「side Student Council President」  
 
「これを…受け取ってください…」  
西沢さんの体温が暖かい。  
「え…、あ…」  
「うん、ハヤテ君ありがと!! バイバイ!!」  
そのまま石化した僕を残し、西沢さんは走り去った。  
 
どうしよう?  
 屋敷に帰ろう……  
 西沢さん、どうしよう……  
→ヒナギクさんが不機嫌だった、会いに行く  
 
 
それは偶然の結果。  
西沢さんは信号で止まっていて、ハヤテは屋根の上を飛んでいった、その差だった。  
 
 
(私はきっと正しい選択をした……正しい選択をした……)  
「……」  
手の中にあった、本来ここにあるはずじゃなかったチョコレート。  
それを少しだけ噛んで、味わう。  
(……にが………)  
「ヒナギクさん!!」  
聞きなれたその声。  
振り向くといつものようにその少年がそこにはいた。  
「――ハヤテ君。……あのコからチョコは貰った?」  
「あ、はい。貰いました」  
「そう、良かったわね。本命よ、それ。では、ごきげんよう」  
つい、冷たく当たってしまう。  
私は、期待してたんじゃないの――  
(そんなことはないわ……。何を考えてるの私は……)  
「待ってください!! すいません、僕が何か悪いことしましたか?」  
「あら、どうして?」  
「それは――」  
ハヤテ君の視線が下を向く。すると私の手がその視線に見つかった。  
「チョコレートですか? 食べ歩きなんて駄目ですよ、ヒナギクさんだって女の子なんですから」  
「ち、違うわよ!! これはハヤテ君に渡そうとしたけど――」  
(しまっ……)  
「僕に?」  
「そうよ!! なのにハヤテ君たらさりげなく本命貰おうとしてるから……」  
(これだと完全に逆ギレじゃない……)  
「それを、僕にですか。すいません――」  
ぐい、とハヤテ君が私に迫る。  
その顔の近さに顔を赤らめ、ヒナギクは視線を逸らした。  
「執事として、女性に恥をかかせるようなことはできません」  
「んっ――――」  
ハヤテ君の唇が私の唇と重なる。  
突然のことに頭が真っ白になる。  
さらにハヤテ君は舌を私の口の中に――  
「ん…ふっ……ちゅ、んんっ――」  
口の中をハヤテ君の舌が這い回る。  
私の全てを味わうように、隅々まで、永遠と。  
チョコと一緒に私までも溶かされそう。  
「ちゅ――」  
唇が離れる。  
「美味しいですよ、ヒナギクさん」  
「当然よ……私が作ったやつだもの」  
顔の火照りは消えていなかった。  
まだハヤテ君と目を合わせることはできなかった。  
(でも――もう、我慢できないわ……)  
「ハヤテ君」  
「はい、何です。ヒナギクさん」  
「残しちゃ……ダメじゃない」  
ぺろ、と舌を出してハヤテ君に見せつける。  
そこにもうチョコは無かった。  
「はい、すいません」  
再び2人は口付けを始めた。  
 
 
 
「あ!! あの!!」  
ハヤテ君と別れた私は後ろから誰かに呼び止められた。  
 
 
 
それから。  
西沢――さんだったかしら。  
(何だか……調子が狂うわね)  
罪悪感に沈み、優越感で上昇する、不思議な感情で生徒会室へと戻った。  
カチリ。  
鍵を閉める。  
(このまま私が死んでたら密室殺人ね……)  
「ハヤテ君?」  
「はい」  
どこから来たのか窓から入ってきた。  
(でもこんな執事さんもいるし、密室ではないわね……)  
「えーと、何でしょう?」  
「どうだった?」  
「あ、はい。ナギお嬢様はまだチョコレートを作ってるようでしたよ」  
「おしいわ……あの子のチョコ食べたかったのに」  
「それだけですか?」  
(ハヤテ君て……天然?)  
「来て……」  
ソファーに腰掛け指でハヤテ君を誘い込む。  
「あ、はい。来ましたよ?」  
「……」  
じとー、とハヤテ君を睨む。  
「え? え?」  
私はわざとらしく大きく溜息を吐いて制服を脱ぎ始める。  
「ヒナギクさん――?」  
「……女の子が誘ってるのよ。三千院の執事は最後の最後で泣かせるの?」  
慣れない上目遣いでハヤテ君を見つめる。  
「あ――」  
今度はハヤテ君が顔を朱に染め――そのまま私を押し倒した。  
 
「うっ――」  
ハヤテ君のが私の中に完全に収まり、ハヤテ君が悶える。  
「っ……どうしたの?」  
「ヒナギクさんの中――すごいです」  
「へぇ……ハヤテ君のも結構立派よ」  
沈黙――  
言うことは無く、ただお互いの唇を求めた。  
「は――んっ――ゅ――ふっ」  
貪るように、お互いの舌を交わらす。  
「動きますよ?」  
「ええ……いいわ」  
ゆっくり、慎重に腰を動かし始めるハヤテ君。  
「んっ――、は――んん」  
ハヤテ君の熱いものが私の中で動いてるのがよく分かった。  
「ヒナギクさんの中、狭いです……」  
「だから、何?」  
「気持ちいい、です」  
「私も同じ気持ちにさせてよ、ハヤテ君……」  
「……はい」  
ハヤテ君の腰の動きが速まり、回転し、様々な場所を貫く。  
「や――ハヤテ君っ、んっ……」  
「ヒナギクさん、かわいいですよ」  
「んんっ、はっ――そこ、そこよ。ええ、そう」  
どんどんハヤテ君の速度は上がる。  
(……気持ちいい)  
あえて声には出さなかった。  
 
何分経ったか分からない。  
1時間かもしれない、1分かもしれない。  
「ハヤテ君!! はっ! や、い、イイわ、んっ! ――」  
「ヒナギクさん――そろそろ」  
「情けないわね……でも、私も――もう」  
ハヤテ君と私のの結合部はもうぐちゅぐちゅだった。  
「じゃあ――外に」  
それを聞いて私はハヤテ君を抱きしめる。  
「ヒナギクさん――――!?」  
「ハヤテ君――少し早いホワイトデー、でっ、私の中にハヤテ君のっ、この日の跡をっ、残して――」  
「くっ――」  
ハヤテ君のモノから熱い何かが私の中に注がれる。  
「は――、あったかいわ」  
「ヒナギクさん――」  
「大丈夫よ――」  
私はハヤテ君に再び唇を重ね――  
「安全日じゃないから」  
最高の笑顔を向けた。  
 
 
end  
 
 

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