天青龍の場合   
 
「将臣殿は、神子殿と同じ世界から来られたとか。」  
「ああ、それがどうかしたか?」  
「我らは剣しか扱えぬ身故、日々懸命に励んでおられる神子殿をお慰めする術を知らぬ。  
神子殿の世界をご存知の将臣殿なら、何か手段をご存知では。どうかご教授願えないだろうか。」  
「はは〜ん、そういうことか……ok任しとけ、現代の常識をしっかり伝授してやる。」  
「よろしく頼む。」  
 
「……ざっとまぁ、こんな感じだ。  
ん、どうしたよ?いい年した武士が二人揃ってぷるぷるしやがって。」  
「私の様に穢れた者が神子殿にその様な不埒な事っ、断じて出来ぬっ!!」  
「私も頼忠殿と同意見だ、折角のご教授を無下にするのは心痛むが  
この頼久、神子殿にその様な行いは出来かねる。」  
「……お前らなぁ、『異世界から来られた神子殿をお慰めするのに良い方法はないか』って  
聞いてきたのはそっちだろ?この程度で狼狽えんじゃねぇよ。」  
「こ、こ、口淫などあの様に清浄な方に出来るはずが無いっ!」  
「我々は神子殿の無聊をお慰めできれば、と思っただけで  
異世界の房事について事細かに聞いた覚えは、全く御座らぬ。  
……将臣殿は将臣殿の神子殿に、その様な事をされたのか?」  
「望美にか?まぁそうもいかない事情が色々あってな……  
まぁ、全部片付けたらするつもりだけどな。」  
 
 
地青龍の場合    
 
「お前らってさ、あかねや望美とはどうなってんだ?」  
「っ!どうとはどういうことだ、あいつはだたの妹弟子で別に何でもない!」  
「おいおいムキになんなよ九郎、意識してますって白状してるようなもんだぜ。  
で、勝真。そういうお前はどうなんだよ。」  
「俺か?こないだ忍んでいったはいいが、何処ぞの忠犬が煩くってな……」  
「忍ぶ……夜這いってことか。  
京では普通の事なんだろうが、花梨は俺たちの世界じゃまだ子供だぞ。  
身体だってあんな細っこいのに、そういう対象にしちまって良いのかよ?」  
「……あいつは子供なんかじゃねぇ。  
本気になってんのは俺だけじゃないしな、うかうかしてたら他の奴に攫われちまう。」  
「周りは敵ばかりってことか、こっちと状況は似たようなもんだな。  
俺もいい加減、腹くくるか……って、おい九郎?」  
「天真、勝真っ!!お前達戦の最中にその様な浮ついた事を、それでも武士かっ!!」  
「戦って、そりゃお前の時空の話だろっ!」  
「そもそも俺達は武士じゃねぇしって、おい九郎落ち着けっ!」  
 
 
天朱雀の場合   
 
「先々代と先代が、雁首揃えてオレに何か頼み事とはね。」  
「あ〜、その、何と言うか。」  
「うじうじすんのはごめんだから単刀直入に聞く、ヒノエは望美と事に及んだのか?」  
「なっ、イサトお前んなはっきり!」  
「へぇ……それを聞いてどうするつもりだい?  
自分達の姫君との参考にしたいって事かな。」  
「っ!だからオレはこいつに聞くのは反対だったんだ!」  
「そうは言ってもイノリ、同世代の八葉には聞けないだろ。全員敵みたいなもんだからな。  
「ま、まぁあいつらに聞くよりは数倍ましか……。」  
「意見は纏まったかい?残念な事にオレの姫君はまだ手折っていないけれど  
これでも海の男だからね、それなりに経験はある。  
同じ天朱雀のよしみってやつで、何なりと聞いてくれて構わないよ。」  
「……やっぱりこいつ、友雅みたいで何かむかつく。」  
「オレも翡翠みたいだとは思ったけど、そう言うなよ。少なくともヒノエは恋敵じゃないんだからな。」  
 
 
地朱雀の場合   
 
「彰紋さんも弁慶さんも、女の人にとても優しいですね。」  
「どうかしましたか詩紋君?」  
「僕、あかねちゃん以外の女の子とあまりお喋りした事がないから。  
花梨さんや望美さんにどう接したら良いかわからなくて。」  
「そう堅くなる事はありませんよ、花梨さんは朗らかで明るい方でしょう?  
詩紋君がどう接しても、気分を害されるような事はありませんよ。」  
「望美さんも気さくな方ですから、気後れする必要はないですね。  
ただ、分け隔てが無さ過ぎるのが少々悩みの種、といったところでしょうか……」  
「それって、弁慶さんは望美さんのことが……?」  
「ふふ、つい口が滑ってしまいましたか。  
八葉全員を虜にする、いけない人ですからね。まぁ最後には僕のものにしますけれど。」  
「ええっ、弁慶さんのものっって?!」  
「はい、心身全て僕のものになって頂く予定です。  
勿論、詩紋君も彰紋様もそのつもりなのでしょう?」  
「え、あ、僕はそんな……  
紫壇の箱に閉じこめて誰にも見せたくないなって、たまに思うぐらいで。」  
「おやおや、これはまた。  
お若くいらしても、やはり東宮であらせられるのですね。  
彰紋様が宜しければ、花梨さんを虜にする満月の雫を処方致しますよ。」  
「あ、出来ればお香にして頂いても宜しいですか?」  
 
「う〜ん、二人ともやっぱり大人なんだ。  
僕はあかねちゃんとお菓子作ったり、一緒に笑っていられればそれでいいんだけどなぁ。」  
 
 
天白虎の場合   
 
「京と譲殿の世界では、随分と様変わりしているのですね。  
話を聞けば聞くほど、不思議な気持ちがします。」  
「俺も驚いています。  
男女のあり方も全く違うし、やっぱり違う時空なんだな……」  
「ええ、そうです。妻問いと言いまして  
貴族の男達は有力な後ろ盾を得るために、複数の女人の下に通うのですよ。  
女人の側は男を夫とし、財力や家の権力をもって男を支えています。」  
「そういう物だと古典で習いましたけど、やっぱりしっくりきません。  
想い続けた唯一の人と結ばれたい、相手のお金や権力に惑わされるなんて俺は嫌ですね。」  
「譲殿の世界では、そういった慣習なのですか。  
少し羨ましいです、想いを通わせた方と共に在れるのはとても素晴らしい事だから。  
……おや、幸鷹殿どうされましたか?」  
「――あ、いいえ。譲殿の話された事を何処かで聞いた事がある様な気がしたのです。  
そんな事があるはずも無いのですが……。」  
「俺達の世界の事だから、花梨から聞いたんじゃないですか?」  
「いいえ、神子殿とその様な話をした覚えはないのです。  
……その様な話が出来る仲にはなりたい、と常々思ってはいるのですが。」  
 
「っ!」  
「……幸鷹さん、意外と大胆ですね。」  
「ああ、申し訳ない。心底不本意ですが何処ぞの海賊に毒されているようです。」  
 
 
地白虎の場合   
 
「実に嘆かわしいね、そうは思わないかい?」  
「同感だよ友雅殿、ここは我々が何とかするべきだろう。」  
「……どうしたんです二人とも、随分と深刻そうですけど?」  
「丁度良い所に来たね景時、今丁度我々の後身である君について話していたのだよ。」  
「へ、オレですか?」  
「ああ、君の事だ。我々地白虎は代々、異世界より突然攫われてきた稚い姫君を  
大人の余裕と色香で惑わせ……もとい、慰めるのが八葉としての主な役割なのだがね。」  
「しかるに君は、色香と呼ぶには聊か問題のあるその格好と  
大人の余裕とは程遠いへたれ……失礼、消極的な姿勢は先々代としても非常に遺憾だ。」  
「受け継がれた恵まれた容姿と美声が、これでは宝の持ち腐れだね。  
というわけで、友雅殿と協力して景時をあるべき地白虎に鍛え直そうというわけだ。」  
 
「あの〜、お二人とも何気なく酷い事を仰ってるような……ってうわっ?!」  
「覚悟はいいね、景時?まずはその装束からだよ。  
全く、臍出しなどで大人の色香が醸し出せるはずもない。肌蹴るなら襟元にした方が良いね。」  
「そのへらへらとした話し方も宜しくない。気だるげに且つ、艶を含めた言の葉でこそ  
神子殿を魅了できるというものだよ。勿論寝所でも効果は絶大だ。」  
「ちょ、ちょっと待ってください友雅さん翡翠さんっ、オレそういうのは性にあわな……」  
「その様に腰が引けていては、姫君を快楽の海へお連れする事が出来ないよ。」  
「あの気丈な神子姫相手では、君の方が押し花にされかねないね。  
愛らしい神子に必死に望まれるのもたまには悪くない趣向だが、男としてはどうだい?」  
「え、いやホントそういうのは弁慶やヒノエ君の担当でオレは……  
わ〜んっ、望美ちゃん助けて〜〜〜!!」  
 
 
天玄武の場合   
 
「八葉の中には、神子をお慕いする方も居られるようですね。」  
「ええ、神子は清らかなだけではなく芯の強い、素晴らしい女人ですから。」  
「そうだな、神子は男女を問わず人を惹きつける魅力をもっておられる。」  
「「「……」」」  
 
「僧籍にある者が、不埒な想いを抱くなど……なんと恥知らずな事でしょう。」  
「何もこなせぬ愚か者が、あの方を慕うなど……身の程を知らぬにも程がございます。」  
「穢れた怨霊が、清らかな神子を望むなど……あってはならない事だ。」  
「「「!!!」」」  
 
「そ、その様な事はございません!  
泉水殿は仏の道に逃げることなく、よく神子を支えておられるではありませんか!」  
「敦盛殿こそ、戦場にて果敢に神子をお護りされているのでしょう。  
私は恐ろしくて、とてもそのような事は出来ません。」  
「永泉殿は生きて、八葉としての任を全うしておられる。  
清浄な音色で神子を癒しておいでではないか、私には成しえぬ事だ。」  
「……そう言えば以前、『もっと自信を持ってください!』と神子に言われた事がございます。」  
「私も、その様なお言葉を頂きました。勿体無い事です。」  
「私の様な者に心を砕いてくださる神子の為にも。  
……今出来る事を、精一杯努めるべきなのだろうな。」  
 
 
地玄武の場合   
   
「二人に聞きたい、男女の交わりとはどういったものだ。」  
「……何故、その様な事を聞く。」  
「無論、神子の為だ。  
男に宿る陽の気と女に宿る陰の気を混ぜ合わせる事で五行をより高める事が出来ると聞いた。  
しかし、具体的な方法が良くわからぬ。師に問うても『泰明にはまだ早い』と教えて頂けなかった。  
だが神子の力が強まるのなら、それは為すべき事だ。故に知る必要がある。」  
「先代が知らぬ事を、私が知ろうはずも無い。  
次代の地玄武は、何か知っているか。」  
 
「……それはあくまでも、神子の同意を得て行う事。  
神子の力が強まるのは良いが、無理をさせてはその心身に負担が掛かる。  
そうなっては、五行の力が強まるどころではない。」  
「心……それは、私には無いものだ。  
心が無ければ出来ぬ事、か。ならば私以外の八葉が適任なのだろうが……」  
「その選択も、神子の心が相手と寄り添っておらねば意味が無い。  
焦る事はない、我らの代にまで神子と八葉の話は伝わっている。  
先々代も先代も、その責務を全うし神子を護り抜いたという事に他ならぬ。」  
「心が無い、か。  
先代は神子と京を救った後に、心を手に入れたと聞く。  
今は無くとも、神子に寄り添っていればいずれ心を手に入れられるのではないか。」  
「無論、それは先々代も先代も同じ事だ。  
神子を護り他の八葉とも協力する中で、得られるものも多いだろう。」  
「心を……そうか。」  
 
「花梨ちゃん、望美ちゃん。八葉の中に好きな人って……いる?」  
「皆の中で?う〜ん、あんまりそういうの考えた事ないなぁ。」  
「全員助ける運命探すのに必死で、正直恋に落ちてる暇も無いよ。」  
「あ、二人ともそうなんだ。  
藤姫がやたらと『神子様は八葉の皆様方の中に、意中の人はおられませんの?』  
って聞いてくるものだから。私以外の神子はそういうものなのかなって……。」  
「まさか!そりゃあ皆格好いいけど。  
正直、恋愛対称にしたら大変だなぁって思っちゃうよ。」  
「あ、それなんとなくわかるなぁ。  
皆勝手に暴走して助けるのも命がけだし、協調性がありそうでなさそうなのがね。」  
「協調性はうちもないかも。  
天地で物凄く大人気ない喧嘩するし、フォローが大変。」  
「最初は全っ然神子って認めてもらえなかったし、院だ帝だって  
自分たちの都合で一杯振り回されちゃったなぁ。」  
「ちょっと応援台詞間違えたら、星が下がっちゃうし。」  
「ミニゲームに失敗しようものなら、すっごい顔で怒られるし。」  
「護られてるって言うより、どう考えても私が護ってるし。」  
 
「恋人としてそういう事をされたら、と思うとね。」  
「……う、想像したくない。」  
「ちょっと躊躇しちゃうなぁ。  
あ、でも気になってる人はいるよ。女の子なんだけど。」  
「あれ、私もそうなんだ。千歳っていう黒龍の神子で  
どうも京の荒廃に関わってるみたいだけど……綺麗で儚げで、護ってあげたくなるんだ。」  
「うちも黒龍の神子だよ。ランって名前で、鬼の首領に連れられてるんだけど  
なんだか様子がおかしくって……助けてあげなきゃって思うんだよね。」  
「黒龍の神子って、朔のこと?だったら絶対助けてあげて。  
今私は朔と一緒に戦ってるんだけど、優しくて綺麗でしっかりしてて最高の対なんだ!  
あかねちゃんも花梨ちゃんも、きっと仲良くなれるはずだよ。」  
「そうなんだ、じゃあ元の時空に還ったら頑張ってみようかな。」  
「千歳と仲良くなれたら、一緒に京を救う事が出来るかもしれない。  
私も頑張る、二人ともありがとう!」  
「どう致しまして。私も元の時空に還ったら  
今度は絶対に、朔を幸せにしてみせるよ!」  
 
 

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