「で、用っていうのはなんなんだ?」
ハヤテから「大事な用がある」と呼ばれ、ワタルは三千院の屋敷を訪れていた。
どこか顔の赤いマリアに案内され、ハヤテの部屋に通された。
ハヤテの部屋は、三千院家の屋敷の中でも異色と言えるほど質素で……といっても
一般的観点から見るとほぼ標準的な部屋なのだが、周りの部屋と比べるとやはり相対的に質素に見える部屋だった。
部屋の隅にはブラウン管のワイドテレビが置かれていた。
少々古い型で、屋敷の中にある他のテレビが全てプラズマテレビであることを考えれば、
やはり異色としかワタルは感想を覚えなかった。
「いえ、実は、ワタル君に面白い物を見せてあげようと思いまして、ね?」
「ほほう? そうか。 だが、俺をそう簡単に驚かされはしないぞ」
「まあ、見ていてくださいよ。 ちょっと取ってきますから」
ワタルはそのままハヤテの部屋の椅子に座らされ、外へと出て行くハヤテの背中を見ていた。
ふと、ワタルはハヤテの部屋に違和感を覚えた。
テレビの横に置かれた本棚には、医学書がぎっしりと詰まっている。
何故、医学書? と思い、本棚に目を向ける。
そっと手を伸ばし、本に触れると……。
「……?」
ワタルはなんだか奇妙な感触を覚えた。
綺麗に整頓されている中、一冊だけ凸となって置かれている。
一応、ハヤテとて三千院の執事。
ここまで完璧に整理がなされているのに何故……。
「……なんでこんなものがこんなところに?」
本のタイトルは、『メガネ君と秘密の物置部屋』……ハードカバーの小説らしい。
医学書の中に、何故か小説……そもそもなんでハヤテの部屋に医学書が? とワタルは考えた。
「……ん? ……とれないな……なんかつっかかってるのか?」
その本を引っ張ろうとしても、中々抜けない。
全力をこめると、かすかにずずっと動いたように見えた。
ワタルが、このままいけるか、と思った瞬間。
「あ、ワタル君、用意できましたよ」
ハヤテが部屋に戻ってきた。
ドアを背にしたまま立ち、後ろ手に何かを隠し、ワタルには見せないようにしていた。
そして、そのハヤテの持っている『何か』はほんのわずかに開いたドアの隙間を通り、廊下へとつながっているようだった。
「で? 面白い物っていうのは一体なんなんだ?」
本棚からパッと離れ、何事もなかったかのようにワタルは再び椅子に座った。
ハヤテも、ワタルが勝手に人の部屋の本棚から本を抜こうとしていたのを見ていたはずなのだが、
何も言わず、ただいつものニコニコした笑顔を浮かべているだけだった。
「驚くのはいいですけど、腰を抜かしたり、心臓発作を起こしたりしないでくださいね。 ほら……来てください」
ハヤテの持っていたものがワタルの目に晒された。
それは金属製の鎖で、ハヤテが引っ張るとじゃらと音を立てて一直線上に張った。
廊下にある『何か』がその鎖で繋がれているのが、自ずとワタルにも理解できた。
さて、その『何か』というものは一体何なのか。
『来てください』……ハヤテは『来てください』とその『何か』に対して言った。
ということは、物ではなく……動物か何かということだ。
しかし、タマではない。
鎖に繋がれている『何か』がタマであるならば、ワタルを驚かせる要因ではないのだ。
ほんの少ししか開いていなかったドアが、ゆっくりと、ものすごくゆっくりと開く。
ワタルの鼻腔に酸味のある匂いが突き刺さった。
ワタルはそれらの情報から得た一つの予測を頭に浮かべ、肝を冷やした。
「なっ……!!」
『何か』が部屋に入ってきた。
何百万本もある長く美しい黒の糸をだらりと地面につけ、四本の棒でバランスをとる、それ。
ハヤテの至極丁寧な命令と、鎖を握る手にいれた力具合に従って、ゆっくりと『何か』は部屋に入ってきた。
ワタルは一瞬目眩を起こし、一歩後ずさった。
が、『何か』は、更に部屋へと入ってくる。
表面は、白く、それに薄めた赤をごく薄く塗ったような色で、小刻みに震えていた。
『何か』は布を何一つ持っていなかった。
ただ、酸素や『何か』の中に流れる赤い液体などを運ぶ部位には、鮮烈な赤い輪がつけられ、
更にその輪には鎖がつながれ、そしてまた更にその鎖のもう一端はハヤテの手の中へと伸びていた。
ワタルは、とてもとても苦い唾を飲み込み、こう言った。
「……い……すみ……?」
それは『何か』の名だった。
『何か』はそのワタルの声に呼応するようにかすかに音を発した。
しかし、その音の意味するところがワタルにわかるほど音量が大きくなく、
ましてや聞き取れたとしても、今のワタルでは理解できなかった。
十秒が過ぎた。
ワタルにとって長い十秒だった。
今まで生きていた時間よりも長い、とワタルはその十秒に感じていた。
その中身は全くの虚無で、ワタルはその間何も考えなかった。
そして、十秒後。
一気に燃え上がった。
「て、テメェェェェ。 伊澄になんてことしてんだッ!」
ワタルはただ拳を固めると、ハヤテ目掛けて飛び込んでいった。
武器を使う、とかそんなことは何も考えず、弾丸のように一途に飛び込んでいった。
ハヤテはただ、ニコニコと笑いつつそんなワタルを見つめていた。
拳はハヤテに当たることはなかった。
壁にも、空にも当たらなかった。
「……い……すみ?」
地にあった『何か』が、『伊澄』という名前を取り戻し、立ち上がってワタルの拳を受けていた。
殴られた頬は早くも赤くなり、腫れていたが、それでもかろうじて立っていた。
「な……なんでだよ……」
やってしまったことが理解できたワタルは、その場から逃げるように部屋の奥へと走った。
が、ただの狭い部屋で逃げる場所なんてどこにもない。
すぐに壁に突き当たり、再び様子をうかがうように振り向き、恐怖にわなないていた。
「ワタル君……やめてください」
追い打ちをかけるように伊澄が言った。
明確な拒絶を表す言葉によって、ワタルの脳は一時的に停止状態に陥ってしまった。
ハヤテをかばうように手を広げている伊澄の顔に、そっとハヤテが手を添える。
「伊澄さん、大丈夫ですか? まさかワタル君がいきなり殴りかかってくるとは思わなかったので」
そう言って、ハヤテは伊澄の赤く腫れた頬をぺろりと舐めた。
伊澄は特に抵抗することなく、顔を別の意味で赤くして、腫れた部位にハヤテの舌の愛撫を受けていた。
その光景を見て、ワタルの脳は再び起動しはじめた。
さっきの拒絶の言葉も伊澄はきっとハヤテに脅迫されているのだ、と解釈した。
それを助けるのは自分の役目である、と。
事実、伊澄はハヤテに『脅迫』をされていた。
が、しかし、伊澄本人は解放されることをよしとはしていなかった。
ワタルが再び拳を固めた瞬間、ハヤテは懐から一枚の札を取り出し、伊澄に渡した。
伊澄は札を受け取るなり、なんらかの呪文を唱え、その札をワタル目掛けて投げた。
驚きの声すら出せず、ワタルは札に命中する。
そして、そのままワタルの体は硬直した。
「ハヤテ様、ワタル君はもう私が術をとかない限り動くことはありません。
ハヤテ様のお望み通り、目は見えますし耳も聞こえますけど……」
「はは、いつ見てもすごいですね、伊澄さんの術は……。 なまじかけられたことがあるだけに威力がわかりますよ。
あ、ちなみにしゃべったりすることはできるんですか? 別にしゃべれなくてもいいんですけど」
「一応言葉を言うことはできません。
うるさいと……その……ハヤテ様と……をするとき集中できませんから。
あと……あまりあのときのことはおっしゃらないでください」
「ええ、まあ、あのときはねぇ。
あんな術が使えるとは思って無くて、一番懐いてくれていて一番ひ弱そうな伊澄さんが一番手こずったりましたしねぇ。
いや、人は見かけによらないってのは本当ですね。
まあ、僕を燃やそうとしたり凍らせようとしたりして抵抗してきた伊澄さんも、あの後必死に謝ってくれましたし、
今こうして役に立ってくれているんですから、もう気にしてませんよ」
まるで、好きな食べ物の話題をするかのように軽く話す二人。
しかし、その言葉の裏には、ワタルには想像すら出来ない事件があってのことだった。
「と、ワタル君を放っておいてはいけませんね。
さて、どこから話していきましょうか……」
「ハヤテ様……そんなことより……伊澄に、伊澄にどうかお情けをください」
「……え? ああ、そうでしたね。 それに……言葉で説明するよりヤっちゃった方が早いかもしれませんし」
伊澄がついばむようにハヤテにキスをする。
ハヤテは伊澄を拒むことなく、受け入れ、果てには口から自分の舌を出した。
その行為の意を組んだようかのように、伊澄は顔を赤らめさせ、そっとハヤテの口を小さな唇で挟んだ。
ワタルは、そのときになってようやく今の事態をちゃんと見ることができてきた。
まず、大事なことは伊澄が今、裸であること。
一糸まとわぬ、と言ってもほとんど正しい……首輪があるが、それは肌を隠すための用途のあるものではない。
今はハヤテに寄りすがるように立っているので、本当にきわどいところは見えていないが、
それでも伊澄の染み一つない白い臀部が露わになっていた。
ワタルにはまだ衝撃的すぎる光景だった。
しばしの間、ワタルは状況を忘れ伊澄の臀部をじっと見つめていた。
が、そこに邪魔が入る。
「あ、あん……ハヤテ様……」
ハヤテの手が伊澄の肩から段々と下がっていき、伊澄のお尻で止まった。
そしてそのまま手は尻を撫でるように動く。
「ほら、ワタル君が見ていますよ……見せているんですけれども」
「やっ……わ、ワタル君……見ないでください」
伊澄がさっと手で自分の体を隠すように覆った。
「何を言っているんですか。 今の今までずっとワタル君は伊澄さんの体を見ていましたよ。
お尻も胸もアソコも。 今更見られてもどうということはないじゃないですか」
「で、ですが……それはハヤテ様を守るのに夢中で……
いくらワタル君でも、ハヤテ様以外に見られるのは……」
「気持ちは嬉しいですけど。 でもそれだけじゃダメなんですよ」
「ひゃ……や、やめてください、ハヤテ様!」
ハヤテが自分の手を伊澄の膝の裏に絡ませ、ぐいっと引っ張りあげた。
伊澄はバランスを崩し、転びそうになったが、反対側からハヤテが伊澄の体を押さえた。
片足を上げられるということは、伊澄の一本のスジがワタルの目に晒されることというわけで。
「ほら……ワタル君が伊澄さんの裸を見て興奮してますよ」
「い、いやああ! やめて……やめてください、ハヤテ様!」
なんとかワタルに自分の体を見られまいと、身を捩って抵抗する伊澄。
しかし、強靱な肉体を誇るハヤテの前にはどうにもならず、大きく股を開かれてしまった。
「み、見ないで……ワタル君……」
伊澄の目から涙が落ちる。
ワタルは自分が思いを寄せる女の子の涙を見ても、その伊澄の白く澄んだ肌と
そこに入る秘めやかな亀裂から目を離すことができなかった。
ワタルの心拍数が急激に上昇し、ズボンの前がぱんぱんに張った。
「ほら、伊澄さん。 そんなに恥ずかしがっていますけど、ここはもう……こんなになってますけど」
伊澄の足をおさえたまま、ハヤテはそっと伊澄の割れ目に手を沿わす。
うぅ、と苦しげなうめき声を上げ、伊澄は上半身を思いっきり反らした。
顔は更に赤く染まり、きつく閉じた目からはぽろぽろと涙があふれ出し、しかし割れ目からは透明な液体を多く分泌していた。
部屋の中では伊澄のうめき声と、伊澄の水音と、ワタルの荒い息遣いとハヤテの伊澄を嬲る声のみが響き、
それらが無法則で混じり合い、奇妙で淫靡な世界を作っていた。
「ほら……伊澄さん……欲しいって言ってみてくださいよ」
「はぁ……はぁッ!! ……そ、そんな、ワタル君が見て……」
「大丈夫ですって……それに、伊澄さんがワタル君が見ている前で言ってくれたら、
僕はもっと伊澄さんのことが好きになりますよ。
この前、咲夜さんが粗相しましたから、ここで伊澄さんがポイントを上げたら……」
「……」
「どうです? 伊澄さんが言ってくれないと、僕は残念に思いますよ?」
「……く、くださぁい……」
「それじゃダメですよ、伊澄さん。 『何が』欲しいんですか?」
「そ……そんなこと恥ずかしくて……」
「昨日はベッドで言ってくれたじゃないですか。 いつもとは比べられないほど大きな声で」
「……でも……」
「……しょうがないですね、伊澄さん」
言い渋る伊澄の右足をそっと降ろし、ハヤテは自由になった右腕で伊澄の首につけられた小さな拘束具に触れた。
その瞬間、伊澄はびくりと身をすくめ、ハヤテの手から逃れるように首を避けた。
しかし、身動きが制限されている中、それほど逃げられるわけがなく。
三秒と立たずに、赤い首輪にハヤテの指がかかってしまった。
「や、やぁ……わかりましたから……やめてください……」
伊澄は怯えた表情で言った。
ハヤテはそれを聞くと、満足した表情をしそっと指を首輪から抜いた。
「ああ、よかった。 僕としても伊澄さんはとても大事ですから、失わなくて済んで本当に良かったです」
恐怖によって全身をふるわせた伊澄を、ハヤテは解放した。
伊澄は腰に力が入らないのか、その場でへなへなとへたりこんでしまった。
そして、そんな伊澄にハヤテは追い打ちをかけた。
「ほら、じゃあ、言ってみてください」
「……」
伊澄の口がかすかに動いたが、言葉は一切紡がず、立ち消えた。
「……? 言うんじゃなかったんですか?
ただ言わないだけならまだしも、約束してくれたのにそれを破るなんて、まさか伊澄さんがするわけないですよね?」
ハヤテの言葉は遠回しな脅迫だった。
伊澄はその言葉に観念したのか、目を閉じ、肩の震えを抑えるように自分で自分を抱いて、口を動かした。
「は、ハヤテ様の……おちんちんを……」
「はい? 聞こえませんけど?」
「ハヤテ様の……おちんちんを……伊澄に、伊澄にくだ……さい」
「まだ聞こえませんよ。 それに、伊澄さんのどこにあげればいいのかはっきりさせてくださいよ」
「……聞こえてるじゃないですか」
「何か言いました?」
「い、いえ……何も……」
一方、そんなことを言いあっている反対側では。
ワタルがもだえていた。
伊澄とハヤテのやりとりは小声過ぎて、ワタルに聞こえていなかったのが更にワタルの性欲を刺激し、
どうにもやりきれない状況になっていたのだ。
退室することはおろか目を閉じることも許されず、目の前で好きな女の子の最も隠さなければならない部位を見せられ、
ワタルはまさに生き地獄を味わっていた。
ワタルの持つ三本目の足は若さ故に暴発寸前で、むしろ暴発させた方がいささか落ち着くのだが、
体が動かない故に手淫すら許されなかった。
「ハヤテ様のおちんちんを伊澄のおまんこにくださいッ!」
絶妙なタイミングで、伊澄の絶叫が響く。
ハヤテとのやりとりでついにキレてしまったのか、伊澄の細い体のどこから出てくるのかわからないくらいすごい大声で。
あわてふためいたのはハヤテの方で、まさかこんな大声で言われるとは思ってもいなかったらしく、
少々おどおどして、絶叫した後堰を切ったかのように泣き出してしまった伊澄を宥めていた。
さきほどから取り残されていたワタルは、密かにパンツをぐちょぐちょにしていた。
「わ、悪かったですよ。 僕がちょっと意地悪しすぎましたから……。
そんなに泣かないでくださいよ」
そう言いながらポケットからハンカチを取り出し、伊澄の顔に当てる。
「ひっく……ひっく……ハヤテ様……伊澄を……伊澄を嫌わないでくださいぃ……」
「ああ、大丈夫、大丈夫です。 僕は伊澄さんを嫌いませんから。
いえ、むしろ伊澄さんはとってもかわいくて好きですよ。
なんかこう、よちよち歩きをする赤ちゃんみたいな感じがして……」
「……本当ですか?」
「え、ええ……まあ、嘘じゃないです」
「なら、ハヤテ様のおちんちんを伊澄のおまんこにください」
……えー、とハヤテは頭に大粒の汗をかき苦笑いを浮かべた。
泣きじゃくっていた伊澄の頭をそっと撫で、立ち上がるとハヤテはお札によって硬直したままのワタルの前へと立った。
「ワタル君。 伊澄さんと、セックスしたいですか?」
ワタルにそっと耳打ちする形で、伊澄に聞こえないように、唐突に切り出した。
「イエスだったら、二回まばたきしてください。 ノーなら、三回で」
のべつもなくワタルは二回まばたきした。
ハヤテはそれを見て、くすくすと笑い。
「でも、ただじゃいけませんよ。 伊澄さんは僕の物なんですから……交換条件があります。
……サキさんって、いい娘ですよねぇ。 ドジですけど」
ワタルは目を見開いてハヤテを見た。
その目は恐怖に彩られており……。
「サキさん……いいですよねぇ。 サキさんが欲しいです。
……具体的に言えば、今の伊澄さんみたいにしたい、ってことなんですけど。 いいですか?
条件を飲むなら二回まばたきをして、飲まないなら三回……」
ワタルは二回まばたきをし、しばらくたってからもう一度まばたきをした。
ハヤテは残念そうな表情を浮かべて、再びワタルに耳打ちをした。
「それは賢明とは言えない答えですね。 まあ、いいですけど」
ハヤテはそう言い残すと、再びワタルから離れ、へたりこんだままの伊澄を持ち上げた。
お姫様だっこをされた伊澄は、一瞬驚いた表情をしたが、その心地よさに安心をしたのか、目を閉じ……
「伊澄さん。 舐めてください」
再び目を開けた時には、すでに床に降ろされ、ワタルの目の前に座らされてた。
ちょうど目の前には、ワタルの腰があり。
「そ、そんな……ハヤテ様!」
「いいから、舐めてください、伊澄さん。
今度は問答はしません。 どうしてもしたくないのなら構いませんがそのときは首輪を外して置いていってください」
さきほどとは打ってかわってきびしい口調でハヤテは言った。
何を言っても譲らない様子が伊澄にもわかったのか、伊澄はそっとワタルのズボンに手を添えた。
「ダメですよ、伊澄さん。 いつも僕にやっているときには、そんな無粋なものは使ってましたか?」
「……い、いえ……」
伊澄は手をひっこめ、口でワタルのズボンのファスナーを降ろした。
流石にベルトとホックは手を使うことを許され、白い液で濡れたパンツをも脱がした。
幼い肉棒が空気にさらされ、自己主張しているのを見て、さっと伊澄は目をそらした。
ワタルの肉棒は皮を被り、長さも太さもあまり誇れない……まだ子どもそのものだった。
「ほら、なめてあげてください。 でも……」
ハヤテは伊澄に耳打ちをすると、伊澄はゆっくりと舌をのばし、ワタルの棒の先端をつついた。
ワタルは苦しむようなうめき声を上げる。
「あの……ハヤテ様?」
「なんです? 伊澄さん」
「いえ……この皮は剥いてから舐めた方がよろしいのでしょうか?」
「んー、それはワタル君に聞いた方がいいかもしれません。 ワタル君、どうです? ……剥いてくれ、だそうです」
ワタルは必死で「まばたき三回」を繰り返していたのだが、ハヤテはそれを無視して伊澄に指示をした。
流石に舌で剥くのには伊澄はスキル不足だったので、細い指でゆっくりと……。
「ああ、優しくなんてしないでいいらしいですよ。 一気にびっとやってくれ! って合図を送ってますから」
ハヤテはにこやかに言った。
ワタルのまばたきはもはや最初から見ずに、さもワタルが望んでいるかのように指示をした。
いつも通りの笑みを浮かべて残酷なことを言うハヤテにワタルは言いようのない恐怖を感じた。
声にならない絶叫をあげるワタル。
否、声にならない、というより声すら出せないのだ。
伊澄のお札は超強力で、意識はまったくはっきりしているのに一切動きがとれず、
ただ痛みに耐えることしかできなかったのだ。
「早く舐めてくれ、だそうです。 遠慮無く、ね」
皮を剥いたばかりの先端を、伊澄がそっと撫でるように舐めた。
敏感過ぎるそこを舐められると、激痛で萎えた肉棒がむくむくと大きくなり、
もう一度伊澄が舐めようとしたその瞬間、ハヤテがそれを遮った。
「……?」
「いや、イカせないでくれ、ってワタル君は言ってましたからね。 もう一度伊澄さんが舐めたらイくでしょうし。
ということで、伊澄さん。 ワタル君をイカせないように調節しながら、ワタル君をいじめてあげてください」
ワタルは真の地獄の入り口にさしかかったのだった。