「遅かったですね、先輩」
帰ってきたら、心配そうな顔をした譲君が向かえてくれた。
先日の戦でうけた傷。もう、ほとんど治っていたけど、念のため弁慶さんに見せに行って
そのまま、他の治療の手伝いをしたりして、すっかり遅くなってしまった。
「出かけるなら、なぜ俺に声を掛けてくれないんですか? なかなか帰ってこないから…どれだけ心配したと…」
「弁慶さんの所に治療に行くだけで、近くだし、すぐ帰る予定だったから… でも、心配させちゃってごめんね」
「治療!?先輩、どこかケガでもしていたんですか!?」
なんだか、また心配の種を増やしちゃったかな?
譲君に言うとまた「俺が守れなかったせいで」とか悩んじゃいそうだから、黙ってたんだけど…
「あー、別に大した傷じゃないよ。ちょっと斬られただけだから。それに、もう治ってきたしね」
「ちょっとってそんな…どこをケガしたんですかっ?……見せて下さい」
…困ったな。 受けた傷は左胸にある。
見せて下さいと言われても、ちょっと恥ずかしい位置。 どうしよう…。
そんな困った顔の私を見て、譲君は少し怒ったような表情をしながら
「…やっぱり。大した傷じゃないとかいって、見せられないって事は大ケガなんじゃないですか?」
あらら、譲君…勘違いしてる。仕方ない、ここはちゃんと理由を言わなきゃなのかなぁ?
「ほんと、大した傷じゃないから、ただ…え〜っと位置がね、ちょっと…」
「位置…ですか?」
なんか訝しそうな顔して、メガネを押し上げてる…
「う〜ん、傷は…その、左の胸の所だから…」
「む、胸ですか!?」
「うん…だから…見せるってのはちょっと、はっ…恥ずかしいっていうか…」
気が付けば、お互い顔が真っ赤だ。
譲君にいたっては、耳まで赤い。
だから、見せられないって言おうかと思った瞬間
「ちょっと待って下さい。その傷、弁慶さんには見せたんですよね?」
「だって、ほら…治療だし…」
「弁慶さんには見せられて、俺には見せられないって言うんですか?」
「っや…でも…」
いつもなら「治療だもん、仕方ないじゃない!」と言えるのに
今日の譲君は、今までに見たこともないような怖い顔をして、私を見ている。
「どうしちゃったの?ゆず…」
言いかけた途端、私の腕は、強い力で壁際に押さえつけられた。
「いやっ…ちょっ…いたいっ」
「…どうして!どうして先輩はそんな無防備な…」
怒っているのか、泣きそうなのか、何とも言えない表情が、一瞬にして凍り付いた刹那
私の着物の前が乱暴に開かれ、まだ赤みが残る傷が露わになる。
「こん…なとこ… 見せたんですか…」
それから、どうなったのか、よく覚えていない。
気が付いたら押し倒され、強引な…奪っていくかのようなキス。
彼の舌が私の口中をなぞる。息が出来ない。
「んっ…はぁ…ゆ、ゆず…るく…ん…くるし…」
年下だと思っていたけど、譲君の力はやっぱり男で、押さえつけられると身動きも出来ない。
「先輩が…いけないんです」
聞いたこともない低い、そして冷たい声。
解かれた帯で両腕が縛られる。
鷲掴みにされた胸からは、うっすらと血が滲む。
「いたっ、いた…いよ」
「先輩は知らないんだ…普段、俺が何を考えているかっ! あなたを他の男に…
他の男に触れさせるくらいなら…俺が全てを奪う!」
「いやっ…離してっ!」
私がどんなに泣き叫ぼうとも、譲君は無表情のまま、一切の抵抗を許してくれない。
でも…どんなに乱暴にされても、心の奥底で、こうなりたいと思った自分がいるのも感じる。
彼の吐息に、彼の熱に反応する自分がいる。
彼の指が秘所に伸びると、すでに蜜が溢れ出している。
「先輩…こんな風にされても、先輩のココは俺を受け入れる気なんですね」
「ちっ違っ…」
「ふーん、そうですか…でも、身体は正直ですよ」
そう言いながら、細くて長い指が花芯と蜜壷の奥を掻き乱す。
「っ…ん…はぁっ」
「…もう十分かな」
その瞬間、彼の熱いそれが、私を貫いた。
「ひぃっ…い…たっ…あぁ」
意識が遠のく…もう、何が何だかわからない。
熱い吐息、繰り返される振動。
ただ私は、泣きながらも、確かに感じていた。