「景時サン、…ね、早くぅ。」
「望美ちゃんったら意外と積極的だったんだねぇ。」
「いやぁだって、夫婦になったらする事は一つじゃないですか。」
あまりの押せ押せぶりについたじろいてしまう。
「もうちょっとこう、ゆっくり語り合うとかさ〜。」
「うーん、それは昼間十分したし。あんなイケメンに囲まれて一年以上お預けとかないわー。
やっぱ仲間内の輪を乱すような事はしちゃいけないよね、みたいな。」
一年のお預け…。望美はすでに経験ありなのか。
と、景時は心の中でちょっとだけがっかりした。
そんな様子を横目に、年の割りに消極的な景時が心配になってきた望美は一応聞いてみた。
「あ、もしかして景時サンってチェリーっすか?」
「ちぇりー?」
「あー、えっと童貞ってか、女性と経験がないって事。27才で未婚とかこの時代あり得ないでしょ。
朔だって15才で結婚してるし。まさかサンショウウオで?」
訝しげな目で見られてはたまらない。慌てて否定する。
「…いや流石にそれは。縁談だって結構あったんだよ〜。それにしても望美ちゃん性格変わっちゃってない?」
「こっちのが素っていうか…。いきなり神子とか何とか言われたから。昔やったゲームを参考に
それっぽく振舞ってみたんだけど、一年に及ぶとは思わなかったしなぁ。」
「振舞ってただけ…。ま、まぁ弁慶だって25才で未婚だよ。仕事が忙しくてそれどころじゃなかったんだから〜。」
「弁慶さんはいいの。あの人は私の中で永遠のプレイボーイって設定だから。っていうか僧だし。」
そんな事よりさあさあ早く、と自分の腰紐を解きはじめ、ついでに景時の着物も脱がしにかかる。
「ちょっ、のぞ…っ、やめっ…!」
あまりの大胆さに着物を押さえ赤くなりながら望美の手を止めようとする。
「ちょっwwwおまっwwやめっwwって、景時サン…もしかしてネラーっすかwww」
「ねらーが良くわからないけど…。た、多分違うと思うよ。」
「ですよねーw。」
そんな会話をしつつも景時の上着をはだけさせ、器用に下半身を露出させる。
「ほら、なんだかんだ言って立派におっきしてる。かわいい♪」
でも軍奉行っていうし、なかなかイイ体してるしコッチはどうなんだと期待してたけど
割と普通だな、と思う望美であった。
「ま、いいか。うふ、こんなにかわいいと、ね…こうしたくなっちゃう。」
「何がまぁいいなの?」
望美は質問には答えず、そのままパクッと咥えてちゅるちゅると舌を使い始める。
「って、んぁっ…ふ…んっ…!ちょっと望美ちゃん何してるの〜。」
「フェラですよ、フェラ。正式名称フェラチオ。」
いや、言い方の問題じゃなくて、という景時をよそに丹念に舐めあげていく。
「ん…くっ…。望美ちゃ…」
「ん、もう十分かな…。きて、景時サン。」
「あ…うん。でも望美ちゃんがまだでしょ。俺にもさせてよ。」
そう言って脱ぎかけの着物を全て払い退けると、妖艶ともいえる望美の下半身に手を伸ばす。
「…望美ちゃんったら。まだ何もしてないのにこんなに濡らして。そんなに欲しかったの?気が付かなくてごめんね。」
いたずらっぽく聞きながらも期待で硬くなった胸の先端を舐め上げ、蜜を指に絡ませ肉芽を擦りあげる。
「ふぁっ、あんっ…あ…。んん…もう、十分濡れてるから…。ね、早く…」
「ごっごめんね。望美ちゃんがそういうなら。いくよ?」
それなりに気分が乗ってきた景時は望美の足を開かせ自分のモノをあてがう。
「ちょっ!?ストォォォォーーーーーーップ!!アレ付けてないじゃないですか!
子供もいいけど、暫くは二人の生活楽しみたいし。コンドーム付けて下さいってば。」
いよいよというところでお預けを喰らった上、望美の言ってる事がまるでわからない。
「こ…今度生む?を付ける?」
「避妊具ですよ。って、あるわけないか。仕方がない…」
と、ごそごそと私物入れを漁り始める。
目的の物を見つけると、テーレッテレー!と清盛が逆鱗をかざすがごとく得意げに掲げる。
「ふふ、あの日学校で手荷物検査があるって噂を聞いて慌てて靴の中に隠したんだけど…。我ながらGJ!」
「ななな何?その怪しいモノは…」
「だからコンドームですってば。私の時代の大発明。うすうすです。」
大発明という言葉についぴくっと反応してしまった景時。
「だ、大発明うすうす…。あの、ごめんね望美ちゃん。もうちょっとわかりやすく説明してくれるかな?
さっきからいけめんとか、ぷれいぼーいとか、げーむとか、良くわからないんだ。」
困っている景時をよそに望美はピコーン、と何かを思いつきニヤニヤしながら耳打ちをする。
「景時サン、そういう時は(ゴニョゴニョ)って言うんですよ。」
「え?そうなの?」
「うん。さ、言ってみて。」
「う…う〜ん…」
少し戸惑いつつもゴホンっと喉を鳴らし望美に言われた通り言葉にする。
「に…日本語でおぅけぃ。」
その後「だっておwww」といいながら床をバンバンを叩き、笑い転げる望美を呆然と眺め、
このまま不能になりはしないかと萎えた息子を心配しつつ
――だめだこいつ、早くなんとかしないと…
と、本気で望美を心配し放っておけない優しい景時でしたとさ。
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「うふふ、さぁできたわ。」
満足そうに微笑むと筆を置いた。
廊下からは聞き慣れた足音が近づいてくる。
「何やらご機嫌のようだな。邪魔をするぞ、政子。」
「あら、鎌倉殿。どうぞ、今ちょうど書き終えたところですのよ。」
政子の視線の先を辿ると見覚えのない書物が置いてあった。
「して、これは何だ?」
「白龍の神子の世界に年2回、夏と冬にとても大きな念の集まる祭りがあるようなんですの。」
「ほう…」
「で、その祭りに目立たず忍び込むにはこの様な書物を書く必要があるとか…。
それに、わたくしこの手の書き物、嫌いじゃありませんのよ。いろいろあちらの流行も入れてみたり。」
そう言うと書き終えたばかりの本を頼朝に差し出した。
「うふふ…。何やら気分が乗ってきて、もう一本お話を書こうかと思っているくらいですわ。」
「…ふむ。内容はともかく、その祭りの念が最高潮に達した時、政子が丸ごと喰らい尽くす、という事か。」
「さすが鎌倉殿、その通りですわ。下級怨霊をちまちま頂くよりよほど効率がいいでしょう?
特に3日目は凄まじい念が集まるといいますし、その日に参…潜入しようかと。時期的に次は冬の祭りになるかしら。」
「ふっ、なるほど。おぬしも悪よのぅ。はっはっはっ…」
「いやですわ、鎌倉殿ほどではございませんのよ。ほほほほほ…」
こうして鎌倉の夜は更けていったのだった。
―おしまい―