赤コーナー。五尺九寸、十六貫。挑戦者、源氏の総大将、源九郎義経ぇぇぇ。  
 
青コーナー。五尺二寸、十三貫。王者、白龍の神子、春日望美ぃぃぃ。  
 
初夜デスマッチ。一晩無制限一発勝負。  
 
「司会は私、マスク・ド・マサオミでお送りします。解説は武蔵坊弁慶さん。いやぁ、対にこの日がやって参りました。世紀の対戦ですね、弁慶さん」  
「そうですね。鎌倉を脱出しこちらの大陸に渡ってから数週間ヶ月。ふふっ。二人は簡単な祝言を上げたもののお互い忙しくなかなか初夜を迎える事が出来なかった上に、手を取り合った瞬間どこからともなく矢が振ってきますからね」  
「この数週間、初夜らしい初夜を迎えた事が無いと言うのも驚きなのですが、その当たりはどうなのでしょう」  
「九郎は全くと言って良いほど女性に免疫がありませんので、望美さんに甘い言葉を囁くなどという高等技術は持ち合わせていないでしょう。力勝負に出ては返り討ちに合うと言う事を繰り返してきましたからね」  
「なるほど。真っ向勝負では九郎に勝ち目は無いと」  
「せいぜい、おい、寝るぞっ、と強引に閨に連れ出しては引っぱたかれるのが落ちでしょうね。ふふふ。だから言ったのに。僕に任せていただければ、媚薬、睡眠薬、感覚を高める薬、そのほか色々と・・・」  
「え〜解説の弁慶さんが黒くなってきたところで、挑戦者の様子を見てみましょう。中継の敦盛さん」  
「ああ、こちらは挑戦者、九郎を追っている。落ち着きが無くウロウロと歩きながら髪をかきむしっているようだ。どうやら神子の部屋のふすまに手をかけては引っ込めると言う動作をさっきから17回ほど繰り返している」  
「ふふっ。九郎もなかなか踏ん切りが付かないようですね」  
「おおっと、挑戦者九郎、自分の衣の袖に息を吹きかけ臭った。どうやら口の臭いを確認している。今日の九郎はひと味違うぞ」  
「九郎は実はくるくるの髪をさらにくるくるにしていたそうですね。試合前の気合いを聞いてみたところ、馬鹿な事は聞くなっと怒鳴られましたが、この様子、この態度。九郎はこの日をどうやら心待ちにしていたようですね」  
「司会の将臣殿。今、九郎はニヤニヤと笑っているぞ」  
「中継の敦盛。貴重な情報サンキュー。九郎が笑っている。そんな顔を引き締めるように九郎はぱちんと自分の両頬を手で叩いたぞ。そして望美の部屋のふすまに手をかけたぁ」  
「おい、入るぞ、とはいつものぶっきらぼうな言葉ですね。こんな時までおい、とかお前とか九郎らしいと言えば九郎らしいですが」  
「そして。ん?きゃー?聞こえてきたのは甲高い望美の悲鳴だぁ。そして部屋から何かが投げられてくる」  
「将臣殿。どうやら投げられた物は剣の鞘の様だ」  
「剣を抜き身にして閨で待つとは、望美さんも物騒ですね」  
 
「そして望美の怒りの声が聞こえてくる。どうやら返事を待たずして入っていった九郎は、着替え中の望美の裸の背中を見てしまった模様。  
怒鳴り声が響き渡り、九郎もその声に答えるように怒鳴り返す。どうやら九郎に謝ると言う選択肢は無い。そのままずかずかと望美の部屋に入っていったぁ」  
「将臣殿。今、慌てた神子は着物の前を閉じて愛用の剣の柄に手をかけたぞ」  
「ふぅ。なかなか事が進みませんね。これも九郎の子供じみた性格ゆえか。やはり二人に薬を盛った方が良かったかもしれませんね」  
「だがしかし九郎も負けてはいない。腰に携えた剣を上段に構えた」  
「九郎と望美さんの剣の腕前はほぼ互角ですから。しかし狭い閨の中での上段の構えとはまた面妖ですね」  
「素早く構えた望美が一歩踏み込んだ。容赦のない一撃が九郎を襲う。これが初夜だ。これが二人の初夜なのです。ああっ、わずかに身をずらし強烈な一撃をかわした九郎。  
なんと飛び込んできた望美の手首に、上段に構えた剣の柄でしたたかと打ち付けたぁ。これはクリーンヒット。顔をしかめた望美は思わず剣を落としたぁ」  
「将臣殿。九郎は、そう何度も同じ手を食らうかと笑っている」  
「つまり閨に飛び込むたびに今のような打ち合いが繰り広げられていた訳ですね」  
「九郎は望美の落とした剣を素早く蹴り、部屋の隅に追いやったぁ。と同時に自分の剣も捨てて望美の手首をつかんだぞ。剣さえ何とかしてしまえばあとは体力勝負となる。それを狙ってか九郎は望美を壁際に追いつめたぁ」  
「完全に強姦ですね、九郎・・・。自分の正室に対する態度とはとても思えません」  
「追いつめられた望美は何度もイヤイヤと首を振るが、押さえつけられてはさすがに男と女。九郎に反撃する事も出来なくなってしまったか」  
「神子っ。ああ神子。九郎に口づけされて・・・」  
「試合開始から5分28秒、中継の敦盛がノックアウトぉ。神子強い。チャンピオンは強かったぁ。敦盛サポートサンキュ」  
「手が触れる事すら赤くなっていた敦盛君には刺激が強すぎましたか。とりあえず譲君と同じ部屋に閉じこめておきましょう」  
「おおっと少し目を離している隙に、九郎のキスがだんだんと濃厚になっていく」  
「九郎にとって初めての接吻でしょう。九郎、さすがにがっつきすぎです。息継ぎが出来てませんよ全く」  
「望美の声が高くなってきたぁ。色っぽい、色っぽいぞ望美。そして九郎はつかんでいる手首を望美の頭の上でまとめて左手で押さえ込んだ。そして右手が、右手がなんと望美の胸元に伸びたぁ」  
「一切の女性に対する配慮もありませんね。あんなに力いっぱいつかんでは、望美さんも痛くてたまらないでしょう。ほらっ、せっかくの口づけでの気分の高揚が一気に下がってきています。もっと女性の身体をいたわってあげないと」  
「九郎の手が着物の中に忍び込んでいきます。耳まで真っ赤だ九郎。初めて触る望美の胸はそんなに柔らかいのかぁ。そして九郎の口から感嘆の言葉が漏れている」  
「大きさといい、形といい、色の白さといい、九郎にとっては未知との遭遇。ほら見てご覧なさい。九郎は、よし勝ち鬨を上げるぞ、などとつぶやいています」  
「おお、なんだ?望美の反撃かぁ。九郎が胸元に夢中の間、いつの間にやら左手からの拘束から逃れた望美が九郎の頬を押しのけた。逃げる。逃げるぞ望美。そう簡単に身体を重ねる訳にはいかないか」  
「全くこれだから処女と童貞は」  
「身を翻して逃げようとした望美。一瞬九郎の手から逃れる物の、背後から捕まえられた。そして。なんと九郎は背中から手を回して望美の胸を揉みしだいているっ」  
「おお、これは幸運なのか偶然の産物なのか。かなりの高等技術ですよ。この体勢になれば望美さん側からは九郎の顔を見る事は出来ませんが、九郎は望美さんを観察し放題ですからね」  
「それは良く理解出来るぜ」  
「ですが興奮しきった九郎がそこまで楽しめるかどうか。そこで甘い言葉の一つでも囁けば望美さんの力は一瞬にして抜けるのですが、ねぇ。童貞は得てして自分の感情と快感で先走る傾向にありますし、なかなか女性の心を見抜けない物です」  
「解説の弁慶さん。なかなか的確ですね。その通り、九郎に一切の余裕は無い。ただ力任せに胸を揉み、望美に対しては暴れるな、おとなしくしろと怒鳴っている。デリカシーのかけらもないぞ九郎」  
「耳朶や首筋を舐めたりしてみてはいかがでしょうか、と前に一度話した事があるのですが、すっかり頭から消え去っている様ですね。所でいい加減望美さんも抵抗を止めたら痛くなくなるのに」  
 
「あぁっと、九郎、自分の衣に手をかけた。どうやら今更ながら服を脱ぐようです。一気に下半身だけを露出させた」  
「なるほど、望美さんには着物を着せたまま・・・。そそりますね。九郎もなかなかやりますね」  
「弁慶さん。九郎にそんな考えはあるのでしょうか」  
「ありませんね」  
「全くですね。そして九郎の下半身には白いふんどし。伝家の宝刀ふんどしが来ましたぁ。そそり立つ白い布。既に九郎の息子は臨戦態勢の様です。なんのためらいもなく布を取り払ったぁ。いきり立つバズーカーのご開帳だぁ」  
「しかしただでさえ緊張している望美さんの準備がまだ整いません。さて九郎、いったいどうしますか」  
「九郎の指が下腹部に伸びていきました。どうやらそのまま茂みに突入する様です。体勢は背後からのまま。九郎の息づかいが荒くなっていっております」  
「おそらく望美さんは一切の準備が整わない泉よりも、背後から当たる九郎の吐息を受けている首筋に感じている事でしょう。  
全く九郎の勘違いも甚だしい。五条坂でぶつかっていた時から思っていたんですが、なんて成長のない人なのでしょう」  
「望美の息づかいも高まってきたぞ。いやらしく閨に響く水音と、弓なりに反る背中。腰に回した手、どれも九郎のマシンガンへのMAXボルテージ挑戦への足がかりだぁ」  
「あ、九郎。ダメですよ。まだ愛撫が足りませんよ。そのままでは望美さんが痛いだけですよ。仕方がない」  
「解説の弁慶さん。一体何を」  
「ちょっと望美さんに吹き矢で即効性の媚薬を盛ってきます」  
「でました反則技。解説と見せかけ実はセコンド武蔵坊弁慶の媚薬攻撃。決まったか?  
弁慶の吹き矢から放たれた媚薬が望美の身体を射抜いたか?クリーンヒットぉ。  
媚薬のしみこんだ小さな布が望美の下腹部に着地したぁ。突然飛んできた布きれに望美はわずかに顔をしかめるが、九郎のがっつきの方が重要だ」  
「一、二分で効果が現れるはずです」  
「九郎止まらない。九郎激しく指を動かす。ぴちゃぴちゃと奏でられる音が強くなっていく。さすが弁慶、さすが腹黒」  
「当然です」  
「望美の声も悲鳴から喘ぎ声に変わっていくぞ。ガンバレ九郎、男には譲れない物がある。歴史が変わる瞬間だ。行ったぁ。  
背後からの鵯越え固めぇ。これには望美もたまらなく悲鳴を上げる。王者春日望美、ついに陥落しましたぁ。ついにやりましたね弁慶さん」  
「長かったですね将臣君。九郎が大人になった瞬間です」  
「相当たまっていたのか、九郎、動く。ひたすら動く。木気を放て衝天雷光」  
「とりあえず九郎にはもう一度教育をし直しましょう。あれだけ望美さんの身体を大切に扱うようにとさんざん言ったのに・・・」  
「全くだな。見ていてはらはらするぜ」  
「将臣君。これ以上は無粋でしょう。どうやら上手く行きそうですし、ここら辺で失礼しましょうか」  
「ああそうだな。以上マスク・ド・マサオミと」  
「武蔵坊弁慶がお送りしました」  
「九郎と望美の新婚初夜でした」  
 
 
 
 
オマケ。  
 
「舞い落ちる紅葉を両手に受けて現実逃避したい今日この頃、皆様こんばんわ。ニュース、許嫁の時間がやって参りました。司会進行はおなじみ、私オゥケイ将臣です。  
 
 それではまず一本目のニュースです。昨日行われました九郎と望美の初夜を妨害しようとして逮捕された少年A(天の白虎16歳)ですが、先ほど監禁場所から脱走し、現在行方が分からなくなっております。  
 
 この少年は、過去にも二人に対して『許嫁ってどういうことですかぁぁ』と問いつめた事が発覚。  
 また、望美の現れる所に現れては顔を赤くして背後を付きまとうと言う行為も繰り返していたと思われます。  
 
 少年Aの所有していた凶器の弓と矢も既に持ち出されており、本日の王座奪回戦を襲撃すると見られ、厳重な警戒が必要です。  
 
 あ、今臨時ニュースが入って参りました。  
 え〜先ほど少年が捕まったようです。  
『十六夜ルートへ突入し、自分にエンディングが廻ってこない事を知った為、ついかーっとなってやった、今は反省している』と話しているとのことです。  
 
 皆様、許嫁宣言するときは、背後からの矢に十分にお気を付けください。以上オゥケイ将臣でした」  
 
 

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