「うーん…」
僕は悩んでいた。今僕は漫画を製作中なのだが、あるところで完全にペンが止まっている。
「上村くん、何唸ってるの?」
そんな僕の様子を見て、僕の愛しい人、江ノ本夕が話しかけてきた。
「え!?い、いや…別に…」
だが、素直に相談など出来るはずがない。なぜならこのシーンは…
「ちょっと見せて」
「あ!?ちょ…」
「上村くん、ここで止まってるの?」
しまったああああ!見られてしまった…ヤバイ、これは嫌われるかも…
「ここ、この主人公の男の子と彼女がセックスしようとしてるとこだよね?なんでここで止まってるの?」
だが、僕の予想に反して、彼女は顔色一つ変えずに質問を続けてきた。普通、「セックス」なんて女の子が簡単に口に出来る単語じゃないと思うんだが…
「い、いやあの…こ、ここをどういう風に描こうかなぁって、ちょっと悩んでて…」
さすがに言えない…「セックスの経験が無いから書き方が分からない」なんて…今思えばなんでセックスありの恋愛漫画なんて描き始めてしまったんだ…
「ふーん、ゆう、なんか手伝おうか?」
「え…?」
手伝う?女の子が?セックスシーンを描くのを?僕が混乱してることなどお構いなしに、彼女はさらに言葉を紡ぐ。
「でもゆう、何をすれば良いんだろ?ねぇ上村くん、どう思う?」
そ、そんなこと聞かれても…ど、どうしよう?
A…手伝いを断る
B…描き方を教わる
C…ヌードをお願いする
D…一か八かセックスについて聞いてみる
E…その他
@@@@@
D…一か八かセックスについて聞いてみる
「え、えーっと…やっぱセックスを描くわけだから、それについて聞きたいかなぁ…なんて。女の子はセックスについてどう思ってるか…とか…知りたいなぁ…って…感じかな…」
びくびくしてるのが自分でもよく分かる。いや、当然だろう。普通こんな質問をするのは変態だ。嫌われただろうか…恐る恐る目を開けてみると…
「うーん…やっぱりぃ…普通は愛し合ってる二人でやるもんでしょ?痛いとはよく聞くけど、セックスしてる間は多分二人とも、たとえ痛くても幸せなんじゃないかな?」
普通に答えてくれた。女の子って案外そんなものなんだろうかとさえ思ってしまいそうだ(本気でそう思い込んでしまったらいつか大変なことになるだろう)。
「そ、そっか…じゃあ、うーん…表情は、痛みで引き攣ってるけど幸せそうな笑顔にしようかな」
「うん、きっとそれがいいよ♪」
本当に眩しい、とてもかわいらしい笑顔でそういう彼女。でも、この笑顔は僕だけのものじゃない…そう思うと少し切なくなる。この笑顔を、僕だけのものにしたい…
「あ…あの!江ノ本さん!」
「?なあに?」
そう思った時、僕は無意識に彼女を呼んでいた。しかし、今何かを話そうとしていた訳ではない。何をしているんだ僕は…
「え、えっと…」
まずい、「なんでもない」なんて迷惑なことは言いたくない。何を話そう…
@@@@@
「あ、あのさ…今日は俺の家、親どっちも出張でいないんだ。だから俺の家で一緒に漫画を…」
「わかった。じゃあ学校終わったらまっすぐいこっか」
親が出張なのは事実だが、適当になんか喋ろうとしたらすごい展開になってしまった。でも、思いの外早い返事で、しかもOKが出るとは…
そして放課後…
「そういえば、ゆう上村くんの家に行くのって初めて。どこにあるの?」
「もうすぐだよ」
まさか、一緒に下校出来る日が来るとは思えなかった。僕は幸せ者だと今なら自信を持って断言出来る。
「ここだよ。ただいま」
「おじゃましまーす」
そして部屋に着いたが…微妙に散らかっている。まあ、ほとんどは漫画を描く上で失敗した紙を丸めたものだが。
「うわあー!すっごーい!毎日たくさん練習してるんだねー!」
「ま…まあね」
散らかった部屋を見てがっかりされるかと思ったけど、むしろ好感度がアップしているようだ。彼女には常識が通用しないのかもしれない。
「じゃ、描こう?」
「そ…そうだね」
言われてハッとした。今は二人きり。今なら堂々とエッチシーンについての質問も出来るのではないだろうか?
「あ…あのさ、僕、性に疎くて、恋愛漫画を書くのによくエッチなシーンで困ってたんだ。だからそこを教えてくれる?」
「うん、任せて!」
やっぱりだ。彼女は僕を全く疑っていない。かわいらしく張り切っている彼女を見て、そう確信した。そして同時に、勝負に出る決意をした。
「違う違う、そこは胸よりもむしろ口に気をつけて描かないと」
「うーん、難しいなあ。やっぱりセックスをしたことが無いからかなあ?セックスを一度体験すれば色々と分かると思うんだけど…」
ど…どうだ?
「うーん…じゃあセックスする?ゆうも初めてだけど」
……こうも上手く事が進んで良いんだろうか?あまりに計画通り過ぎて寒気がした。
「え…い、いいの?」
「でもセックスって、愛し合ってる二人がするんでしょ?上村くん、ゆうのこと愛してくれる?」
「も…もちろん!」
「ありがと…じゃあ、ゆうも上村くんのこと愛してる」
チュッ
僕はもう、天にも登る心地だった。頬にその柔らかい感触を感じた時、僕は世界一幸せな男だと思った。
「じゃあ…やさしくしてね?」
そう言ってゆっくりと服を脱ぎはじめる彼女。僕もすぐに脱ぐ。
「うわあ…おちんちん…初めて見る…」
まるで珍しい動物でも見つめるように、僕のモノを見つめてくる裸の彼女。
「じゃあ…始めようか」
そう言ってすぐに僕は彼女の乳首を舐め始める。胸は小さいが、僕はそんなの全く気にしない。
「ひゃっ…胸舐められるのって…こういう感触なんだ…」
彼女は感心したような声を出す。こんな時の反応も、(多分)普通の女の子とは違うんだな、この子は。
そして綺麗なお尻に手を回して揉んでみたり、キスをしたり、彼女のカラダを思う存分味わった。
「それじゃ…入れるよ」
「ふう…うん」
遂にこの時が来たか…少し彼女の表情が硬い。彼女でも緊張するのか…と、少し失礼なことを考えてしまった。
「う…く」
「……!…!!」
入れている間、彼女は声を出さない。よく見ると震えている。やはり彼女も一人の女の子。こういう時はやっぱり怖いものなんだな…
僕はゆっくりと腰を降り始める。そして少しずつその速度を上げる。彼女は目を閉じて、手をぎゅっとにぎりしめている。痛みや怖さと、彼女なりに必死で戦っているのだろう。
そして…僕は遂に果てた。ん…?
「あ!中に出しちゃった!ヤバイ!」
慌てる僕を見て、彼女はすぐに口を開く。
「大丈夫だよ…痛かったけど、ゆう、とっても気持ちよかったから」
何が大丈夫なのか分からないが、彼女の柔らかい笑顔を見ると、何故かホッとした。癒されるというのだろう。
「さて!じゃあセックスしたし、いい漫画描こうね♪」
「うん!」
彼女となら、描ける気がする…最高の、恋愛漫画を。