「桜を見に行きたいの」  
「姫の世界ではそれも普通だろうが…京では危険だよ。怨霊や不逞な輩が姫に手を出さないとも限らない。その代わり、この館を桜で埋めて見せよう」  
「えええ?」  
「だから館で我慢するのだよ。二人だけで存分に桜を愛でようね…かわいい人」  
 
やがて家人たちが桜の枝を沢山持ってきた。つぼみがついた枝が次々と壷に生けられていく。  
主人の命令で庶民まで借り出して沢山の枝が友雅の館に集められた。  
水も馬鹿にならないのだが、友雅は平然として水汲みも雇い、桜の開花を待った。  
 
もちろん事前に休みを取ってある。少将、手回しにぬかりはなかった。  
 
「凄いねえ…」  
記帳の裏にも壷に大降りの枝が飾られ、桜のかすかな香りが漂う。  
「言っただろう。桜で埋めてみせるとね…二人だけで桜を楽しむのだから、手抜きはしないよ」  
「ありがとう。友雅さん」  
無邪気に喜ぶあかねを見ながら友雅は不敵な笑みを浮かべた。  
「一日中、二人で楽しもうね。あかね。だから藤姫や他の八葉にはこのことは内緒だよ」  
「はいっ」  
 
女房たちは用意する品に頭をかしげた。  
「ささをこんなに用意してどうするのかしら?」  
「こんなに帯は要らないはずなのに…」  
「奥方はあまり飲まれないお方なのにねえ?」  
「早く用意なさい。殿はことのほか楽しみにしておいでですよ」  
 
そして当日。  
「少し散り始めてる…」  
数枚の衣を重ねたあかねの後ろで友雅は目を細めている。あかねが落ちた花びらを拾った。  
「それも一興だよ。姫君。桜は散り行く姿も美しい。咲く花も、つぼみも、それぞれに美しいのだから。悲しむことはない。今度は鮮やかな緑に姿を変える…」  
「今日は一日一緒にいられるんだね。嬉しい」  
「私も今日は楽しみだよ。姫君がどこまで花開いてくれるのか楽しみだ」  
「桜を見るんでしょう?」  
「言っただろう。二人で楽しむと…」  
友雅はあかねの掌から花びらを落とした。  
 
「あああっ」  
「今日は二人だけでゆっくりと楽しませてもらうよ」  
衣の上から胸をもまれ、あかねが仰け反った。掌で、指先で強弱をつけて揉まれ、胸の先端が硬くなる。  
仰け反った表紙に唇を重ね、舌を差し込んで嬲る。  
少し長くなった髪が友雅の顔にかかるが気に留めない。  
「長くなったねえ。これでもう尼と間違われずにすむ…誰にも見せる気はないけどね」  
「うーっ…うう」  
胸の先端につめを立てるとぴくぴくと体が震えた。涙が流れる。それでも友雅は娘の快楽を煽る。  
 
唇を離せない。どこもかしこも彼女は甘い。汗も、涙も、唾液さえもいとおしい。  
唇を離すとあかねが大きくいきを吸った。もう言葉も浮かばない。涙目で抗議してみせる。  
「まだまだ一日は長いよ。あかね。言っただろう。君と二人で楽しむと」  
甘い声にあかねが無防備になった。そのすきに友雅は帯を解いてあかねの衣を肩から引き摺り下ろす。  
「ひっ…」  
 
そして帯であかねの両手を後ろで縛り付けた。  
「ああ、美しいねえ。衣のあいだから白い肌が見える。君の肌は特にきめが細かくていつまでも触れていたいよ」  
帯が解ければあとは衣はどんどんあかねの体から落ちていく。胸から細い腰、茂みから足まで。  
「ふふ、美しいよ。色のあわせに気をつかったのだね。こうして散ってもなお君の体を彩っている」  
「ああああっ」  
 
「綺麗な桜だ。白い肌に赤く散って…本当に身頃だねえ」  
白い肌には何度もつけられた赤い跡が残る。感じやすいところはとくに赤く。  
「いやあああ」  
両足をばたつかせたが返って逆効果だった。  
「きれいなのにそんなに動くと私がみれないじゃないか。ちゃんと大人しくしてなさい」  
手際よく両足を持つと、両膝をわき腹まで引き上げ、さっさと帯で縛ってしまった。固定されて秘所が丸見えになる。  
 
「ああっ」  
あかねが顔をそむけた。  
「どうしてそんなかおをするんだい?最高に美しい花が咲いているのに」  
妖艶な笑みを浮かべて友雅はあらわになった華に手を乗せた。  
「ほら…こんなに赤く膨れて蜜を落としてる。こんな美しい華は知らないよ」  
「やだっ。解いてええっ」  
泣き声も受け流して友雅は華をそっと擦った。先ほどの愛撫で十分華は蜜を蓄え、それだけで足らず、大腿部にまでしずくを落す。華芽が少し覗いている。  
「まだ咲ききってないねえ。こうしたら開くかな?」  
友雅の両手がわざと花びらを引っ張ったりつねる。  
「いやあっ…痛い…あああっ」  
けれど手は止めない。強い刺激でも十分快楽に変わる。そこまで友雅はあかねを教育していた。  
 
蜜が零れる量がおおくなる。友雅は唇を寄せて蜜を啜る。花びらを押し広げ、膨らんできた華芽を擦ると体が飛び上がる。ぴちゃぴちゃという音と嬌声、体が床を打つ音が響く。  
「ああ、随分開いたよ。五分咲きだねえ」  
「ひっ…あああっ…ひっぱらないでええっ…あああ」  
「ああ、あかねの華は一番綺麗だよ。そろそろ満開になってもらおうか」  
生暖かい感触が離れると、代わりに指が四本一気に差し込まれた。蜜がとんで一番高い声が上がる。  
奥まで抉り、華芽を押しつぶして、あかねの狂態を楽しむ。あかねの奥は敏感に反応して友雅の指を捕らえようと動く。  
「ほら、桜を見てごらん。ただ枝に張り付いてるだけだ。だけどあかねは違う。こうやれば声も出し、蜜もどんどん出してくれる。こんなすばらしい華はひとつだけだよ」  
「やめてええっ…壊れちゃううっ」  
「見せておくれ。満開になったあかねを…」  
友雅があかねの一番いいところを強く抉ると、あかねは全身を強張らせて達した。  
 
縛り付けた紐を引くとあかねの体が友雅の胸に落ちる。焦点を無くした眼。口で息をしている。涙で濡れた顔は欲をそそる。  
「さて、今度は見るだけでなく、ここで味わうとしようか…」  
先ほどの刺激で十分開いた華を自分の物にあてがうと、あかねの腰を落とした。  
不安定で両足を上げた体は奥まで友雅自身を通してしまう。  
再び嬌声を上げ始めたあかねを左右、上下に揺らして突いて、さらに強烈な快楽を得た。  
「ああ、本当にいいよ。あかね。もっと優しくしておくれ。まだまだ日は長いんだから」  
 
 
一度達した体を今度は柱に寄りかからせた。空ろな目。意識を失っているのは好都合だった。  
友雅は用意された酒をそっとあかねの唇に含ませる。喉が動くのを確認して、今度は耳の下からそっと体におとしていった。  
「ああっ…あーーっ…」  
肌を焼く感触にあかねが眼を覚ます。  
「まだ夕日もみていないのに眼をつぶってはいけないよ」  
「ええ?」  
「まだ桜は散っていないよ。ほら」  
 
かすれた声といっしょにあかねが必死に首をふった。肌に流れる酒を友雅が舐めとっていく。ついでに赤い印もつけなおしていく。  
酒の刺激と印をつける感触に又体が熱くなる。  
「本当につくのも早いけど、消えるのもはやいねえ」  
柱にくくりつけた帯で身動きはとれない。酒を流しては友雅はあかねの肌から酒を舐めとっていく。色々なところに流れていくのを楽しみながら。  
「ああ、ここにも流れてるねえ。こんなに濡れて」  
しらっとした顔で友雅は再び華に顔をうずめる。  
どんどんと柱を打つ音と水音。あかねはまた頂点に押し上げられた。  
ひゅうっと長い息を吐いて体がしなり、華から蜜がどっと零れ落ちた。  
「ふふ、まだ楽しめそうだね。さあ、そろそろ開放してあげようか」  
 
開放されたあかねは友雅の背中に両手足を絡ませ、奥へと友雅を導こうとする。制限されていた分動きは激しく、何度も友雅は波をやり過ごした。  
「いいよ。ああ、まだまだあかねは咲く花だね。春が過ぎれば散る桜と違う。これからが楽しみだよ」  
もうあかねは声が出ない。激しく呼吸を繰り返す。  
「ああ、外が赤いねえ。そろそろ夕日だ」  
友雅も限界が近くなってきた。あかねの中の動きが強くなる。  
「来年もまた、私を楽しませてくれるね。あかね?」  
友雅は楽しげに笑うと最後とばかりに強く押し込んだ。あかねの顔を見ながら何度目かの頂点に達した。  
 
翌日、女房たちは後始末に駆けずり回った。桜の花びらが部屋中に散り、ささが飛び散った跡。その他もろもろ。  
女房頭がとうとう雷を落とした。  
「殿。いい加減やりすぎです」  
友雅は困り果てた表情で塗篭を見つめた。  
「ねえ、出ておいで、あかね」  
答えはない。友雅のせいで声を嗄らしてしまったのと怒り心頭と両方なのは明らか。  
しばらく女房たちはあかねと友雅の意思疎通に使われた。友雅はしばらく一人寝を余儀なくされたという。  
 

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