(ああ、神子殿・・・乱れた姿もお美しい)  
 
 天の青龍・源頼久(25)。武士団の美しくも凛々しい若棟梁。  
 彼の日課は剣の稽古と龍神の神子・元宮あかねの護衛。  
 昼間の護衛は他の八葉がすることも勿論あるのだが、あかねの就寝時はよっぽどの事がなければ  
彼が一番近くで彼女を守っている。  
 その護衛の時に最近知ってしまった誰も知らない甘美なる秘密で今宵もまた一人愉しんでいる。  
 
 その秘密というのは・・・・・・  
 
 
 
「ん・・・はぁ・・・あぁっ」  
 夜な夜なあかねが自分で自分を慰めているその行為。  
 これがあかねの護衛の任に就いている頼久だけが知る秘密。  
 それを見る事が彼の日課の一つとなっている。  
 そしてそれを眺めて彼も一人発散することも。  
 自分しか知らないという事が更に彼の情欲がそそられるのだ。  
 彼は夜目も利くので、暗闇でもあかねがどういう事をしているのか具体的に良く分かる。  
 普段から稽古を積み重ねて置いて良かったと思える瞬間の一つ。  
 何人にも気付かれないように気配を消すのも容易い上に、反対に誰か己に近付いて来ても  
人の気配にはすぐ気付く事が出来るので難なく覗き見が出来るのだ。  
 頼久という男は八葉の中でも実に覗き見に有利であった。  
 
さて、あかねの自慰行為は勿論毎夜、というわけではない。    
 彼女がこうした行為をするのは大抵・・・例えば(というか主に)  
あの年中発情期な男・橘友雅が事もあろうにあかねに近付き、  
”耳元でふっと息をかけて艶のある声で囁いて耳朶を甘く噛む”だとか  
”後ろからいきなり抱きついて誘う”だとか・・・・・・  
頼久にとっては如何わしく許し難き行為をした日などは大体あかねはこうした行為をしているのだ。  
 そうしたことをされた日には必ずといっていいほど、こうした事を行っているようである。  
恐らく、持て余した熱を発散しているのであろう。  
 無理もない。年端も行かない少女が恋愛に長けた男にあんなことをされては刺激が強すぎるのだろう。  
 今日は確か『ふふ。可愛いねぇ、神子殿は。このまま押し花にして・・・そうだね、  
その後に君の花しずくに唇を寄せて切なく泣かせてみるのも良いね」等と言っていた。  
 いつものように詩紋が背中にあかねを庇い、天真が握り拳と目で牽制をして、  
鷹通が「お戯れも大概になさってください」と容赦なく突っ込んで事なきを得た。  
 が、正直・・・この友雅という男を刀の錆にしてくれてやりたいものだと思った。  
 何時だったか『私の熱く燃える棘をその可愛らしい唇に埋めたい』だのと  
破廉恥極まりない事を言った時には本当に一思いにヤってしまおうかと思ったくらいだ。  
 ―――いや、八葉という仲間でなければ本気でしていたと思う。  
 あまりにも酷い時には皆で藤姫に言いつけて友雅に土御門を一週間ほど出入り禁止と  
言い渡したりもしたが、懲りないので全く困ったものであった。  
 取り敢えず、夜這い防止に玄武組が全力を尽くして、強力な穢れ(友雅のみに発動)が入ってこないように  
念には念を押し、強力な結界を二重に張っておくこととなった。  
 
 しかし、彼があかねを刺激してくれるお陰で頼久には夜の愉しみが出来たのだ。  
 だから友雅を怒りたくても怒りきれない部分もある。  
そんな自分が時々許せなくなるがやはり最後は本能が勝ってしまうのだ。  
 葛藤をしつつも最終的には目の前の快楽を選んでしまうあたり、まだまだ彼も若い。  
 
「ん・・・ひゃぁ・・・ああぁぁぁぁッ!!」  
 左手で乳房を揉みながら、右手は秘めたる場所を激しく弄っていたあかねが甲高く嬌声をあげて  
力尽きた。  
 荒く呼吸を繰り返し、ぴくぴくと痙攣する姿を見ると何ともいえない高揚した気分に支配される。  
 
(嗚呼、出来ることならば・・・この手で神子殿を思う存分啼かせてみたい)  
 
 命を懸けて主にそんな欲求を持ってしまうのもそれこそ葛藤があったがここでは割合。  
 
 梅花の薫が立ち上る部屋で―――・・・・・・  
「ああ、神子殿・・・いえ、あかね殿。あなたを抱く事が出来るなど夢のようです」  
 褥の上に横になるあかねの上に被さる様に跨り、熱く見つめる。  
「頼久さん・・・私、その・・・初めてなんです・・・だから、あの・・・優しくしてくださいね」  
「仰せの通りに。大丈夫です。全て私に任せてください」  
 頼久はあかねにそっと口付けをし、燭台の灯を消すと彼女に掛かる衾を取り払う。  
 
 
 
 月明かりのみが照らし出す暗がりの部屋の中。  
 白く美しい透ける肌に卒倒しそうになりつつも、腕の中にある温もりに触れてゆく。  
 
 聞こえるのは互いの荒い息遣いと、あかねの喘ぎと粘着質な水音のみ。  
「あぁんっ、もう我慢できないの・・・お願い・・・頼久さん・・・  
わ、私をあなただけのものにして下さい!」  
 息も絶え絶えに縋り付くあかねを愛しそうに抱き締める。  
「はい、あかね殿。・・・今あなたのお望みのままに・・・」  
 
 目くるめく甘い桃色空間。大人な世界。  
 
 
 
(・・・そして二人は見も心も一つになり・・・)  
 
 頼久はあかねとの目くるめく愛の一夜を妄想し、悦に浸っていた。  
 その表情はいつものキリッとした彼の顔から大分かけ離れたもので、  
締りのない顔で微かだが涎が垂れている。鼻血もチラッと出ているから始末に終えない。  
 これでは友雅の事をどうこう言えた義理ではない。  
 
「何をしている?」  
 夢心地から一転、いきなり背後で低い声が響き、現実に一気に引き戻される。  
「や、泰明殿!!」  
 瞬時にだらしない顔をいつもの涼しい顔に戻せられるのは頼久の凄いところだ。  
「このような夜更けにどうされたのですか?」  
 隠形の術を使っているわけではないのだが、いつも気配を消して突然現れる為、その度に驚かされる。  
 今回もタイミングがタイミングなだけに口調が強まってしまうのは仕方のないことであろう。  
 そんな様子の頼久には全く気にせず、泰明は説明した。  
 あかねの気が以前から激しく乱れる事があった。  
 しかし、ある程度の時間が経てばすぐに落ち着くのだが、何度もある事が気になり、  
その度に式神を飛ばして様子を窺っていた。  
 しかし、今宵は陰陽師としての仕事もなく、式神を通じてではなく直に神子の様子を見に来たのだと。  
 否。様子を見に来ただけではない。  
 式神を通じて何度かあかねの自慰行為を見ているうちにあかねと交わりたくて仕方なかったということを  
包み隠さずに言う。  
 彼は生まれて二年なだけあって本能による欲求に対して我慢というものが出来ないようである。  
 
 
 頼久は絶句した。  
 その直球過ぎる発言もだが・・・  
 そうだ。上には上がいた。  
 人の気配には気付いても式神までの気配まではわからない。  
 なんてたって彼は八葉一霊力の低い男なのだ。  
 そして、自分一人だけの秘密ではなかったことを知り、衝撃を受ける。  
(この頼久、何たる不覚!!)  
 
「それでは私は神子のもとに行くため、失礼する」  
 衝撃で固まっていると、泰明は止めとばかりにとんでもないことを言った。  
 
 それは、確実に今からあかねと交わる為だというのは先程の台詞と話の流れで朴念仁の頼久にもよく分かる。  
「や、泰明殿!」  
 自分はただ妄想したり、見たりしているだけだが、これは確実にあかねの貞操が危ない。  
流石に止めなくては!と泰明に掴みかかろうとする。  
 が、泰明は頼久に邪魔をされたくなかったのでそこから動けないように呪いをかける。  
(し、しまった!!)  
 突然術を掛けられ困惑する。  
 手を動かしたり座ったりは出来るようだがその場からは動けない。  
 ということはここで好きな相手が他の男に抱かれるのをただただ指を咥えて見ていなければならない  
ということだ。  
 
 極楽浄土から一気に奈落の底に突き落とされた気分だった。  
 
(み、神子殿・・・申し訳ありません。兄の墓前で誓ったものの、早速私はあなたの御身を  
お守りすることが出来ないようです・・・不甲斐無い・・・そして兄上にも面目が立たない!)  
 
 神子を守る守らない以前に、このように今の今迄主の秘密の夜を覗いていた事のほうが  
兄・実久は嘆くと思うのだがどうであろう。  
 
 口が切れるほど歯を食い縛り、ただあかねの無事を祈るしかなかった。   
 
一方、あかねの寝所では・・・  
 
 キシ・・・―――  
 
「・・・誰?!!」  
 足音が聞こえた為、あかねは驚く。  
「私だ」  
「え、や、泰明さん?どうしたんですか?」  
「神子の気が今日も乱れていた故、参上した」  
「え、私の気が・・・?」  
 言いかけて気付いた。自分は今あられもない格好をしているという事に。  
「きゃ!見ないで下さい!!」  
 と言って、慌てて夜着の袷を掻き寄せる。  
 とんでもない姿を見られてしまったと、羞恥心から涙が溢れてくる。  
 そして、気が乱れていると言っていたこの陰陽師には全て筒抜けだった事を悟り更に何もかもが終わった  
気分になる。  
「何故泣くのだ?」  
「何故って、当たり前ですよぅ・・・だって・・・こんな・・・」  
「泣くな、神子」  
 そう言って、泰明はあかねの涙を唇で啜る。  
「お前に泣かれると、私はどうしたら良いのか、わからなくなる」  
 ほんのちょっぴり良い雰囲気なのかもしれない。  
 しかし、  
「神子。胸に微熱どころか今は下半身がとても熱いのだ。お前が鎮めてくれ」  
 ちょっと良い雰囲気だったのも泰明のムードもへったくれもない一言でぶっ飛んだ。  
 そしてあかねが何も言わぬうちにさっさと褥の上に組み敷くと未だ薄っすらと濡れている手を取り、舐める。  
「甘いな」  
 あまりにもの発言に一気にあかねの全身に朱が走る。  
「ちょ、ちょっと、泰明さん!!そんな・・・えぇ!!・・・私これでも初めてなんですっ!」  
 バタバタと抵抗してみるものの、既に褥に組み敷かれていた。  
 両手首は押さえつけられ、非常に密着した状態で足も絡められているために逃れる事ができない。  
「私も初めてだ。問題ない」  
「問題大アリですってばぁ!!」  
「大丈夫だ。お師匠の部屋にあった巻物で勉強した故、知識ならある」  
 因みにこっそりと忍び込んで読んでいた。  
「そういう問題じゃないですっ!」  
 
そう。あかねには問題だったのだ。  
 彼女は日々、美形集団に囲まれていて時々欲求不満に駆られる為、ストレス発散も兼ねて、  
時折八葉で妄想している事もあることがあるのだが・・・。  
 
 
 もしも八葉と交わる事があるのならば、最初は永泉と・・・と思っていたのだ。  
 何故永泉かといえば、第一に自分に強引な事をしないであろうと言う事。  
 あかねも一応花も恥らう16の乙女なのだ。  
 初めての思い出は美しいものにしたい。  
 友雅は女房達から聞く艶聞や普段のセクハラからして色んな変態プレイをしてきそうだし、  
 頼久は「神子殿のお望みのままに・・・」と色々尽くしてくれそうだが、  
幼少の頃から鍛錬している為、八葉の中で体力が物凄い。  
・・・もしも彼に付き合わされてでもしたらきっと身が持たないだろう。  
 次の日の怨霊退治に差し障る可能性が多大にある。  
 鷹通は優しそうだけど・・・何となくの偏見だが、知識も探究心も豊富でねちっこそうだと思う。  
 イノリはその性格上、そういった対象には見れないし、  
 天真は何かとても早そうで、何より彼とは友達以上の関係に見られないし、割り切れない。  
 
 そんな彼らに比べて、永泉は優しくて思いやりがあって、その性格からして強硬な事はしないだろう。  
 何よりあの可愛らしい顔をいつか快楽で歪ませてみたいと常々思っていたのだ。  
 友雅ではないが、あかねにとって永泉は切なく泣かせてみたい八葉1なのだ。  
(因みに2は詩紋だ。あかねに経験さえあれば、彼は非常に自分好みに育て甲斐もありそうだから)  
 女性と交わる事の許されない僧侶。  
 その彼を手篭めにするという支配欲・背徳感がたまらなさそうなのだ。  
 
(まぁ、いいか。泰明さんも綺麗な人だし、いくら知識があっても所詮2歳児。  
 無理な事はしないだろう・・・ふふ。この経験を生かしていつか絶対に永泉さんを喘がせて・・・)  
 などと思っているからあかねも性質が悪い。というか、初めてがそれで良いのか?  
 この神子にして八葉ありってなもんだ。  
 
 こんなふしだらな神子と八葉ばかりだと知ったら  
 八葉の使命が命!京大好き!!なイノリが知ったら怒り狂いそうである。いや、狂うだろう。  
 「お前ら京を守る気あるのかよ!」と鉄下駄を投げつけるに違いない。  
 彼はまだまだゆで卵の白身のように純白。  
 龍神に選ばれし清い筈のあかねよりよっぽど穢れていない。  
   
 まあ、今はそんな事は置いておこう。  
 
いろんな事を考えているうちに、あかねは泰明にさっさと夜着を肌蹴させられ、  
体中に紅い刻印を刻みつけられていた。  
「ッ・・・んぅ・・・」  
 男性に触れられるのは初めてなのでつい甘い吐息が漏れてしまう。  
「神子は気だけでなく、身体もなにもかもがとても柔らかいのだな」  
 
「!!そ、そんなこといわないでぇ・・・」  
 あまりにも恥ずかしい事を言われて、今にも泣きそうな声になってしまう。  
 何故かはよく分かっていないが、その声を聞くと泰明は興奮し、もっと聞きたくなると色々な場所を  
触れ始める。  
「ここが、硬くなってきたな・・・気持ち良いのか?」  
 胸の先端をこりこりと擦ったかと思えば、チロチロ舐めて吸い上げながらもストレートに言うために、  
あかねは今まで感じた事ない快楽と恥ずかしさやらなにやらで頭が真っ白になり、何も考えられなくなってしまう。  
 
 
 頼久の耳にもそんな恥ずかしい会話が聞こえてくる。  
 本当は自分がそうするはずだったのに。  
 やはり妄想や見ているだけでは飽き足らない。いつかは・・・と思っていた。  
 だが先に他の男に抱かれているのを見ると嫉妬で狂ってしまいそうになる。  
 それでも目が逸らせず、二人の情事を見つめ続けていた。  
 いや、目を逸らしたところでその場から動けないため耳には濡れた卑猥な音と荒い息遣いや  
あかねの嬌声などが聞こえるため意味が殆どないのだ。  
 
 悔しいのに、自分の身体はかつてない程の熱を持て余す。  
 しかし、発散する事も叶わず、彼への拷問は続いてゆく。  
 
「ひゃ・・・あぁ・・・や・・・すあ・・・きさ・・・」  
 とめどなく蜜を溢れさせてあかねが悶える。  
「凄いな・・・感じているのだな」  
 するりと股間に手を差し入れればぴちゃりと卑猥な音が響く。  
 
 そんな頼久には当然知らないまま、泰明はあかねに対して性感帯を余すことなく愛撫し、  
蜜で滴る場所に舌を差し入れたり、指でかき回すなどの行為を一通りこなす。  
 
「・・・泰明さん・・・身体が熱いの・・・助けて・・・」  
「私もだ、神子・・・もう耐え切れない。行くぞ」  
 
 
 あかねが固唾を飲んで覚悟を決める。  
 
 
「あれ?」  
 
「どうした、神子?」  
 さていざ挿入となったわけだが、全く痛みが感じられずあかねは驚く。  
 運動などをしていれば破瓜の痛みはないのは知っているが、自分はそういうことを特にしていない。  
「だって・・・初めては痛いって・・・」  
「神子に痛い思いをさせたくない。痛みを感じぬ呪いを掛けておいた」  
 こんなところで陰陽師の力を使うなよ・・・とは誰も言わない。  
「え?ホントですか?」  
 本来は好きな人と結ばれる時には痛みを感じるほうが幸せを感じられるのだろうけど・・・  
と考えなかったわけじゃないが、別に今現在あかねは泰明に恋愛感情を抱いているわけでなく、  
なし崩しにこういう関係になってしまっているだけなのである。  
 だから、そんな悠長に乙女チックなことは言ってられない。  
 寧ろ、困った時は助けてもらおう陰陽師レッツゴーと思っている。  
   
 流石のあかねもそんな優しい泰明にきゅんとなってしまう。  
「ありがとう、泰明さん」  
 八葉や藤姫たちを虜にする必殺あかねスマイルが炸裂する。  
「礼は必要ない。神子のためだ、造作もない」  
 クールに言いつつもとっても嬉しそうだ。  
 初めては泰明で良かったと思えたあかねであった。  
 再びほんのちょっとだけ良いムードになる。  
 が、すぐに泰明がゆっくりと律動を始めたので甘い雰囲気はまた大人の空間へと変化していく。  
「あぁ・・・ん、泰明さぁん」  
 甘ったるい声を出し、あかねも泰明の背に腕を回し、必死にしがみついている。  
 
 
(好きな女性を他の男に抱かれるというのもなかなか・・・!!)  
 頼久はさっきまで苦しんだものの、どこか吹っ切れたらしく、新境地を見出した。  
 こんなに興奮したことが未だかつてあっただろうか?  
 感動して涙が出そうになるのを堪えながら、二人が睦み合う姿を食い入る様に見続ける。  
 今の今まで我慢していた所為なのか、興奮することに拍車がかかる。  
 
(神子殿・・・なんとも可愛らしいお声で啼かれるのですね)  
 あかねの喘ぎ声が段々と甲高くなってきている。そろそろ絶頂が近いのであろう。  
 その声を聞くだけで頼久の身体の熱はどんどん膨らんでゆく。  
 気付けばその場で自分の分身を扱き始めていた。  
 
あかねの喘ぐ声に合わせて泰明は律動を早める。  
 そのうちにある一点を突くとあかねが異常なほどまで反応をしたため、抉るようにそこを中心に攻め立てる。  
 
「や・・・泰明さん・・・もう・・・あ・・・ダメェ・・・ぅああああぁっ!!」  
「うぅっ・・・くっ・・・み、神子ッ!!」  
 
   
 あかねは泰明の背に爪を立てて一際甲高い声を出し、泰明は精をあかねの中に放出する。   
 二人がきつく抱き合って絶頂を迎えると同時に頼久もいつもより濃いのを出して果てた。  
 
(神子殿、やはりあなたは素晴らしい女性です。今迄知らなかった事を次々に教えてくださる)  
 肩で息をしながら、何やら訳のわからない賞賛を心の中でしながら淡々と後始末をする。  
   
 暫くするとまたもや耳を疑うような事を泰明は発言した。  
「神子。もう一度したい」  
「え、もう無理ですってば・・・あぁっ」  
 あかねの抵抗は無視され、再び泰明に抱かれてしまう。  
「女と交わる事がこんなに気持ちが良いとは知らなかった」  
 自分と向き合わせ、膝の上に跨らせて下から突き上げる。  
 動きに合わせ、胸の膨らみが淫らに揺れ動き、思わずむしゃぶりつく。  
「んっ・・・ひゃぁん」  
 自分の腕の中で快楽に溺れるあかねに対する愛しさも溢れ出す。  
 それはもう、無意識のうちに顔の呪いも消えるほど。  
   
(うぅ・・・っ、泰明さんってば・・・これって絶倫ってヤツなの?)  
 軽く見ていたのに、翻弄されるっぱなしだった。  
 今度は背後から抱かれ、蜜壷に隠れる芯を摘んで突き動かされる。  
 
「駄目ぇ、そんなにしたら、わた・・・し・・・」  
「もっと乱れろ。何度でも共に高みに行くぞ」  
 
 探究心の旺盛な泰明は次々と様々な体位に挑戦をする。  
 またもや遠ざかる意識の中、あかねはそのようなことを薄っすらと考えていた。  
 
   
(泰明殿・・・天晴れにございます)  
 普段から人並み外れた方だと思ったが、こっちの方面も・・頼久はしきりに感心する。  
 それだけではない。自分の知らない交わりの仕方も勉強になるものだ。  
 そして、そのまま二人の行為が終わるまで彼はずっと一人悶々としていた。  
 それに付き合う彼の体力もやはり大したものである。  
 
「お館様、何をご覧になってらっしゃるのですか?」  
 水鏡をみているアクラムに声を掛ける美女。  
 しかし、返答は何時になく冷たい。  
「シリンか。何用だ?」  
「はい。洛北の穢れは順調に進んでいることの報告をしに参上しました」  
「そうか。詳しくは明日聞く。今日はもうよい、下がれ」  
 シリンがいなくなった事を確認し、深く溜息を付いた。  
「全く、折角の余韻が台無しになるところだった」  
 シリンは美しい上に、抜群の色気と体型をしているが、如何せんアクラムの好みではないのだ。  
 勃つものも勃たないのである。  
 彼もまた・・・彼を奮い立たせるのはいつも龍神の神子、ただ一人。  
 
「フフフ・・・神子よ。今宵はより愉しませてもらったぞ」  
   
 そう一人ごちると嬉しげに自分の部屋へと向かって行く。  
 
 シリンは知らないフリをして質問したが、本当は知っていた。これからアクラムが何をするのかを。  
 
 彼女にとって泣きたくなるほど認めたくないことであるが・・・  
 あかねの様子を覗き見るのが趣味の者がここにも一人いた。   
 
 
 
 ある意味今の京は平和かもしれない。  
 
 
 どれくらい経過しただろう。夜の帳が濃くなってきた。  
 
「頼久、君はそれで十分なのかい?」  
「!!」  
 又もや背後から低い声が響き渡る。  
「と、ととと友雅殿?!!」  
 覗き見に夢中で全く気付かなかった。  
 泰明はまぁ、兎も角・・・いくら左近衛府の武官とはいえ又もや背後に立たれたことに気付かないとは。  
 見られたことの羞恥より先にその失態にまたもや愕然となる。  
 
「まぁ、いいさ。私がとやかく言うものでもないし、ね。何より好敵手を増やす事もないか。  
・・・さて、そんなことよりも、だ。私も混じって来るとするかな。  
 独占欲が強そうな泰明殿が許してくれないかもしれないけど、私は君のように見ているだけでは物足りないのでね」  
 
 そう言い残し、友雅もあかねの寝所へと向かっていく。  
 頼久にかけられた呪縛だけが未だ解けないので、彼はまた見続けるだけに事となる。  
   
 反対に友雅は、対結界が、泰明があかねに夢中になっていた為、少し力が弱まって性欲旺盛さがそれに打ち勝ったので  
易々と進入できた。  
 
 あまりの展開に呆然としている彼の耳に  
 「と、友雅さん?!!」と驚愕するあかねの声が、  
 気配で分かっていたのか別段驚きもしない泰明の友雅参戦を嫌がる冷静な声が、  
 どうしても参加したいからと上手く言いくるめる友雅の声が  
 
 ・・・今の彼には果たして聞こえていたのだろうか?  
 兎にも角にも、そのうちまたもやあかねの艶声が響いてきた。  
 哀れ頼久。彼が一夜でも報われる日はいづれ来るのであろうか?(誰か誘ってやれ)  
 
 そして、あかねは本当にこの経験を糧に永泉を手篭めにする日が来るのであろうか。  
 それは誰にも分からない。  
   
 唯一・・・後ほど分かるのが、あかねが腰の痛みと身体のだるさで動けなくなり、  
心配した藤姫がにっが〜い薬湯を持って来たため、あかねが泣いて嫌がる声が聞こえてきたという話だ  
 
 
 
 

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