衛「やっぱり誰もいないな」
土曜日の美術室は静まり返っていた。本来は部活があるのだが、今日からテスト前なので休みになるのだ。
成績優秀な衛は余裕があるため、この誰も来ない時期にここに来ることがある。静かな部屋で1人で集中して描くことが好きだった。
よし、今日はあの絵の模写をしよう。確か美術準備室のあの棚にあったはずだよなっと…
あれ?ないなぁ…どこだろ?
準備室の棚をしばらく探していると…
そあこ「あっ、財津くん」
衛「あれ?安藤さんも絵を書きに来たの?」
後ろからふいに声をかけてきたのは安藤さんだった。
そあこ「それが…みんな居ないから何でかな〜って」
衛「え?試験前だから今日から休みだよ」
そあこ「あっ!?そうだったよねぇ。私ったらまた…財津くんは何してるの?」
わ、私ったらほんと忘れすぎ。財津くんに変な子って思われたかな…もういやぁ!
顔を真っ赤にしながら、安藤さんは慌てた様子で聞いてきた。
衛「僕はモネの絵を模写しようと思って。ここにあるはずだから探してるんだけど、これだけあるとなかなか見つからなくて。」
そあこ「あ、じゃあ私も一緒に探すよ〜。」
ぱあっと明るい笑顔を見せると、小走りで横へやってきて絵を一枚一枚見始めた。なんだか体が少し火照ったような気がした。
…あのとき多分、下着を着けてなかったけど、もしかして今日もまた?チラッと背中に目をやり下着のラインを確認した。どうやらちゃんと着けているようだ。ほっとした。
そあこ「ないねぇ、これかな?」
かがんだ安藤さんの太ももが露わになって、慌てて違う方向に目を逸らす。
衛「そ、そうだね。おかしいな。ないな〜。」心臓の鼓動が早くなっていく…
しばらく2人で探していたが、なかなか見つからない。
そあこ「あ、あれかもっ!」
そあこが踏み台に乗って高いところの絵に手をかけたその時。
衛「っ危ない!」
そあこ「あっあっダメダメ〜!」
バランスを崩して踏み台から倒れてきた。間一髪で受け止めたが2人はもつれるように床に倒れた。
衛「う〜ん…あっ安藤さん、大丈夫ケガはない!?」
そあこ「わ、私は平気…」
……鈍痛を我慢しながら見上げると安藤さんの顔がちょうど目の前にあった。
一瞬あまりの近さに息をのんだ。
…長いまつげに大きな瞳。色白の肌に健康的な薄いピンクの唇が映える…
さき姉とはまた違う、柔らかな優しい可愛さ。
考えるより先に体が自然に動いていた。ギュッと安藤さんの体を抱き寄せていた。
そあこ「ひゃん!あっ、あの…ざ、ざ財津くん!?」
柔らかい……はっ!?
衛「わわっご、、ごごめん!!」
慌てて安藤さんから離れた。こんなの、いつもの自分じゃない、急に抱きつくなんて有り得ない。
…心臓の鼓動が耳に痛いほど鳴っている。
そあこ「ふぅ…いや、あの、わ、私は別に、構わないっていうか…その(モジモジ)」
衛は、そあこの自分への気持ちには薄々気づいていた。だが未だに岬への想いが消えてはいなかった。いや、いないはずだった。しかし確かな自分の内面的変化にも気づいていた。そあこと、話すとき、近くにいるとき、いつも決まって胸が高鳴るということを…
その時、さっき取ろうとしていた絵がそあこに向かって落ちてきた。衛はとっさにかばう。
ゴンッ
衛「痛〜っ…」
…今度はそあこに覆い被さっていた。時が止まったように2人は動かない。
衛は正直な気持ちを理性で抑えるのに必死だった。
…絡み合いたい。
頬を染めジッと僕の目を見つめてる。そんなに見つめられると…
すると安藤さんがそっと両手を伸ばして、僕の首にかけてきた。
そあこ「今度は…私の番でいいですか?」
ゆっくりと引き寄せられ、ぎゅっと抱きしめられた。
衛「あ、あの安藤さん!?」
予想外の出来事に頭がクラクラする(半分は絵のせいだが)。ぼ、僕はさき姉以外の女の子には目が向かないんだ。だから、こんなのはいけないんだ。
…でもなんでだろう。離れたくない。なんで、なんで安藤さんの体、こんなに柔らかいんだろう。抗いきれない…ヤバい、ヤバいって。
そあこは、衛のモノがだんだん固くなるのを太ももで感じていた。
それが何であるかに気づいて堪らなく恥ずかしくなったが、衛を抱きしめて離さなかった。
はぁ…はぁ…はぁはぁっ…
2人の荒い息づかいとはちきれそうな心臓の鼓動だけが、他に誰もいない、静かな午後の美術準備室に、響いている。
衛は麻痺状態の頭で考えていた。もうダメかもしれない…この状況は厳しいよ、さき姉にも振られたし…安藤さん可愛いし、もうどうなってもいいかも。このままめちゃくちゃに絡み合いたい。いやいや…ダメだ。理性が大切なんだ。
心臓の鼓動は爆発するんじゃないかと思う程に高鳴っていた。
その時、楠田の言葉が降りてきた。
(俺ら中2の男子だぜ。理性に負けるなよ財津!)
衛の中で何かが弾けた。
衛「…安藤さん」
そあこ「えっ?」
僕は安藤さんの両手を解き、床に押さえつけた。
そして、そのまま唇を奪った。
そあこ「!?…んんっ」
初めてのキスだったが、本能の赴くままに舌を絡めた。体中が熱くてしょうがない。気持ちいいかはわからないが、安藤さんとキスをしているという事実に、興奮と緊張で全身が震えている。安藤さんは突然の出来事に、全身を強ばらせているが抵抗はしない。
衛「…ぷはぁっ」
ゆっくり離した唇と唇から糸がつうっと引いた。
トロンとした表情。頬が紅潮している。たまらなく可愛い。
そあこ「はあっはあっ…、財津く…ん」
この子とつながりたい。どんな声を出して、どんな表情をするんだろう。知りたい。
この子をむちゃくちゃにしたい。
僕の理性は完全に失われた。
体が勝手に動いていく。頬や首筋に何回も強くキスをした。そのたびに鼻にかかったような甘い声が漏れる。その声がさらに僕の脳を痺れさせていく。
胸に顔を押し当て両手で、息付いている2つの丸みを鷲掴みにする。形がひしゃげるほどまさぐった。
そあこ「あっ、あっんん…ん」
体を悶えさせ、必死に口に手を当てて声が出るのを我慢しているようだが、ため息のような声が幾度も漏れる。
そして、スカートに手を忍ばせると、下着の上から安藤さんの女の子に指を添え、縦に刺激を与える。そあこ「!!?」
さすがに驚いたのか、抵抗をみせるが、あまりの快感の波にもはや力が入らないようだ。泣きそうな表情で口をキュッと結んでいる。あまりの羞恥を精一杯に耐えているのだ。
そあこ「財津くん…ちょっと、これ以上は私…」
潤んだ目で懇願するが、止める気はない。止められない。
衛「はあはあっ…そこに手を着いて」
体中がとてつもなく熱い。僕はシャツを脱いだ。
そあこ「???」
戸惑いながらも従う姿がたまらなく僕の本能を刺激する。スカートに手を差し入れ、おもむろに安藤さんの下着をおろした。
そあこ「あんっ、やっ!?ダメダメ」
衛「大丈夫だよ。安藤さん、優しくするから」
と言っても今の自分では説得力はないかもしれない。腰に手をかけて、後ろからゆっくり安藤さんの女の子に沈めていった。
そあこ「ダメっ…んっ。ふう…ん、痛いっ。」
安藤さんの中はあったかくてちょっときつくて…とてもトロトロしていた。
衛「あっ、ん…すぐ、終わるから…あ」
腰が動いていく。溶けていく。感じたことのない感覚。動きは徐々に早くなって、目の前はだんだんと白くなって…
そあこ(どんどん奥に…ダメダメ出して〜!)
衛「あっうああああっ!」
そあこ「ふう…んんんっ」
き、気持ちいい…
安藤さん…
一瞬、目の前がまぶしく感じ…すぐに…絶頂に達してしまった。
はあっはあっ…はあっ
2人とも、くたっと倒れ込んだまま動けない。無言。荒い息づかいだけが残る。
先に動いたのはそあこだった。
衛がぼんやりと眺めていると、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。
衛「あ、安藤さん?」
私やっぱり変なこかも…
そあこ「…もう1回…しよう?」
半ば強引な衛の行動であったが、そあこには押さえることのできない程の愛おしさが湧き上がっていた。ひとつになりたい。その衝動に突き動かされる。
そあこは上に乗ると、衛のモノをあてがいゆっくりと奥へ侵入させていった。
果てたばかりの敏感なモノへのさらなる快感。直接触れる肌の感触。ぬくもり。自分のために一生懸命に動いているそあこがいる。意識を失ってしまいそうな行為の中、衛は確信したことがひとつあった。
僕は安藤さんのことが好きだ。
裸になった2人の体温と体温は重なりあい、汗にまみれ絡み合い、何度も何度も、互いの体と心を求めあった…
…美術室から出てくる2人。
ひとかけらの感傷を置き去りにしたまま、夕日に染まっていく校舎。強く握られた2人の、手のひらは温かい。
おしまい