深夜の京邸。  
その一室では少女の甘い声が響いていた。  
「ひゃあっ…だ、だめ白りゅ…んっ…」  
「どうして?神子のここはこんなにも喜んでいるよ?」  
にゅちゃぐちゃと卑猥な音を立てながら白龍の指が望美の中を犯していく。  
甘美な蜜は蕾から溢れ、脱ぎかけの衣にシミを広げていた。  
「神子…」  
上部は既に着物の左右を無造作に寛げ胸だけを露出させている。  
先は痛い程固く、白龍がそれを丹念に美味しそうに舐めていく。  
指の動きと舌の動き、そして自身を見つめる瞳と甘い声。  
望んでいたのに、心臓の鼓動が壊れそうな程に強くて、恥ずかしくて、でも拒めなくて。  
「神子、神子の願いを言って?神子はどうして欲しい?」  
白龍の優しげで意地悪な言葉。  
指の動きは変わらない。ゆっくりと残酷なまでの動き。  
「っ…」  
神子と龍は繋がってるという。ならば分かってるはずだ。  
私が、私が今して欲しいこと。  
「………もっ…と…」  
「もっと?」  
…分かってるくせに。ひどいよ。  
望美の心の声に答える様に白龍が優しく笑んだ。  
「言わなきゃ分からないよ、神子。人の言の葉で、言って欲しい」  
「っ……」  
恥ずかしくて、でも我慢も出来なくて。  
死にそうな程荒い息の中、望美は耳まで真っ赤にして言葉を続けた。  
「…も…もっと……して……」  
「もっと?どんな風に?」  
「っ……は…白龍の…お………を…いれ…て……」  
恥ずかしくて消えそうな程快楽に溶けた甘美な言葉と声。  
それを聞いた白龍が嬉しそうに頷いた。  
「うん、分かった。私の神子。大好きだよ」  
蜜に濡れた指が引き抜かれ、すぐに熱く猛々しい白龍自身のがゆっくりと入ってくる。  
「っ……!あっ…」  
痛く熱く中を侵略していくそれに、望美は身体を震わせた。  
「気持ち、いい?神子」  
ゆっくりと慣らす様に動く白龍に望美は頷く。  
「うん…っ…気持ちいい…よ、っ…ん…」  
 
指とは比べものにならない程、白龍自身が与えてくれる快楽。  
「んっ…あ…っ…」  
望美はそれに身を委ねながら、自分を愛する唯一の存在に言葉を告げた。  
「好き…白龍……いっぱい…して……」  
 
 
目が覚めると、まだ日が昇る前だった。  
望美は白龍を起こさぬ様に起き出して身支度を整える。  
「…怨霊、江露羽炉…か…」  
ぽつりと呟き白龍が眠る隣へ腰掛けた。  
穏和な笑みを浮かべ眠る白龍のその姿は、昨夜自分を愛した大人の姿では無い。  
小さな小さな、子供だった。  
 
…ここは何度目かの時空の春の京。  
事の発端は昨夜だ。  
部屋の前で座りながら月を見上げて考え事をしていた時に  
「どうしましたか望美さん」  
先程まで邸内にある部屋で作業をしていた弁慶がふらりとやってきた。  
「あ…えっと…」  
望美は、これって前の時空に無かったな、と記憶を掘り起こしながら言葉を続ける。  
「実は…五行の力が中々集まらなくて…」  
二章に出てくる怨霊のレベルでは貰える五行も多くはない。  
「早く次の章に行けばいいんですけどヒノエくんのとか敦盛さんにも会わなきゃだし…」  
などは口を裂けても言えないが。  
望美から悩みを聞かされた弁慶は、指を額に当て少し考えると  
「ちょっと待ってて下さい」  
そう言って足早に去り、すぐに一つの文入れらしき箱を持ってくる。  
「これは…?」  
「これは龍神の事を調べる際に安部家からお借りしたんです」  
もちろんそのまま借りっぱなのだが。  
兄も景時も何も言わないから別にいっか、が本音だが。  
弁慶は紐を解き箱を開ける。  
中には桃色の何かが描かれた札が入っていた。  
「これは先代の神子が封印した怨霊らしいんですよ」  
「え…先代の?!」  
「えぇ、こちらに…ほら、江露羽炉…えろぱろ、と」  
「え…えろ…ぱろ…」  
望美は、凄い名前だな…と引き気味で思った。  
 
百年の月日が流れたせいか怨霊の名を記した紙や箱、札自体もかなりボロボロだ。  
弁慶は言う。  
「この札を望美さんが封印すれば、五行の足しになると思ったんですが…」  
「そんな事可能なんすか?」  
「さぁ…?でも物は試しと言いますし」  
「うーん…そうですよね…」  
多分出来ると思う。そんな気がする。しかし…  
「でもいいんですか?」  
「何がですか?」  
「だってこれ借り物なんですよね?封印したら無くなっちゃうんじゃ…」  
すると弁慶はとてつもなく素敵な笑顔で答えた。  
「白龍の神子である望美さんが封印するのですから大丈夫ですよ」  
…何が大丈夫なのかよく分からない。  
だが、  
「それもそうですね」  
としか返す事しか出来ない笑みだったので、あまり気にしないでおいた。  
「それじゃあ…」  
望美は札を手にし、気を集中させる。  
「めぐれ天の声、ひびけ地の声、かのものを封ぜよ」  
夜の静けさの中、望美の清らかな声がその場を包む。  
淡い光を放ち札は消え、何となく五行の力が増した気がした。  
それを弁慶に伝えると  
「お役に立てて良かったです」  
と柔和に微笑んでいた。  
 
それから少し話をして、明日も早いのでと弁慶の背を見送った後、望美は部屋へと戻った。  
「明日は六波羅に…あれ?」  
月明かりが入る部屋の中、先に眠っていた筈の白龍が起きていた。  
「あ…ごめん白龍、うるさかった?」  
弁慶との会話で起こしてしまったのだろう。  
そう判断したのだが、白龍は首を横に降った。  
「神子……」  
望美が白龍の隣に座ると、白龍は切なそうな瞳を向ける。  
「どうしたの?怖い夢でも見た?」  
「ちが…う…」  
言うと白龍は立ち上がり、望美の目の前で寝間着の着物を脱いだ。  
 
「はっはく…!?」  
「神子…どうしよう…ここが、変…」  
下をも露にした白龍のそこは、小さいながらもぴくぴくと勃起していた。  
「……っ」  
こんな事は今まで一度足りとも無かった。  
白龍が、しかも小さい白龍が性欲に浮かされているなど。  
「な…なんで急に…あ!」  
望美は一つ思い当たった。  
「ま…まさか江露羽炉を封印したから…?」  
白龍が答える様に頷く。  
「うん。五行の力…高まった、でも、力が強くて…性欲に、それが集まって…」  
「でも私には何も…」  
五行の力には神子も影響を受けるはずだ。  
「江露羽炉は…男しか…力を及ばせない、から」  
「そっ…そっか」  
なんて面倒で迷惑な力を持った怨霊なんだろう。  
望美は頭痛を覚えつつも、それよりも今の問題は白龍だ。  
幼い体を性欲という名の熱に浮かされて、荒い息をし、性器を露にして。  
切なげに瞳を揺らし、発散出来ない欲にどうしたら良いか分からないようだ。  
「…っ」  
頭に一瞬横切る少年に迫る性犯罪の文字。  
…でも…このままじゃ、辛い…んだよね…?  
「神子…」  
自身に助けを乞う様な白龍の声。  
「…白、龍…」  
望美は息を飲むと、そっと手で白龍の物を包んだ。  
「っ…あ…」  
白龍の快楽の声が耳に届く。  
望美は手の内に収まるそれを、くにくにと動かしてみた。  
「だめ…みっ…っ…あっ」  
「きゃっ」  
白龍のそれから何かが出る感触に思わず手を離してしまう。  
「あ…」  
飛び出したそれらは望美の寝間着を汚していた。  
達した白龍はすぐに狼狽する。  
「ごっごめんなさい神子…っ拭かなきゃ…」  
「い、いいよ白りゅ…っん」  
白龍の小さな手が布越しに望美の胸の先に触れた。  
 
そこは既に固く、また望美自身も息を荒げ頬を赤くし、それはまるで…  
「神子、神子も…私と一緒…?」  
どきり、と胸がざわめいた。  
白龍のに触れ、白龍のに汚されて、白龍に触られて。  
白龍の性欲が移ってしまったのだろうか。…いや、  
「ちが…うよ…」  
望美は目の前に二人の男を見た。  
小さい白龍と大きな白龍。どちらも大事な…  
「白龍が好きだから…好きだからこうなっちゃったの…」  
「神子…」  
望美の言葉に白龍は嬉しげに笑んだ。  
「神子、私も、私も神子が好き。大好き」  
「白龍…」  
どちらからともなく、小さな口付けを、交わす。  
白龍がまだ浮かされている熱に息を乱しながら言った。  
「神子、神子のこと気持ちよくするから、頑張るから」  
「え、ちょっわっ…」  
不意を突かれ脚を開かされて、崩れた体勢を腕で支える。  
見れば白龍の頭が自身の股の間にあるではないか。  
再び頭に少年なんたらの文字が横切る。  
「だっダメだよ白龍っ…ひゃっ」  
小さな白龍の舌が望美のに触れた。  
舐められる感触に身体中が痺れた様に快楽に震える。  
「神子のここ…美味しい…」  
「っあ…だめっ…」  
体格差は優位だ。しかし、口では否定しつつも身体がそれを認めない。  
きもちいい、もっと、もっと、して…っ。  
白龍の愛撫に耐えきれず、望美は布団へと身を落とした。  
「あっ…んっ…」  
「神子…きもちいい…?」  
白龍の問いに、小さく頷く。  
白龍が幸せそうに笑んだ。そして言った。  
「神子、もっと神子のこと気持ち良くしたい」  
「え…」  
何をするのかと起き上がった望美の前で、白龍は身体中から目映い光を発した。  
眩しくて望美は目を瞑る。  
「…神子」  
すぐに声が聞こえた。…聞き覚えのある、声。  
「…まさかっ」  
望美は目を開けた。  
 
そこには優しく微笑むCV.O谷ではなくCV.O鮎の白龍がいた。  
「う…うそ…」  
「嘘じゃないよ神子。五行の力が増えたから大きくなれた」  
説明されても望美は開いた口が塞がらない。  
だってここは二章。白龍の変身はどんなに頑張っても四章からだ。  
アリなのか。江露羽炉という怨霊を封印すればアリなのか。  
望美がぐるぐるとまとまらない思考を巡っていると、大人になった白龍は  
望美の下半身に手を伸ばし、入り口周りをくにくにと弄び始めた。  
「っ…あ」  
望美の思考が快楽にすぐさま支配される。  
白龍は笑みながらそのまま中指を望美の中へと入れた。  
「ひゃあっ…」  
奥の感じる所を触れられ、望美は声を荒げる。  
「ひゃあ…あっ…んっ…」  
指を動かす度に甘美な甘い声と蜜が溢れ、白龍の雄を刺激する。  
白龍は笑んだ。男の、笑みで。  
「神子、私の神子、…好き。大好きだよ」  
 
 
…回想終了。  
望美は盛大に溜め息を吐いた。  
結局ズル?して増えた五行はあの一夜で消費され、白龍も子供に戻ってしまった。  
「何だか一度に色々有りすぎて頭パンクしそう…」  
「…んっ」  
望美の呟く声に重なる様に、白龍がゆっくりと瞳を開けた。  
「おはよう、白龍」  
「おはよう…神子…」  
愛でる様に優しい笑みを浮かべる望美に寝ぼけ眼を擦りながらで白龍も答える。  
すると白龍は望美の顔を見て続けて言った。  
「神子、私、頑張って早く大きくなって、いっぱい神子を気持ち良くするね」  
…一瞬、少なんたらが浮か  
「はっ…白龍…!駄目だよ?!そんな事人前で言ったら!」  
「…?うん、神子が駄目って言うなら言わないよ?」  
心配だ。すこぶる心配だ。  
神子ーと幸せそうに抱きつく白龍の頭を撫でながら望美は  
スキップ&遁甲を使いまくってさっさと四章へ行こう。  
そう決断した。  
 
ちなみに大きくなった後に  
「これでいっぱい神子を気持ち良く出来るね」  
と皆の前で言われる運命が待っていようなど、望美は、まだ知らなかった…。  
 
 
おまけな後日談。  
「ふぅ…どうしようかな…」  
無理やり封印を解き、そして封印された江露羽炉。  
力は増したが一晩でその力は消えてしまった。  
「まぁ面白いものが見れたからいいかな」  
もしも望美さんの力が必要な時のネタにしましょう。  
そう弁慶はひとりごちながら自室で書物を広げていた。  
本当ならば白龍が力を取り戻し、この戦を終結に導くのが早く出来たはずだ。  
しかしそう物事は簡単にはいかない。  
「…やっぱり平家に…」  
「あ、いたいた弁慶ちょっとー」  
小さな声は景時の声にかき消された。  
「どうしましたか景時」  
景時は足元に気を付けながら弁慶の近くまで来る。  
「安倍家から弁慶に書状が来ててさ、貸」  
「あぁこれですね、はい」  
書状を見るまでもなく、弁慶は一つの箱を景時に渡した。  
あはは〜と苦笑しながら景時は部屋を頑張って出る。  
「あ」  
弁慶は景時に言った。  
「その中身、望美さんが封印してしまったと伝えておいて下さい」  
「はいはい御意〜………………………は?」  
 
 
終わり  
 

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