まだ清盛公が存命だった頃。客人になった将臣は、女房達を下がらせ、一人で横になっていた。。
「アー腰がいてえ…確かに鬱憤は晴れるけど、なんで風流な句、いくつも捻り出せるんだよ?」
昨日の女は体が温く、すぐに開いたな。肌寒い夜には丁度よい加減だった。イクときなかなか声を出さないんで、加減がわからず腰が痛くなるまで攻めちまった。悪い。
今日は風邪を引いたといってだだっ広い部屋に引っ込んでる。
これはすごいことだ。
女房達は客人をもてなすのが当然。下がっていいと言ったら、無言で抵抗する。
「異文化コミニュケーション〜なんて、お気楽にいってられねえ」
職務に忠実な人間は、新たな命令が自分の職務を奪うように見えるらしい。
「あんなあ。俺は学校も街も一人で出かけてたぜ…ここはほんと人を使うのが上手いな」
ようやく一人でいる贅沢を満喫していた。が、足音がする。水だけでいいのに、何をやってんだ??
「兄上、白湯をお持ちしました」
足元はいつもの女房の衣ではなく、男物の衣。季節とあわせた色が小憎らしい。ちっとも休みにならねえ!
「知盛…白湯を持ってきても何もでないぞ。新中納言の御用があるんだろ」
「御所にはおれの替わりなど幾らでもいる。それよりは異国の客人のほうが面白い」
ピキッ。俺は客寄せの珍獣か。
「クッ。皺がよるとますます兄上に似るぞ」
さっさと御所に戻れ!この退屈男。
雛人形のような服をきちんと着こなしてる。借り物じゃねえ。日常から鍛錬してるんだな。こいつら。
「なあ。外には出られないのか?少しは都のことも知りたいんだ」
「自分の顔を鏡で見るんだな。平家を恨む者の餌になるだけだ」
こいつ、御所じゃ絶対猫被ってる!間違いない。
「ずいぶんお疲れの様子だな。クッ。ちゃんと抜けたろう?」
「ああ」
「ようやく話が一致したな。男と女がいればやることは一つだ」
「又頼む。半月か…一月先に」
こんなことで鬱屈を晴らすなんてばかみたいだろ。でも教養も文字もわからない俺にはこれしかないんだよ。
ああ、早く鎌倉に戻りてえ。譲、お前の料理、最高だな。望美、こんなことなら、さっさとコクってりゃよかった。