何度も何度も、時の流れを遡る。  
人として禁忌である行為なのは、当に理解している。  
でも、どうしても…叶えたい願いがあるの。  
 
 
彼女が時空を跳躍する理由  
 
 
現代に飛んだ荼吉尼天を追い、私は皆と一緒に現代の鎌倉へ飛んだ。  
時空跳躍を繰り返し、鍛え上げた皆の前に荼吉尼天はあっさり倒れた。  
とりあえず将臣君と譲君の家に行って、今後の事を考えようと  
皆で有川家に移動する。  
全員で11人になる大所帯でも平気で入れる有川家の広さに  
改めて感服していると、お袋達が留守で良かったとリビングでぼやいていた  
将臣君がふいにこちらを振り返った。  
「そうだ、望美…お前結局誰を選ぶんだ?」  
思い思いに馬鹿でかいリビングで寛いでいた皆が、一斉に私を注視する。  
「…え?選ぶって何のこと??」  
時空跳躍を繰り返す中で、確かにここに居る皆とはそれぞれ愛を育んだけど。  
福原で和議がなったこの時空では、誰ともそんな事にはなってないはず。  
「神子、荼吉尼天を倒して五行が正常に戻った。  
白龍の…私の逆鱗の力も、八葉皆に行き渡った。」  
白龍がおずおずと告げてくる。  
ええと、それって…皆に、時空跳躍前の記憶が宿っちゃったって事?  
 
「望美、俺と一緒に南の島で暮らそうぜ?」  
鋭い眼を輝かせて見つめてくる将臣君。  
「お前は俺の許婚だろっ?!」  
顔を真っ赤にしながら、ここぞとばかりに主張する九郎さん。  
「姫君は、熊野別当の花嫁になるんだよな?」  
決まってる、と自身ありげに笑うヒノエ君。  
「おや、他の方までこんなに虜にして…いけない人ですね。」  
でも貴方は私のモノですよ、と爽やかに言ってのける弁慶さん。  
「先輩、俺は貴方に近づく男を全員抹殺してしまいたい…。」  
ちょっと譲君、天輪蓮華なんか出したら家が壊れちゃうよ。  
「望美ちゃん…ずっと、オレの側にいてくれるんだよね?」  
27歳でうるうる上目遣いはどうなんですか、似合ってる辺り問題です景時さん。  
「神子、穢れている私は身を引くべきかもしれない。だが…」  
今水虎になっちゃ駄目ですよ、ふるふると震えてる敦盛さん。  
「お前は私の運命だ…神子の選択に従うのみ。」  
そう言ってくださる先生、シャムシールに手が伸びてるのは何故ですか?  
 
皆、それぞれとても魅力的な男性なのは間違いない。  
だけどね…どうしても時空跳躍を繰り返して、違う選択をしたくなった理由が  
やっぱりそれぞれにあるの!  
 
「神子、願いを言って。私は神子の願いを叶えたい。」  
柔らかく微笑む白龍。そう言えば白龍だけ皆の様に迫ってこない。  
「私には、神子の願いがわかるから。でも言の葉にしてくれないと叶えられない。」  
そうか、やっぱり神様だね。では遠慮なく…。  
「白龍、皆の時空跳躍前の記憶を消して。  
そしてもう一度、私を宇治橋に飛ばして欲しい。」  
私が言の葉に出した願いに、八葉の皆は一斉に固まった。  
そりゃそうだよね、「貴方との間にあったことを無かった事にしたい」  
って言ってるんだもの。  
「…望美、どうして?」  
実質的被害が一応無い朔が、いち早く立ち直って理由を聞いてくる。  
言葉は無くとも、同様の問いを乗せた視線を沢山感じて…何かが切れた。  
 
「だって!だってだって!!!  
将臣君は完全に盛ってて、『なぁ…いいだろ望美?』って  
島の何処だろうと押し倒してきてもう島民の皆の顔が見れないし!  
九郎さんは何度言っても『すまん、余裕が無い…』って前戯してくれなくて  
こっちが痛いって言っても全然聞いてないし!  
ヒノエ君は熊野水軍の皆が覗きに来ても『見せつけてやろうぜ』  
って止めてもやめてもくれないし!  
弁慶さんは『貴方の可愛い顔が見たいんです、許してくれますね?』  
って怪しい薬何度もご飯に混ぜてくるし!  
譲君は『ずっと先輩が好きだったんです』って言ってくれるのはいいけど  
独占欲が過ぎて縛ったりしてくるし!  
景時さんは『君はオレのご主人様だから…』って  
完全に犬でMで、私Sなんてできないし!  
敦盛さんは普段はいいけど『すまない神子っ!』って  
突然最中に水虎になっちゃって、生命の危険を感じるし!  
先生は…『大丈夫か、神子?』って労ってくださるんですけど  
モノが大きすぎて本当に身体がもたないし!」  
 
 
問題点、もとい性癖を一気に暴露され今度こそ灰になる皆。  
「…望美、白龍ではどうして駄目なの?」  
何処か達観した朔に促され、全て吐き出して何処かすっきりした私は  
それにもさらっと答えた。  
「ん、白龍は元神様だからそういう欲求薄いみたいで。  
私の事舐めまわしただけで満足しちゃうの。もう耐えられなくて。」  
黒龍はそうじゃなかったけど…と遠い眼になる朔。  
「そういうわけだから、白龍。私の願いを叶えて!」  
「神子…私は神子の龍だから、神子の願いを叶えるよ。」  
流石神様。問題点を暴露されても一向に気に病む様子も無く  
白龍は微笑んで力を解放した。  
 
 
時の流れの中、私は眼を閉じて祈る。  
(どうか、どうか今度こそ…ネオロマの主人公に相応しい  
真っ当で夢に溢れた愛を育める人に巡りあえます様に…!!)  
 
 
果たして十六夜の月の下、望美は理想の男性に巡りあえるのか。  
それは応龍のみ知る所である。  
 
 

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