水戸笑佳は一貫教育校の高校一年生。エスカレーター式内部の木苺寮生だ。
中2で初体験済。相手は同じ学校で同じ寮生の高松渚。
(このスレ的には、なので嫌な人は↑飛ばしてください)
でももうそれも過去の話。なんとなく、その場のノリ感覚でヤってしまった
という感じ。お互い一時の感情に流されるままのことだったろう。
本人たちはとくにもう気にしてはいない。ただ、ひとりの人物を除いては…
同じく同級生、宮城紺。人なつっこいことが災いしてときに虐められる
笑佳と同類で、明るいおバカキャラが売り。忘れっぽいところが
ウィークポイントだが、ひとつの想いだけは常日ごろから抱き続けているよう。
恋愛経験は…語れるほどなし。だからこそこの気持ちは忘れたくないと思っている。
放課後、そのふたりは一緒に寮まで帰るところだった。
「笑佳どうしたの?」
「ちょっと貧血かもー」
「大丈夫?」
「うん…あ」
笑佳その場に座りこんでしまった。
「ちょっと休もう。すぐそこにベンチあるから。」
もう生徒は下校した後で人気はなかった。ましてや木苺寮へ向かう生徒なんて
ほぼ皆無に等しい。
「ありがとー。大丈夫だよっ。
この前体育で怪我しちゃったとこがよくなかったみたい」
「ならなおさら心配だよ!頭は大事じゃん」
「むー…あイタタ…」
ふいに笑佳を近くに感じる。紺に寄りかかったのだった。
「え…ちょっと…」
紺の心臓が勝手に高鳴る。かつて女の子にこんなに接近されたことが
あっただろうか?
「ごめん、もう少しこのまんまでいさせて…すっごい落ち着くの」
「いい…けど…」
今、持て余している両手をどうしようか悩む。笑佳を包んだら怒られる
だろうか。そんなことを考えながら、風が吹いて揺らす木々の音しかしない。