ふわり。  
真っ白い布地が露になり、そこから目が離せなくなる。  
彼の少女は不可思議な衣装を身に纏っていて、それは動き易そうで  
とてもよく似合っているのだが、丈が非常に短い。  
今も木の上に登ろうとしている少女は軽々と足を上げ、枝にその  
細い手を掛けているのだが、ふとした弾みで足の付け根まで  
その衣の裾がめくれ上がってしまった。  
少女はそのことに気付いているのかいないのか。  
動作をやめようとしない所を見ると、おそらくは後者だろうか。  
その華奢な肢体に相応しく、少女の臀部は小振りで、だが真ん丸く  
柔らかであることが薄い布地の上からでもはっきり見て取れる。  
体を動かすたびにそれはぷりん、と、揺れた。  
手を伸ばせば届く距離にあるそれに、触れたい。  
そんな衝動が不意に湧き上がってくる。  
そんなことはいけない。  
畏れ多い。  
何しろ彼女は神聖なる存在で、この京を救う唯一のもので、  
自分の主なのだ。  
罪びとである自分が触れて良い様なものではない。  
ものではないが、でも触れたい。  
触れて、揉みしだいて、その白い布を脱がせてしまいたい。  
そして全てを、  
「……頼忠さーん、ここには呪詛、ないみたいです」  
「左様でございますか。それでは降りられた方が宜しいかと」  
「はーい」  
樹上で微笑む少女が眩しいのは陽光のせいだけではない。  
今日も武士は己の心の衝動と戦いつつ、京を救う任務を勤めていた。  
 

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