とある鎌倉の高校。時刻は午後の五時を少し回ったところ。生徒指導室の中で彼はあくびをかみ殺して先生の言葉を受け流した。
「頭が切れるのはいいが、もう少し上を目指す気はないのか?藤原」
「今の成績なら地元大学は確実ですから」
「おい、○大とか○○大とか目指さないのか?もったいないぞ」
「俺はそこまで欲張りじゃありませんから。志望校を変える気は在りません。もうよろしいですか?」
「気が変わったらいつでも言え。もったいないぞ」
職員室を出た後彼はため息をついた。赤い髪の毛をくしゃりとかきまわす。
「あーあ、もう五時か。丁寧な言葉も疲れるぜ。ほんとにあんな公式丸覚えしてどうするんだよ。ちっとも現実の役に立たねえぜ」
彼はちらりと後ろをみた。廊下で彼女を待たせている。あの先生、どうして成績を上げることに血筋をあげるんだ。きりがない。
「これ以上勉強して望美と逢う時間を減らすなんてごめんだね」
廊下から声が掛かり、彼は顔を綻ばせる。
「ヒノエくん、何の用事だったの?」
「もっともっと上を目指せってお話。何で上の大学に拘るんだろうね。俺は教科書と逢引する気はねえよ」
「それ先生の前ではしないでね」
「もちろんだよ。猫被ってるのはしんどいな。あんな下らない大人に頭下げて。返って京のほうが楽だったね」
望美の顔が少し曇る。
「ヒノエくん。ごめんね。現代に連れてきて」
「俺はお前以外欲しくなかったからね。お前がそんな顔をする必要はないよ」
ヒノエはいつもの笑みを見せた。
「ねえ、少しだけど、しよう?」
「えええ?」
ヒノエはぐいと望美の手を引っ張り、人気のない教室に入っていく。1階の別学年の教室。
教室の入り口に鍵をかけると、教卓の横ー廊下から死角になるところに二人は座り込んだ。
窓から夕日が見える。ここも向こうも夕日は変わらない。少し色が鈍いけど、好きな風景の一つ。
窓から夕日が入り込んで長い影を描く。教卓に寄りかかれば影はみえない。ここだと望美がよく見える。
望美の反抗を唇で封じて、ヒノエはさっさと服に手をかけた。一度覚えると服を脱がすのは早かった。
上着が二人の周りに落ちる。
「なんでみんな同じ色着るんだろうな。お前にはもう少し綺麗な色がにあうのに」
「そんなの校則で決まってるから…ああんっ」
白いブラウスの前だけはだけさせると、白い肌が少しだけ出てくる。ぺろりと首筋から鎖骨にかけて舐めると、望美が仰け反った。
肩筋に思い切り印をつける。絶対見えない場所だけなんてつまらない。体育なんて授業がなかったら全身に赤い跡をつけるのに。
一度で済まさず、二三度と吸い上げて、くっきりと赤い跡にする。せめてもの抵抗。
さらにブラジャーに手をかける。ホックをはずして、ようやく白い胸にたどり着く。赤い跡に笑みを浮かべた。
数少ない跡をつけていい場所。何度も念を入れてつけたんだ。消えてもらっては困る。
「ひあああんっ…」
「まだ跡ついてるぜ。望美。ほかに増えてなくて嬉しいよ」
「何いってるの…ああん…」
「もう感じてる?望美?硬くとがってるよ?」
先端を口の中で軽く噛んだり、舐めてみると体が揺れる。もう片方は爪を立てて、わざと引っ張ってみる。
悲鳴とともに長い髪がヒノエの顔を掠める。かたかたと教卓が揺れる。
「ねえ、いいっていってよ、望美?」
「ひのえ…こんなとこ…ばれたらあ…」
感じているのは見え見えなのに、口だけは強がって見せる。だから好きだよ。
「ばれるわけないだろう。このクラスは優秀だから全員帰宅部」
「ええ?ひいいっ…うっ」
ほんと、感じてるお前は無防備だよ。下まで脱がしたの気づいてない?もうあそこが丸見えだよ。お前が一番恥ずかしがるところ。
「いやあっ…あああ…」
「何度も同じことしてるのに、恥ずかしい?」
望美の反応が面白くてつい口にしてしまう。茂みの奥には熱く潤った華が隠れてる。それがみたくて、足を肩にかけた。
細くて綺麗な足。その付け根に赤く濡れた華が開いている。俺しか知らない場所。
ふっと息を吹きかけると体がぴんと跳ねる。物欲しげに奥から蜜が零れ落ちる。
「あっ……はああ…」
何度も肌を合わせたから、初めから三本飲み込ませる。奥まで差し込んでまた引くと蜜が絡みついた。中で指を動かすたびに体が揺れる。
望美の中はうねって、俺の指を掴もうとする。
「ねえ、いってよ。気持ちいいって…」
「あああっ…ああ」
快楽に身を任せてる望美に呼びかける。こんなときでないと本音をいわないから。
「ねえ、望美」
焦れてぐっと奥まで突き刺すと体が跳ねた。
「きもちっ…いいよお…いいいっ」
ぐいぐい奥を押すと胎内がきつくなる。まだ先があるのにこんなに締め付けて。そろそろ我慢がきかなくなる。
「ねえ、望美、俺も気持ちよくしてよ」
指を抜いて、制服の間から自身を取り出すと、手際よくゴムをはめる。間髪をおかず望美の中に押し込んだ。
「はあっ…お前の中…さいこー」
「ひのえくんっ…ああっ」
もう望美は達して、中が強く締め付ける。ほんとに望美の胎内は気持ちいい。いろんな女を抱いたけど一番だ。
やっとの思いでモノを引き抜いて、今度は浅く入れて揺らしてみる。望美は気持ちよさそうに喘ぐけど、俺が足りない。
「加減きかない…ごめんな」
勢いをつけて望美の中に打ち込んだ。足を斜めに傾けたり、体をねじったりして、変化をつけるとまたきつくなる。
「いいよおっ…ひのえくん…あああっ」
「もっときかせてくれ…望美っ」
「もっときてえ…いいのっ…ひのええっ」
二人で頂点に上ると目の前が白くなる。俺が一番好きな瞬間。引き伸ばしたくて、望美をしっかり抱きしめる。
「ひいいいいっ……」
「のぞみっ…ああ…あ…」
一つに解け合う感覚に身を任せる。何もかも忘れられる。
徐々に周りの音が、かすかな日の光が入ってくる。あの感覚は潮が引くように去っていく。ヒノエは名残を惜しむように体を離した。
もう夕闇が迫っていた。そろそろ部活が終りだす頃。軽く揺すると望美が目を覚ました。急いで散らばった制服を拾う。
「ああ…ヒノエくん…ちゃんとしてるんだ…」
「あたりまえだろ。退学はごめんだからな」
片手で用済みのものをビニール袋に投げ込む。
「ヒノエくん、良いって言うまでこっち見ないで…おねがい」
「あれだけやって、まだ恥ずかしいのかい?」
望美の平手を器用に避けると、苦笑しながら後ろを向いた。ほんとに始めてやったときと変わらない。可愛いよ。望美。
望美の着替えが終ると、ヒノエは窓を指す。
「ほら、運動部の奴らに紛れて出るぞ」
「ほんと、ヒノエくんってそんなところは変わらないね」
望美は呆れる。思った以上に別当一族は適応力が高かった。今は携帯ももってて、写メールまで送ってくる。
校舎の明りに照らされながら、二人は校門に向かう。何もなかった顔をして。
「今度は体育館あたりかな。案外人が少ないんだ」
「何をするのよっ」
「別に?顔が赤いぜ?変なこと考えてた?望美」
逆に問い返されてしまった。ほんとにヒノエくんには叶わない。
「なんでもないっ」
横を向いて知らん振りするしかない。ヒノエくんのせいだよ。こんなにエッチになって。ちゃんと責任とってね。