「じゃあね朔、望美ちゃんの事くれぐれも頼んだよ」  
慣れない真面目顔を精一杯作ってみせたが、いつもしっかり者の妹は呑気に答える  
「はいはい兄上。  
 何度も言ってるけど私の部屋から窺うかぎり不審者なんて近づいていないわ、  
 本当に小心なんだから。」  
・・・はぁ、やはり日ごろの行いが良くないのかオレの真剣さが全く伝わっていない。  
「だいたい屋敷の中に八葉も揃っているんだし、心配ないわよ」  
再三、朔に望美の身の周りに異常がないか重々気を配ってくれるように頼んだが、  
状況を聞くたびに「異常なし」と答えるばかりで、今日に至っては呆れ顔さえ見せる。  
ああ、朔、兄はホントのことが言えない、不審者ってのはその八葉なんだよ!  
 
オレは数日前望美ちゃんの部屋から漏れ聞こえる声を聞いてしまったんだ、  
「神子、神子の肌、暖かくて、心地がいい。私の体も安らぐ」  
別の日は  
「先輩・・・せん、ぱぁい、俺、はぁ、我慢できません、もう一回させてください」  
別の日は  
「お前の望むままに、体を動かすがいい・・・私もお前に応えよう」  
別の日は  
「っく、俺の心ばかりかアソコも捉えて離さないとは、姫神子、様には恐れ入るね」  
別の日は  
「あぁっっ、あ、あ・・・み、神子、神子は乱れても清らかで、あの、あっあっあああ!」  
別の日は  
「うっ、ぐ・・・なんていうか、その、お前、なかなかの戦上手だな」  
別の日は  
「頬ばかりか全身こんなに染めて、本当に、いけない人だ」  
別の日は  
「っつ・・・お前、暫く会わない内にイイ女になったな。綺麗だぜ、ココもな」  
さらに別の日  
「神子、神子の胸、柔らかくて、安心して・・・ねむ、れ、る・・・」  
「っうっうう・・・、やっぱり・・・ダメ・・・」  
望美ちゃんの涙声だった。  
 
状況から察するに、望美ちゃんは心ならず皆にあんなことをっ!  
しかし確認の為に現場に踏み込んだら覗いてたみたいだし、  
でも望美ちゃんに面と向かって「八葉の皆に強姦されているの?」とか聞けないし、  
皆に「望美ちゃんを無理やり犯しちゃったりするの止めようよ」とか言えないし、  
同じ女の朔ならそれとなく気を配ってくれまいかと思ったが、朔にオレの気持ちは伝わっていない。  
 
「あのさ朔、最近さ、望美ちゃん悩んでる様子とかない、よね?」  
妹は本当に心を痛めているように眉根を寄せて、だが的外れにも  
「ねえ兄上、望美はとっても魅力的な女の子よね」  
そんな事を言ったきり、手元の扇に目を落としてため息をついた。  
 
オレはどうしたら・・・、毎日悶々と過ぎてく。  
そんなある日、朔が望美ちゃんの事で相談したいといってきた、何か情報をつかんだのか?  
やはり持つべきものはしっかり者の妹!よーし、お兄ちゃんは精一杯相談に乗っちゃうよ!  
 
約束の時間妹の部屋を訪ねると、俺を迎えたのは妹の切羽詰った頼み声  
「っくはぁん、あ、兄上、はや・・・早く手伝って」  
その次は望美ちゃんの蕩けた声  
「景時さぁん・・・お願い、きて下さい」  
予想外すぎる展開にオレの視力が拒否したらしい、  
まるで靄の中の光景が明らかになって行くように状況が見えてきた。  
一糸纏わない姿の望美ちゃんを妹が羽交い絞めにしている。  
普通の羽交い絞めと違うのは押さえるのが脇でなく膝であり、  
こちらに向けて望美ちゃんの秘所があらわになっている。  
彼女の膝を抱えた腕で妹が彼女の胸をまさぐり、彼女の耳を噛んでいる。  
「はぁっ、やっぱり私一人では・・ぁ、無理、れす・・・兄上ぇ」  
何故か攻めてるはずの妹の呂律が回っていない。  
「手伝って、な、何を?」混乱の余り普通に聞いてしまったが  
「ぁは、何ってぇ、決まってるじゃないですかぁっはん、兄上ぇはそれれも・・っふぁ、男れすはぁぁん」  
喘ぎ声交じりでも妹に叱られてしまった、やはりソウイウコトですか。  
 

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