「あ、あぁぁぁ・・・・はぁ、はぁ・・・・・」
私は嬌声を上げていた。恋人・・・以外の人に抱かれて。
「ここがいいんだろ?」
そういいながら私のいいところをすりあげてくるヒノエ君。
本人が言うとおり、彼のものは確実に私を責め立てている。
「んあぁぁ!!もっ・・・と、深く・・・・うぁぁ!!」
私はまた甲高い声を上げた。
・・・・もう、二十日ほど前になるだろうか、私は彼に無理やり犯された。
もちろん嫌で仕方なかったし、必死で抵抗もした。
しかし、それ以来私の身体は妙な快感を知ってしまい・・・・・・・
いつもとても優しくしてくれる景時さんとの交わりでは満足できなくなってしまった。
そして今、私達二人は夜な夜な梶原邸を抜け出し、彼の隠れ家へと通うようになっている。
「まだ・・・足りない・・・」
もっと結合を深くしようと自分からも激しく腰を動かした。
脳内に火花が散るような感覚。
「う、ああ、あぁ・・・・・あぁぁぁ!!」
「お前がこんなにスキモノだったなんてな。・・・もう景時ににたいして罪の意識とかないだろ?
・・・・・・なんてもう聞こえてもいないか」
彼の言葉は聞こえてはいた。ただ今はそれどころではない。
・・・・私はすっかり快楽の虜になっていた。
「今日も可愛かったよ、神子姫様。・・・・・じゃあ、また明日」
彼の揶喩するような言葉を聞きながら、私は足早に彼の隠れ家を後にした。
真夜中。青白い光をたたえる満月の下、私は一人愛しい人がいる家に向かい歩いていた。
もし見つかっても怪しまれないようにいつも時間をずらして帰っているのだが、
一人で歩く帰り道では、いつももやもやといた想いが頭の中を渦巻く。
(・・・罪の意識か)
ヒノエ君がいった言葉がふと頭の中をよぎった。
罪の意識はもちろんある。だって・・・こんな私でも、いまでも景時さんのことが好きだから。
虫が良すぎるってことは、自分でもよく分かっているけど。
景時さんのことを思うと胸が痛んでいる自分がいた。
・・そしてその罪悪感さえもぞくぞくするような快感として捕らえている自分もいた。
うつろな気持ちのまま部屋に戻ると、そのまま着替えることもなく寝台へと横になった。
ドサリと倒れこんだ私を受け止めた布団の柔らかさが、とても心地よい。
(今日はすごく晴れてたから・・・・・)
彼がまた洗濯したのかもしれない。得意の鼻歌を歌いながら・・・。
ふいに目尻に熱いものがあふれてくるのを感じた。
なんで泣いているのか、私自身もよく分からなかった。
ただひたすら心の中で呟いていた。景時さんへの謝罪の言葉を―――。