まだ暑さの残る夕暮れ。譲はいつもより少し早く帰宅の路についていた。  
今夜は両親がいない。夕食は自分が作らねば…そういえば兄はもう帰っているのだろうか。  
冷蔵庫の中身を思い出しながら玄関の扉を開けた譲の目に飛び込んできたのは、  
脱ぎ散らかされた靴、放られたカバンだった。  
その後も、靴下・ワイシャツ・制服のズボンが点々と続き、兄の部屋の前に落ちていたパンツを見た譲は  
我慢の限界だとばかりに、ここまで拾ってきたもの全てを抱えながらドアを勢いよく開き叫んだ。  
 
「兄さん!いい加減にしろよ!動物じゃあるま…い…し…」  
 
 
将臣の制服一式をばさりと落とすほど驚愕した譲が見たものは、兄のベッドの上に座る望美だった。  
ワイシャツのボタンはすべて開けていて、白い胸の間が見える。下も何もつけていないようだ。  
足元は、学校指定の靴下を履いている――  
 
…!?何を見ているんだ!早く…早ここから出ないと…その前に一言謝るべきか…!?  
動揺し、混乱し、結果硬直したままの譲に望美はにっこりと笑いかけた。  
 
「将臣くんったらひどいんだよ。部屋まで来て急に  
 『あーやっぱ腹減ったからコンビニ行くわ。お前にもなんか買ってきてやるよ』だって。  
 それで私はほったらかし。あーんなお兄さんを持つと譲くんも大変だね」  
 
シャツの中が見えてしまいそうなのにも構わず髪をかき上げ微笑む望美に、  
譲は何と言っていいかわからない。  
そうこうしているうちに、近づいてきた望美の手が譲の手首を掴んだ。  
「…譲くん、しばらく一緒にいて?」  
 
気づけば譲はベッドのすぐそばに立たされ、ベッドの上に膝をついている望美に  
ベルトを外され、下着の奥に触れられていた。  
そっと取り出されたものは、もう自分自身ではないかのように張り詰めている。  
そこを前触れもなくすべらかな柔らかい胸に包み込まれ、心臓が跳ね上がった。  
「譲くんの…おっきくて…固い…」  
自分の胸で譲自身を挟み込みこすり上げるこのひとは、本当に幼馴染の先輩なんだろうか。  
真っ白な頭は何も解決策を与えてはくれず、もう、なにが起きているのかわからない。  
 
しかし、白い谷間から自身が行き来している様子を見るうち、ぞくりと背筋を昇っていくような、  
追い詰められるような激しい欲求に襲われ我に返った。  
先輩の目の前で出してしまう…!  
そんなことできるわけがない!出すまい、出すわけにはいかないと固く目を閉じ耐える譲だが  
限界の直前、あっけなく開放された。  
「……?」  
 
絶頂を迎えられず戸惑いながら薄く目を開いた譲の右手は掴まれ、望美の胸に当てられていた。  
熱く汗ばんでしまっている自分の手が恥ずかしい。  
「…私も譲くんに気持ちよくしてほしいな」  
息を呑む間もなく、手をひかれるまま譲はベッドに膝をついた。  
 
足をくずし、片手を後ろについた望美に誘われ、膝をついた姿勢から望美の胸に口付ける。  
「あっ…譲くん…んっ…おっぱい…好き?」  
掌から溢れる柔らかな感触を、確かめるように揉みしだき  
先端を舌でなぞれば小さく甘い声が上がり、優しく後頭部を撫でられる。  
切ない声に抑え切れず、執拗に先端を追う。  
すっかり固くなったそこを軽く噛むと、一段と高く声が上がった。  
 
何度も甘噛みしているうち、湿った音が聞こえてくるようになり、譲は閉じていた目を開いた。  
うっとりと紅潮した顔で自らの秘部に指を這わせている幼馴染を見ても驚かず、  
むしろ想像もしたことがない淫らな姿にますます興奮を覚えた。  
譲はもう完全に初めて触れる肢体に溺れていた。  
そんな譲を見て、さらに煽るように望美は自らに指を添え、開いて見せた。  
「譲くんがかわいすぎるから、我慢できなくて…こんなになっちゃったんだよ…」  
 
――例えるなら、熟れ過ぎた果実。  
紅く開いた肉と滴り落ちる甘い匂いには、どんな理性も敵わない。  
ひときわ紅くとろりと生える肉芽に誘われ、思わず譲は唇を寄せた。  
「ゆっ…あっ、ああっ!」  
先ほどから自分で弄んでいた部分に、急に熱く柔らかい衝撃を受け、望美は声を上げた。  
まさかいきなり口でされるとは思わず、予想外の快感に流される。  
それを受け、譲の舌先も大胆さを増していく。  
太腿を開いて顔を寄せ、舌先でつつき、くちびるで挟み、強く吸う。  
内腿の感触に夢中になりながら撫であげ、掴み、開かせて更に奥まで舌を差し込む。  
こんなことは誰にもしたことはないが、本能がそうさせているのかもしれない。  
自分が彼女にあられもない声を出させていることに、とても興奮する。  
もっと声を聴きたくて、譲は音を立てるように激しく掻き混ぜた。  
 
「も、だめっ…やっ…!」  
譲の肩を押し返しながら、望美は小さく痙攣した。  
舌を差し込まれた隙間がひくひくと動き果汁が溢れる。  
溺れてしまうような錯覚を覚えながら、譲は顔を上げた。  
「もう〜!やだって言ったのに軽くイッちゃったじゃない!  
罰として今度は譲くんをイカせちゃうからね!」  
見上げた先は怒ったような口調だがいつもの笑顔だった。  
その笑顔と現状が結びつかず更に現実感が遠のく。  
 
なすがままに横たえられた譲の視界に屹立した自分が映った。  
「おちんちん、すっごい元気だね」  
楽しいことをしているように望美が言った。たぶん本当に楽しいのだろうなと譲はぼんやり思った。  
驚愕するようなことばかりが立て続けに、しかもたった一人から与えられ、思考が追いつかない。  
ただ快感だけが意識として認識できるような有様だった。  
 
譲に跨り、望美が腰を下ろしていく。  
肉の隙間に呑み込まれる自身に耐え切れず、譲はか細く声を上げる。  
「せん…ぱ…やめ…あ、あ、ああ、っ…!」  
「はい…っちゃ…った…見える?ねえ、見て…譲くん。はじめてを貰っちゃったよ…ふふっ」  
熱いものに包まれ、とろけるような快感に、譲はもう衝動を抑えきれない。  
しかし、それを阻むように望美は両膝で譲の腰を強く挟んだ。  
「せんぱ…い…もう…俺…っ」  
涙を浮かべ懇願するような譲を見下ろし、望美の快感が急速に増していく。  
 
恍惚の表情で望美が薄く笑いながら言う。  
「だーめ。私が譲くんを食べちゃうんだからおとなしくしてなさ…きゃ!」  
強く揺さぶられ望美の脚がゆるんだ隙に、譲は激しく突き上げた。  
「あ、あ、ゆ、ゆずる…くんっ!すご…あ…んっ」  
望美の豊かな乳房が大きく跳ねる。  
腰を蠢かせながら、譲は身を起こしその乳房を掴んだ。  
縋るように谷間に顔を埋め、涙を浮かべながら激しく抽挿を繰り返す。  
「ごめんなさ…ごめ…なさい…っ!俺、も、止まんなく…て…!」  
肉の間から聞こえる卑猥な水音と、譲の掠れた声に、快感を増した望美も腰をくねらせた。  
譲が乳房にかぶりつくように口を寄せると、痺れるように秘部に力が入ってしまう。  
 
「あん!おっぱいいじっちゃダメっ…!感じすぎちゃ…う」  
「…うぁ…キツ…締めないで…っ」  
そう言いながら望美の腰を掴み奥まで貫く譲の動きが早くなっていくとともに、望美も快感を滾らせる。  
胸の先端を唇で強く挟まれ、望美は一気に絶頂へ向かった。  
締め付けられた譲も限界まで昇り詰め激情を放つ。  
「イイっ…!あ、い、イッちゃ…うぅ!あは…んっ…あ、あ、あ…っ!」  
「くっ…せんぱ…いっ…!」  
 
 
まだ暑さの残る夕暮れ。譲はいつもより少し早く帰宅の路についていた。  
今夜は両親がいない。…そういえば兄はもう帰っているのだろうか。  
兄の部屋の前を通りかかった譲の目に映るのは、半開きのドア。  
覗けば、うつくしい影絵が手招きをする。夕闇の中、長い髪だけがさらりと光る。  
何度も見た光景。これはもう、ずっとあこがれていたあのひとではないのかもしれない。  
しかし――  
 
譲はそっと部屋に入り、誘われるままにその手をとった。  
 

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