「俺がいない間に随分いい思いをしてたんだな。俺よりこんなものがいいのかっ」
怒りに任せて、勢い良く機械を抜き取るとどろりと愛液が流れ出した。どれほど機械を長く使っていたかが分かり、九郎の怒りを煽る。
「あ…あ…」
涙を浮かべて望美は九郎を見詰める。
「何のために俺はっ…」
力任せに機械を足で踏み潰す。どんどん原型をなくしていくのを望美はみつめるしかない。
「ごめんなさいっ…私っ」
下半身裸で震えている姿は欲情を煽る。
「比べてみろよ…望美…俺とこんな機械とどっちがいいか思い知らせてやるっ」
「そんなつもりじゃないのっ…ただ…」
「随分濡れてるな…そんなに欲しかったのか?」
ぐい、と九郎が望美の両足を持ち上げて肩にかける。ついさっきまで機械をくわえ込んでいたそこは赤く充血して、愛液を溢れさせていた。
「いやらしいな。そんなに欲しいのか?ならやるよ」
チャックを下ろして、膨れ上がった欲望を一気に押し込んだ。ぐしゃっと飛沫が飛んで中が再び熱く動き出す。
「いやああ…壊れちゃう…やめてえ」
泣き叫ぶ声を無視して九郎は力任せに抜き差しを繰り返した。一週間分を取り返すように激しくかき回すと中が締まる。
「ううっ…」
「やああああっーー」
悲鳴を上げて望美は達した。九郎も欲望を開放しながら強い快感に酔う。
窓から西日が差し込む。まだこんな時間なのか。酷く惨めな気分で九郎は望美を眺める。機械を突き刺してよがるなんて。悔しさが募る。
「まだ欲しいんだろ?望美」
冷ややかな声に望美が目を開けた。
まだ体は繋がったままなのに、もう九郎自身は中でむくむくと立ち上がり、次を欲している。
「九郎さんっ…もう…やめてええ」
涙声を無視して九郎は望美を抱きかかえる。自らの重みで奥まで九郎自身が食い込んでいく。
「いやああああっ」
「すごいな。まだ足りないのか?」
「違う…ああっ…ひいいっ」
下からどんどん突き上げられて、目の前がぼやける。言いたい言葉にするまえに、悲鳴になって消えていく。
ただ寂しかったのに。機械を入れるのは嫌だった。空しかった。九郎さんが欲しかっただけなのに。
「きかい…なんか…好きじゃないよお…」
切れ切れに叫んだ台詞に九郎が目を見張る。腰の動きがとまった。自身を突き刺したままで、九郎は朦朧としてる望美に問いかける。
「なんでだよっ…なんであんなことしたんだ」
刺激が止まり、少しずつ望美の意識がはっきりしてくる。
「九郎…さん…じゃなきゃ…したくないのにっ」
涙を流しながら、必死に言葉を繋いでいく。
「一週間前…から…しなくなった…だからっ…九郎さん…私のこと嫌いになったんでしょ…」
「何言ってるんだ?それは違う。ちょっとバイトをやっていただけだ。待てよ…」
九郎が頭を抱え込んだ。望美を持ち上げてそっと寝かせる。体中に散った赤い跡と涙に顔をゆがめる。
「なんでそういうことになるんだよ…一週間短期のバイトをしただけなのに…」
側の上着を望美の上にかぶせる。
「言葉が足りなかったな…すまん。俺の悪い癖だ。友達が一週間バイトを代わってくれというから、やったんだ」
「バイトって…」
「その…お前には毎日やらせたから…バイトの臨時収入でリングを買ってやろうと思ったんだよ。今日だって一時間早く帰ってこれを渡すつもりだったのに…」
いつも持っているバックから小さな箱を取り出す。
「ローズクオーツだよ。お前がいつか欲しがっていただろう。お守りの石だって…」
「なんでいってくれなかったの?」
「いつも求めてばかりだったからたまにはお前にプレゼントしたかったんだよ。お前が喜ぶ顔が見たかった…」
顔を赤くして下を向いた。
「九郎さん…ごめんなさい…信じられなくって」
「俺の言葉が足りなかった。すまん。酷い目にあわせちまったな。明日は仕事を一日休む。家事は全部やってやるから寝てろ」
赤いリボンがかかった箱を望美に渡す。
「サイズは計ったから、合ってるはずだ。はめてくれるな?望美」
ぶっきらぼうな声でいうと九郎は立ち上がって台所に走った。耳が赤くなっていた。
台所に立つと夕焼けがまぶしかった。少しは気がまぎれた。少しでも望美のために野菜を多めにいれよう。
慣れた手つきで冷蔵庫から野菜を取り取り出した。
部屋で望美は箱を開けた。金色のリングに薄い桃色の石が乗っている。
「ごめんなさい…」
指輪はしっかりと薬指に収まった。桃色の石はダイヤより輝いて見えた。涙でリングが見えなくなった。
「ありがとう。でも無理しないでね」
「ラーメンに野菜入りしか出来ないぞ。期待はするな」
「いいよ。九郎さんが作ってくれるものならなんでもおいしいよ」
「もうあんな機械は買うなよ。して欲しかったら朝までやってやる」
「そんなことしたら子沢山になっちゃうよ」
「…それは困る。もう少しお前と二人でいたいんだ」