源の陣営のすぐ側の茂みで敦盛は倒れていた。  
そこへ聞こえてくる足音。  
敦盛は息を殺し、相手が近寄るのを待った。  
「だれか、いるの?」  
声が掛けられるのと同時に、その主へと飛び掛かる。  
「きゃっ」  
「騒ぐな」  
相手の口を掌で覆い、低く囁く。  
敵の見張りか何かだと思っていたその姿は女のものだった。  
倒された時に乱れたのだろう、着物の裾がめくり上がり、夜闇の中でもその白い足がくっきりと窺えた。  
それを見た瞬間、敦盛は自分の中で燃え上がるものを感じる。  
生と死のギリギリの場面で戦い合うことを長くしてきた体は、本能を主張し始めていた。  
自然と、手が相手の太腿へと滑った。  
そうされる本人にも、只ならぬ空気が伝わったらしい。  
敦盛の体の下で、女が必死に抗っていた。  
「酷くはしない。…すまない」  
女の怯える顔に胸が痛んだが、己を止めることはできなかった。  
 
 

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