―プロローグ―
「なぁ、オレにしなよ。退屈はさせないぜ」
セクシーポーズでアピールを欠かさないヒノエ。
「だめですよ、ヒノエ。望美さんを混乱させては」
ヒノエを抑えつつも立候補したくてたまらない弁慶。
「ちゃっちゃと決めちまえよ。大した事じゃないだろ」
意外とクールな将臣。
「せせせせせんぱい…ハァハァハァハァ」
妄想が止まらない譲。
「お前の望むままに」
冷静を装いつつも、wktkを滲ませる先生。
「すまない神子…私は、その…」
自分の体に自信がない敦盛。(怨霊的な意味で)
「俺は反対だ!何か違う方法は無いのか!」
パニクる九郎。
「まぁまぁ九郎。白龍がそう言うなら仕方ないよ」
大人な余裕をかます景時。
「望美。私もどうしたらいいのか…」
親友の身を案ずる朔。
ハァ…と、ため息をつくしかない望美だった。
無事平家を倒し、いざ現代に帰ろうかという時に白龍が驚くべき事を口にした。
「神子、五行の力は取り戻せたけど、これを一つに凝縮しなくては時空の道が開けないんだ」
問題はその方法。攻略対象の内の誰かと今夜、夜が明けるまでに契らなくてはならないらしい。
「それはないわー。別の方法は無いの?白龍」
「ごめんなさい神子。エロパロ的に考えてそれしか方法がないんだ」
「…」
誰の恋愛ルートにも行かなかった罰が当たったのだろうか。逆鱗はもう白龍に返してしまったし仕方ない。
望美は諦めて誰にするか考え始めた。
どうせなら少しでも自分好みの人がいい。
顔面偏差値はみな六大学クラスで文句はない。それぞれ違った魅力があり顔では選べない。
ならばどうやって選ぶか…。
―有川将臣の場合―
「望美、ほらこっちこいよ」
そういうと望美を抱き寄せいきなり激しい口付けを始める。
「ん…ぁ…。将臣く…」
望美も将臣に答えるように、自ら舌を伸ばし唾液を吸い上げる。
こっちへ来て、どんな生活を送ったか詳しくは聞いてないが、こういう事も学んでいたようだ。
望美の唇から離れる事なく、手は器用に着物を脱がせてくる。
「あ…やっぱり、恥ずかしいよ」
「いいから。俺に任せておけって」
単姿にされると興奮のせいか望美の胸の頂が硬くなってるのが衣を通してはっきりとわかる。
口付けを交わしながらも将臣の手は薄い衣越しに胸の頂を擦り始める。
「はぁ…んん。変な…気持ちになっちゃうよ」
直接触られるのとはまた別な、もどかしい様なくすぐったい感覚に身を捩じらせる。
将臣は望美の動きに合わせるように指先で軽く弾いたり、優しく摘んでみたり巧みに弄ぶ。
「こんなに乳首硬くして、望美って意外とエロかったんだな」
「やっ…だって、将臣君がそんな風に触るから…」
「そんな風って…こんな風にか?」
いたずらっぽい笑みを浮かべると、今度は裾を割って望美の濡れた割れ目を擦り上げる
「はっあぁぁぁ…っん」
急に秘所を刺激され思わず嬌声が口から漏れる。
「お、乳首だけじゃなくてこっちもずいぶんと硬く膨れてるな」
「ふ…あ…。やぁ…言わないで。ほんとに恥ずかしいよ…」
くちゅくちゅと音を立てながら弱い所を刺激し続ける将臣。
手のひらで大きく膨らんだ肉芽を弄りながら、指先は望美の中を掻き回す。
「オーケー、もう十分だな」
そういって笑うと、最後の着物を肩からするりと外した。
望美の裸体が露になる。細いながらも出るところはしっかり出て、ほどよく筋肉もついている。
「へぇ、望美ってなかなかいい体してたんだな。あの頃とは大違いだ」
「あの頃?将臣君何言ってるの」
「ほら、小さい頃庭にプール出して素っ裸で水遊びしただろ」
幼稚園に入ったばかりの、そのくらい昔の事だ。
「うわぁ、懐かしい。譲君も一緒に夏はよく水遊びしたよね」
「そうそう、あいついっちょ前に顔赤くしてさぁ」
「将臣君がふざけて水掛けたら譲君泣いちゃったり」
「忘れたのか?最初に譲に水掛けたのは望美だぜ」
「うっそぉ。私そんな事したっけ?あ、そういえば…」
…チュンチュン
「なんか話してたら腹減ったな!そろそろ飯でも食いに行くか」
―だめだ。昔話に花が咲いて一晩終わってしまう。却下。
―源九郎義経の場合―
「いざ、尋常に勝負!」
そう言うと九郎は着物を一気に脱ぎ望美に襲い掛かってきた。
「九郎さん…。果し合いじゃないんだから」
たじろぐ望美はずりずりと部屋の隅に追い込まれていく。
しかし視線は九郎のブツに釘付けである。準備は整っているようだ。
「ええい逃げるな。これはお前の為なんだ。そこに直れぃ!」
全裸で迫る九郎。あまりの勢いに逃げ腰だったが逃げていても始まらない。
「そっちがそうお望みならやってやるわよ」
もう破れかぶれである。一気に着物を脱ぐと全裸の九郎と対峙する。
「おお!ヤる気になったか望美」
と、いきなり押し倒された。
「望美、覚悟っ!」
そう言って足を割ると我慢汁全開のそそり立つモノをあてがう。
「あ…あれ?入らない?くっ、そんなはずは…」
「いっ…たたた!ストップ!ちょっとタンマ!」
これだから童貞は…とため息をつく。入れようとしてる場所が微妙にズレているというありがちなミスだ。
「まだ濡れてもいないのに無理です。そもそも場所が合ってないし」
「どうすればよいのだ?俺にはわからん」
マジかよ…。そっからレクチャーかい。
「ええとですね、そういう場合はムード…雰囲気を作って女性を気持ちよくさせればいいんです」
「だからどうすればいいかと聞いてるんだ」
これも今後の九郎さんの為だと一から腰を据えてレクチャーしてあげるべきか…。
むしろ今後の為というか、今夜の為に教え込まねばなるまい。
こんな状況とはいえ中途半端にやるだけなんて御免である。
「まずいきなり服を脱いで迫るのは馬鹿のやる事です」
正座してメモを取り始める九郎。こういう所は真面目である。
「で、耳元で愛を囁きながら優しく、一枚づつ女性の着物を脱がすんです。
あ、途中で口付けとかしてくださいね。状況に応じて胸を触ったり、背中を撫でたり、相手の性感帯を探るのも忘れずに」
「う…む。なるほど。勉強になるな!」
「耳で感じちゃったりとか、うなじとか、意外な部分がツボだったりするんでそこら辺りは相手の反応を…」
・
・
・
「で、終わったからっていきなり服とか着ちゃだめですよ。ピロートークまでがセックスです」
「ピロートークとは何だ!わからんぞ」
「質問は最後にまとめて聞きます。まず全体の流れをですね…」
…チュンチュン
「い…以上です。ではこれから質疑応答に…」
―だめだめだめ、肝心のコトが始まらずに全裸レクチャーで一晩終わってしまう。却下。
―藤原堪増の場合―
「姫君はかわいいね。オレを選んだ事、後悔させないぜ」
そういって巧みに愛撫を続ける。
すでに望美の足を伝って染みを作るほどの愛液が滴り落ちている。
「もう…だめぇ。早く…」
「ふふ、もう我慢の限界かい?可愛い姫君のお願いとあっちゃ断れないな」
今まで望美を愛撫する事に集中していたヒノエはようやく自分が着衣のままだった事を思い出した。
「ね、姫君からもオレにしてよ。姫君の手で脱がせて欲しいな」
「え…う、うん」
顔を真っ赤にしながらヒノエの服に手をかける。
女の子と見まごうような細い体だと思っていたが、触ってみるとやはり男の体だった。
そのギャップに戸惑いながら、一枚、また一枚と脱がせていく。
意識しての事ではないが、服を脱がせようと体に触れる望美の指先がヒノエを刺激する。
「んっ…」
「ヒノエ君…?」
「まったく、姫君にはかなわないな。こんなにオレを誘惑してるのに自覚がないなんて」
お互い一糸纏ぬ姿になると、ヒノエは望美を抱き寄せて耳元で囁いた。
「極楽浄土へ連れて行ってやるよ…」
ヒノエはコホンッっと軽く咳払いをすると、おもむろに羽ばたくように両腕を挙げ片足立ちをする。
「熊野の棟梁に受け継がれる一子相伝の秘儀。熊野四十八手その一。荒ぶるカモメの体位!!」
あまりの事に度肝を抜かれる望美。
「さぁ!」
「いや、さぁ!って言われても…その体位じゃ何をどうやっても無理」
…おかしい。熊野の男から夜の交わりの前戯に関する知識は存分に聞いている。
愛撫に関しては冒頭の望美の反応を見ても上々の出来だったはずだ。
後は自慢の体位で締めくくるだけなのに。
ヒノエは動揺を隠せない。額には大粒の汗を浮かべ、顔は強張り始めていた。
「こっこここの体位は姫君のお気に召さなかったかい?じゃあ…」
そういうと今度は両足を揃えつま先立ちになり、腕を大きく横に広げると言った。
「熊野四十八手その二。熊野水軍戦船!!」
手は船の帆を、そそり起つアレをマストに例えてるわけだ。
「ははぁなるほど…って、いやいやいや、無理っす。それも無理」
「くっ…なぜだ…。棟梁に伝わる一子相伝の秘儀も竜神の神子には通じないってのかい」
通じるも何も物理的に無理がある体位ばかりである。
「ん?棟梁…一子相伝…はっ!」
突如閃く望美。ようやく合点がいった。ヒノエはどうやら堪快に担がれているようだ。
「じゃあこれはどうだ!熊野四十八手その三…」
「三点倒立してこれから何をしようと」
「ならば次はこれだ!熊野四十八手その四…」
「わー。その動きブレイクダンスで見たことあります」
…チュンチュン
「まだまだあるぜ!熊野四十八手その…」
―普通でいいんです。普通で。残り全部見たいけどそれで一晩終わってしまう。却下。
―武蔵坊弁慶の場合―
「君は可愛い人ですね。僕を選んでくれた事、後悔はさせませんよ」
「弁慶さん。あの…私…」
「何も言わないで。これは僕も望んでた事なんです。何も心配いりません」
弁慶は企み顔で目を覗き込むように顔を近づけると、そのまま口付けをした。
弁慶の口を伝って液体が流れ込んでくる。甘い、けれど初めて体験する不思議な味。
「んっ…弁慶さ…何か口に…」
「ふふっ、緊張してるようですからね。僕が特別に調合した気を楽にする薬だと思って下さい」
媚薬乙。
「こんなものに頼らなくても満足させて差し上げる自信はあるんですが、限られた時間は有効に使いましょう」
外套を外すと、逞しさとしなやかさを合わせ持つ腕で望美を優しく包み込む。
そして今度は望美の唇を味わうようにもう一度口付けをした。
唇を食み、巧みに歯列をなぞり、舌を吸出してはお互いの唾液を絡める。
「そう、上手ですよ望美さん」
どこまでも優しく囁く。その囁きまでもが望美の快感に変わる。
「そんな潤んだ瞳で僕を誘惑するなんて、いけない人ですね」
するすると着物を脱がせながら愛撫を続ける。
薬のせいか性技のせいか、どこを触られても体が反応してしまう。
望美は後ろから抱き抱えられる様に座ると、首筋に口付けをされた。
弁慶は後ろから手を回すと、左手では形の良い胸を包みこみ、その指は頂を弄ぶ。
右手では望美の一番敏感な部分を巧みに擦り、かと思うと中に指を埋め込んでは望美が味わった事のないような快感を与え続けた。
「んあっああっ。だめぇ…そんっ…したら、またイっちゃ…あ、あぁぁっ!」
もう何度達したのかさえわからなくなっていた。
ガクガクと体を震わせ、濡れそぼるそこは収縮を繰り返して弁慶の指を何度も締め付ける。
「もう、だめぇ…。これ以上されたら、私おかしくなっちゃいます」
「もっとおかしくなって下さい。僕なしではいられなくなるくらい、乱れて下さい」
そう呟くとそっと望美を横たえ、弁慶の屹立とした男を宛がう。
溢れる蜜を自身に塗りつけるように数度割れ目を擦ると、望美を貫いた。
「ふぁぁっ!熱いよ…弁慶さんの、すごく…熱い」
指の感触とは違う、圧倒的な質量の熱が体の中心に埋め込まれる。
「んっ…望美さんの中も、熱くてとても…気持ちいいですよ」
巧みな腰使いで望美の中に緩く、また激しく己を突きたてる。
腕の下で嬌声を上げ、乱れる望美を見て弁慶は満足そうに微笑んだ。
「本当に君は可愛い人ですね。もっと僕を感じて、僕に狂って下さい」
口移しで飲ませた媚薬は当然弁慶にも効いている。
「まだまだ夜は始まったばかりですよ。望美さん…」
その後望美は幾度となく絶頂を迎え、また弁慶も果てては蘇り何度も抱き続けた。
…チュンチュン
「望美さん、僕と京に残ってくれませんか。僕は君が好きです」
「はい!もう弁慶さんなしの生活はできそうもありません(性的な意味で)」
―いやいやいや、「はい!」じゃなくて。帰るんだってば。却下。
―有川譲の場合―
「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…」
譲を指名して部屋を移ったはいいが、このままでは過呼吸で倒れてしまいそうだ。
「あの、譲君?少し落ち着こう。ね?」
「ハァハァハァ…フゥ。あ、すみません先輩」
顔を真っ赤にして俯いてしまった。望美は譲のこういうところが可愛いから好きなのだ。
「ふふ、仕方ないよね。初めてなんでしょ?」
「はい、先輩一筋18年!先輩以外の女性なんてみんなカボチャです」
本当はもっとゆっくり譲の緊張でも解きながら時間を掛けてステップを踏みたい所だが、今は限られた時間しかない。
「大丈夫、私がリードしてあげるね…」
まだ少し夢心地でぽぅとした表情を浮かべる譲の両頬を手で包み込み、優しく口付けをする。
最初は緊張を解くよう唇に、頬に、まぶたに。啄ばむようなキスを。
口付けを繰り返しながら徐々に脱がしていく。
次は譲の中の男を掻き立てるよう首筋に、胸に、下腹部に。舌を這わし吸い付く。
「んぁっ…先輩!」
「ん…どう譲君。気持ち…いい?」
物心ついた時から恋い慕ってきた女性から初めて受ける快感に溺れ、頭が真っ白になる。
「せ…んぱいっ。俺…もう…」
もうこのままでは暴発してしまいそうな勢いである。
望美は自ら横たわるとスカートの中に手を入れ下着を下ろした。
「いいよ。きて…譲君。一つに、なろう」
着衣のまま下着だけ外した望美が、足を軽く開いて艶かしく誘っている。
譲は初めて見る女性のそこを直視出来なかった。なんとなく見てはいけない気がしたのだ。
「先輩、俺初めてで上手く出来ないかもしれないけど…」
何か悪い事をしているような後ろめたさのせいか、愛しい人の顔がまともに見れない。
いや、自分の顔を見られたくないのかもしれない。
譲は望美の両足を揃え持ち上げると抱き抱えた。望美の足でお互いを遮れば、顔を見られなくて済む。
そのままぐっと腰を沈める。もう夢中だった。
「はっぁ…先輩…先輩…」
「あ…譲君…それっだめぇっ…!」
現代に帰れる喜びと、ずっと思い続けてきた人と一つになった感動でもう止まれない。
「うっあっぁぁあ!」
初めて経験する暖かな女性の中を数度往復すると果ててしまった。
「すみません先輩…。夢中で、自分だけ…」
「…いっいいんだよ。初めてだもんね、さ、最初はみんなそうだよ。あ、あはは」
笑ってフォローする望美。相手を傷つけまいとする望美の気遣いが譲には嬉しかった。
…チュンチュン
「元の世界に戻ったら、先輩を満足させられるようもっと精進します!」
未来への希望に眩しい笑顔を振りまく譲を直視できない望美だった。
―言えない。あれは素股だったなんてとても言えない。一つになれず任務失敗。却下。
―梶原景時の場合―
「俺で本当にいいの?望美ちゃん」
「はい。景時さんだったら安心して任せられるかなと思って」
普通の女性とのお付き合いの経験が一番経験があるのではないかと踏んだ望美は景時を選んだ。
「好きでもない人とこんな事になって景時さんには申し訳ないんですが…」
「何言ってるのさ。俺は望美ちゃんが大好きだよ。ちょっと事情があって気持ちを伝える事は出来なかったけど」
「事情?」
「あ、あははは。まぁその辺りはおいおい、ね」
誤魔化すかのように望美の口を塞ぐ。
「ほら、望美ちゃん。目開けて。ちゃんと俺を見て」
緊張の為かぎゅっと目を瞑ったまま固まっている望美を気遣う。
気を解きほぐすように優しく望美の長い髪を梳く。
「望美ちゃん、綺麗だよ…」
髪を撫で、潤んだ瞳に滲む涙をそっと拭うと壊れ物を扱うように優しく愛撫を続ける。
「ふっ…んぁ…」
望美の動きに合わせて徐々に着物を脱がせていく。
「へぇ、スカートってこんな構造になってたんだ。それでこれが下着か。なかなか機能的だね」
「もう、景時さんこんな時にやめて下さい」
「ごめんごめん。でもほら、もうこんなに濡れちゃってるよ」
見ると下着にまで愛液が溢れている。
自分でも濡れているのがわかるのか、望美はそれを見せまいと足を閉じてしまった。
「望美ちゃんのここ、ちゃんと見せてほしいな」
膝に手を沿え足を開かせると、溢れる蜜を舌ですくい取る。
「ふぁっ…そんなとこ、やだぁ…やっぁ…ん」
「本当にいや?。でもどんどん恥ずかしい液が溢れてきてるよ」
わざと望美に聞かせるかのようにピチャピチャと舐めあげる。
興奮で大きさを増した肉芽を硬くした舌で刺激しては、ひだをなぞり泉の源泉を刺激する。
「これだけ濡れてれば、アレ、大丈夫かな…」
「…?」
少し頭を持ち上げてみると、なにやら怪しげなモノを手にニコニコした景時が見えた。
何か呪文のような言葉を口の中で唱えている。と、ソレは命を吹き込まれたように動き出した。
うぃんうぃんうぃん―
「…あの、それはいったい。とても景時さんらしい嫌な予感がプンプンしますが」
「あ、ははっ。これね、作ってみたはいいんだけど、なかなか試す機会がなくてさ」
ソレを手に迫る景時。
「これ凄いんだよ望美ちゃん!こことここは逆回転するようにしてさ、全体の動きとの兼ね合いに苦労したんだ」
「はぁ…そうですか…」
「でね、つるつるじゃ刺激が足りないかと思って全体的にでこぼこを付けてさぁ…」
「さっさすが源氏の発明王って感じですね…」
止まらない。こうなったらもう止まらない。
…チュンチュン
その後延々とソレの素晴らしさと機能性、作り上げていく過程の解説を話し続けた景時であった。
―凄い。凄いよ陰陽術って。もうね、何ていうか、却下。
―平敦盛の場合―
「神子、私は穢れている。清らかな神子に私は相応しくない」
望美に手を引かれ、あてがわれた部屋へと連れて行かれた敦盛。
「もう、いつまでそんな事言ってるんですか」
もう何度こんなやり取りをしただろうか。ふぅとため息を付くとしっかり敦盛の目を見た。
「敦盛さんは穢れてなんていない。私は清らかなんかじゃない」
「しかし、私は怨霊であなたは白龍の神子で…」
言葉で言ってもわかってくれない。ならば…。
「証拠、見せてあげます。私は清らかな神子なんかじゃないって。ただの普通の女の子なんだって」
敦盛の服に手をかけ脱がせていく。望美の気迫に押されたのか敦盛は抵抗しない。
「敦盛さんの体、綺麗だよ」
指で敦盛の体をすっとなぞる。頬から首筋、胸を通り下腹部を撫でる。
「…!っ神子殿何を」
望美はそっと敦盛の男を手に取ると優しく口に含んだ。
「みっ神子が…そんな事をしてはいけない」
敦盛の言葉を無視して続けると、徐々にそれは大きさを増してきた。
言葉でわかってくれないなら、行動でわかってもらうしかないとばかりに丹念に舌を這わせる。
先端を軽く口に含み、舌先で孔を嬲る。
ぞくぞくと湧き上がる快感と背徳感で敦盛は思わず声を漏らした。
「っふ…ぁ…」
下から見上げるように、根元から先端に向かって舐めあげてはそれを繰り返す。
ちらと敦盛の顔を盗み見ると、顔が赤く染まっている。何かに一生懸命耐えているかのようだ。
「敦盛さん、気持ちいい?私こんな事も平気で出来ちゃう女の子なんだよ」
つ…と少し冷たい指で裏筋をなぞる。
「み…こ…。だめだ、私は…」
「いいよ…。敦盛さんの、ちょうだい」
ようやく口を離すと、吸い付くような手で上下に摩り始めた。
「はっ…あぁっああ」
ぐっと目を瞑り、耐えている。
「我慢、しないで敦盛さん。出して…」
「ぐっあっあああああああああ!!」
敦盛の様子がおかしい。瞳が赤い。ようやくそれに気づいた望美は手の動きを止めた。
「あっ敦盛さん。どうしちゃったの?」
手を離すと同時に水虎になってしまった敦盛は泣きながら部屋を出て行ってしまった。
…チュンチュン
結局朝を迎えても敦盛が戻って来る事はなかった。
―なにも泣きながら飛び出さなくてもいいじゃないですか。穢してごめんなさい。却下。
―リズヴァーンの場合―
「先生、お願いします!」
「これが、私の運命…」
望美が無事ならそれで良かった。望美が望む結末にする為なら喜んで協力しよう。
それは今までも、そしてこれから始まる事に関しても同様に変わらない。
「お前の望むままに…」
「ほっ本当ですか先生。嬉しいっ」
甘い言葉を囁く事はできない。だがその分自分の持てる技術全てで望美を愛そう。
そう決意を固めると、リズヴァーンは望美を強く抱きしめた。
今まで頭を撫でる程度はあった。だがそれすらもリズヴァーンは自分に許さなかった。
神子を生かして元の世界に返す、願うのはただそれだけだった。
しかし今は望美の希望で、望美が望む未来に向かうために愛しい女を抱く事ができるのだ。
「先生…。それ、外してもらってもいいですよね。先生の顔、もっとよく見せて下さい」
黙って頷くリズヴァーン。マスクの上からでも優しく微笑んでるのがわかる。
そっとマスクを外すと、望美から口付けをした。
またリズヴァーンもそれに答えた。
「私を、先生の好きにして下さい。一度くらい先生の我侭を聞きたいんです」
今夜だけだ。これが終わって夜が明けると望美は還ってしまう。
一度きりの逢瀬。これを思い出に生きていくのも悪くはない。
「神子、少し待っていなさい」
そういうと逆鱗を握り締め時空跳躍でどこかへ行ってしまった。
「先生?どこへ…」
と、またすぐ目の前に現れた。なぜがジャージ姿だ。
「神子、これを」
目の前に差し出されたのは一着の体操着。しかも今は無きブルマバージョン。
「あの、これどこから」
「それは…言えない」
くっ…と辛そうに横を向くリズヴァーン。
「先生っ!!先生は失われた青春時代を取り戻したいんですね!わかりましたやりましょう。
あの甘酸っぱい青春時代をもう一度!」
これが先生の望みなら、と着替える。
「なんだか…恥ずかしいです、ね」
顔を赤らめ可愛い笑みを浮かべる望美。さすが現役女子高生。生々しさが堪らない。
ノリノリでセクシーポーズを取りながらふとリズヴァーンを見ると手で口元を押さえている。
「先生?傷跡を気にしてるんですか?そんなの気にしないで下さい」
無理やり手を剥がすとそこには鼻血を噴出すリズヴァーンの姿が!
「…っ。だめだ、この運命は…」
そう呟くと目の前から時空跳躍で消えてしまった。
…チュンチュン
玄武って恥ずかしがりやなんだなぁ…。と体育座りで一人ごちる望美であった。
―もうリズ先生の前でブルマ履いてセクシーポーズなんて絶対にしないよ!却下。
―白龍の場合―
「神子ー。」
ちゅっちゅちゅっちゅ。
「神子。大好き」
ちゅっちゅちゅっちゅ。
あどけない笑顔で望美の頬にキスをしてくる白龍。
それがとても可愛らしくて思わず微笑んでしまう。
が、しかしそれとコレとは別物である。
「あの…白龍ごめん!あの時小さい方が可愛くていいなと思ったばっかりに」
―ほんと白龍の大小二択は地獄だぜ。不可能につき却下。
―梶原朔の場合―
白龍の提案に大事な友人をそんな目に合わせられないと朔は自室に望美を連れて行った。
「困ったわね。とにかく何か案が無いか考えてみましょう」
「朔…。ありがとう」
「親友をそんな辛い目に合わせられないもの」
全てを包み込むあの笑顔で微笑みかける。
見知らぬ世界でできた親友の心使いに涙が出そうになった。
友の気持ちに答える為にも、望美はもう一度考えた。
…駄目だ、どの相手でもなぜか失敗するのが目に見える。
考えろ。家族の元へ、友達の元へ、平和なあの時代に還る為に頑張ってきたんだ。
白龍の言葉をもう一度思い出す。
還る…今夜中に…攻略対象…時空の道…方法…
「あっ!もしかして…」
「望美?何か思いついたのね」
嬉しそうな笑顔の朔に向かって望美はビシッっと指を突きつけた。
「君に決めた!」
「は?」
望美は『攻略対象の誰か』だから朔も立派な候補の内の一人だと気づいてしまったのだ。
「朔、協力してくれるよね?」
「えっあっちょっ、望美、いったい何を…」
「これでかつる!」
「私はっ僧籍の身で…っこ黒龍がっちょっおまっやめっ…」
…チュンチュン、チチッ
―エピローグ―
みんなの目がほんのり腫れている。
一睡もせずに悶々と空が白むのを待っていたようだ。
そこへツヤツヤ笑顔の望美と、ゲッソリした朔が入ってきた。
「やったよ。見事朔と契った(?)よ。これで還れるんだよね」
驚く八葉と白龍。二人で解決策を考えてるとばかり思っていたのだから当然だった。
「へぇ、やるね姫君達」
「君はいつも僕を驚かせてくれますね」
「そういう潔さ、さすが望美だな」
「せせせせんぱいっ、契ったって…契ったって…」
「お前は強い。強くなりすぎたのだ…」
「神子殿…」
「何をどうしたら女人同士で出来るのだっ!」
「朔…お兄ちゃんは何も見てない、聞いてない」
八者八様の反応だった。
「詳しくは聞かないで。さぁ白龍、お願い!」
もうこの場にいるのが辛かった。一刻も早く還りたかった。
「神子…。その、言いにくいんだけど…」
申し訳無さそうに白龍が説明を始めた。
「五行の力を凝縮するための儀式、男の陽の気と女の陰の気が混じり高まってなるもので…」
白龍が、何か、言ってる。
しかし望美にその声はもう届いてなかった。
「上手く言の葉で伝えられなくてごめんなさい。もっとしっかり説明できていれば…」
目の前が真っ白になっていく。朝日が、眩しい…。
望美がもう暫く京に留まる事になったおかげで内心嬉しい八葉(除:譲)と
真っ白に燃え尽きた神子二人に、京の太陽が優しく降り注いでいた。
―おしまい―