家を最後に出るのは、いつも決まって将臣だった。   
 だから、玄関の鍵をかけるのは日課になっていたし、履きかけのスニーカーの爪  
先を石畳で叩きながら、背中に挨拶されるのもいつものことだ。  
「将臣くん、おはよう」  
「おう」  
 迎えに来た望美に応えて振り返れば、普通の朝の風景は今日も変わらず、木造  
の門扉の向こうを色とりどりのランドセルを背負った小学生が通っていく。  
 雨でも降ると予報が出ているのか、手に傘まで持っているから、まだ半分寝ぼけ  
ている将臣の眼には痛いほど、朝から派手なご一行である。  
 ちらっと横を見ると、望美の手にも傘があった。  
「雨、降るのか?」  
 門扉へと進みながら見上げた冬空は、快晴とは言い辛いがそれほど悪くもない。  
「天気予報だと、80%だって」  
 取りに行くかどうかを、家との往復で伺っている望美の視線に、将臣はふっと悪  
戯めいた笑みを浮かべた。  
「お前が持ってるならいいだろ。一緒に帰るんだし」  
「それって、私の傘に入れろって事? えー、ヤダよ。将臣くんと一緒に入ったら、  
はみ出ちゃう」  
「おいおい。それが、彼氏に言う言葉か?」  
 少しぐらい喜ぶかと思ったが、きょとんとした後の顔は、本気で勘弁して欲しいと  
訴えていた。  
 幼馴染に気安さはこんな時、可笑しくもあり、肩透かしを食らったようで残念だっ  
たりと、なかなか複雑だ。  
「今更、相合傘もないしね」  
「ま、そりゃそうだな」  
 それこそ散々してきた事だ。  
 新鮮味もなければ面白みもないか、と溜息をついたが、今のところ、将臣にとって  
の楽しみは別にあるので、さほど気にはかからなかった。  
 それに、冬だからと言って、雨に降られる程度はどうということもない。  
「昨日、渡したやつちゃんと出来たか?」  
「う……うん」  
 先ほどまでの元気溌剌が嘘のように、望美が急にしおらしくなる。  
「見せてみろよ」  
「え、今?」  
「ああ。今、ここで」  
 無意識のうちに、きょろきょろと望美の瞳が不安で彷徨う。  
「大丈夫だって。後ろ壁だし、俺が前に立ってるんだから」  
 ただし、その壁の向こうの道路は、先ほどの小学生然り、それなりに人通りがある。  
 もしその中の誰かが、気まぐれで他人の敷地を覗き込めば、何をしているかは  
バレバレだ。  
「どうな風になったんだ?」  
 しかし、望美の手は自分のスカートを持ち上げ始めた。  
「こ、こんな感じ……なの」  
 隠れていた太腿をあらわにし、さらにその上までをも屋外で曝け出すと、冷たい  
風が皮膚をなでるが、望美の体温がそれで冷める事はなかった。  
 むしろ野外であるのが強調されて、緊張でさらに鼓動が高鳴る。  
 
「今、ピクって動いたぜ。見られて、感じてるのか?」  
 やらしいな、と耳元で笑い混じりに囁く声の方がよほどいやらしいのに、そう言い  
返せない。  
「……ん」  
 それもそのはずで、望美が将臣に見せているのは、すらっと伸びた脚ではなく、  
昨日渡された下着だからだ。  
 望美が身に着けているそれは、一応下着の分類に入るのだろうが、淡い下毛を  
申し訳程度に隠す花柄の白いレース以外は紐なのである。  
 当然お尻も無防備で、スカートがめくれるような事があれば、一目で卑猥な下着  
をはいているのが知られてしまうだろう。  
 しかも、敏感な若芽から一番大事な部分までがビー玉のようなビーズを連ねて  
作られており、身動きするたびに守るべき下着に嬲られるようになっているのだ。  
「で、こっちは?」  
 望美にスカートをあげさせたまま、将臣は制服の上着の中に手を差し入れると、  
ブラウス越しにもわかる温かくて柔らかい感触のなかで、手の平に異質な硬さが  
当たった。  
「あっ……」  
 そんなつもりはなかったのだが、上がった小さな声と、かあっと赤くなった頬を見  
ると、手が当たっただけで相当、感じたようだ。  
「へぇ。ちゃんと付けれたんだな。痛くないか?」  
 今度は揺らしてしまわないように気をつけながら、指先で何もつけていない胸の  
膨らみをブラウス越しになぞる。  
 たったそれだけなのに、肌が熱を孕んでいるのがわかって、知らず知らずのうち  
に、将臣も引きずられ始めていた。  
「うん。……大、丈夫。ちゃんと、挟む強さを調節できたから」  
 徐々に頂点を目指せば、それを察した望美の唇から細い息が漏れた。  
 嫌がる素振りは少しもなくて、伏せられた眼差しはすでに蕩けかけている。  
 そこから目を離せない自分も大概だと思いつつも、本能を抑えるはずの理性は  
とっくに引っ込んでしまっていた。  
「乳首を自分で摘んで、このリングつけたんだろ? 感じたのか?」  
 布越しでも輪になっている金属を指に引っ掛けるのは難しくはなくて、軽く力を入  
れただけで望美は顎を引いて身体をよじる。  
「っん、あ……ん」  
 切なそうな表所を浮かべる頬に唇を寄せれば、声を出せない代わりにコクコクと  
うなずきながら、甘えるように望美の身体が将臣の方に傾いてきた。  
「ブラウスに擦れるのも、よかったんだろ?」  
 抱きとめると、細い首筋から甘い香りが漂って、将臣を無言で誘惑してくる。  
「うん……じわじわって来るの」  
 スリスリと将臣の胸に額をすりつける望美は、まだ手を下ろしてはいない。  
 その為、食い込んでいるビーズに添ったそこが濡れてひくついているのも、丸見  
えだ。  
 言葉で攻められたのと野外での露出だけで、完全に出来上がってしまっている。  
「ホント、お前って素直って言うか、調教しがいがあるって言うか……」  
 苦笑を浮かべた将臣は、ポケットにしまったはずだった家の鍵を取り出した。  
 やっぱり傘は、必要なかったな、と一人ごちながら。  
 
 しかし、腕の中でどこかほっとしたような笑みを浮かべた望美を見た瞬間、将臣は  
手に握った鍵を、ポケットの底に押し付けるようにしまった。  
 何も持たなくなった手を見て、どうしてと戸惑う様子が可愛い。  
 狼狽えた瞳を見つめれば、恥ずかしそうにねだる色に負けてしまいそうなほどだ。  
「将臣くん?」  
 けれども、将臣がこれまで何度も抱いて熟知している望美の身体と心は、まだまだ  
この程度が限界ではないはずなのである。  
 もっと悦ばせてやりたい気持ちが半面、もう半面は将臣自身が加虐の楽しみを覚  
えてしまったから。  
「やっぱ変更。このまま、学校行こうぜ」  
「え…このまま?」  
 明らかに望美の表情が曇ったが、将臣は頷くだけで有無を言わせなかった。  
 勿論、それが望美にとってどういう意味を持つか、知りながら。  
「今なら電車に間に合うな。急ぐぞ」  
 そう言っても動けないでいる傘を引っ掛けている腕を引けば、小さな息が形になって  
望美の唇から漏れた。  
「や、そんな……ゆっくり行こうよ」  
 踏み出す足には力がなく、将臣が手を解けばそのままそこに立ち止まってしまいそうで、  
掴みにくい腕から手首へと場所を変え、拘束を強くする。  
 これで簡単には振りほどけなくなった。  
「二人一緒に遅刻は、相当怪しいけどいいのか?」  
 怪しいも何も、さっきまで一緒に欠席という、勘ぐってくれといわんばかりの事を  
しようとしていたのだが、望美はフルフルと首を振ると諦めたように将臣の手首に  
つかまった。  
 冬なのに汗ばんだその手の平と、小走りのせいだけじゃない頬の赤味が、望美の  
身体に巡る快楽の証拠だ。  
「両方、こすれてんだろ。どっちの方が気持ちイイんだ?」  
 スピードを緩めずに、俯いたままの望美に尋ねれば、これまた素直な答えが返って  
きて、将臣を苦笑させる。  
「ん、ぁ……ど…っちも」  
 服の下で揺れる乳房は、リングに固定され強制的に立ち上げられた乳首を布地に  
すりつけ、微弱な刺激を何度も何度も与えてきて、もどかしさはより強い愛撫での高  
まりを求めさせる。  
 それなのに、繰り返されるのは物足りない快楽だけで、上りつめたい身体との落差  
が望美の冷静さを失わせているのだ。  
 胸だけを見てもそんな有様なのだから、その上、下肢までも硬いビーズで犯されて  
いる状況は推して知るべし。  
「き、気持ちいいの」  
 続けられた言葉は、素直と言うより快楽に酔って、現実を置き去りにしているから  
と解釈した方が正確だろう。  
 そうでなくとも不自然に呼吸が乱れているのに、そんな濡れた声で無防備に白状  
するのだから。  
「望美。あんまはっきり言うと、ばれるぞ」  
「っ…ぅ」  
 笑っている将臣の指摘に、望美は改めてここが天下の往来であるのを思い出し、  
駅へと続く道へ目を向ければ、同じ目的で歩いている人たちが難なく確認できた。  
 
 それは、壁際で感じた危機感の比ではなく、途端にわきあがる恐怖に立ち止まり  
たくなったけれど、しっかり握られた手首がそれを許してくれない。  
「ぁ…ぅん」  
 いくら唇を噛みしめても中途半端に放り出され、熱の溜まった身体から出る息は  
甘く、聞こえるたびに望美をひやりとさせる。  
 しかし、気づかれていないのを確かめるために周りを見る余裕もなく、もしかした  
ら、誰かに見られているんじゃないかと思うと、恥ずかしさに緊張した身体が、何も  
咥えていない部分をきゅっと締めた。  
 けれど手ごたえのなさが余計に切なくなって、人の目があるこんな場所なのに、  
貫かれたがっている部分は、望美の意思を無視してどんどん蜜をあふれさせる。  
 もしここで将臣に抱かれても、本気で拒める自信が望美にはない。  
 それどころか、頭の中の自分はアスファルトに手と膝をついて、後ろからの律動に  
喜んで腰を振っていた。  
「ま、将臣くん」  
 想像した自分の姿とそこから受ける甘すぎる官能に怯えて、震える声で助けを求  
めたが、振り返った将臣は愛しそうに眼を細めながら、チラッと口の端で笑っただけ  
だった。  
「あと少しで着くからな。我慢、できるよな?」  
 何もかもわかって言われた言葉に頷く以外、望美に何が出来よう。  
 とにかく電車に乗ってしまえば、何とかなる。  
 そう自分に言い聞かせながら足を運ばなければ、この場で声を上げて達してしま  
いそうで、手首を離さない大きな手に導かれるまま進み続けるしかなかった。  
 それでも、繋いでいる手と見下ろす瞳の優しさを確認するたびに、望美の胸には  
安堵が広がり、支配されるのを受け入れてしまう。  
 そこに悲壮さがないのは、将臣を信頼しているからこそで、そうでなければこんな  
とんでもない行為には付き合えない。  
 吸い込む布地のない下着から溢れた蜜が内股を濡らし、下着のレース部分まで  
が肌に張り付くのを感じながら、望美は広い背中を追いかけた。  
 
 
 そんな状態を引きずったままで、授業などちゃんと聞いていられるわけがなく、望  
美の目は黒板を見ながらも、書き写すはずの右手はシャーペンを握っているのが  
やっとであった。  
 しかもまだ一限目であるのだが、それも、そうあまり長くはもちそうもない。  
 なぜなら、教科書を忘れたからという名目で、隣の席である将臣が机をくっつけて  
来たからだ。  
 二人の間に置かれた教科書を見る振りをして寄せられた身体は、膝でスカートか  
ら覗く脚を掠るようにすり、肘で胸を軽く押しつぶす。  
「も……将臣、くん」  
 小声で注意しても、かわす様に笑われるだけでやめてくれる気配はなく、かと言って  
将臣をよけようと身をよじれば不自然な姿勢になってしまいかねない。  
 出来る事といえば、せいぜい、声が漏れないように唇を引き結ぶだけだ。  
 ちらりと見た時計は、先ほどから五分と進んでおらず恨めしくなってくる。  
 と、将臣が手を伸ばし、望美の何も書けないでいる白いページに何かを書いたの  
で、祈るように見ていた時計から目を移した。  
「っ!」  
 そこに書かれていた文字に、望美は頬が赤くなるのを感じながらも、即座に頷い  
ていた。  
 我慢出来ないか?なんて、そんなの聞かなくてもわかっているくせに、と時計より  
も恨めしく思いながら。  
「先生、望美が気分悪いらしいんで、保健室に連れて行ってきます」  
「何、本当かね? 顔も赤いし、熱があるのかもしれないね。有川くん、早く行って  
あげなさい」  
 もうすぐ定年を迎えるベテラン教師は、おっとりとしながらも心配そうに望美へと  
視線を向けた。  
 先生ごめんなさいと心で呟きつつ、望美は将臣の手に掴まって立ち上がると、背中  
にクラスメートの視線を受けて教室を出て行った。  
 勿論、保健室に行くためなどではない。  
 授業中の校舎は静かで、通り過ぎる教室から漏れる教師の声が微かに聞こえる  
程度だ。  
「ん、ぁ……」  
 だから、望美のごく小さな声さえも廊下に響き、その度にビクリと背中が震えた。  
「ど、こ…行くの?」  
 その声があまりに物欲しそうで、なかった事にしてしまいたかったけれど、将臣は  
これ以上ないほど赤くなった耳元に、吐息だけの笑みを落とした。  
「屋上」  
 軽蔑されなかったことにほっとしながらも、一人だけ余裕を持っていて楽しそうな  
様子が憎らしい。  
 その想いを込めて横を見ると、伝わらなかったのか不思議そうな顔をされてしまった。  
 こんな時だけ鈍感なのだ。  
 あるいは、わざとそうしているのかもしれなかったが、そうこうしているうちに、屋上へ  
と出るドアの前にたどり着いていた。  
 無表情で殺風景なドアだが、その先は二人のとっては特別な意味を持つ場所。  
 しかも、普通に皆が授業を受けている学校で抱かれてしまうことを考えれば、恥ず  
かしくてそれ以上、何も言う事は出来なくなった。  
 けれど、繋がれた手を振りほどかない自分は、そうされるのを望んでいた。  
 ゆっくりとドアが開かれると、冷たい風が容赦なく頬を撫でたが、望美は踏み出す  
のを躊躇いはしない。  
 
 手を引くのは、意地悪で優しい、大好きな恋人だから。  
 せめて風を避けようと出入り口とは逆に移動すると、運動場で行われている体育  
の授業が時折吹かれる笛の音や、パスを要求する声からサッカーなのだと知れた。  
「結構、声聞こえるな。気をつけろよ、望美」  
「う……うん」  
 埃や砂まみれのコンクリートの上に寝転ぶ事は出来ず、壁に背をもたれさせなが  
ら、立ったままで片足を持ち上げられた。  
「あッ…い、や」  
 広げられたそこに冷気と視線を感じて、背筋をいいようのない寒気が這い上がる。  
 その感覚を否定したいのか、今すぐ体勢を変えて欲しいのか、目を閉じた望美が  
首を横に振るが、将臣の腕はそのままさらに外側へ開かせた。  
 か細い拒絶が聞こえたが、身体は抵抗らしい抵抗を見せず、将臣の動きにあくま  
でも従順である。  
 明るい日差しの下で見られる事に興奮しており、それが自分でも分かっているの  
だろう。  
 望美は恥ずかしそうにしながらも、自由な両手で肝心の部分を隠そうともせずに  
逞しい肩に縋った。  
「すげぇな。家で見たときより、濡れてるぜ」  
「だって……将臣くんが電車の中とか、教室でも意地悪するから」  
「ん? やっぱ、感じてたか?」  
 嬉しそうに目を細めて笑う将臣を見ていられなくて、望美はぷいっと横を向いた。  
 していることはひどいのに、その眼差しはあまりに大事そうで、見ているほうが  
照れてしまうほどだったのだ。  
「当たり前だよ」  
 それでも、口をつくのは可愛くない口ごたえだ。  
「そんな拗ねるなって。望美は敏感だしな。それに……」  
 つつ、と秘裂に食い込んでいるビーズを指でなぞられ、望美の両手に力が篭った。  
「あんっ……あ、はぁん」  
 敏感になりすぎた赤い実は少し刺激されただけで、泣きたくなるほど良くて、もっと  
ちゃんと触って欲しかった。  
「こういう恥ずかしいの、大好きだろ?」  
「ん、ん、あ……ちが…こんな、の」  
「相変わらず、嘘つくの下手だな。でも、そんなとこも可愛いって思っちまうんだから、  
安心しろって。ほら、な。こことか、ここは、喜んでる」  
 あらかじめ上着のボタンが外されていたおかげで、ブラウス越しにも薄っすら色づ  
いているのがわかる胸の頂をそのまま口内に含まれ、息を止めた瞬間、添えられて  
いただけの指が蜜を絡めながら中へ入って来た。  
 胸への愛撫に意識が行っていただけに、たった一本とはいえ、不意打ちのその挿  
入感はたまらない。  
 望美の眉は切なくゆがみ、持ち上げられている足はガクガクと震え始めていた。  
「っ…あッ、ぁ……まさ、おみくんの、いじ…わる」  
 湿った布はぴたりと胸に張り付き、舌の熱さや噛む歯の硬さまで伝えてくる。  
 普通なら痛みを感じてもおかしくないほど起立しきっているのだが、今は布越しの  
せいでそれもなく、むしろもどかしさが残っていて、自分から将臣に抱きついて胸を  
すりつけたいほどだった。  
 
「ん。そーなんだ。俺、お前の泣き顔見ると、いじめたくなっちまう。だってな、やば  
いくらいエロイし、可愛い。……お前だけだぜ、こんな風にしたくなるの」  
 胸から顔を上げた将臣に、耳朶を甘噛みされて与えられた小さな痛みと、耳の奥  
まで犯すような低い囁きはいつもと違う。  
「ん、ん、ん──っ!」  
 それが恐いのか、それとも嬉しいのかわからないまま、中を擦る指を締め付け、  
仰け反った背中を抱きしめられながら、望美はようやくその日初めての絶頂を味わった。  
 涙の滲んだ睫毛にご褒美のようなキスをもらい、去っていく快感の余韻に浸りな  
がら漏れたため息は、安堵と言うより満足が強い。  
 けれど、焦らされ続けていたのだから、これだけで終わらせられるはずもなく、まだ  
足りないとばかりに将臣の指に絡みついているのが望美自身にもわかる。  
「すごい欲しがってるな。望美のここ」  
 まるで確かめるように指を出し入れされると、いやらしい音がその度に聞こえて、  
どんどん滑りが良くなっていくのが判断できた。  
「あぁ…も、意地悪、しないで…」  
 抜けてしまわないように追いかけるけれど、やはり指一本では圧倒的に存在が  
足りず、切なくておかしくなってしまいそうだ。  
「じゃ、自分で入れてみるか?」  
「や…こわ、い」  
 力なく首を振ったが、将臣は指を引き抜いてしまった。  
「大丈夫だって、ちゃんと支えててやるから」  
 そう言われても頷くことなど出来るはずもなくて、望美は汗ばんだ額を将臣の肩  
に預けて乱れた呼吸の中に、ベルトを外す音とジッパーの降りる音を聞いていた。  
 ドキドキと期待に高鳴る胸は、運動場から聞こえるホイッスルにも、跳ね上がったが、それは恐怖のためではなく、他に何百人といる場所で、貫かれるのを心待ちにしている自分を認めたからだ。  
 そうなれば、準備の終わった将臣が、腰の位置を直すのも待ちきれず、望美は  
自分からビーズを端に寄せて身体を密着させていた。  
「こ、こう?」  
「OK。そのまま来いよ」  
 しかし、入り口に熱い塊を当てたまでは良かったが、角度がいまいちわからなくて、  
入りそうで入らない。  
「っ、や、また」  
 引っかかりながらも体内に入らず、ずるりと滑った何度目かの感触に、ついに望美  
はむずるようにぽろぽろと涙を流し始めていた。  
「……っ俺も、これはきつい。望美、指を添えてみろ」  
 将臣は望美の身体を両手で支えているため、サポートが出来ないのだ。  
「ん…うん」  
 望美は恥ずかしさを押し殺し、言われたとおりに入り口にあてがったあと、恐る恐る  
指でその弾力ある塊を導いてみる。  
 すると、それまでの苦労が嘘のようにすんなりと、望美の中へ侵入してきた。  
「あ、ああ…は、入ってきた……ん、あ」  
 しかも指で挟んだまま入っていくので、その太くなっていく過程や、ゴム越しにも  
脈打っているのがリアルに感じ取れた。  
 
 それが今、中に入っているのだと思うと、目を閉じていてもその情景が見えるよう  
で、妖しい熱が下肢に集まる。  
「立ってるから、これ以上奥には入らねぇな」  
 体勢のせいで中がきつくなっているようで、望美の指にも将臣の納まりきらない部  
分が触れていた。  
 けれど、それを恥ずかしがる暇もなく、押し寄せる快感に意識が溶けていく。  
「あ、ダメ……そこで、止まっちゃ…やぁ…」  
 将臣の張り出た部分が、中の敏感な一点にちょうど当たっているのだ。  
 通り抜けるだけでもたまらないのに、いつまでも居座られては、息をするだけでも  
感じてしまう。  
「入れただけで逝きそうなのか?」  
「だ、って…そこ。あ、あ、ああ! い、あっ───」  
 顎を反らし両腕で将臣の背にしがみつきながら、それで終われない事に気づいて  
驚愕した。  
「あ、あぁ…そん、な。ああ、ま、また……また逝っちゃう」  
 将臣は奥へと動けないから、感じる場所にいるまま締め付けてしまい、またそれが  
すぐに望美を次の絶頂へと向かわせる架け橋となるのだ。  
 爪先までに力がこもっているのに、ガクガクと震える身体は自分のものでないようで、  
逝きながら逝くという強烈すぎる感覚についていけず、望美は恐くて将臣の名を繰  
り返し呼んだ。  
「まさ、将臣くん。まさおみくん」  
 子供のような涙声に、将臣は何度も何度も大丈夫と返してくれた。  
 それがなければ、自分はとっくに壊れていたかもしれないと、望美は迫り来る苦し  
いほどの快感のなかで思っていた。  
「んあ、あ、ああッ、ひぁ───ッ!!」  
 声にも喘ぎにもならない悲鳴をあげ、倒れるほどの勢いで身体を反らす望美を、  
将臣が強く抱きしめてとどめてくれる。  
 その腕が愛しくて、望美はまだ降りきっていない絶頂の中で、将臣の首にキスを  
していた。  
「ッ、おま…」  
 不意打ちにやられたのか、ビクリと体内の熱が震えたのを感じながら、最後の最後  
で望美の笑みは勝ち誇っていた。  
 幼馴染の妙な意地で、やられてばかりでは面白くないから。  
 

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