(最初に出会って心のかけらも全部取り戻した勝真さんにしよう!)  
 
「じゃ、勝真さんを呼んでもらえる?」  
「わかりましたわ。お話でもされていれば何かわかるかもしれませんわね」  
それだけ言い残して紫姫は話の邪魔にならないようにと部屋を出て行った。  
紫姫に促されて勝真さんを呼ぶことにしたけど、まだ心のどこかで準備が出来ていない。  
 
(交わる…って、やっぱりそういうことだよね………?)  
 
――――――チリン  
 
遠くの方で鈴の音が聞こえ、自分の選択が間違っていないと思えた。  
 
しばらくして勝真が姿をみせた。  
「よぉ、花梨。こんな夜にどうかしたのか?」  
声をかけながら部屋に入ってくる。  
花梨の焚き染めた梅花の香が勝真の鼻を擽る。  
「お、香を焚いていたのか。俺、この梅花の香り好きなんだ」  
「うん。少し気分を落ち着けようと思って…」  
「気分を落ち着けなきゃならないようなことがあったのか?」  
勝真の顔が曇り、花梨をじっと見つめる。  
「ううん、たいしたことじゃ…ないんだけど………」  
「話してみろよ」  
勝真は床に座り、花梨の言葉を待っている。  
「…うっ、うん。あの………」  
 
これまでの経緯を話した。  
「紫姫がそんなことを」  
「私、今まで頑張ったんだもの。京を救いたい」  
「花梨…。お前そこまで京のこと考えていてくれたのか」  
勝真は俯いて呟く花梨の肩をぐいっとつかみ、抱き寄せる。  
「でも木属性なら頼忠もじゃないか。どうして頼忠じゃなく俺を呼んだんだ?」  
「………だって、交わる…って、もし身体のことだったら………」  
自分で言っていることの内容に、次第に恥ずかしさが増していき声が小さくなる。  
その恥ずかしさを押し殺し、顔を上げ勝真の瞳を見つめて告げた。  
「勝真さんが…、勝真さんがいいと思ったから………!」  
花梨がそう言い終わる前に、勝真は腕の中の花梨を抱きしめた。  
 
「花梨。俺、お前のことずっと抱きたいと思ってた。  
 でもそんなことしたら今の関係が崩れてしまいそうで出来なかった。  
 だけど今なら言える。………お前を抱きたい」  
そして続けて耳元で囁く。  
「嫌か?」  
花梨はふるふると首を横に振る。  
「花梨…っ!」  
 
抱きしめられたまま床に押し倒され、衣を脱がされる。  
衣擦れの音が大きくて耳につく。  
勝真も自分の着ているものを脱ぎながら、思い出したように口を開く。  
 
「こういう時って女は暗い方がいいんだろ?灯り、消すか?」  
「でも勝真さん、暗いところは苦手って…」  
「慣らしたって言っただろ?もう怖くない」  
着物を脱ぎ捨て花梨の上に身体を重ねる。  
「このまま俺の腕の中で熱くなっていくお前を見たい」  
花梨の前髪を撫でながら、勝真は悪戯っ子のように微笑んだ。  
 
勝真の身体の重みを感じ、生まれたままの姿で抱き合うと、  
下腹部に勝真の硬くなったものがあたる。  
 
自分の腕の中で恥ずかしそうに手で胸を覆っている花梨の姿に、  
勝真は自分の欲望を止められなくなっていた。  
「俺、もう止まりそうにない」  
そう言うと片手で花梨の両手を掴み、露になった胸を揉む。  
勝真の指は花梨の胸の先端に辿り着き、慈しむように摘む。  
もう片方の胸は花梨に見えるように舌先で突付き、舐め上げ、甘噛みする。  
薄闇に照らし出された花梨の乳首は唾液で艶を増し、勝真を一層熱くする。  
 
胸を揉んでいた手を下へ滑らせ腰の線をなぞる。  
茂みの先にある割れ目に沿って指を滑り込ませられると身体に電流が走った。  
勝真は滑り込ませた指でくちゃくちゃと音を立てて弄ぶ。  
「勝真さっ、あぁっ……!」  
くちゃくちゃという音の恥ずかしさに脚を閉じて抵抗するものの、  
あっさり交わされてしまう。  
 
勝真は花梨の膝の後ろに手を置き、ぐっとM字に脚を開くと秘所に舌を這わせる。  
「んっ…はぁ……っ!」  
執拗に舐めあげられ、愛液は止むことなく溢れていく。  
無言のまま勝真は膨れ上がった真珠を舌先で転がす。  
 
勝真は花梨の溢れる泉へ指を沈め、  
敏感になった所をゆっくり焦らすように擦りまわす。  
そして高みへ登りつめていく花梨をじわじわと追い詰めていく。  
「…あぁ…っ、……あんっ…、はぁっ…んっ……」  
どんどん大きくなっていく自分の喘ぎ声に花梨は戸惑い、  
脱がされた衣の端を掴んで歯を食いしばっている。  
 
「花梨、我慢してないで声出せよ」  
「…いや…あ…っ」  
吐息に混じって吐き出した声はまだ僅かに抵抗している。  
「お前のいい声、聞かせろよ」  
勝真の与える快感に堪えきれず、声が漏れる。  
「…んん…っ………、あぁぁぁ………っ!」  
 
勝真は指を抜き、花梨の腰を逃れられないようにしっかり掴むと、  
張り詰めている肉棒の先を花梨の中に浅く入れ、円を描くように擦りつける。  
花梨の溢れ出した愛液と、勝真の先走りが混じって水音の大きさは増す。  
 
「勝真…さ…ん、もぅ…だ…めぇ………。おね…が…いっ」  
「そんなに慌てるなよ」  
「…やぁ…っ!勝真さんの……欲…しいっ」  
全身で大きく息をしながら、懇願する。  
「そうだな」  
勝真は猛った己の分身をあてがうと、一気に花梨を挿した。  
「あぁ………っ!」  
花梨の小さな悲鳴がしんと静まり返った部屋に響いた。  
 
勝真はゆっくりと身体を動かし、抜き差しを繰り返す。  
「も……だめぇっ!」  
「悪ィ、花梨」  
男の本能のままに、花梨の最奥をめがけ何度も何度も突く。  
「痛かったら言えよ」  
「'私は大丈夫だから'」  
「そうか」  
 
勝真は花梨の腰を抱え上げ、くるっと体勢を変える。  
繋がったまま、花梨が勝真の上に跨っている格好になる。  
結合部が先程よりもはっきり見えて、更に身体が熱くなる。  
 
「今度は花梨が動いてくれよ」  
「うっ、うん」  
花梨はたどたどしく、ぎこちなく腰を上下に動かす。  
そのぎこちなく動く様を下から見上げ、勝真も合わせるように腰を動かす。  
 
勝真にもそろそろ限界が来ようとしていた。  
息を乱し、全身は強張り、びくんと痙攣した。  
勝真は花梨の中に白濁した液を吐き出し、二人は絶頂に達した。  
 
 
全身で大きく呼吸を整えている花梨に声をかける。  
「花梨、その…悪かったな」  
「何で謝るの?…私、嬉しかったのに」  
真っ直ぐ見つめ返す花梨の瞳に嘘はなかった。  
「それに勝真さんとひとつになれて、明日が少しだけ怖くなくなった気がする」  
「じゃ、もっと安心させてやるよ」  
勝真は花梨を抱きかかえると寝所へと歩き出した。  
 
 
 

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