずかしい格好になっていた。  
 
「や、ちょっと、こんな格好・・・っひぁあ!? あ、や、やだっ! あ、んぅ! ふぁああ!」  
 
ヒナギクは慌てて体勢を整えようとするが、当然ながらハヤテがそれを許さない。  
逃げるように浮いた腰の下に手を潜り込ませ脚の間から彼女の秘所をまさぐるだけで、  
既に蕩けきった彼女の身体はがくがくと震え、押さえてもいないのに呆気なく動きは封じられる。  
まだ未通のままの入り口に溢れる蜜をくちゅ、にちゅ、と音を立てて掻き出すように弄ってやると、  
はしたなく喘ぎ声を上げながら悩ましげに腰をくねらせ、脚の間に割り込んだ手をきゅっと太腿で挟み締め付ける。  
 
「んぁ・・・あ、ひゃああっ! やめ、あ、ぅあぁあ! あ、ひ・・・んっ、あく・・・ふ、あは・・・ぁ・・・」  
「はは、ヒナギクさん・・・こんなに濡らして、腰を揺すって・・・  
 いやらし過ぎですよ・・・僕のこと、誘っているようにしか見えません・・・」  
「な、そんな、ち、が、ぁあっ! あひ! ちがう、そんな、や、ひぁああ! ちがうのっ! そん、な、あぁあ!」  
 
絶え間なく蜜を滴らせ、目の前で淫らに踊るヒナギクの尻はどうしようもなく淫靡で、  
かつて無い程に自己主張の激しいソレを用いて一刻も早く彼女を貪りたいという欲求は、もはや抑え難い。  
そして、彼女の―――ヒナギクの身体は、既に濡れそぼり蕩けきっていて―――躊躇う理由も無い。  
 
「ひ、ぃあ・・・あ、っふ、ゃあぁあっ! あぅ、ん、く、あ・・・ふぁ、あ、んぁああぁ・・・ぁ、ひぁあ・・・」  
 
ハヤテの指に休むことなく敏感な部分を弄ばれ続け、彼女の身体も声も、自分の意志を無視して震え、喘ぐばかり。  
残された最後の小さなプライドだけが認めないだけで、  
ヒナギクは彼の言葉―――自分を犯すという言葉―――に、今やどうしようもなく惹かれている。  
桂ヒナギクという存在のほとんどの部分が綾崎ハヤテの与える快楽に屈し、より深い快楽を求めていたから、  
はしたない程に濡れた秘所は貪欲に彼の指を貪りながら、それだけでは足りないと訴えるように疼き、  
欲しい、欲しいと腰が揺れるのを止めることが出来ない。  
 
それでも、それなのに・・・問われると、拒んでしまう。  
自ら求めてしまったら、自分が自分でなくなってしまうのではないか―――  
幼い頃に負った、今もなお消えない傷を覆い隠すために彼女が身に付けた心の強さという鎧が、  
砕けてしまうのではないかという不安・・・恐怖が、彼女のプライドを捨てさせてくれない。  
 
それ故に、今のヒナギクが望むのは―――その言葉どおり、犯されること。  
彼女の同意を得ずして、彼の独断で貫かれること。  
それならば、例えヒナギクの肉体が溺れ心が蕩け堕ちようとも、  
自ら負けを認めない、という彼女の最低限のプライドだけは守られるから。  
 
だから、くちゅくちゅと指が秘裂を弄る水音や自分自身の喘ぎ声に混じって、  
カチャカチャと微かな金属音が聞こえ、衣擦れのような音が続いたとき・・・  
ヒナギクは気づかないフリをして、身体を揺らし喘ぎ続けた。  
 
「ヒナギクさん、これ・・・なんだか、わかりますよね・・・?」  
「・・・っ! し、知らないっ! そんな、あ、や! そんな、擦っちゃ、だめ・・・ぁあ! やぁあっ!」  
 
片手でヒナギクを責めつづけながらもう一方の手で取り出したモノを、ハヤテは彼女の尻に擦りつける。  
自分でも苦笑してしまうくらいに膨れ上がったソレは酷く敏感になっていて、  
彼女らしく肉の薄い、だがそれでも柔らかく滑らかな尻肉に擦りつけるだけで、  
油断すれば達してしまいそうな程である。  
 
「じゃあ、こうしたらわかりますか・・・?」  
「え、や・・・! やぁあ! そこ、だめ、あ、ひ、ぁあっ! ひぁ、やぁああっ! っふ、んぁあああ!」  
 
愛液で指がふやけるほどに秘所を弄り続けていた指を離すと、  
そこへ代わりに固く張り詰めたモノをあてがい、裂け目に沿ってずるるる・・・と滑らせる。  
 
「ぅくぅううっ! やめ、ハヤテく、ぁああ・・・っ! や、も・・・あ、うぁあああっ!」  
 
びくん、びくんと脈動する熱く固い肉の凶器に秘裂と、その先にある肉の蕾を擦り上げられて、  
ヒナギクはより一層声を上擦らせる。  
性器に性器を擦り付けられる擬似的な性交行為に彼女の欲求は際限なく膨れ上がり、  
浅ましいほどに動いてしまう腰を抑えることが出来ない。  
 
「ふふふ・・・っ、ヒナギクさんのお尻、すごく物欲しげに動いてますよ・・・  
 ね、どうして欲しいんですか・・・? 言ってくだされば、ご期待に添えるようにしますよ?」  
「ひ、ゃああっ! し、しらないっ、いらないっ! なんでも、ないっ、からあっ!」  
「そうですか? これでも?」  
「―――っあぁああっ!? ひぁ、や、だめ! だめぇええっ! あ!? くぁ、っひ、んぁああっ!」  
 
背後から伸びた手が乳首をきゅぅうっと摘み上げ、舌が背筋を舐め上げると、  
ヒナギクの背がびくんと反り返り、声が裏返ったように上擦り響く。  
素股と同時に敏感すぎる胸の突起と先程ハヤテに開発されたばかりの性感帯まで刺激されて、  
彼女の理性はぐらぐらと揺らぐ。  
 
「本当にダメなんですか? 素直に言ってくれないと、ずっとこのままですよ?」  
「ダメ、だめぇえっ! こんな、あ、ひぁああっ! やめ、や、あ、ぅああっ! も、やぁああっ!」  
 
―――言わないで・・・聞かないでよ・・・それよりも・・・  
 
「いいんですか? こんなにここ、ぐちゅぐちゅに濡れてるのに・・・?」  
「いぁっ! やぁあ・・・っ、も、やめ、いやぁああ! だめ、だめぇえ・・・、も・・・うぁあ・・・っ」  
 
―――欲しい、欲しいの・・・はやく・・・早く!  
 
「・・・そうですか、分かりました・・・仕方ありませんね」  
「っひぁああっ、あ、あく・・・あ、ふ・・・? え、あ・・・ぁ・・・?」  
 
―――え、どうして止まるの・・・? もっと、もっと欲しいのに・・・最後まで、して欲しいのに・・・!  
 
ぴたり、とハヤテが動きを止めてしまうと、ヒナギクは為す術も無くふるふると震え、  
情けを乞うように振り返ってハヤテの表情を覗き見る。  
そんな彼女をじっくりと観察していたハヤテと目が合ってしまい慌てて顔を逸らすが、  
それだけでハヤテには充分だった。  
―――彼女とは思えないほどに浅ましく物欲しげに自分を見る、蕩けきったヒナギクの表情を確かめ、  
もはや躊躇は不要だと判断できたから。  
 
「ではヒナギクさん、本当は自分から欲しがってくれるまでお預けの予定だったんですが・・・」  
 
ヒナギクの秘裂を擦りあげ、彼女を乱れ狂わせていたハヤテの肉茎が一旦離されて、  
 
「こんなにえっちな声で乱れ続けられちゃうと・・・僕の方が我慢できなくなってしまいまして」  
 
角度を変えてその先端が彼女の秘所にあてがわれる。  
 
「そんな訳で、三千院の執事として恥ずかしい限りなのですが・・・申し訳ありません・・・」  
 
ふるふると震えるヒナギクの腰がハヤテの手によって捕まれ、固定される。  
 
「ヒナギクさんのこと、力ずくで犯しちゃうことにしました♪」  
 
その言葉に、ぞくりとヒナギクの身体が震えた次の瞬間に―――  
 
「っあ、ぁあぁ・・・あ、あぁ・・・! あ、ぎ・・・い、イ、っんぁああああぁああぁあ!」  
 
ぎち、みちっ! ず、ぶ、ずぶぶぶぶ―――  
 
躊躇無く突き込まれるハヤテの肉槍に純潔を散らされて、  
未通の狭い膣道を固い異物で強引にこじ開けられて、四つん這いで背後から犯されて・・・  
それでも疼き続けていた身体の奥まで貫かれ、その瞬間に求めつづけていたものが満たされて―――  
ヒナギクは、絶頂に達していた。  
 
「は、ぁ・・・っ、はう・・・ぁ・・・あ、は・・・ぁっ、あ、は・・・あく・・・ぅ、うそ・・・」  
 
自分でも、信じられない。  
破瓜の痛みは確かにあるのに、涙が出るほど痛いのに・・・  
ハヤテに責められ続け、とっくに陥落した身体を、肉欲を無理矢理に抑えつづけた反動なのか・・・  
処女であったハズのヒナギクは、その証を捨てた代償であるはずの痛みを実感しながら、  
貫かれた、犯された身体は同時に耐えがたいほどの悦びに震えていた。  
 
「驚きました・・・ヒナギクさん、処女喪失と同時に、イっちゃったんですね」  
「――――――っ! や、ちが・・・そ、そんな、っ、こ、と・・・・・・え、あ! や、んぁあっ!?  
 やめ、や、うごかしちゃ、あ、あぁあっ!」  
 
ハヤテの手が背後から串刺しにしたヒナギクの身体を這い、  
肉茎を咥え込む秘唇の傍の秘芽を、胸の先端で尖る蕾を指先で摘み、やや乱暴に揉み転がす。  
同時に、ゆっくりと・・・ヒナギクを貫いた肉の槍が動き出し、破瓜の血の滲む膣壁を擦り上げる。  
 
「初めての時は痛くてマトモに出来ないことも多いって聞いてましたから、  
 これでも細心の注意を払って犯してあげる予定だったんですが・・・  
 ヒナギクさんって、もの凄い感じやすいんですね・・・お陰で安心して犯してあげられます♪」  
「い、ひ・・・っ、ちがっ! いた、いたい、のっ! ほんとに、痛いんだから、やめ、あ、ふぁああっ!」  
 
がくがくと身体を揺らしながらヒナギクが上げる声は言葉こそ悲鳴のようであったが、  
明らかに上擦って震える声質は、悦楽に喘ぐ嬌声以外の何者でもない。  
処女を失ったばかりのハズのヒナギクの身体は絶頂の余韻すら冷めやらぬままに愛撫され犯されて、  
破瓜の痛みすら霞むほどの快楽の渦に呑み込まれ、更なる悦びに溺れようとしていた。  
 
「じゃあヒナギクさんは痛いのも気持ちよく感じちゃう、真性のMってことですかね〜?  
 今だって、そんなに気持ち良さそうに“痛い”なんて言われちゃうと・・・もっと強くしたくなっちゃいます♪」  
「うそっ!? ちが、ちがぁああっ! こんなのっ! ちがう、わたし、ちがっ、あ、んぁあああっ!」  
 
背後から犯されてあられもなく乱れ悶えるヒナギクの痴態は、  
くわえ込んだハヤテのモノをキツく締め付ける彼女の膣の感触と相まって、彼の欲求を際限無く掻き立てる。  
処女を失ったばかりの彼女がココまで快感に溺れることへの違和感など、すぐにどうでもよくなった。  
彼女が犯されて悦んでくれるなら、彼もまた喜んで彼女を犯し、貪るだけのこと。  
 
「っく・・・ヒナギクさんの中、凄い・・・きゅうきゅうに締め付けて・・・気持ち、よすぎですよっ」  
「んぁああっ! やぁ、そんな・・・言っちゃ、いやぁ! だめ、こんなの、ふぁあっ! あ、んくぅうっ!」  
 
じゅぶぶぶぶ・・・ずぷぷぷぷ・・・と、  
初めこそゆっくりとした抽送でヒナギクの膣の感触を味わい確かめるようにしていたハヤテだが、  
抜き差しする度に肉茎をキツく締め付けて絡み付いてくる無数の襞による愛撫の前に、  
加速する腰の動きを抑えることは出来なかった。  
 
「ぃあぁああっ! だめ、だめぇっ! こんな、激しすぎて・・・ぇ! だめ、なかっ、こすれてぇえ!」  
 
ハヤテの肉茎に膣内を掻き回される感覚は電撃のような激しさで脊髄を遡り、  
ヒナギクの脳髄まで達し、意識を、心をも、犯す。  
彼女に快楽に抗う術は無く、抗おうとする意識すら希薄になって行く。  
 
「ひ・・・ぁあっ! あぅ・・・んく、うぁあっ! やぁ、もう、もうっ! だめ、ひぁああっ!」  
「あは・・・、ヒナギクさん、凄い気持ちよさそうです・・・上手く出来てなによりですが・・・でも、  
 白皇の生徒会長ともあろうお人が、いいんですか? こんなに・・・淫乱で・・・」  
「いひっ! い、んら・・・ち、ちがっ! いんらんなんかじゃ、あ、な、ぁああっ! ない、ちが、うぁああ!」  
 
悦楽に蕩けかけていた意識が、羞恥で目を醒ます。  
あからさまに取り乱す彼女の様子に、ハヤテは嗜虐欲を満たしながら・・・  
 
「なんたって初めてでこんなにあられもなく乱れちゃって・・・  
 痛みより気持ちいいのが勝っちゃうんですから・・・こんなこと、生徒の皆さんが知ったらどう思われるか・・・」  
「や、だめ! だめよっ! 言っちゃダメ、こんな、あ、んぁあっ! 言っちゃ、ダメなんだから、あ、いひぁっ!」  
 
泣きそうな声で喘ぎ混じりに訴えてくるヒナギクが可愛くて、更に腰の動きを速めながら、  
 
「っく・・・ふふ、大丈夫です、ご安心ください・・・三千院の執事は、お客様を辱めたりはしませんから♪」  
「ふ・・・んぁ! ほ、ほんとう、ね!? 嘘だったら、あ、っく・・・んぁあっ! ヒドイんだから・・・っ!」  
 
我ながらよくもまあぬけぬけと、とハヤテ自身も呆れながら口にした台詞だったが、  
乱れ、蕩け、錯乱しきっているヒナギクには、既に辱められ尽くしていることなど気づきもしない。  
そんな隙だらけのヒナギクに、折角なのでもう一つ約束を取り付けてしまおうと思い―――  
 
「でもヒナギクさん、これから大変ですよねぇ?」  
「え、な、何が・・・あ、んく・・・っふぁ!」  
「だって、えっちなことが自分でもわかっちゃいましたから、これから先・・・身体が疼いたときとか・・・」  
「な、え、えっちって! それは、ぅあ、あ・・・んっ! んく、ひぁ、やぁ! ハヤテ、くんが・・・ぁ!」  
「うーん、そうですよね・・・そうなったら、やはり僕が責任を取るべきですよねぇ・・・  
 では、こういうのは如何でしょう?」  
 
演技の致命的に下手なハヤテの喋り方はどうしようもなくわざとらしいのだが、  
ヒナギクの方でもそんなことに気づける余裕など無い。  
ただ、言われるままに、実際にこうして快楽に溺れてしまっていることもあり、微かな不安がよぎってもいたので、  
休まることなく続く抽送に喘ぎ悶えながら、彼の言葉の続きを待つ。  
 
「折角僕も白皇の生徒になったことですし、これから学校のある日は毎日、  
 放課後に生徒会室でヒナギクさんのこと、犯して差し上げますよ♪」  
「ひっ! な、ちょ、ちょっと、あ、ふぁあ! それは、そんな・・・ダメよ、そんなっ! あ、ひあぁっ!」  
 
余りに無茶な物言いに反射的に拒むヒナギクだが、ハヤテは構わず続ける。  
 
「放課後に生徒会室でお仕事しているヒナギクさんをソファーに押し倒して、裸にして抱いてあげたり・・・」  
「やだ、そんな、あぅうっ! ダメよ、そんなの、ひぁ、あ、やぁあっ!」  
「執務机に両手をついてもらって、制服姿のまま後ろからスカートだけめくり上げて挿れてみたり・・・」  
「言わないでっ! そんな、やだ、だめぇえ! 言っちゃだめ、ひ、んぁあっ! やめ、やぁああ!」  
 
ぎちゅ、ぐちゅ、と抽送を続けるハヤテの肉茎を咥え込むヒナギクの膣が、きゅううっと締め付けを強くする。  
 
「あとは、そうですねぇ・・・高所恐怖症のヒナギクさんを無理矢理テラスまで連れ出して、  
 柵に寄りかからせてガタガタ震えて泣きそうなところを滅茶苦茶に犯しちゃうとか・・・如何ですか?」  
「や、や! やだぁっ! そんなの、いや、やだ、いやよっ! そんな、されたら、わたし、ダメ、だめぇえ!」  
「でもヒナギクさん、口ではそんなこと言いながら、  
 中はさっきから悦んでるみたいにきゅうきゅう締め付けてきてるの、気付いてます?」  
「な、そんな、ぅあぁあっ!? や、しらないっ! そんなの知らないっ! あふ、んく、んぁあああっ!」  
「僕の言ったことを想像して、期待しているんじゃないんですか〜?」  
「や・・・ち、ちがっ! そんなこと、ない、ない、あ、ふぁあっ!? や、はげし、まって、ちょ、うぁあ!」  
 
もっと言葉で追い詰めてしまおうとも思っていたハヤテだったが、  
ある意味それが仇となったか・・・あまりに締め付けられたハヤテ自身の限界が見えてきてしまっていた。  
なので、今はもう目の前で淫らに乱れ、それでもなお魅力的な彼女を責め立てることだけに集中する。  
 
「い、ひぁああっ! まって、ひっ! ハヤテ、くんっ、だめ、ひぁあ! はげしっ、すぎて、わた、あ、ふぁあ!」  
 
ヒナギクの身体中の性感帯を弄り回していた両手を細い腰に据えて、固定したソコに自分の腰を打ちつける。  
ぱんっ、ぱんっ、ぱしんっ! とヒナギクの尻をハヤテの腰が打つ音と、  
ずちゅ、ぐちゅっ、じゅぷっ! と彼女の濡れそぼった蜜壷を肉茎が穿ち突き回す音が、  
重なってリズミカルに、そして徐々にテンポを上げながら部屋に響く。  
 
「や、ひぅうっ! まって! だめ、こんなっ! されたらぁっ! わたし、もう、あ、ひぁ、やぁああっ!」  
 
同じリズムでヒナギクが上げる嬌声も、一突きごとにトーンが上がり、かすれ、昂ぶってゆく。  
身体の震えはどこまでも激しくなり、シーツを握る手に力が篭る。  
 
「だめ、だめぇえっ! わたしっ、また、またぁ! や、はげしっ、イぁ、あ、ひぁあっ! ダメよぉっ!」  
「ヒナギクさんっ! イきそうなんですね・・・僕も、そろそろ・・・だから、我慢しないで・・・っ」  
「そんな、でも、あ、ふぁあっ! やぁ、やっぱり、あ、ひぅうっ!  
 だめ、あぅ・・・っ、ダメっ! だめなのにっ! あふ、ふぁああ!」  
 
イかされる恥ずかしさに、ヒナギクは何とか抗おうとしているようだったが、  
ハヤテの腰使いが更に激しくなり、獣の如く暴力的なまでに膣内を肉槍で突き回されて―――  
 
「いひぃっ! やぁっ! だめ、もうだめっ! だめぇえ! きちゃう、ふぁ、うぁああっ! わたしっ、もうっ!」  
 
絶頂を迎える前兆のように、ヒナギクの膣肉がきゅ、きゅうっ、と小刻みにハヤテのモノを締め付ける。  
その刺激がハヤテにも限界を悟らせて―――  
 
「ヒナギクさんっ、僕も、もう、もう・・・!」  
「わたしっ! わたしもっ、ハヤテくんっ! きちゃう、わたし、もう、イく、イっちゃう、イっちゃ、あ、あ・・・!」  
 
最後に思い切り強く、ヒナギクの中の中、奥の奥まで肉槍を突き入れると、  
決壊寸前まで堪えきったバルブを解放する。  
あとは、勢いのままに・・・  
 
「――――――っ! 出るっ! 出ます・・・っ! ヒナギクさんのなか、出しますっ――――――っくぁああ!」  
「っひぁあ! え!? や、びくって、え、うぁ―――――――――ぁあああぁああああっ!」  
 
びゅくんっ! びゅるるっ! びゅぴゅっ――――――!  
 
激しく脈動しながら、ハヤテの肉槍の穂先から熱く滾った精液が何度も何度も噴射される。  
ハヤテと時を同じくして絶頂を迎えたヒナギクは、  
最も敏感になった瞬間の膣内に、子宮口に、熱く粘る精液の塊を叩きつけられるように注ぎ込まれ―――  
 
「やぁ、あぁああああっ!? 出てるっ! ハヤテくんの、なかに、なかにぃいっ!  
 や、すご、あ! だめ、あ、うぁあっ! んぁああああ―――――――――」  
 
これまでと桁違いの激しすぎる快感に乱れ悶え、絶叫じみた嬌声を上げながら身体中を痙攣させて―――  
やがて、意識を失った。  
 
それからしばらくして・・・  
 
目を醒ましたヒナギクはベッドに横たえられていて、  
ふと横を向くと、自分を微笑みながら見つめているハヤテの顔があった。  
 
「お目覚めですか、ヒナギクさん♪」  
「え、あ・・・う、うん・・・」  
 
相変わらずの毒気の無い無防備な笑顔に、思わず見ているだけで赤面してしまう。  
だが、兎にも角にもまずは問い詰めないといけないことが・・・  
 
「ハヤテくん・・・」  
「なんでしょう、ヒナギクさん?」  
「中で・・・出したわね・・・?」  
 
自分でも乱れきっていた手前、あまり強くは出られないものの・・・何も言わずに済ませる訳にも行かない。  
 
「あ、もしかして・・・危険な日、でした?」  
「べ、別にそうじゃないけどっ!」  
「そうでしたか、ならよかった♪」  
「よ、よ、よくはないでしょうっ!? そんな、中でなんて・・・それじゃあ、まるで、その・・・」  
「でも、気持ちよかったんじゃないですか?」  
「え、そ、それは、その・・・で、でも・・・」  
「僕はヒナギクさんの中、凄く気持ちよかったですよ?」  
「う・・・あ―――」  
 
余りに邪気の無い笑顔で答えられて、ヒナギクはそれ以上言葉が続かない。  
 
「でも・・・そうですね、確かに無思慮に過ぎました・・・  
 というか、正直ヒナギクさんの中が気持ちよすぎて、我慢できなかったと言いますか・・・」  
「も、もういいわよっ! 過ぎたことだし・・・!」  
 
逆に改めて言葉にされると先程の恥ずかしい場面がリフレインされてしまい、  
身体が疼いてすら来そうで慌てて頭を振ってイメージを追い払おうとして、ふと思い出す。  
 
「そ、そうね・・・じゃあ、悪いと思うなら、そう、一つだけ・・・言うことを聞いてくれるかしら?」  
「い、言うこと、ですか・・・ええと、それは・・・」  
 
ヒナギクの不意の反撃を、ハヤテは自分の非を認めてしまった手前、断ることも出来ない。  
彼女を一方的に犯してしまった彼に、果たしてどんな無茶な要求を言い渡すつもりなのかと身構えてみるが、  
彼が想像したよりもヒナギクの表情にいたずらっぽさや悪巧みの気配は無く、むしろ恥ずかしげに朱に染まり・・・  
 
「今度から、学校で・・・」  
 
そのキーワードにぴん、と来るが、ここは言わぬが花。  
 
「その・・・ほ、放課後は毎日、生徒会の仕事を手伝いに、生徒会室まで来ること! い、いいわねっ!?」  
 
それが言葉通りの意味でないことは、彼女の真っ赤に染まった顔から良く分かる。  
学校に通えるようになっただけでも嬉しかったが、そこに更に特典がついてきた訳だ。  
これからの学校生活は、どうやらとても素敵なものになりそうで、  
恥ずかしくてたまらないとばかりにぷいっと顔を背けてしまったヒナギクに向けて―――  
 
「はい、わかりました! これから毎日、宜しくお願いしますね、生徒会長さん♪」  
「―――――――――っ!」  
 
表向きは彼女に忠誠を誓うように、  
そしてその実、彼のモノとなった彼女にその事実を宣言するように、  
楽しげにハヤテは言った。  
 

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