「花梨さん、まだ起きていらっしゃいますか?」
「この声………、彰紋君?」
声のする方、廊下の方を振り返ると部屋の入り口に彰紋が立っていた。
「うん、起きてるよ。どうかしたの?」
「はい、あの…」
「そんなところじゃ寒いでしょ?中に入って」
「はい、では失礼します」
「もう皆帰ったのかと思ってた」
「ええ、帰ろうと一度門を出たのですが、もう一度お礼が言いたくて戻ってきてしまいました」
彰紋は少し照れたように俯く。
「今日はあなたの世界のお菓子を頂いて、ありがとうございました」
今日2月14日は、私の世界ではバレンタインデー。
夢に龍神が出てきて、私に小さな箱とそれを開ける鍵の手がかりを授けてくれた。
八葉のみんなの協力もあって、鍵を見つけ箱を開けることが出来た。
その箱の中にはチョコレートが入っていた。
夕暮れの鳥羽離宮で、そのチョコレートを彰紋君にあげたんだっけ。
「それにしても熱でとろけてしまうなんて、ちょこれーととは興味深いお菓子ですね。
………まるであなたのようで」
「えっ?」
「いつもあなたは僕の腕の中でとろけていますよ」
「やだ、彰紋君ってば…」
「本当のことですよ。今夜もとろけて下さいますか?」
驚く間もなく抱きすくめられ、花梨の唇は彰紋のそれによって塞がれていた。
今まで何度となく唇を重ねているのに、事の始めは花梨から僅かに緊張が感じられる。
彰紋はその緊張を解こうと、逸る心を抑えつつ一旦唇を離し花梨を見つめる。
花梨は彰紋に見つめられ、安心して瞳を閉じる。
そのまま組み敷かれると彰紋の柔らかい唇が花梨の閉じた瞼に触れ、頬へ、
首筋へと降りていく。
「…ん…んっ」
緊張が解れ小さな声と共に快楽が押し寄せ、それから逃れようと花梨は身体をよじる。
彰紋の右手は逃すまいと花梨の着ている小袖の上から胸を弄り、
自己主張し始めている乳首を見つけると指先で撫で回し、快楽へと導く。
「…あなたはここが感じるんでしたね」
そう言い終わる前に彰紋の右手は花梨の小袖の懐に滑り込んでいた。
乳首を摘まむと花梨の嬌声が漏れた。
「んんっ、……はぁあああん…っ!」
花梨の吐息混じりの嬌声を聞きながら、彰紋は花梨の着ている小袖の腰紐を解いた。
露になった花梨の胸を、いつもなら舌を這わせ舐め上げているはずが、
今日はツンと立った乳首を指で弾いたり、摘まんだり、執拗なまでに弄ぶ。
「彰紋…君、…舐め…て…くれない…のっ…?」
嫌と言う程焦らされて花梨は甘えるようにねだる。
「はい、舐めて差し上げますよ。でも少しお待ちください」
彰紋は袂から花梨から貰ったチョコレートの入った小さな箱を取り出す。
そしてチョコレートを取り出すと、花梨の乳首に擦りつけると花梨の体温で
ゆっくりとチョコレートが溶けていく。
敏感になってる上に、その後のことを想像して花梨は目を潤ませ更に甘い声でせがむ。
「…あ…ん。…早く…もぅ…ダメ……」
花梨の手は行き場を求めて彰紋の衣を掴む。
「はい。僕、あなたの悦ぶことなら、どんなことでもして差し上げたいんです」
彰紋は舌を器用につかって、花梨の乳首に溶けたチョコレートを舐め上げる。
「…っ!」
彰紋の下が触れる度、びくんと花梨の身体は反応する。
チョコレートが全て舐め取られ、花梨の乳首は彰紋の唾液で艶を増し、
尚も誘っているように見え、彰紋は貪るようにちゅぱっと音を立てて吸い上げ、
甘噛みする。
「…いやぁ…んっ………はあ…ぁ…ん…っ!」
散々焦らされた後で与えられた快感に、花梨の身体は限界に近づいていた。
それを知ってか知らずか、花梨の胸に顔を埋め、彰紋の手は花梨の秘所へ滑り降り、
指を入れて掻き回す。
「もうこんなに濡れていらっしゃるんですね」
「はぁ…ん……ん…っ!」
「あなたが本当に悦ぶことは、これからですのに」
彰紋は着ていた着物を脱ぎ捨て、花梨の脚を開き、濡れそぼった秘所へ
自分のモノを挿し込み、水音を響かせながら抜き差しを繰り返す。
「あぁ…ん…っ………。…もっと…奥…まで…挿れて…」
「えぇ、あなたの望むことは叶えて差し上げます」
彰紋は花梨の奥深く突き上げた。
いつものように夜が白むまで、花梨は彰紋に愛され続けた。
愛されて疲れ果てた花梨を褥へ運び、彰紋は帰る為に身支度を整え、
すっかり寝入ってしまっている花梨の耳元でそっと囁く。
「それでは失礼します。ちょこれーととは、本当に素敵なお菓子ですね」