紅白が終わり、行く年来る年の放送が始まった頃。  
 今年が終わるのもあと数分。  
 
 三千院家の執事である綾崎ハヤテは、雇い主でご主人さまである三千院ナギに  
呼び止められていた。  
「なんでも、一年に一番最初にすることは、一年で一番多くすることになる、らしい」  
「はい?」  
「……」  
「えーと、お嬢さま? ちょっと僕、新年の準備とかいろいろあるんで、後からじゃダメですか?」「…」  
「お嬢さま?」  
「欧州では……す、好きな人と…一緒に………………しながら年越しをするのが習わしだそうだ」  
「何をしながらなんですか?」  
 ハヤテが尋ねても、ナギは答えない。  
 ナギの緊張と興奮に潤んだ瞳、それはハヤテの顔からは反らせている。  
「お、お前…わかってて言ってるだろ!」  
 ナギはハヤテの執事の制服の裾を掴んだまま耳まで赤く染めている。  
 
 しばらく考えてハヤテは、このお嬢さまの言っていることをようやく理解した。  
 時刻は夜11時55分。  
 早くしないと間に合わなさそうだ。  
 
「判りましたお嬢さま、こちらへ」  
 ハヤテはナギの手を取ると、すぐ側の客用寝室の扉を開けた。  
 
 電気のついていない室内にナギを連れ込むと、ハヤテはナギを抱きしめた。  
 胸いっぱいにナギの体の匂いを吸い込むと、  
「お嬢さま、大好きです」  
 そう言ってナギの柔らかな耳を甘く噛む。  
「ふひゃあ」  
 瞬時にナギの体は力が抜けてしまう。  
「今年もいっぱいしましたからねー。 来年もいっぱいして差し上げますよ」  
「な、ナニをっ――」  
 
 何か言おうとしたナギの唇をハヤテが塞いだ。  
 ハヤテの舌がナギの口中を蹂躙する。  
 舌の裏側を舐められ、口の天井を舌先で擽られる。  
 ナギの弱点はハヤテにすべて知られてしまっている。  
 口内を攻めながら、ハヤテは左手でナギの耳の裏側を優しく触り、  
右手で太股の内側を撫で上げる。  
 ナギは平静を保とうと力んでいるがひくひく、という身体のかすかな震えを  
押さえ込むことができない。  
 自分のものではない舌が、口の中をねぶっている感覚にナギは意識を奪われる。  
 同時に身体の敏感な部分をハヤテの掌で触れられると、身体の芯が溶けてしまいそうな  
感覚が育ってくる。  
 それはナギから立つ力すら奪ってしまう。  
 汗ばんだ小さな手でハヤテの執事服の背中を掴んで、必死に堪える。  
 しかしキスと愛撫にナギの膝はもうガクガクと震え、ダウン寸前といった風である。  
 
「ぷはぁっ、はぁ、はぁ………」  
 ハヤテが唇を離すと、ナギは息も荒く息をついた。  
 唇の端から溢れた唾液をぬぐいもせず、とろんと熱に蕩けた瞳でハヤテをみつめる。  
 
「あと三分ですね。さあこちらへ」  
 ハヤテに導かれるまま、ベッドの側に連れて行かれるナギ。  
 その頭はなにも考えられない。  
 
 優しくシーツの上に押し倒されると、ハヤテは手早くナギの白いショーツを脱がせた。  
 キスと愛撫に蕩けた熱い陰阜は、ナギの生えかけの薄い陰毛をべったりと濡らして  
粘膜を充血させている。  
 
 その塗れた肌がひんやりとした空気に触れた感覚がナギに正気を取り戻させる。  
 
「なっ、ハ、ハヤテ、なにを――」  
 年越しのキスをしようとしていただけの筈が、なんでこんなことを。  
 そう上げようとした抗議の声も、ハヤテの舌がそれを止めてしまう。  
 
 大鐘が撞木で突かれたような衝撃。陰裂をハヤテの舌で寛げられた瞬間、  
ナギは背筋をビクリと震わせてその激しすぎる感覚に打ちのめされた。  
 女の子の一番敏感な部分を、ハヤテの柔らかい舌が押し広げ、舐め、ねぶり、昂ぶらせる。  
 
「ハ――ヤッ…」  
 ナギは執事を止めようと口を開きかけるが、再びハヤテの舌が動き、未発達の  
小陰唇をぬるりと摩擦される。  
 
 もうナギの全身は薄く汗に塗れ、とくんとくんと激しく鳴る心臓はその全身を  
熱く震わせている。  
 
 ハヤテの手指がナギの唇に押し当てられる。  
 こういうときどうすればいいか知っているナギの身体は反射的にその指を咥えた。  
 歯を立てないようにしながら大好きな執事の指をしゃぶる。  
 太股にキスをされ、会陰部を優しく舐めあげられながらナギは鼻から甘い吐息を  
吐くことしかできない。  
 
 小さく勃起したナギの陰核。それを包んでいる包皮を舌で剥かれる。  
 ナギは体の中で一番敏感な、女の子の宝珠をハヤテの尖らせた舌先で優しく触れられる。  
 ハヤテの舌先の粒状感すら感じられるほど敏感な女性器が  
柔らかく、硬く、しなやかなハヤテの舌で優しく撫で上げられるとナギはもう忘我してしまう。  
 
 唇は綻び、言葉にならない嬌声を上げ、背筋を弓のように反らせながら  
ナギは絶頂を迎えた。  
 
 全身の汗をハヤテがタオルで優しく拭き取ってくれている感覚にナギは目を覚ました。  
「お嬢さま」  
「……」  
 何度見られても、ナギは絶頂の瞬間を見られる恥ずかしさには慣れることができない。  
 羞恥のあまり赤く染まりながら、ハヤテの言葉を耳にする。  
「あけましておめでとうございます」  
 
 何を言えばいいのか判らない。ナギはいろいろな気持ちでいっぱいになった胸の中を  
ぐっとこらえながら  
「……バカ…」  
 それだけ言ってナギは大好きな執事の唇をふさいだ。  
 
 
 
 
 
 
 
---おわる。  
 

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