「起きなさい、望美」  
「え?」  
眼が覚めると真夜中だった。なんだか夢を見てた気がするんだけど…えっと…  
抱き起こされて二人で向かい合ってしまう。うわあ…先生の顔綺麗。火傷の跡がなかったらモデルが出来るくらい。本気でそう思ってるけど、信じてもらえない。  
 
「あれ…あれ…私」  
「上書きした過去の記憶にうなされていたのだろう。苦しそうな声だった」  
「よく覚えていないんです…とても哀しい感じが残ってる…」  
「それが運命を上書きするということだ。運命を変えても、書き換えた記憶は残るのだ。いくつもの書き換えた現実、書き換えられなかった現実が記憶になって降り積もる。そして、どれが本当なのかわからなくなる…」  
苦しそうな顔。こんな夜をずっと先生は過ごしてきたのか。胸を突かれる。  
 
「もう一人じゃないよ。私はここにいるよ。自分の意思で」  
思わず手を伸ばして先生を抱きしめる。私より大きな肩。広い背中。何もかも、私を助けるために、一人で運命に抗おうとした人。とても強くて、哀しい人。  
 
「ああ…お前は本当に強くて暖かいな。私は間違ってなかったのだな。お前を生かすことが出来て…お前とここに居られるとは思わなかった。私は幸せだと思う」  
「先生っそれって…すごいくどき文句ですよ」  
顔が赤い。先生のせりふってかなりツボを着いて来るんだ。天然でこんな台詞を吐くなんて思わなかった。  
それ以前に京では必要以上に先生に話しかけないって暗黙の了解が出来ていたから、こんな面は知らなかった。  
 
「お前がそんな顔をするということは、私を受け入れてもらえるということだな?」  
「え…ちょっと」  
しっかりと頭を固定されて、唇を重ねてくる。ただ触れるだけじゃ終らない。  
ばたばたと手を動かしたりしてみるが体格の差は明らかで、どうしようもない。  
 
「ずるいです〜」  
「十分手間はかける。お前に痛みは感じさせない。避妊というものもできている」  
「…適応しすぎです〜先生」  
 
唇を奪われてる間に服も脱がされている。的確な愛撫はあっという間に理性を奪い取っていく。  
「身も心も満たされるとはこんなことをいうのだな」  
「ああ…もうだめえ…」  
「私もお前の全てに溶かされる。声も、涙も、その体も…」  
「熱いよ…せんせい…」  
 
二人で重なると、もっともっと熱くなる。そして、苦しいくらい幸せになる。止まらないよ。  
ああ、こうなりたかったんだね。私も先生も。だからあんなに苦しくても、哀しくても、上書きし続けたんだ。  
 
「もう少しっ…お前の中に…」  
「ああん…いっちゃう…」  
「望美…共にいこう…」  
 
ああ、二人で波に浚われていこう。何もかも白くはじけて見えなくなる処に。  
二人だけの幸せな記憶を積み重ねていこう。  
 
 
次の朝、料理を作る音で眼が覚めた。  
「う……う……あそうか」  
ようやく思い出した。何か夢をみておきて、そのまんま雪崩れ込んだ。もう夢の内容は覚えていない。  
先生はあまりに上手い。友達に慣れないと痛いんだよと脅されたけど、数えるほどで痛いのは消えた。  
何度もやりたいなんて恥ずかしくていえない。でも伝わってると思う。  
 
「あまり何度もやられると痛いけど…これだけは仕方ないのかな」  
 
幸せなため息をついて望美はベッドから起き上がった。  
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル