「譲くん……」  
 
柔らかい声色と鼻腔をくすぐる甘い香りに誘われて目を開くと、飛び込んできた光景に譲は言葉を失った。  
憧れの先輩、望美が一糸纏わぬあられもない姿で譲を見下ろしていたのである。晒け出された白い肌、豊かな胸、しなやかな髪が皮膚を滑る感覚に目眩が誘発する。  
「せ、先輩……っ、その格好」  
 
何か着て下さいと口にしようとした刹那、唇に人差し指が押し当てられた。  
「しーっ、静かにして。聞こえちゃう」  
至近距離で見据えられる。  
艶やかな唇と蠱惑色の眼差しに、胸が高鳴った。  
 
「あのね……しよ?」  
呼吸が瞬間停止する。  
 
「す、するって何をですか」  
「もう、意地悪なんだから。分かってるくせに」  
くすりと笑うと、望美は譲の衣服を剥いでいく。  
「せ、先輩!! 冗談はよしてください。駄目です、こんな――」  
「譲君は私のこと嫌い?」  
嫌いなわけがない。今も衣服越しに触れられて心臓がはち切れそうなほど鳴り続けている。  
だがそれを伝えられるほどの余裕がない。  
「……っ」  
下腹部に手が滑り込む。冷たくしっとりとした手の平が譲のものを抱えこんだ。  
 
「ふふ、可愛い」  
「先輩……本当に止めてください。こんな……あっ」  
 
上下にゆるゆると扱かれれば敏感なそこは、さっそく反応する。  
望美は先端を指の輪で挟むと、強めに揺さ振った。  
言い様のない快楽が広がる。  
「もう大きくなってきたよ、感じてくれたんだ。嬉しいな」  
「……っ」  
「譲くん……」  
望美は四つんばいになると、譲自身を両手に挟んで口へ運ぶ。  
「ふっ……むっ、ん……」  
目の前で望美のたわわな胸が揺れる。高々と掲げられた腰が動く様が艶めしい。  
自身を舌で刺激される。劣情を煽る淫らな光景に、譲は興奮を押さえきれなくなっていた。  
「ちゅ……むっ、んっ、くちゅ……」  
「せ、せんぱ……いっ、はあっ……」  
望美の口の中で、譲のものが膨張する。  
「んむ、譲く……」  
「で、出る……っ」  
射精の感覚が背中を走る――。  
しかし、それは望美の指によって止められた。  
「まだ出しちゃ駄目」  
見ると、根を押さえつけ出せないようにしてある。  
「あっ……」  
物欲しげに声を出してしまった自分に恥ずかしさを感じ、譲は唇を噛んだ。  
 
「どうしたの?さっきは駄目だって言った癖に。譲くんの嘘つき」  
「だってそれは先輩が……」  
「私のせいにするんだ。悪い子にはもうしてあげないから」  
「えっ……」  
「譲くんを置いてこのまま帰ろうかな〜」  
残酷な事を言いだす望美に、譲は困惑した。……意地悪なのは貴方の方じゃないか、こんな俺の気持ちを弄んで遊んでる。  
けれど抗うことなど、出来はしないのだ。  
自分はこの人に囚われてしまったのだから。  
「行かないで……下さい。俺を一人にしないで」  
「私にどうしてほしいの?」  
「……」  
「ちゃんと言って?」  
色っぽい口調でせがまれて、逃げ場がなくなる。  
「先輩と……したい」  
「何を?」  
「……エッチなこと」  
「例えば?」  
くすくすと愉快そうに笑う望美。はっきりと言わなければずっとこのままだ。譲は震える声で呟いた。  
「先輩の中に……入りたい」  
その言葉を待っていたかのように望美が頷く。譲の身体にまたがると、譲のものをゆっくりと自身の秘部に導いた。熱い先端は既に先走りの液を溢している。  
「いいよ……してあげる」  
 
唇を微かに開くと、望美は勢いよく腰を沈めた。  
「ん、んっ……ふっ、全部入っちゃったよ……」  
「先輩……っ、あ、こんな……うあっ」  
望美は腰をグラインドさせ、激しく譲を責め立てる。  
「凄い……熱いっ。譲くんっ、あっ、ん……っ、き、気持ちいい?」  
「はい…っあ、っ、あ……」  
「ん、もっと……来て、奥まで……突いてっ」  
ズブズブと挿入を繰り返す。望美の体内は熱く、入る度に絡み付いてくるようだった。内側の壁を擦る感覚に、電流が走るような悦楽が爆発する。  
「は、はぁっ……先輩……っ」  
「譲くん、気持ちいいよ……、ここがとろけちゃいそおっ……!!」  
「先輩……好きです……っ、俺貴方のことが…っ、」  
「んっ……私も好きだよ、一杯してあげるね」  
ぐい、と腿を寄せて屈む望美。激しい締め付けに自身を圧迫され、切ない痛みと同時に絶頂が近づく。  
「はあ……っ」  
譲の顔が歪む。汗ばんだ額から雫が落ちる。  
闇の中、両者の汗で濡れた身体がいやらしく絡み合う。  
「はっ、あっ、あっ……譲くん譲くんっ……!」  
望美が腰を揺らし、一層律動を激しくする。  
ただひたすらに悦楽に耽る様は、美しい獣の様であった。  
 
「うあ……っ、せんぱ……先輩っ」  
射精感が込み上がると同時に、譲は目の前の望美を思い切り抱き寄せていた。  
内側で限界まで膨れ上がったそれは、勢いよく欲望を撒き散らす。  
「ん……っ」  
内側から満たされていく感覚に、望美の首筋がびくびくと震えた。収まりきらなかった精液が、望美の中から溢れて結合部を濡らす。  
「は……っ」  
中に出してしまったことに、後ろめたさと背徳を感じ譲はそっと望美を見つめた。  
「凄い一杯出たね」  
「すいません……俺止まらなくて」  
「謝らないで。私は気持ち良かったんだから……それより」  
望美が自分の上におぶさり、豊かな胸をすりつけてくる。射精直後だというのに、淫らな愛撫に譲は反応してしまった。  
「また大きくなってきた……もう一回しよ?」  
「先輩……いいですよ。でも」  
譲は起き上がりながら望美をゆっくり抱き締め、上下を反転させる。  
「今度は俺からしたい。いいですね?」  
譲の下敷きになった望美は、甘えた声で「うん」と言う。  
譲は長くなりそうな夜を思い、愉しみと、明日は戦えなそうだななんて考えながら望美に口付けをした。  
 
「先輩……大好きです」  
 

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