熊野の旅の目的であった熊野水軍の助けも借りられず、そのまま本宮に泊まることに
なった望美たちは皆意気消沈している様子だった。
源氏にも平家にもつくことはない、と約束されただけでも収穫だと思えばいいだろう。
そんなことを考えていると、何処からともなく風にのって淋しげな笛の調べが望美の
耳に届いた。
―聴き覚えのある笛の音…確かめにいってみよう―
外に出ると望美のいた世界では見たこともないほどに澄んだ星空の下、蛍が飛び交って
いた。幻想的な風景のなか、笛を奏でている人物に目が留まる。
「敦盛さん。」
望美は声をかけながら、敦盛の元へと歩を進めた。
敦盛は望美が近づいてくるに気づくと、急に苦しみの混じった声ではき捨てるように言った。
「来るなっ!」
その声に身を震わせ歩みを止めた望美は、敦盛の尋常じゃない様子に心配そうな顔をする。
望美の表情に気づくと、ますます苦しげに声を絞り上げながら言葉を続けた。
「大丈夫…だ。神子…大丈夫だから…近づかないでくれっ」
望美はこの事態に立ち去れるわけもなく、何もできなくても敦盛のそばにいようと決意し
そばに腰をおろした。
自分の忠告を無視し、なおも距離を縮めてくるこの清らかな神子に動揺を隠せない敦盛。
望美は敦盛の苦しみが和らぐように目を閉じて、向かい合う形で手をとり胸の前に引き寄せた。
「龍神に力を分けてもらうから…じっとしてて。」
手から伝わる望美の鼓動の音に、敦盛の隠された穢れが悪い方向に反応する。
その予感があったから拒絶したのに、敦盛の心に黒いものが渦巻く。
「神子っ」
気がつくと硬い石の階段に、望美の体は押し付けられていた。
驚いて目を開けると敦盛の顔が目の前にあった。その瞳は赤く妖しく光り、強引に唇を貪り
はじめる。
突然の息苦しさに敦盛の体を押しのけようと、両手を突っ張るが華奢なようでも男である
敦盛からは逃れられない。
舌を絡みあわせ、ねっとりと口内を犯す敦盛に望美の体はだんだんと力が抜けていく。
敦盛の唇が望美の首筋までおりた時、その柔らかい感触に思わず赤い花を咲かす。
「あっ…!」
はじめての感覚に声をあげた望美に、嬉しそうに花を咲かせ続ける敦盛は器用に帯を解いていき、
袷を一気に肌蹴させる。
形のよい胸の頂にある突起は、その与え続けられる愛撫に反応して硬くなっている。
陶器のように透き通る望美の素肌に舌を這わせていく。
胸の突起を口に含むと、舌で転がし始めた。
「やぁんっ。」
体がだんだん熱くなり、何も考えられなくなっていく望美。
相変わらず綺麗な光が辺りを照らすなか、二人の痴態は続く。
敦盛は望美のスラリとした足に指をはわせていく。下着の中心まで指が到達すると、そこは
もうすでに十分潤っていた。
「神子。感じてくれているのか。」
「違…う。」
敦盛は下着の上から望美の泉を撫でながら、囁いた。足の間から下着が引き抜かれる。
望美の片足を肩に乗せると、泉に唇を這わせはじめた。
「あぁっんっ。」
はじめて受けるねっとりとした刺激にまた甘ったるい声がもれる。
潤っている泉にゆっくりと指が差し込まれていく。
「痛っ。」
敦盛はその声を無視して、ゆっくりと指を動かし始める。苦痛で顔を歪める望美。
暫く抽出を繰り返すと望美のなかから、蜜が溢れ出てくる。
蕾を舐めあげられ、同時に泉をせめられると望美のなかでなにかが弾けそうになる。
「やだっ。怖いっ。」
叫ぶと同時に足を突っぱねた望美に、敦盛は尋ねた。
「達したのか…。敏感なのだな。」
生まれてはじめて感じた行為にいまだぼんやりしている望美の泉に、敦盛は熱くなっている
自分のたかまりを押し付けた。
この先に待ち受けるものに恐怖を感じ、逃げる望美の腰を手でしっかり押さえると一気に
刺し貫いた。
「痛いっ!痛いよっ。」
激痛に身を捩り、顔を左右にふりながら耐える望美。そんな望美の様子に気遣うこともなく
ひたすら腰を打ち付ける。
「だから…来るなと言ったのにっ。神子が悪いのだ。神子がっ!」
望美の瞳から零れる涙を舌で絡めとると、ひたすら自分の快楽のためだけに腰を打ち続ける
敦盛。そのたびにピクピクと望美の体が波打つ。
肌のぶつかる音が辺りに響く。より一層激しさを増した敦盛の動きに望美は早々と意識を
手放していた。
「神子っ!」
そう叫び望美のなかに欲望を吐き出す敦盛。呼吸を整えると自分のしでかした事が、現実と
して突きつけられる。
敦盛は望美の体を清めると、包み込むように抱き寄せて懺悔していた。