満月の夜。
リズ先生が望実とどこか出かけて行くのが見える。
こんな夜にどこへ行くんだろう?
…でも先生が一緒なら大丈夫ね。
そんな事を考えてふと、あの人が思い浮かぶ。
あの人が撫でた髪。
あの人が触れた唇。
あの人が熱く求めたこの身体。
私は自分の身体をぎゅっと抱きしめる。
求めてもどうしようもない事なのに。
私の身体中全てがあの人を欲している。
「愛してる、朔…。」
荒くなる息づかい。
身体が、熱くなる。
あの人はもういないのに。
もう一度私のそばへ帰ってきて。
私を、抱いて。