薄暗い部屋の中、私と敦盛さんふたりきり。
先程から、敦盛さんの抵抗は弱々しいものになり、今ではただ私の指の成すがままになっている。
「…っ…あっ……」
「声、我慢しなくてもいいんですよ敦盛さん」
かすかに揶揄の色をうかべた声音でそう言うと、敦盛さんは紅くなっている頬を、更に羞恥で染め上げた。
こんな淫らな行為をされているというのに、彼は清雅な美しさを失ってはいなかった。そんな彼を見ていると、昔育てた蝶を思い出す。
種類は忘れてしまったが、彼とおなじ深い気品のある紫の色彩を纏う蝶だった。
「気持ちいいですか、敦盛さん?」
「………」
答えない彼に笑みが深くなるのがわかる。
そう簡単に屈服してもらってはつまらない。
扱く手の速度を速め、刺激を強くすると、彼の呼吸がつまる。
そうして次の瞬間あっけなく、手の中の彼は白く濁った液体を勢いよく吐き出して、はてた。
女の子のような顔をしていてもやっぱり、付くものは付いてるし、出すものは出すのね。
今更ながら思いつつ、手のひらにべとりと飛び散ったそれらを余さず舐めとった。
ふと気付くと彼のからだがふるふると震えている。
顔をあげてみると敦盛さんは青い顔をして、かすかに涙を滲ませていた。
「わた…私はなんということを神子に…」
そのさまに、私は再び思う。
やはり彼はあの蝶に似ている。
紫の蝶は、私によってその羽を千切られてなお美しかった。
あの蝶を思いださせるこのひとも、地に堕ち汚濁に呑まれてもきっと美しいままだろう。
いや、かれの美しさは汚辱のなかにあってこそ際立ち、輝くのだ。
恥辱にまみれた彼を思うと私のソコは、はしたない蜜であふれる。
神子であり清浄で神聖である筈の私が、怨霊である筈の敦盛さんよりよほど穢れてる。
その事実にも、穢れきった私は嘆きも、悲しみもわかず、ただ倒錯だけを感じていた。