「ふん。もう壊れたか。まあいい。そのほうが叔父上にばれなくて済む。神子を捕らえたのがばれたら俺も命がないからな」  
生臭い匂いの中で、男は冷めた笑みを浮かべる。  
「そんなに哀しかったか?神子?お前の大切な者が全て壊れた様は…」  
ずたずたに破れてかろうじて原型を保っている黒衣に包まれ、女はつかの間の眠りをむさぼる。  
「お前はいい体をしている。せいぜい可愛がってやるさ。待って居ろよ。龍神の神子」  
 
夕刻、知盛は小屋の戸をあけた。娘は空ろな目で座っている。かつての戦女神と呼ばれた姿はない。乱れた衣にも、虫が飛び回るのも注意を払わない。黒衣を片手に握り締めている。召使に口の堅い老婆をつけて、食事などをさせている。  
「いい加減その衣から手を離せ。こんな腐った血の匂いじゃその気になれん」  
知盛がぼろぼろの衣を取ろうとすると、空ろな目に光がともる。奇声を上げ、知盛の手を振り払い、衣を抱きしめる。  
「俺の言うとおりにしろ!さもないとその衣をとりあげるぞ」  
何度も殴りつけるとようやく娘はそっと布を離した。ぽろぽろと涙を流して、顔を覆う。  
「仕方ねえ。匂いなんか気にしてたら抱けねえな」  
 
ぐいと両手を掴んで、帯で上に縛り上げる。  
「顔を良く見せろよ。俺に抱かれてひいひい叫ぶ様をな」  
涙で濡れた顔を舐め、唇をこじ開けて、口の奥まで舐めあげる。舌を絡ませ、吸い上げる。それだけで涙は止まり、快楽に目が泳ぎだす。  
「さあ、楽しい時間の始まりだ…神子」  
涙を全部舐め採ると、男は首筋に、肩に次々と痕を残す。吸い付くだけでは足りず、肩に噛み付いて肉を噛み切ろうとする。悲鳴が上がり、血がにじむところでようやくやめた。白い皮膚がところどころ破れ、葉型がくっきりと残った。ようやく満足げに笑う。  
「俺のやり方だ。覚えろよ。お優しくなんて無理だな」  
 
帯を解いて肩に衣が引っかかってるだけ。首から下は全部知盛の目に晒される。細いが、しっかりと筋肉がつき、締っている。  
「部屋に篭って白さが増したか…それもいいな。良く痕が残る」  
首筋から胸を舐めて、両手で赤い印の残る胸を揉んだ。二三日前に噛んだ傷から又血が流れ出す。嬉々とした表情で傷口を舐めた。体が跳ねる。  
「お前の血は甘いな…浅い傷だ…死にはしないさ」  
馬を扱うように跳ねる体を上手く押さえつけ、愛撫を施す。  
 
「うああっ…ああっ…ううっ」  
「細いが、感度が良いな…もっと啼けよ」  
硬くなった先端に爪を立てて、弾く。掌で胸を押しつぶす。気まぐれに強く弾いて、声色が変わるのを楽しむ。  
弾くだけでは足らなくなり、唇で強く引く。胸が高く上がるが、やり過ごしてかりっと噛んだ。  
多少傷がついても構わない。治せば良い。  
片手は胸から下へと降りていく。あちこち傷が残る腹部をなで、茂みの奥へ入り込む。  
 
良く濡れている。理性を失ったから余計に濡れやすくなった。知盛の想うままに啼き、喘ぐ。激しい敵意に満ちた顔が、快楽に溺れて苦しむ顔も良かったが、これはこれで面白い。  
「これが本当のお前か?みだらな女だな…それほど男が欲しいか?」  
「うああ…ああっ…」  
華をなぞり、わざと弱く触れる。さらに刺激を求めて腰が揺れる。花びらからは蜜が零れ落ち、無駄に落ちていく。  
 
「名を呼んでみろ…俺の名を…」  
「うああ…あああ…」  
「俺が欲しいんだろ?名を呼べよ」  
空ろな顔に向かって呼びかける。入り口だけで指を止め、動かさない。焦れたように腰が大きく揺れる。  
「俺の名前ひとつ言えねえのか?」  
花びらをぐっとねじると、涙を流しながら唇が動いた。  
「と…もも…り」  
「よく言えたな、そら、やるよ」  
ぐっと指を3本突き立てられ、がくがくと体が震える。力の限りぐいぐい押し上げて、激しい快感に締め付けがきつくなる。  
悲鳴を上げて動かなくなった娘を四つんばいにさせて、腰を高く上げさせると、蜜が流れ落ちた。  
 
「今度は俺だ…言いというまで腰を振れ」  
両手で腰を支え、思い切り突き立てる。きつい中を歯を食いしばって出し入れを繰り返す。強い悦に目がくらみそうになる。  
「辞められねえな…いいぜ…一日中やりてえ」  
いろんな女を抱いたがこれは名器に入るだろう。外見だけではわからないもんだ。ぐいぐいと締め付けてくる。いい拾い物だった。  
「はああっ…うああっ」  
「一度じゃ終らせねえよ…いいだろ…なあ」  
強く押し込んで、上下に動かすと、目の前が白くなった。開放感に浸りながら倒れこむ。  
 
 
朝が来て、腐った匂いに知盛は眉をひそめる。もう慣れたが、あの衣を娘は手放さない。持ち出そうとすると狂ったように暴れて自分を傷つける。  
「せっかく捕らえた獲物が死んだら元も弧もないからな。一枚ぐらい好きにさせるさ。その代わり病になったらすぐ薬師を呼べ。俺が戻るまで何かあったら…わかってるな?」  
老婆は震えながら小屋に戻っていく。あれだけ脅せば忘れまい。  
 
知盛が去った後、かつて神子と呼ばれた娘は眠っている。ずたずたに千切れた黒衣を握り締めて。黒衣にはかすかに梵字が読めた。  
 
ーこれがお前の八葉の成れの果てだー  
 
梵字は夥しい血で赤く染まっていた。  
 
ー布切れだけで残念か?諦めろ。今叔父上と惟盛がお楽しみの最中だ。もう原型をとどめちゃいねえよ。きよらかな神子殿、どうやってこれを元に戻すんだい?さあ、奇跡を起こしてみろよー  
 
「凛とした戦女神が壊れるさまは楽しかったぜ…理性が飛んで抱きやすくなった。だれが叔父上に渡すかよ…これだけは譲れないな」  
知盛は薄ら笑いを浮かべて、軍議の席へと入っていく。  
 

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