今日は九郎の誕生日。  
が、元々この世界では新年に年を取るのが普通であり、  
誕生日に祝い事をする風習はなかったため  
その日も別段変わったこともなく、一行は普段通りに進軍を終え夜を迎えた。  
 
「近くの村で病が流行っているそうなので、様子を見てきてもよろしいでしょうか」  
 
夕飯時に、弁慶がそう提案してきた。  
進軍が遅れるのではという懸念もあったが、拠点はしばらくはここ周辺にあり  
病が蔓延しても困る、何より放っておくのも良くないだろうということで  
翌朝すぐに一人で出かける、残りの面々は引き続き進軍を続け  
後で合流するということに決まった。  
そこまでは別段珍しい話でもなかったのだが。  
 
「………何だ、これは………?」  
 
夜も遅くなり、寝所に入った九郎を待ち受けていたのはなぜか巨大な柿。  
そういえば昼間、今年は大きな柿が村でたくさん採れたので  
分けてもらったという話を聞いていたが、ここまで大きかったとは予想外だった。  
 
しかし、なぜここに柿が?そんな事を考えながら訝しげに柿を眺めていると、  
目の前で突然柿が勢いよく割れ、何かが飛び出してきた。  
 
「な、何だ!?」  
 
思わず剣を取り、身構える九郎。  
そこには真っ二つに割れた柿の上半分を頭上に持ち、  
柿汁まみれになりながら立ち上がり全裸で腰を振る望美がいた。  
眼前に形の良い乳がぷるんぷるんと揺れている。  
あまりの光景に一瞬思考が止まる。  
 
「おおお、お前いったい何を…がふっ」  
 
今にも叫び出しそうな九郎の口に大きな柿の欠片を突っ込むと  
望美はしーっと人差し指を自分の唇に当て、こう言った。  
 
「みんなが起きちゃいます」  
 
聞けば弁慶に頼み、よく効く眠り薬を望美と九郎以外の  
全員の食事に混ぜてもらったのだという。  
体に害はなく、しばらくすれば目を覚ますとのことだった。  
 
「くしゅん」  
 
不意にぶるりと身震いして、くしゃみをする望美。  
ただでさえ十一月の事、全裸で柿の中にいるのはさぞ寒かったに違いない。  
 
「馬鹿、風邪を引くぞ!一体どうしてこんなことを」  
 
「誕生日、お祝いしたかったから…私のいた世界では、誕生日にお祝いするんです。  
 お誕生日おめでとうございます、九郎さん」  
 
そう言われて初めて、九郎は今日が自分の誕生日だったということに気がついた。  
 
「そうだったのか…それはすまなかったな」  
 
「いいんです、私がやりたかった事だから…っくしゅ」  
 
「ああ、ほらまた」  
 
「柿、好きですよね?九郎さん。…食べてくれますか?」  
 
「何?確かに柿は好きだし頂くが、今はそれどころでは…」  
 
「そうじゃなくて…体中柿の汁で濡れちゃって寒いんです。  
 …だから、食べてください。嫌だったらいいんですけど」  
 
そこまで言われてようやく望美の意図が理解できた九郎が耳まで真っ赤に染まる。  
改めて目の前の望美の顔を見ると、寒さに震えながらも  
その眼差しは熱く、真っ直ぐに九郎の顔を見つめていた。  
 
「……………頂こう」  
 
九郎の舌が、望美に熱を移すかのように胸元、乳房、腹と体中を舐める。  
口内には熟れた柿と望美の甘い香り、味が広がってゆく。  
 
「あふっ…き、気持ちいいです、九郎さん…」  
 
「どうだ、少しは温かくなったか?」  
 
「は、はい、でもまだ…ここが濡れて、寒くて」  
 
恥じらいながらも望美の指が、その部分を指す。  
確かにとろりとした透明な液体で濡れていた。  
 
「九郎さんの熱、私に…ください」  
 
熱に惹かれ合うように、お互いのもの同士を繋げる。  
気分の盛り上がりもあり、望美は自分の中がどんどん熱くなってくるのを感じた。  
 
「いい、いいよ…あったかいよ、九郎さん…っ」  
 
「の…望美…っ」  
 
「もっとあったかくして…お願い…!」  
 
「望美……………望美ぃぃぃぃぃっ!!!」  
 
「ひゃぁああぁ…んっ!!!」  
 
魂のこもった熱い叫び声とともに、熱い液状のものが勢いよく望美の中に放出される。  
 
「ああ…あったかい………体も………心も………」  
 
「……俺も…、だ………」  
 
「…九郎さん」  
 
「何だ…?」  
 
「…生まれてきてくれて、ありがとう…」  
 
「………ああ………お前も………」  
 
互いに熱いものを体と心に感じつつ、夜は更けていった。  
 
時は過ぎて、翌日。  
日が昇った後も、九郎はげんなりと力なく布団に横たわっていた。  
傷んでしまってはもったいないし、人が入ったものを他の者に分けるわけにもいかないからと  
夜のうちに望美と二人で巨大柿をすべて平らげてしまったのが良くなかったようだ。  
 
「は、腹が下る…柿の食い過ぎで腹を冷やしたか、くそっ…」  
 
で、さらにその翌日。  
ようやく腹の調子は収まったものの、  
今度は九郎は腫れた頬を両手で抱えて布団に潜り込んでいた。  
 
「ううっ、両の奥歯がズキズキする…柿が甘かったせいか…?」  
 
そんな中で何故か一人元気な望美は、というと…  
 
「九郎さん、昨日から何も食べてないからお腹空いてるかと思って…  
 私、お粥を作ってきました!これなら食べられますよね?」  
 
死亡フラグには十分だった。  
その後全員が目を覚まし、弁慶が帰ってきたのは  
弁慶が出かけた日から数えて三日が過ぎた夜のことだったという。  
 
「ある程度予想はしていましたが、これはひどい…とりあえず復活が必要でしょうか?  
 あ、先に虫歯の処置を済ませてしまったほうがいいかもしれませんね。  
 騒がれると面倒ですから…起きてもしばらくは痛みで大人しくしているでしょうし。  
 それにしても、いくら望美さんとお楽しみだったとはいえ  
 源氏の総大将が手料理一つで参ってしまっては困りますよ?九郎。  
 ………いい機会をあげたんですから、  
 これぐらいは遊ばせてもらってもいいですよね?うふふっ」  
 
そう言いながら某サザエさんのように肩をすくめ、口に手を当てて  
笑った軍師がいたとかいなかったとか。  
 

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